周産期医学とは? わかりやすく解説

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産科学

(周産期医学 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/06/03 12:38 UTC 版)

新たな命の誕生

産科学 (さんかがく、(英語: obstetrics)は、妊娠・出産に関連する医学の分野の一つ。

婦人科学と合わせて産婦人科学と称される場合が多い。

歴史

18世紀までは、妊娠・出産等に関する分野は、いわゆる「産婆さん(助産師)」が扱う分野であり、医学の一分野として確立した領域ではなく、多くは外科学領域において帝王切開・人工妊娠中絶がなされる程度であった。

1960年代以降、妊娠・出産管理は助産所から病院で行うものと変化してくる。

現在では、産科学から新生児学までを包括する「周産期医学」または「周産期医療」と呼ばれる医学分野も発展している[1]。

20世紀末から21世紀にかけて日本でおこりつつある産科医と分娩取り扱い施設の不足については、出産難民を参照のこと。

少子化の加速と分娩取扱施設の廃業

日本国内における少子化の加速と、産科・産婦人科(特に分娩を取り扱う医療機関)の減少・廃業には密接な相関関係が指摘されている[2]。厚生労働省の統計によると、1996年から2023年までの27年間で国内の出生数は約40%減少(約121万人から約73万人へ)した一方、同期間に分娩を取り扱う病院および診療所は55.8%減少(3,991施設から1,766施設へ)しており、少子化を上回るペースで分娩施設が減少している[2]。

経営面における影響

産科医療機関、特に有床の診療所や民間の産科クリニックにおいて、分娩件数の減少は直接的な収入源の絶たれを意味し、経営悪化の主因となる[3]。

  • 固定費の負担高:産科は24時間365日の待機体制が必要であり、費用のうち人件費が占める割合が約70%以上と極めて高い構造を持つ[4]。このため、年間分娩件数が一定水準(例えば300件以下など)を割り込むと、人件費率の急騰によって構造的な赤字へと陥りやすくなる[4]。
  • 物価高騰と価格転嫁の難しさ:近年の物価高や光熱費の高騰、医療機器の維持費上昇に対し、地域の分娩費用の相場や患者側の経済的負担への配慮から即座に価格転嫁を進めることが難しく、これが診療所の利益率をさらに圧迫している[3]。結果として、全国の産婦人科クリニックの約4割が赤字経営に直面しているとの推計もある[3]。

労働環境の悪化と医師不足の悪循環

地域の産科施設が廃業または分娩取り扱いを休止すると、近隣の残された中核病院や大規模施設に妊婦が集約されることになる[5]。

  • 過酷な勤務環境:少子化が進む地方部ほど施設の集約が進みやすく、生き残った中核病院の産科医への負担が急増する[5]。24時間体制のオンコールや当直回数の多さから、産科医の労働時間は他科に比べても長時間化しやすい[3][5]。
  • ハイリスク妊娠の増加:晩婚化や晩産化(高齢出産)の進展により、合併症妊娠などのハイリスク分娩が増加しており、医師にかかる精神的・技術的ストレスを高める要因となっている[3][5]。
  • 過労と高齢化による引退:こうした過酷な環境により「体力の限界」や「精神的ゆとり」を求めて分娩取り扱いを中止・廃業する医師も多く、特に個人開業医の高齢化と後継者不足がこれに拍車をかけている[6]。

婦人科特化への業態転換

「分娩リスクや過酷な24時間体制」を回避するため、完全に廃業するだけでなく、経営を維持するために分娩の取り扱いを辞め、当直のない「婦人科疾患」「不妊治療」「ヘルスケア・ピル処方」へ特化した無床診療所(クリニック)へと業態転換(機能分化)を図る施設も増加している[3][7]。

地域格差(アクセス悪化)と「少子化の悪循環」

日本産婦人科医会の調査によれば、全国の2次医療圏や周産期医療圏の一部において、すでに分娩施設が一つも存在しない地域が生まれており、医療の地域偏在が顕著となっている[8]。 身近な地域で安心して出産できる環境(産科アクセス)が失われることは、地域住民の妊活や出産への心理的・物理的ハードルを高め、それがさらなる少子化を招くという「少子化と分娩施設減少の悪循環」が懸念されている[9][8]。


異常妊娠

異常分娩

母児感染症

病気 感染経路 症状
風疹 胎盤 TORCH症候群を起こす。
淋病 産道(淋菌性頸管炎が有る場合) 新生児の目から膿が出る(膿漏眼)。予後には失明に至る事がある。
性器ヘルペス 気道内乳頭腫を起こす。
クラミジア感染症 産道 新生児肺炎を起こす。
カンジダ症 口の中に真菌の一種であるカンジダが繁殖する(鵞口瘡)。

関連項目

脚注

  1. ↑ 周産期医療. 看護roo! . 2025年6月7日閲覧。
  2. 1 2 “出生数が27年間で約4割減少、分娩取扱施設は6割近く減少”. ナース専科. (2025年2月13日) 2026年6月3日閲覧。
  3. 1 2 3 4 5 6 “産婦人科 業界動向と将来性|赤字4割の経営難を勝ち抜く改善策とは”. CUCグループ (2026年5月10日). 2026年6月3日閲覧。
  4. 1 2 “少子化の影響ここにも 分べん数の減少が産科医療を直撃 経営成り立たず閉院を決めた産院も”. TBS NEWS DIG. (2023年7月21日) 2026年6月3日閲覧。
  5. 1 2 3 4 “減りゆく産婦人科 少子化対策の盲点”. 日本経済新聞. (2019年7月12日) 2026年6月3日閲覧。
  6. ↑ “分娩取り扱い中止に伴う諸問題-アンケート結果”. 日本産婦人科医会. 2026年6月3日閲覧。
  7. ↑ “産科医不足”. 時事用語事典 imidas (2009年2月15日). 2026年6月3日閲覧。
  8. 1 2 “「少子化と分娩施設の減少の悪循環」回避に向け財源要望”. m3.com. (2026年3月29日) 2026年6月3日閲覧。
  9. ↑ 福嶋, 恒太郎 (2026-01-01). “4.分娩取扱施設の減少と対策”. 産婦人科の実際 75 (1): 19-22. doi:10.18888/sp.0000003696 2026年6月3日閲覧。.



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