法的枠組み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 04:58 UTC 版)
日本で医師の資格を規定する根拠となっている法律は「医師法」であり、医師法第17条に「何人も、医師でなければ、医業をなしてはならない。」と規定し、職業選択の自由を規制している。なお日本の医師免許は、個人に医業をするために与えられた免許であるため登録免許税が発生する。また、認知症などになると免許を取り消される場合がある。なお、後見人が必要となった場合は免許が取消処分となる。診療報酬などを不正に請求し罰金以上の処罰を受けると取消処分となる。 また、しばしば資格を持たない者が医師を名乗り医業を行う例が見られ、1970年前後には、いわゆるニセ医者が多数存在していたことが社会問題となった。警察庁の調べでは1969年に91件104人、1970年に110件96人、1971年(9月まで)に40件37人が摘発されている。 医師は、医療法で定められた厚生労働省が指定した27の標榜科を、いつでも自由に名乗ることができる。ただし「麻酔科」の『麻酔科医』に関しては、厚生労働省の麻酔科標榜資格審査に合格しなければ、麻酔科の標榜も麻酔科医を名乗ることも出来ず、医師が麻酔を取扱うことが出来ない。また歯科医師法により、歯科医業については歯科医師しか行う事が出来ない。咬合構築に関与する骨切り術が形成外科医により行われる事があるが、これは歯科医師法違反である(待機処置の場合)。 離島や過疎地で軽症患者に対しては、医師一人だけで多くの診療科に対する医療行為を完結させる必要があり、「医師」の資格により、最低限の医療行為が完結できなければならない。よって「医師」が「検査ができない」「レントゲンが撮れない」「看護ができない」「人工透析ができない」「リハビリテーションができない」ということは、制度の建前上ありえない。 薬に関しては、欧米では歴史上薬剤師の業務として発展(完全医薬分業制)してきたものであり、欧米では医師が調剤することはあり得ない事であるが、日本では薬剤師法の規定により、自身が診察した患者に限り、調剤をする事ができる(不完全分業)。ただし、他の医師の処方箋による調剤は、薬剤師が持つ業務範囲であり、原則的に薬剤師免許がなければ、たとえ医師であっても無資格調剤となる。
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