獄門開錠編
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「とある科学の超電磁砲」の記事における「獄門開錠編」の解説
春暖 嬉美(しゅんだん きみ) 3年前から少年院に収監されていた女囚。孤児院育ちの「置き去り」の少女。記録上は無能力者(レベル0)。 孤児院の資金難から仄火、茶寮、雷斧らと共に「能力向上施設」へ入り、人体実験を受ける。実験を繰り返しても「数値に変化がなさすぎる」ことを疑問視した研究者の調査により超能力者に届き得る資質を見出されるが、能力の危険性から研究者たちに処分されそうになる。囮になった仄火の犠牲もあって脱走に成功、死亡した彼女と入れ替わって生活していたが、誤魔化しが効かなくなりつつあったために3年前から少年院で保護されている。退廃的な音楽や絵画を好むが、実験の後遺症で味覚や情動が薄れており、ファンだった「mariophanie」というアーティストへの興味も失っている。自分が守られたことのトラウマから自己犠牲で誰かを守る人間を嫌い、同時に無力だった自分に苛立っている。 少年院からの脱獄のため、青星、茶寮、雷斧の3名の協力者の力を借り、「脱獄トライアル」で囚人役と入れ替わり本当に脱獄を成功させる。その夜、高度なハッキング能力を有する優勝者の初春を誘拐、全ての弱者に武器を握らせ殺し合う公正な世の中を目指し、学園都市の能力開発技術を満天下に曝し世界のパワーバランスを完全に塗り替えるために、初春に学園都市の情報鎖国を打通する世界規模のネットワーク構築を命じる。本拠地とした第二少年院から逃走を図った初春と佐天を追い、救出に来た美琴と外壁付近で交戦する。美琴を追い詰めたが、初春にドラゴンを分離されて敗北。自分の行いが「逃げ」だと指摘されて、美琴に勝者の権利として強くなって過去を受け止めるように命令され、再逮捕後、ようやく助けてくれた仄火に感謝を告げることができた。 数値上ではレベル0だが、実は「宇宙のどこかにブラックホールを生み出す」ことが出来る「全体論の能力者」とされる。ワームホール形成や全世界のエネルギー問題を解決し得るとして9人目の超能力者にもなれると考えられたが、ブラックホールの発生位置や規模をコントロールすることが至難であり、何億光年も離れたブラックホールとパスが繋がる可能性があると同時に、地球の近くにブラックホールを生み出してしまう危険性もある。黒い稲妻を操ることができ、電撃を逸らしたり、美琴を真似て「超電磁砲」を放ったりできるが、付け焼き刃なので発電系能力の頂点である美琴本人の練度には及ばない。 さらに、大覇星祭の時に「幻想殺し」の「中」から出現した「天使ドラゴン」がブラックホールと繋がり、自身に引き寄せられて右手に宿っている。ブラックホールをエネルギー源に、物質を塩化ナトリウムに変換する光線や、羽根を刺した相手の洗脳といった竜の能力も操ることが可能。だが、竜の侵食が右腕から全身に広がりつつあり、子供の頃から実戦(ケンカ)三昧だったため格闘能力も高いが、侵食された右腕は使えない。また、元は粗野な口調だが、ドラゴンの力が強まるのに比例して古風な言葉遣いになる。 青星 鈴蘭(あおほし すずらん) 第二少年院の警備主任を務める女性看守。元は第一少年院の職員。 院長の横暴に苦労しながらも従っていたかに見えたが、実は嬉美の一派の一員。「置き去り」であり、15歳まで嬉美たちと同じ孤児院で生活していた。優等生気質で、ちゃんと生計を立てられるようになって、孤児院のみんなと暮らすことが将来の夢だった。 施設を出て青春を謳歌している内にかつての仲間達の記憶は薄れていき、半ば忘れかけていた頃に、実験施設から脱走してきた嬉美達と再会、彼女達の事を気にかけていなかった事への罪悪感から計画に協力する。「能力向上施設」から狙われる嬉美を守るため、死亡した仄火と彼女の「書庫」の情報を入れ替えていたが、誤魔化し切れなくなって3年前に第一少年院で収監するという形で保護した。警備主任としての立場を利用して飯塚と嬉美を入れ替えておき、優秀なハッカーを探すために警備を電子セキュリティのみに設定。嬉美の脱獄を成功させた後、自身の裏切りに気付いた橋国を昏倒させると一味に合流する。当初は嬉美の「竜」や釣鐘の「忍者」などは全く信じておらず、「思春期特有の病気」ではないかと疑っており、脱獄も失敗する可能性の方が高いと考えていた。嬉美たちの情報を「書庫」から消させるつもりで初春の誘拐に加担する が、3人の思惑が自分と異なることに動揺する。事件後には逮捕され、所長へ事件に加担した動機を語る。 釣鐘 茶寮(つりがね さりょう) 甲賀出身のくノ一。15歳。強能力者(レベル3)。 4歳の時、家族とキャンプに来ていた際に野犬に襲われたとき、ただ一人生き残ったところ近江に保護された。一度は下界の街に送り届けられたが、甲賀の里まで自力で追いかけて来たため、甲賀で引き取られた。身寄りがなかったことから5歳のころに「置き去り」として学園都市に潜入し、以来10年間任務を果たしていた。だが、その間に受けた「能力向上施設」での実験の影響で思想が歪み、人間は生まれ方を選べないぶん死に方には拘りたいと願うようになり、甲賀を裏切り抜け忍の粛清によってゴミクズのように千切り殺されることを目的として、嬉美たちに協力していた。ボーイッシュだが人形作りが趣味。 目ぼしいハッカーが見つからなかった場合の保険として、上司の近江たちを学園都市内部に引き入れ、脱獄トライアルに参加するよう仕向ける。忍術が不得手なふりをしていたが、実は優れた体技の使い手であり、イベント終了後に近江を急襲するも、取り逃す。初春の誘拐後は囮として黒子を引き付け、森の中で戦うことになり、相手の演算を利用したフェイントと天性の格闘センスによって思わぬ苦戦を強いられながらも、短刀で右手に傷を負わせる。だが、黒子が血管内に止血ジェルを空間移動させて全身の麻痺を防いだことで反撃を食らい、事前に仕掛けられていたカメラのフラッシュで視覚を封じられ、奪われた短刀で切りつけられて痺れ薬が回り、昏倒した。「近江に殺される」という願いも、戦いを監視していた彼女が処断を学園都市の法に委ねると決めたため、叶うことはなかった。いつまで経っても近江が殺しに来てくれないので少年院から脱獄し、甲賀と対峙するために伊賀忍者の郭に押しかけで弟子入り志願する。 能力はレベル3の「能力観察(AIMウォッチャー)」。常人では感知し得ないAIM拡散力場を視認でき、さらに長年の観察と戦闘経験から、演算時のAIMの変化で能力がどう発現するか予測できる。例えば空間移動能力者の場合なら、AIMの揺らぎと振幅で移動先の座標を読むことが可能。忍者だけあって、素の運動神経が筋力強化の能力者並みに高く、垂直に近い幹を駆け上がり、木から木へと飛び移るが、甲賀基準では2流以下。また、短刀や棒手裏剣などの武器には、致死性はないが掠っただけで数秒で動けなくなる痺れ薬を塗っている。 鰐河 雷斧(わにがわ らいふ) 嬉美の仲間の1人の「置き去り」の少女。孤児院メンバーでは最年少。大能力者(レベル4)。 「能力向上施設」に入ってから2年足らずで低能力から強能力まで成長、最終的には大能力まで到達したが、実験の後遺症で酔いのような症状が出るようになる。 幼少期よりヒーロー物作品の鑑賞を好んだが、現在は実験の副作用で自分を断罪してくれるヒーローを探している。なぜ欲望や衝動などの本能に反する活動を行う「みんなを守るヒーロー」が存在するのかと純粋な疑問を抱いており、ヒーローたちの本性を引き出すために彼らが敵対する側に回ってきた。力なき正義は無力であり、痛めつけただけで信念が折れるような人も、自分に敗れるような人も偽物でヒーロー失格だと思っている。 「脱獄トライアル」では一般参加者に紛れてハッカー以外の強者の剪定を担当する。「はわはわ」が口癖の鈍臭い少女を演じていたが、イベント中に自らの悪意に能力で勘付いた山城を終了後に昏倒させてから一派に合流する。初春の誘拐後は囮となり、第11学区外周の境界壁付近で美琴を待ち受け、人質にした見ず知らずの不良を見捨てなかった彼女を「ヒーロー」と見定めて戦いを挑む。火災を発生させることで呼び寄せた「六枚羽」が放った弾を逸らすことで美琴を攻撃し、彼女の「超電磁砲」を打ち返して負傷させる。しかし、違和感を覚えた美琴が威力を絞っていたため致命傷には至らず、とどめを刺すため接近戦を挑んだが、塵から作ったデコイに欺かれ、電撃が直撃して手足の感覚と演算能力を喪失し、頭部への蹴りと胸部への感電で意識を絶たれた。 能力はレベル4の「重力円環(グラビティスリング)」。体内の任意の箇所に強力な重力を発生させる力。一見すると念動能力者に近く、高速で向かって来るものを重力で絡め取り、運動ベクトルを変更して投げ返すことができ、美琴の超電磁砲すら無効化が可能。また、電撃を逸らす、重力レンズで光を曲げて座標をずらし狙いを逸らすなど応用もきく。実力は非常に高く、学園都市最新鋭の「六枚羽」を単独で墜とすことができる。ぶかぶかした袖に隠した両手には長く鋭い爪を装備しており、近接戦闘も巧み。 橋国 亮太(きょうごく - ) 第二少年院の院長。次期CEOの座を狙う野心家。自分の顔がついた教育用ロボットを院内に配備するなど、センスが独特。独断で勝手な行動をとって失敗すると、部下に臨機応変さを求めるなど組織の上に立つ人物としては人格に難がある。職権を濫用してロボを好き放題作ったり、不祥事を隠蔽したりするので部下からはあまり評価されていないが、更生施設を預かる以上、学生達の未来を閉ざすような真似だけはしてはならず、少年犯罪者だろうと最後まで見限ってはいけないという強い信念を持っており、その信念だけは認められている。 自社のセキュリティ技術に絶対の信頼を寄せており、製品評価と株価を上げることを目的に、脆弱性を洗い出すという名目で「脱獄トライアル」を開催し、クリアされないと踏んで出すつもりもない10億円の賞金で大量の参加者を募る。だが、純粋なサイバー攻撃を重視せず電子セキュリティのみで防備していたために、驚異的なハッキングスキルを持つ初春にイベントをクリアされてしまう。その後、偶然囚人役の入れ替わりに気付いてしまったため、嬉美に魅了された看守に抑えられて内通者だった青星に薬を嗅がされ昏倒する。 事件後、青星と面会して彼女達がそれぞれ罪悪感を抱えていたことを聞き、嬉美の身柄と引き換えに融資を行うという株式会社ZOOMANITYの申し出を断固として断っている。 飯塚(いいづか) 第二少年院の女性看守。「脱獄トライアル」では囚人役を務める予定だったが、青星により嬉美と入れ替えられ、物置のロッカーに監禁されていた。橋国が偶然発見し、そのまま医療班の元へ送られる。 山城 昭府(やましろ しょうぶ) 学園都市の被り物ヒーローたちの一員。勝勝戦隊のポン吉くんというタヌキキャラクターの被り物と、男子学生服を着た少年。暴徒鎮圧用のゴム弾を木刀1本で弾き返す腕前。 幼い頃に聞きかじった情報だけで悪と決めつけ相手を責めた過去があり、その際に正義だと思いたかった薄っぺらい信念を、ただ弱者を護ろうとする押しつけがましい我によって折られている。その責めた相手が雷斧で、信念を折った相手が仄火である。能力の影響で犯罪心理や動機の発生源に興味を持ち、収監されている犯罪者に面会して話を聞いている。 「脱獄トライアル」に参加し、屋内まで辿り着くも電撃を浴びてリタイア。行動を共にしていた雷斧の悪意を能力で感知したためイベント後に呼び止めるが、反撃を受けて倒れる。事件後は収監された雷斧に面会し、理想のヒーローを探しているのではないかと指摘する。 能力は「雑意感知(ストレスダウジング)」。対象の悪意や敵意を感知する力。周囲に人が多いと精度が落ちて確信が持てなくなるのが弱点。 近江 手裏(おうみ しゅり) 甲賀のくノ一。詳細は「とある魔術の禁書目録の登場人物#近江手裏」を参照 坂田(さかた)、浅井(あさい)、野洲(やす) 手裏の部下。詳細は「とある魔術の禁書目録の登場人物#坂田」、「とある魔術の禁書目録の登場人物#浅井」、および「とある魔術の禁書目録の登場人物#野洲」を参照 白絹 仄火(しらきぬ ほのか) 嬉美たちと同じ孤児院にいた「置き去り」の少女。異能力者(レベル2)→無能力者(レベル0)。 嬉美より1歳年上で、孤児院では年下の面倒を見ていた。9歳の時点で既にレベル2だったが、「能力向上施設」で受けた実験の影響でレベル0まで低下してしまい、さらに副作用で怒りを抑制できなくなってしまう。その結果、能力はほとんど出せなくなり、実験に呼ばれることも少なくなった。脱走計画を急遽実行した際に、実弾装備の管理部隊に包囲されたため、嬉美と雷斧を庇って囮になり射殺される。死後、嬉美を守るために「書庫」の個人情報を交換されている。 能力は「発火能力(パイロキネシス)」。 木原 脳幹(きはら のうかん) 都市伝説「喋るゴールデンレトリバー」。詳細は「とある魔術の禁書目録の登場人物#木原脳幹」を参照
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