3つのノクターンとは? わかりやすく解説

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ヘラー:3つのノクターン

英語表記/番号出版情報
ヘラー:3つのノクターンTrois Nocturnes Op.131出版年1872年  初版出版地/出版社: Breitkopf 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 アンダンテ・コン・モト 変イ長調 Andante con moto, As-durNo Data No Image
2 レント ト長調 Lento, G-durNo Data No Image
3 アレグロ イ短調 Allegro, a-mollNo Data No Image

ヘラー:3つのノクターン

英語表記/番号出版情報
ヘラー:3つのノクターンTrois Nocturne Op.91出版年1858年  初版出版地/出版社: Senff 

作品概要


ショパン:3つのノクターン (第1-3番)

英語表記/番号出版情報
ショパン:3つのノクターン (第1-3番3 Nocturnes (b:/Es:/H:) Op.9 CT108-110作曲年: 1830-31年  出版年1832年  初版出版地/出版社Leipzig, Paris, London  献呈先: Mme Camille Pleyer

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第1番 変ロ短調 No.1 h-moll op.9-15分30秒
2 第2番 変ホ長調 No.2 Es-dur op.9-23分30秒
3 第3番 ロ長調 No.3 H-dur op.9-36分30秒

作品解説

執筆者: 林川 崇

《3つのノクターン》作品9
これら3曲は、ショパン最初に出版したノクターンである。成立年代諸説あるが、1830年からショパンパリ到着する31年にかけて作曲されたとする見解大勢占める。楽譜は、パリ(M. Schlesinger, 1833)、ライプツィヒ(Kistner, 1833)、ロンドン(Wessel, 1833)の3都市初め出版された。楽器製造社カミーユ・プレイエルの妻で著名なピアニストだったカミーユ・モーク(マリー・モーク, 1811-1875)に献呈

Nocturne Op.9 No.1

 ショパン折に触れて作曲し続けたノクターンの中で、最初に出版された曲集の第1曲を飾る作品拡大され中間部を持つ三部形式書かれている最初18小節で、情緒豊かで起伏富んだ旋律右手歌われるが、ここで、ショパン強弱ニュアンス指示事細かに書いている。例えば、3小節目では、右手速い装飾的パッセージを弾くにも関わらずスタッカートのある音とない音が書き分けられている(譜例1)。

譜例1 第3~5小節



また、1516小節では、左手伴奏型の中の音を押えたままにして、ペダル踏み変えても、響き途切れないようにする、「フィンガー・ペダル」の指示見られるベートーヴェンの《ピアノ・ソナタOp.31-2等に先例見られる)。


譜例2 第15~16小節 各小節左手4~6拍目のFがフィンガー・ペダル



19小節目からは、変ニ長調中間部に入る。ここに入って32小節間は、延々右手オクターヴメロディーを弾くが、そこにはpppsotto voceといった静けさ求め指示と、オクターヴによる前打音(第30小節のような御し難いテクニック同居しているため、美しく歌わせるためには、高度なコントロール能力が必要である。中間部にあたるこの32小節間は、a-a’- a-a’- b-a’- b-a’(リピート記号使わず書かれている)の二部形式書かれている。a’で突然半音上のニ長調転調したかと思うと直ちに元の変ニ長調戻り、更にそこで突然音量がfになるという、分裂的な音楽進行が特に耳を引く。このような遠隔調への転調は、当時即興実践反映した幻想曲即興曲のようなジャンル見られるのである譜例3に示すような和声動きは、理論というよりは、むしろ偶然的な手の動き産物であろう概してこのような鍵盤を這うような手の動きショパンに独自の和声語法源泉となっている。

譜例3 第23~26小節 第24小節目にニ長調への半音階的転調見られる



 続く8小節では、変ニ長調主和音ces加わった変ト長調属七の和音の上新しテーマ出てくるが、旋律第3音のない同じ分散和音の上奏でられる(この空虚五度伴奏は同じ和音のまま16小節間も続く)。完全5度連続による伴奏は、ミュゼットバグパイプ)を想起させる。さらに、その上でフルート似つかわしい旋律演奏される

譜例4 第5154小節 



 2小節ブリッジ経て、もう1度同じテーマが少し形を変えて現れるが、フルート風の旋律は、今度ホルンの音型を模した二つ声部となって現れる実際、ここにホルン五度聴くことができる)。

譜例5 第6164小節



 フルートホルンは、いずれも田園風景を描く際に象徴的に使用される楽器であり、ミュゼット和音田舎土俗的な雰囲気を出すためによく用いられる。つまり、この16小節は、束の間パストラールをとみなすことができるのである
 田園風景過ぎ去ると、音楽変ト長調に向かうように聴こえるが、第67小節から、伴奏型だけが繰り返される中で転調生じ主調である変ロ短調戻り最初のテーマ短縮された形での再現となる。79小節後半モチーフ何度も繰り返し最後は突然感情爆発したかのように、高いes-gesから始まる、強烈な不協和音主音上に置かれた第5音下方変位の属九)による下降音型を経て変ロ長調和音連打静かに終わるが、最後から2番目の音には倚音gesがあるといった具合に、最後まで、どこか煮え切らないまである

譜例6 最後の4小節最初小節でb・ces・a衝突し強烈な響き作っている。



林川 崇

Nocturne Op.9 No.2

 言うまでもなくショパンノクターンの中で最も知られたもので、ショパン死後ヴァイオリンチェロ声楽用などの編曲盛んに作られた。
曲のフレーズ最後の2小節除けばすべて4小節フレーズから成っており、以下のように図式化される。



全体通じて左手一貫して同じ伴奏型を続けその上で右手旋律歌われる変ロ長調のBの部分は2回ともほぼ同じ形で表れるが、AおよびCの部分出てくるたびに違った装飾施されている。このような旋律装飾法は、当時のオペラ・アリアの演奏習慣由来するもので、声楽愛したショパンはこれを積極的にピアノ演奏取り入れた。この装飾は、ショパン自身毎回違うように弾いたらしく、そうした出版譜と違った変奏が、あるものはショパン自身演奏書き取ったものとして、またあるものはショパン弟子楽譜書きこんだものとして、多数残されている(こうした資料多く残っているケースは、ショパン作品にあっては珍しい。中には右手が最高音域から3度半音階下降するというものもある)。ドラクロワはじめとするショパン取り巻きたちは、この即興性演奏のたびに音色自在に変化させる能力ショパン才能認めている。こうした彼の演奏習慣は、「楽譜通り」の演奏基本とする演奏美学大きく異なる点である。
 平明なAに対し、Bの部分では、1小節目で、変ロ長調のVの第一転回形行ったかと思うと、次の小節で、バス半音下がって変ホ長調IV-I進行譜例1, 第10小節し、またバス半音上がって変ロ長調戻り安定したかと思うとAに戻る直前唐突に半音階的和声譜例2)が現れるなど、何か彷徨うような和声コントラスト成している。ショパン作品全般特徴づける彷徨う和声」もやはり、ある程度ショパン即興的なセンスから導きだされたものであろう

譜例1 第9小節~第10小節



譜例2 第11~12小節



林川 崇

Nocturne Op.9 No.3

 ショパンノクターンの中で唯一Allegrettoという快速テンポ指示された曲であり、また小節数は彼のノクターンの中で最も多い(158小節)。形式は、他の多くノクターン同じくA-B-A’-コーダという三部形式をとるが、Aは更に、a-a-b-b分けられる。aの出だしは、歌うというよりは飛び跳ねるような軽快主題であり、「おどけてScherzandoという楽想用語が用いられている。aの13小節目で、それまで飛び跳ねていた所に、突如espressivo指示され嬰ヘ長調の歌が入ってくるが、すぐにロ長調戻って落ち着く。この主題装飾増やした形でもう1度繰り返されると、一貫してなだらかな歌が歌われる嬰へ長調のbに入る(第41~64小節)。このbの最後の8小節は、aのそれがそのまま使われている。bもまた、装飾増やして繰り返される。第87小節目に現れる最後の上昇音型にはpp指示があり、夢見心地雰囲気作るが、その最後の音には、それまで長調だったdis譜例1)に代わって、短調の、しかもアクセント記号付いたdが置かれ譜例2)、音楽は、突然聴き手突き放すように、2/2拍子激情的なロ短調中間部に入る。

譜例1 第63~64小節



譜例2 第87~88小節 Aの末尾とBの入り



 ここでは、強弱記号頻繁に入れ替わり行き場のない不安定感醸し出す。そして、感情頂点まで高まりロ短調のドッペルドミナントに終止すると、我に帰ったかのように、Aの最後の2小節現れる譜例3)。

譜例3 第129133小節 Bの末尾とAの回帰



ここでは、前述の上昇音型の最後の音は、dの異名同音のcisisだが、その時点では音楽はまだ短調のため、暗い展開が続くかの印象与えられる譜例3、3小節目)。しかし、そのcisisを経過音として、明る主部戻り、aの部分再現される
 譜例1、譜例2に示した上昇音型のモチーフは、第150小節において11連符拡大され、1オクターヴ上まで衝動的に駆け上がり譜例4)、激しさ増したところで、短いコーダに入る。

譜例4 第148~151小節



 そしてすぐV度に落ち着くと、第2番同様、右手カデンツァ登場し最後は、それまでと全く曲想異なAdagio4/4拍子両手のゆったりとしたアルペジオで終わる。


ショパン:3つのノクターン (第4-6番)

英語表記/番号出版情報
ショパン:3つのノクターン (第4-6番)3 Nocturnes (F:/Fis:/g:) Op.15 CT111-113作曲年: 1830-33年  出版年1833年  初版出版地/出版社Leipzig, Paris, London  献呈先: Ferdinand Hiller

作品概要

作品解説

執筆者: 林川崇/上田泰史

《3つのノクターン》作品15

この3曲のノクターンのうち、第1番第2番1831年又は32年に、第3番1833年作曲された。楽譜は、パリ(M. Schlesinger, 1833)、ライプツィヒ(Breitkopf undrtel, 1834)、ロンドン(Wessel, 1834)で初め出版された。この曲を献呈されたドイツ人0005ピアニスト作曲家フェルディナント・ヒラー(1811-1885)は、ショパン信頼する数少ない
音楽家親友一人で、演奏会共演もしている。あまり知られていないが、ショパンの《練習曲作品10イギリス初版表紙献辞には、リストならんでヒラーの名前が記載されており、1830年代ショパン取り巻きのなかでは特に重要な人物である。

Nocturne Op.15 No.1

 ショパンノクターンによく見られる三部形式A-B-B’-A’)で書かれているが、AとA’は、後者において装飾増え、短い結句付いている以外はほとんど同じといって良い。BとB’は展開の仕方こそ異なるものの、最初の4小節は全く一緒であり、12小節ずつの構造になっている点、最後小節6/8拍子になる点に、シンメトリー意識した構造認められるこのような厳格なシンメトリー構造は、ショパンノクターンでは他に見られない
 Aでは、左手三連符伴奏乗って起伏少な淡白なメロディー歌われる速度表示Andante cantabileありながら表情にsemplice e tranquilloとあるのは、恐らく、歌うといっても、本当に歌うような大きな抑揚付けず演奏されることを意味するのだと思われるこうした楽想指示には、マイアベーアグランド・オペラ歌われるような、大仰歌い回しを好まなかったショパン演奏美学垣間見ることもできよう22小節目で、フレーズ収束する思った所でそこから、冒頭主題が再び出て歌い始めるが、3小節で歌は「消え行くように」smorzandという指示とともに尽き中断される(譜例1)。

譜例1 第21~24小節、Aの末尾



 「炎を伴ってcon fuoco記され中間部(B, B’)では、右手重音伴奏を弾く中で、左手波打つような旋律担い、その波は次第大きくなる最初の2小節でその幅は2オクターヴ、その次の小節では2オクターヴ5度になる)。それまで強弱指定はpしか用いられず、淡々と歌が進行していたのに対し、Bはfで開始され左手の主要モチーフにはクレッシェンド記号アクセント記号置かれるなど、主部とは極端な程のコントラスト作られている。ショパンノクターンにおいて、これほど様式的なコントラスト生み出される曲は他に見当たらない

譜例2 第25~26小節、Bの冒頭



 この右手重音は、ショパン作品中にはあまり見られないテクニックであり、むしろ30年代カルクブレンナー書法近付いている。ショパン自身簡略化した音型を弟子のJ.スターリング作品55解説参照)の楽譜書き込んでいる。A’は、殆どAの再現であり、A同様、70小節目でフレーズ収束すると思わせた所でそこから、冒頭主題現れわずか5小節結句に入る。ここには、1回目にはなかったpp見られるが、それにもかかわらずdiminuendorallentando、smorzandoの3つの指示が念を押すように書かれている曲尾は、テンポ音量ともに落ちていき、2つ分散和音で、殆ど消え入るように曲は終わる。(林川 崇

Nocturne Op.15 No.2

 この曲もまた三部形式(A-B-A’-コーダ)を取っているが、シンメトリカルな第1曲とは違い最初のAとBの間に推移部がおかれ、また、再現部のA’は短縮されるといった具合に、実際の構成著しく対称性欠いている。Aは、それぞれ8小節からなるa-a’-推移部に分かれている。書法としては、他の多くノクターン同様、左手伴奏の上旋律が歌うという体裁をとるが、aとa’では、それぞれの楽節最後で、弦楽四重奏思わせるポリフォニック動きみられる(譜例1、第7~8小節)。

譜例1 第5~8小節、 aの後半



続く8小節推移部では、溜息のような装飾を伴う半音階的和声進行経て並行調である嬰ニ短調ドミナント落ち着くが、すぐ主調ドミナント戻り、Doppio movimento(倍の速さで)と指示され中間部Bが開始される。ここでは、右手の5連符アラベスク中にオクターヴメロディーの上声・下声、それと装飾3つの声部がわざわざ書き分けられている。

譜例2 第2528小節(B冒頭



 このようなリズム記譜は、当時としては極めて珍しくショパン音域異な音のまとまりを、異な音色強弱引き分けていたということ暗示している。同じことをショパンは《24の前奏曲作品28第1番でも試みている。
最初の8小節では低音に、V度の主音であるcis保持されている。33小節からは、長三度上のイ長調転調し同じパターン繰り返されるが、音域上がるだけでなく、今度はV7の7度音であるDが保持されるため緊張感はいっそう高まる。演奏からは聞き取りにくいが、ここから右手のリズムパターンが5連符連続から付点16分音符32分音符三連符連続変化している(譜例3)。

譜例3 第33小節~36小節



 この記譜変化によって、各拍の後半切迫し、より緊張感が高まる。こうした記譜複雑さからは、自身演奏微妙なアゴーギグを可能な限り正確に書きとめよとする強い意志感じ取られる。だが、紙に図形として写すことのできる情報極めて限られているのであり、実際ショパン演奏は、単に楽譜を音にする以上に多様なニュアンス音色富んでいたであろうさて、39小節目で、イ長調並行調であり、か主調嬰ヘ長調の同主調でもある嬰へ短調のV度が響くと、右手下降続け音楽落ち着き取り戻し再現部に入る。A’はAの時の半分短縮されている代わりに5557小節目にかけて、華麗な装飾による見せ場用意される。これが終わると、主和音のみで構成される小節コーダで曲は閉じられる。(林川 崇

Nocturne Op.15 No.3

 ショパンノクターン中でも異色の1曲で、歌唱的な部分(第1~88小節, 以下A)-コラール風の部分(第89120小節, 以下B)-マズルカ風の部分(第121152小節, 以下C)の3セクションからなる。Aでは旋律が常にト短調提示され冒頭提示される12小節旋律が、リズム伴奏和声微妙に変化させながら4回現れるそのあと転調域が続くが、ここでは曲冒頭の2小節および第7~第8小節現れる2種類リズム動機譜例1)を利用しながら嬰ヘ長調などの遠隔調転調する

譜例1 冒頭8小節



こうした執拗な反復は、どこかショパン同年生まれシューマン想起させる事実シューマンは、この曲を気に入り、これに基づく変奏曲作ろうとした(但し、第3変奏途中までしか完成されなかった)。
 第77小節クライマックス達すると半音階的和声連続冒頭動機交替しながら音域一気下げ低音Cis至り、これが単音連打される。

譜例2 Cis反復コラール出だし



 このCisは、主音のGと増4度の関係にある。西洋芸術音楽文脈において、増4度古くから悪魔音程として忌み嫌われてきた。Cis音は、すでに63小節からバスペダル音として何度も打ち鳴らされ強調されている。Cis支配され25小節間(第63~87小節)の直後にreligioso(宗教的に)と指示され天上的なヘ長調コラールが来るのは、意味深長である。ここにみる邪悪さ救済イメージさせる神聖性の対比は、恐らくショパン周到な計算よるものであり、この解釈によって初めてなぜショパント短調から♯系の遠隔調逸れていったのかが合理的に説明できるcisを導く転調セクションは、視覚的にとげとげしい。♯の多い調に転じるにもかかわらず調号用いないのはそのような効果狙っているからであろうこうした視覚効果バッハヘンデルからハイドンに至るまで、ショパン以前宗教曲などで用いられ一種音画tone paintingという手法だが、ショパンはこれら「大作曲家」の作品みられる伝統的な作曲技法熟知していたのではないだろうか?

譜例3 B先立つ転調域の一節(第63小節目よりCisペダル音が始まる)



 コラールが終わると、突然、世俗舞踊であるマズルカ想起させる部分移行する譜例4)。

譜例4 マズルカ風のセクション



 天上から地上へ移行するこのセクションでは、両手ユニゾンとそれを取り巻刻み掛け合い印象的である。テクニック的には、内声を指で押さえたまま(左手親指だが、右手中指または薬指で!)、刻み和音スタッカートで弾かなければならず、演奏容易ではない無論当時ピアノソステヌート・ペダル装備されていなかった)。同じ形を繰り返しながら次第に音に気を下げニ短調落ち着くかと思わせておいたところで、曲は唐突にト短調コラールになり、直ちに曲は閉じられる。この短いノクターンには、何か壮大なドラマ秘められているようである。


フォーレ:3つのノクターン

英語表記/番号出版情報
フォーレ:3つのノクターンNocturne No.1  Op.33作曲年: 1875-1883年  出版年1883年  初版出版地/出版社: Hamelle 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 変ホ短調 Es dur Op.33-17分00 No Image
2 ロ長調  H dur Op.33-26分00 No Image
3 変イ長調  As dur Op.33-35分00 No Image

作品解説

執筆者: PTNA編集部

 第1曲目レント変ホ短調初演は、1885年2月国民音楽協会にてマリ・ジャエルにより行われている。ジャエル(1846~1925)は、モシェレスらにピアノを、フランクサン=サーンス作曲師事した音楽家。この第1番夜想曲は、画家のウジューヌ・ボニの妻、マルグリト・ボニ夫人捧げられている。ボニ夫人(1850~1930)は、1870年から1930年にかけて、パリ音楽中心としたサロン催しており、このサロンには、シャブリエフォーレドビュッシーラヴェルプーランク等、今日にその名が伝わる音楽家たちが集い交流する格好の場でもあった。因みにボニ夫人は、後年1892年彫刻家サンマルソー再婚している。
第1番のこの夜想曲3部形式書かれており、瞑想的な雰囲気開始する。この冒頭部再現される際には手が加えられ展開される。これは、その後フォーレ夜想曲全般的に見られる手法である。中間部では低音域で第2のモティーフ現れる。これは、葬送行進曲思わせるとりわけ16分音符から成る6連音符が、音楽が進むにつれ、ますます不安を掻き立てるようである。その後一転して、不安から解き放たれるかのようにト長調優美なメロディー高音域で歌われる。このメロディーは、後に半音高い変イ長調再現される。やがて1本のラインから派生したのような経過句が挿入される素朴なようで憂愁さも帯びたメロディー巧妙な和声進行よるものだろう。その後冒頭の言わば「ドゥムカ」の部分再現される際には、前述通り手が加えられ経過音前打音より一層なめらかなものとなっている。殊に16休符半音階使用全体輪郭ぼやかす効果をもつ。終結部分の変へ音は、主音への回帰休息への願い想起させる
 第2曲目は、1881年頃に作曲されたと考えられている。このロ長調夜想曲は、ルイーズ・ギヨン夫人捧げられている。第1番同様に3部形式書かれており、アンダンティーノ・エスプレッシーヴォの指示がある。冒頭から、メロディー語りかけるように歌い始める。この部分12小節続いた後、アレグロ・マ・ノン・トロッポのロ短調部分へと移る。ここでは一転して静かにざわつくような雰囲気醸し出すディナーミク変化目まぐるしいコーダでは、中間部現れロ短調動機ロ長調提示される
 第3曲目は、この3つの夜想曲出版され1883年作曲された。初演は、1886年1月国民音楽協会にてボルド=ペーヌ夫人により行われている。ボルド=ペーヌ夫人(1858~1924)は、音楽研究家であり作曲家であったシャルル・ボルド(1863~1909)の義姉にあたるピアニストである。彼女は、パリ音楽院1872年プルミエ・プリ獲得している。変イ長調のこの第3番夜想曲捧げられたのは、A. ボオモレツ夫人である。ボオモレツ夫人は、音楽愛好家として知られているカミーユ・クレルク(1828~1882)の2度目の妻の姉にあたる。クレルクは当時パリのモンソー街に構えた自宅で、頻繁に室内楽演奏会催していた。アンダンテ・コン・モートのこの夜想曲も、第1番第2番同様に3部形式書かれている。しかし、その形としては、3曲中最も簡素に書かれている


3つのノクターン

英語表記/番号出版情報
ヴィエルヌ:3つのノクターンTrois Nocturnes Op.35作曲年: 1915-16年  出版年1923年  初版出版地/出版社: Senart 
カルクブレンナー:3つのノクターンTrois Nocturnes Op.187
ヴォルフ, エドゥアール:3つのノクターンTrois Nocturnes Op.135
デーラー:3つのノクターン3 Nocturnes Op.52
クリューガー:3つのノクターンTrois Nocturnes Op.1



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