周産期心筋症とは? わかりやすく解説

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しゅうさんき‐しんきんしょう〔シウサンキシンキンシヤウ〕【周産期心筋症】

読み方:しゅうさんきしんきんしょう

心疾患既往歴のない女性出産前後に突然発症する原因不明心筋疾患妊娠中から分娩後5か月以内心不全症状現れる息切れ・咳(せき)・全身のむくみ・倦怠感などの症状が続く場合は、早めに受診することが望ましい。産褥(さんじょく)心筋症


周産期心筋症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/19 14:19 UTC 版)

周産期心筋症
別称 産褥性心筋症[1]
正常な心臓(左)と周産期心筋症の心臓(右)の比較
概要
診療科 産科循環器学
症状 息切れ、疲労感、脚のむくみ動悸[2]
発症時期 臨月から産後5か月[1]
原因 不明[2]
危険因子 年齢 > 25; 高血圧; 多胎;家族歴[2][3]
診断法 他の考えられる原因を排除した上で、症状と超音波に基づく[2][3]
鑑別 妊娠の症状、子癇前症心筋炎心臓弁膜症、その他の心筋症[2][3]
合併症 不整脈血栓、胎児仮死[3]
使用する医薬品 ベータ遮断薬、チアジド系利尿薬、フロセミド[2]
治療 時宜にかなった出産植込み型除細動器 (ICD) 、心臓再同期療法 (CRT)[2]
予後 半数以上が6か月以内に回復[3]
頻度 妊婦2,200人に1人(米国)[2]
死亡数・ 7%~50%[4]
分類および外部参照情報

周産期心筋症(しゅうさんきしんきんしょう、: Peripartum cardiomyopathy, PPCM )は、妊娠最後の1か月から出産後5か月の間に発症する拡張型心筋症の一種である[1]。症状は心不全の症状と同様であり、息切れ、疲労感、むくみ、などである[2]。その他の症状には、動悸胸痛、乾いた咳、などがあげられる[2][3]。徐々に発症する場合もあれば、突然発症する場合もある[2]。合併症には、不整脈血栓、胎児仮死、突然死、などがあげられる[3][2]

原因は不明であり、以前は健康だった女性も影響を受けることがある[2]。危険因子には、妊娠高血圧症候群多胎妊娠、家族歴、などがあげられる[2][3]。根本的な機序は、心臓収縮機能障害であり、その結果左室駆出率(EF)が45%未満に低下するのが一般的である[2]。診断は、他の原因の可能性を除外した後に、症状と心臓超音波検査に基づいて行われる[2][3]

時宜にかなった出産が推奨される場合がある[2]。出産前の治療には、 β遮断薬チアジド系利尿薬フロセミド、などがあげられる[2]。出産後の管理には典型的な心不全と同様の処置がおこなわれる[2]。この他にも、植込み型除細動器(ICD)や心臓再同期療法(CRT)などの選択肢があるが、症例の半数以上が6か月間で改善するため、外部装置を用いることもある[2][3]。回復に5年かかる場合があり、死亡リスクは7%~50%である[2][4]。将来の妊娠で再発する危険があるため、再び妊娠することを推奨しない場合がある[5]

周産期心筋症は、米国では妊婦2,200人に1人の割合で発症し、ハイチでは300人に1人の高い割合で発症している[2]。25歳以上または30歳以上の人がより多く罹患している[3][5]アフリカ人であることも危険因子の1つである[3]。この疾患は、1700年代から認識されていたが、1971年にデマキス(Demakis)によって最初に定義された[6][7]

出典

  1. ^ a b c Orphanet: Peripartum cardiomyopathy”. www.orpha.net. 14 March 2024時点のオリジナルよりアーカイブ12 March 2024閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v Hilfiker-Kleiner, D; Haghikia, A; Nonhoff, J; Bauersachs, J (7 May 2015). “Peripartum cardiomyopathy: current management and future perspectives.”. European heart journal 36 (18): 1090-7. doi:10.1093/eurheartj/ehv009. PMC 4422973. PMID 25636745. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4422973/. 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l Rodriguez Ziccardi, Mary; Siddique, Momin S. (2023), “Peripartum Cardiomyopathy”, StatPearls (Treasure Island (FL): StatPearls Publishing), PMID 29489231, オリジナルの2023-06-04時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20230604193642/https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK482185/ 2023年9月17日閲覧。 
  4. ^ a b Okeke, T; Ezenyeaku, C; Ikeako, L (July 2013). “Peripartum cardiomyopathy.”. Annals of medical and health sciences research 3 (3): 313-9. doi:10.4103/2141-9248.117925. PMID 24116305. 
  5. ^ a b Heart Disease During Pregnancy - Women's Health Issues”. Merck Manuals Consumer Version. 25 January 2024時点のオリジナルよりアーカイブ12 March 2024閲覧。
  6. ^ Bhattacharyya, A; Basra, SS; Sen, P; Kar, B (2012). “Peripartum cardiomyopathy: a review.”. Texas Heart Institute journal 39 (1): 8-16. PMID 22412221. 
  7. ^ Pearson, Gail D.; Veille, Jean-Claude; Rahimtoola, Shahbudin; Hsia, Judith; Oakley, Celia M.; Hosenpud, Jeffrey D.; Ansari, Aftab; Baughman, Kenneth L. (1 March 2000). “Peripartum Cardiomyopathy: National Heart, Lung, and Blood Institute and Office of Rare Diseases (National Institutes of Health) Workshop Recommendations and Review”. JAMA 283 (9): 1183. doi:10.1001/jama.283.9.1183. 

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