デーラー

1814年4月20日、テオドール・デーラーはナポリでドイツ人の家庭に誕生した。デーラーはプロイセンからナポリに移った父から音楽の手ほどきを受けていたが、ピアノを始めたのは7歳になってからだった。著しい才能を示した少年テオドールは、1825年、ナポリの劇場指揮者に赴任したドイツの音楽家ユリウス・ベネディクト(1804~1885)の目に留まり、数年間彼の指導を受けた。フンメル、ウェーバーの高弟として知られる師から、デーラーはピアノと作曲の両面で多くの養分を汲み取ったことであろう。10歳を過ぎるころには師の計らいで同地のフォンド劇場の舞台に立ち、自作の変奏曲、幻想曲を披露して多くの聴衆を感嘆させた。ナポリの神童としてデーラーの名はたちまち知れ渡り、ナポリ王の激賞を受けるに至った。彼は後に初期の大作《ピアノ協奏曲》作品7を、ナポリとシチリアを治めた両シチリア王の妃マリーア・イザベッラ・ディ・スパーニャに捧げている。
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