モシュコフスキ:3つのマズルカ
デーラー:3つのマズルカ
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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デーラー:3つのマズルカ | 3 Mazurkas Op.53 |
ブルメンフェーリド:3つのマズルカ
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ブルメンフェーリド:3つのマズルカ | 3 Mazourkas Op.35 |
ショパン:3つのマズルカ (第30-32番)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:3つのマズルカ (第30-32番) | 3 Mazurka (G:/As:/cis:) Op.50 CT80-82 | 作曲年: 1841?年 出版年: 1842年 初版出版地/出版社: Mechetti, Wessel, Schlesinger 献呈先: Léon Szmitkowski |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第30番 ト長調 No.30 op.50-1 G dur | 2分30秒 |
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2 | 第31番 変イ長調 No.31 op.50-2 As dur | 3分00秒 |
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3 | 第32番 嬰ハ短調 No.32 op.50-3 cis moll | 5分30秒 |
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作品解説
この3 つのマズルカは、レオン・シミトコフスキ氏に捧げられている。
1曲目のト長調はヴィヴァーチェ。16小節のコーダを持つマズルとなっている。転調し、ホ短調になる部分では、ポーランド民謡に特徴的な拍子の曖昧さが感じられる。
2曲目の変イ長調はアレグレット。8小節の序奏を持つクヤヴィアクである。中間部はマズルとなる。ハネカーにより「典型的な貴族的マズルカ」とされた。
3曲目の嬰ハ短調は規模が大きめであるが、ショパンのマズルカの中では最もマズルカらしくないマズルカとなっている。それは、ショパンの作品に特徴的な対位法的手法が用いられているからであろう。そのような手法によりながらも、このマズルカは、対位法的なクヤヴィアクで開始し、オベレク、マズル、オベレク…と3種のマズルカすべてが響く。20小節のコーダを持つ。
※クヤヴィアク、マズル、オベレクの説明はこちら(佐藤展子さんの連載ページ)。
ショパン:3つのマズルカ (第33-35番)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:3つのマズルカ (第33-35番) | 3 Mazurka (H:/C:/c:) Op.56 CT83-85 | 作曲年: 1843年 出版年: 1844年 初版出版地/出版社: Breitkopf & Härtel 献呈先: Catherine Maberly |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第33番 ロ長調 No.33 op.56-1 H dur | 5分30秒 |
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2 | 第34番 ハ長調 No.34 op.56-2 C dur | 1分30秒 |
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3 | 第35番 ハ短調 No.35 op.56-3 c moll | 6分00秒 |
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作品解説
この3つのマズルカはカトリーヌ・マベルリー嬢に捧げられている。
1曲目のロ長調はアレグロ・ノン・タント。調性の捉えにくい導入部で開始する。マズルとオベレクの2つの楽想から成り、曲の最後にはこれら2つの楽想が融合されることが特徴的である。
2曲目のハ長調はヴィヴァーチェ。空虚5度が効果的に用いられるマズルである。曲の途中では、リディア旋法も響く。また、中間部には、カノンの手法がみられる。
3曲目のハ短調はモデラート。マズルカとしては規模が大きめで、クヤヴィアクで開始し、オベレク、クヤヴィアク、マズル…と変化に富む。また、49小節にわたるコーダを持つ。
※クヤヴィアク、マズル、オベレクの説明はこちら(佐藤展子さんの連載ページ)。
ショパン:3つのマズルカ (第36-38番)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:3つのマズルカ (第36-38番) | 3 Mazurka (a:/As:/fis:) Op.59 CT86-88 | 作曲年: 1845年 出版年: 1845年 初版出版地/出版社: Stern, Wessel |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第36番 イ短調 No.36 op.59-1 a moll | 5分00秒 |
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2 | 第37番 変イ長調 No.37 op.59-2 As dur | 3分00秒 |
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3 | 第38番 嬰ヘ短調 No.38 op.59-3 fis moll | 4分00秒 |
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作品解説
《3つのマズルカ》作品59は、1844年から手がけられ、1845年に完成した。作品は、生前に出版されたマズルカの中で唯一、誰にも献呈されていない。
1844年当時、ショパンの体調は相変わらず良くならなかったが、加えて、ジョルジュ・サンドの息子モーリスとの確執が決定的になったことが、創作を遅らせる一因となったといわれている。モーリスはなにかにつけショパンに敵対し、その間に立たされたジョルジュがショパンにかける愛情は限定的になっていった。ショパンにとって居心地のよかったノアンは、もはや耐え難い空気に包まれていたといわれ、ポーランド語での話し相手でもあった使用人ヤンも、モーリスらの嫌がらせを受け解雇されることとなってしまった。
このような苦境のなか、祖国への思いをこめて作られたのがこの作品59のマズルカである。1845年7月にワルシャワの家族に宛てた手紙の中では、ショパンは「わたしは根っからのマゾビア人(ポーランドの地方で、マズルカを生んだとされる地域)だから、これということもなく、新しいマズルカを書くことができた」と伝えており、マズルカが祖国の血に繋がる音楽であることをはっきりと言明している。
楽譜は交渉の末、1845年11月ごろにドイツのシュテルン社から出版された。これまで、ショパンの作品の大半はブライトコップフ・ウント・ヘルテル社から出版されていたが、オーギュスト・レオから新たに出版業をはじめたシュテルン社を紹介されたこともあり、このマズルカをシュテルン社から出版することとなった。ブライトコップフとの関係が悪化していたわけではなく、結局、この後の作品は、再びブライトコップフから出版されることになる。フランス初版も、ブランデュス社という新しい出版社から出版されているが、これは、フランスでショパンの楽譜の大部分を出版していたシュレジンガー社がブランデュス社に買収された故の出
12 版社変更であった。ブランデュス社とは、この後も継続的な関係をもっていくこととなった。
*イ短調 作品59-1 ― Moderato
嘆きかけるような単旋律からはじまり、複合三部形式A: || BCA || DDEE?A’ || B’CAcodaという形式をもつ。再現部分にあたるA’-B’は冒頭から半音下に転調しているため、主題が回帰したことを印象付けられるのは結尾部直前になってからであり、形式の曖昧性が意図されている。
それぞれの動機主題は、典型的なマズルカのリズムをはっきりと示しているが、それぞれの経過部はきわめて自然に移行するように書かれている。どこからともなく新しい舞踏のステップへと移り変わっていく様は、あきらかに円熟したショパンの作曲技法が発揮された部分といえるだろう。
3曲のマズルカとして生前に出版されたもののなかで、第1曲に短調が置かれているのは本作品のみである。それ故か、結尾部で諦観が繰り返された後、最後に現れる大きな上行の跳躍音は、次の活力に満ちた第2曲に対する期待を感じさせる。
*変イ長調 作品59-2 ― Allegretto
1844年、メンデルスゾーンはショパンに「古い友の願いとして、私の妻に数小節の簡単なものでよいのですが、何か書いていただけませんか」との書簡を送っていた(11月3日付)。この手紙への返答として、ショパンは1845年10月8日付けで、このマズルカの楽譜を送った。
「数小節の音楽」という要望に応えるかのように、本作品の中心をなすのは4小節の短く快活な動機である。作品全体はこの短い動機を繰り返しながら、きわめて単純な三部形式をなしているが、はじめの繰り返しでは対旋律を加えられ多声的に、中間部の後には左手によって低音部で奏でられるように変奏されることで、単純な曲想ながら豊かな色彩感を見事に表現している。
ショパンの円熟した作曲技法は、これらの主題変奏のほか作品のおよそ4分の1を占める結尾部にも凝らされており、第85小節からは完全な下行半音階を奏でるソプラノ、下行する全音音階を奏でるテノールを含む、四声の多声的なゼクエンツが絶妙な転調の美しさを醸し出している。
*嬰ヘ短調 作品59-3 ― Vivace
ショパンはマズルカに好んで「Vivace」と付けており、「Allegretto」と並んでマズルカの代表的な楽想表記となっているが、「Allegretto」が短調、長調いずれのマズルカにも用いられているのに対して、「Vivace」はもっぱら長調のマズルカに用いられる表記である。その中で唯一、短調のマズルカに「Vivace」と付けられたのがこの作品59-3である。
「Vivace」とともに f が指示された冒頭主題は、作品59第1曲目のマズルカとは異なり、憤怒するかのような激しい感情を示している。それに対し、長調で奏でられる中間部は、穏やかに、甘美な旋律が奏でられ、祖国の家族と過ごした平穏な時を思い出しているかのようである。まさに、サンド家の紛争の渦中、思わぬ苦境に激しい感情をいだきつつ、前年の家族との再会を懐かしむショパンの姿が反映されたかのようである。
楽曲の形式は非常に複雑であり、AABBAA’ || CDEDEA” || AAF || Ecodaとなっている。冒頭からの発展の仕方は、他のマズルカにもよく用いられた複合三部形式と同じであるが、中間部の後には主題Bは再現しない。ロンド風の巡回形式としても不完全であり、これまでのマズルカで用いられた形式をもとに、きわめて自由に発想されたものといえるだろう。
多声的な変奏技法はこの作品にも用いられており、冒頭主題ははじめの再現では内声部に半音進行の下行音型が付け加えられ、2度目の再現では左手によって、2小節遅れのカノンとして奏される。結尾部は嬰ヘ長調に転調し、激高する感情を抑え、希望を見いだそうとする前向きな響きの中で締めくくられる。
ショパン:3つのマズルカ (第39-41番)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:3つのマズルカ (第39-41番) | 3 Mazurka (H:/f:/cis:) Op.63 CT89-91 | 作曲年: 1846年 出版年: 1847年 初版出版地/出版社: Breitkopf & Härtel 献呈先: Comtesse Laure Czosnowska |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第39番 ロ長調 No.39 op.63-1 H dur | 2分00秒 |
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2 | 第40番 ヘ短調 No.40 op.63-2 f moll | 2分30秒 |
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3 | 第41番 嬰ハ短調 No.41 op.63-3 cis mol | 2分30秒 |
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作品解説
この3 つのマズルカは、ラウラ・チョノフスカ伯爵夫人に捧げられている。ショパンの存命中に出版された最後のマズルカ集となっている。
1曲目のロ長調はヴィヴァーチェ。オベレクの性格も併せ持つマズルとなっている。曲の途中で、クヤヴィアクが挿入される。また、中間部はイ長調に転調する。
2曲目のヘ短調はレント。ノクターン風のクヤヴィアクである。中間部はマズルとなる。そして、曲全体を通して、変化和音が多用されている。
3曲目の嬰ハ短調はアレグレットのクヤヴィアク。中間部は典型的なマズルとなる。また、コーダでは、オクターヴ・カノンの手法が用いられ、幻想的な雰囲気を醸し出している。前曲と同様に、ノクターン風の性格を持つ。
※クヤヴィアク、マズル、オベレクの説明はこちら(佐藤展子さんの連載ページ)。
バークリー:3つのマズルカ
3つのマズルカ
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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キュイ:3つのマズルカ | Three Mazurkas Op.79 | 作曲年: 1909年 出版年: ?年 初版出版地/出版社: Jurgenson |
グリエール:3つのマズルカ | 3 Mazurkas Op.29 | 作曲年: 1906年 出版年: 1907年 初版出版地/出版社: Jurgenson |
スタトコフスキ:3つのマズルカ | 3 mazurkas Op.2 | |
マルモンテル:3つのマズルカ | Trois Mazurkas Op.35 | |
マルモンテル:3つのマズルカ | Trois mazurkas Op.139 | 出版年: 1881年 初版出版地/出版社: au Mén éstrel |
ドライショック(ドライショク):3つのマズルカ | Trois Mazurkas Op.109 |
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