ザクII ザクIIの概要

ザクII

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 02:44 UTC 版)

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ガンダム(右)と交戦する「シャア専用ザク」(左)。大阪府吹田市のEXPOCITYにて。

作中の敵側勢力であるジオン公国軍の主力量産型MSで、後発の公国系MSにも見られる頭部のモノアイ(一つ目)・カメラに、左肩の3本のスパイク、右肩の逆L字型のシールド、および各部の動力パイプが特徴。『ガンダム』放送当時のロボットアニメとしてはまだ珍しかった「量産機」であり、同型の機体が劇中に多数登場する。量産型の標準塗装は緑で、主人公アムロ・レイのライバルであるシャア・アズナブルの機体はツノ飾り付きで赤く塗装されている。なお、名称の "II"(ローマ数字の"2")は『ガンダム』放送終了後の設定で付与された(「名称」を参照)。

本記事ではザクIIの一部バリエーションについても解説するが、機能を特化していない機体群に限定する。ほかの機体群に関しては以下を参照。

名称

ネーミングは総監督の富野喜幸で、「雑魚」と、軍隊の「ザクザク」といういわゆる軍靴の音を組み合わせたもの[1]。放送終了直後のインタビューで、大きい人が歩くと地面が「ザクッザクッ」と音を立てるところからとったと発言している[2]

『機動戦士ガンダム』劇中では、単にザクとのみ呼ばれる。放送当時の1979年12月に日本サンライズから発行された書籍『機動戦士ガンダム・記録全集1』においても「ジオン公国軍・ザク」とのみ記述される[3]

機種ごとに様々な名称が生まれたのは放送終了後のこと。書籍『ガンダムセンチュリー』(1981年9月発行)において、いわゆる「旧ザク」を「MS-05 ザクI」、通常型の「ザク」を「MS-06 ザクII」として区別された[4](ただし、"MS-06" は直前に公開された劇場版第1作のパンフレットが初出[5])。この設定は『モビルスーツバリエーション』(1983~1984年)[6]や書籍『ENTERTAINMENT BIBLE』シリーズ(1989年~)[7]でも踏襲された。またOVA『MS IGLOO -1年戦争秘録-』第3話(2004年)では映像作品において本機がザクIとともに「ザク・ツー」と呼称されるに至った。

『機動戦士ガンダム公式Web』では、日本語表記の「ザク」と英文表記の「ZAKU II」が併記されている[8]

シャア・アズナブルが搭乗する赤いザクの名称は、設定画では「シャアのザク」とされていた[9]。1980年5月発行の『機動戦士ガンダム・記録全集2』では「ザク(シャア専用)」[10]、同年8月発売のプラモデルの商品名は「シャア専用ザク」とされた[11](漫画『プラモ狂四郎』では「シャアザク」と短縮された[12])。またこれに対して通常のザクの商品名は「量産型ザク」(1981年1月)とされた[13]

『センチュリー』では、『機動戦士ガンダム』の劇中に登場したザクIIがMS-06F、地上で登場した機体がMS-06Jという型式番号であるとも設定された[14]。映像作品でも、『機動戦士ガンダムΖΖ』第12話で宇宙に遺棄されたザクIIを発見したジュドー・アーシタが「ザクだよ、本物のMS-06Fだ」と述べる場面がある。

デザイン

デザインは大河原邦男が担当した。作画監督の安彦良和による作画参考用の画稿はあるものの、安彦はデザインには関与していない[注 1]

『機動戦士ガンダム』において、「大量生産の量産型」「搭乗するのはごく普通の人間である一般の兵士」といったモビル―スーツが兵器であるというコンセプトを具現化し、それまでの「侵略者の手先である謎のロボット」とは一線を画す作品の斬新さや革新性を担っていたのは、旧来のアニメロボットの伝統の影を色濃く残した主役ロボットのガンダムではなく、敵ロボットであるザクであった[16][17][18]

デザインのモチーフは背広防毒マスク[19]アパレルメーカーの企画室で働いていた頃の経験を活かしてザクのシルエットには「背広」のラインを取り入れている[20][21][22]。また防毒マスクは、大河原が幼少期をすごした戦後間もない頃にはまだ家庭の縁側の下などに放置されていて身近なものだった[19]

動力パイプはわざとむき出しにしている。パイプが外に出ているのは兵器としてウィークポイントになってしまうというのは分かっていたが、それが「ある」のと「ない」のとでは脳裏に残る形がまるっきり違ってしまうので、あえてそうした[19]

シールドが右肩にある理由は、アニメの設定上、よく見えるようにするため。大河原のインタビューによると、当初シールドは左肩につくようにデザインをした。しかし、アニメの設定画は左斜めから見たものが当時の形式となっていたため、これに沿って描くと盾の影に腕が隠れて見えないことから、反転して描いた[要出典]。その結果、『機動戦士ガンダムUC』のギラ・ズールに至るまで、ザク系のMSは右肩にシールドがつくというデザインが続いている[注 2]

ザクのデザインが生まれたのは、主役ロボットに対する「もっとカッコイイものを作ってやる」という大河原の反骨精神から[23][24]。主役ロボットにはスポンサーやアニメ制作会社の意向など色々な人間の意見が入ってくるので、デザイナーとしては大変な面も多く、フラストレーションもたまった[23]。一方、当時は「敵(のメカ)を売る・売れる」という時代ではなかったので、メインのロボットのデザインさえ決まればスポンサーからは何も言われなかった[23][25]。『ガンダム』で言えば、商品化を前提としたマーチャンダイジングの対象は主人公側のガンダム、ガンキャノン、ガンタンクの3体であり、ジオン側のメカへのデザインの制約はほとんどなかった[23][24]。総監督の富野からも「モノアイだけは守ってくれ」という指示があっただけで[注 3]、それ以外は自由にやらせてもらえた[24][注 4]


注釈

  1. ^ 安彦良和自身が「『ザク』がどういう経緯でデザインされたか僕は知らないんです」と発言している[15]
  2. ^ ただし、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場するザクウォーリアは左肩にシールドを装備している。
  3. ^ モノアイは、富野が描いたモビルスーツのイメージ・スケッチでも確認できる[26]
  4. ^ ただし、シャア専用ザクにツノ飾りが付いたのは大河原の発案ではなく、総監督の富野によるもの[27]
  5. ^ 後年の映像作品『機動戦士ガンダム MS IGLOO 1年戦争秘録』第2話では、連邦軍セモベンテ隊指揮官ツァリアーノ中佐が鹵獲した陸戦型ザクIIに搭乗し、ジオン軍のザクIを撃破している。時系列的にはUC0079年5月9日でガンダムの交戦より4か月前だが、特殊部隊の戦果であるために公式記録とはならなかった。
  6. ^ ザクIの開発時期に関しては、U.C.0075年8月とする資料も見られる[31]一方、『MS IGLOO -1年戦争秘録-』第3話、デュバル少佐との会話でマイ技術中尉はザクIが(0079年から)4年前に採用されたMSである旨を発言している。なお、ザクIはジェネレーター出力の低さなどの問題を抱えた機体であり、このザクIの構造を抜本的変更によって[32]性能をさらに向上させた後継機「ザクII」が開発された[33]とする媒体もみられる。
  7. ^ ヘリウムを冷却剤に使用し、推進時に廃棄するとした資料も見られる[40]
  8. ^ 一方で、流体内パルスモーター式アクチュエータを採用したとする資料も見られる[41]。また、日本サンライズより刊行された『機動戦士ガンダム記録全集2』に掲載されたザクII(シャア専用)の透視図においては、機体各部に電動モーターを内蔵したものも見られた[42]
  9. ^ 脱出機構を省略したとする資料も見られる[31]
  10. ^ 連邦軍MS、ジオン軍MSともに、発泡金属、カーボンセラミック、ボロン複合材等をサンドイッチ構造にした複合装甲を採用し、表面には臨界半透明体をコーティング。敵の攻撃を受けた際に衝撃を発泡金属のクラックによって吸収するとした資料も見られる[46]
  11. ^ 装甲材質は『第08MS小隊』の1/144HGキットの説明書では超高張力鋼となっている[47]この表記は1985年の月刊ニュータイプ付録にあったMSカタログが初出で、それまで「馬力」と表現されていた一年戦争時のMSの「出力」に関する数値設定も「kW」という単位で再創作された[要出典]これらはシリーズ第2作『機動戦士Ζガンダム』が長いブランクをおいて制作されたために、第1作の諸情報が失伝してしまっていたことによる(「ルナチタニウム」が「ガンダリウム合金」の前身、という後付け説明も同様の理由である)[要出典]
  12. ^ 雑誌企画『ガンダム・センチネル0079』でデザインの大幅なリファインが行われ[要出典]、現実世界のアサルトライフルであるCAR-15 XM-177英語版をモチーフにしたような形状となった。また、プラモデル「1/100 マスターグレード ザクII」商品化の際にもリファインが行われたが、この時は微妙な形状やパーツのレイアウトの変更に止まっている。のちにそれぞれMMP-78、ZMP-50、そして『機動戦士ガンダム』第1話からほぼ全編に渡って登場するオリジナルのものにM-120A1の型式番号が与えられ、すべて「ザクマシンガン」と呼ばれるが別形式であると設定された。これらの詳細は「U.C. ARMS GALLERY」商品化の際に追加されたものである。
  13. ^ テレビ版『機動戦士ガンダム』第1話、劇場版『機動戦士ガンダムI』でガンダムと対峙したジーンのセリフなど。
  14. ^ 劇中でもジオン兵からはライフルとも呼ばれている[注 13]
  15. ^ パンマガジンでは、弾丸は円の中心部に向いた状態で収納されており、ザクマシンガンのも同様の形態。一方、ドラムマシンガンは弾丸は円の中心に対して垂直に立った状態で収納されている分、マガジンの厚みが大きい。
  16. ^ ザク・マシンガンがホワイトベースに損傷を与える威力を持っている一方、ガンダムには損傷を与えられないことを説明する後付け設定。
  17. ^ テレビ版第7話では、ザク・マシンガンを何発も同じ場所に被弾すればガンダムの装甲が破られかねない旨を、セイラ・マスが発言している。
  18. ^ 『MS IGLOO2重力戦線』第3話では、ルナチタニウム装甲の陸戦型ジムがザク・マシンガンで破壊されている。
  19. ^ コア・ファイターに対してはテレビ版第4話で。MSに対しては、テレビ版第3話のシャアが行なっているほか、第5話でジェイキュー機、第42話で登場の機体も行なっている。前者はバルカンで撃墜されたが、後者はジムのバイザーを砕いている。また、連邦軍特殊部隊セモベンテ隊ツァリアーノ中佐も、鹵獲ザクIIでジオン軍試作戦車ヒルドルブと交戦した際、ザク・マシンガンの台尻で格闘戦を挑んだ。
  20. ^ 『0083』第4話でコア・ファイターIIを迎撃した機体が用いている。
  21. ^ もっとも、斬撃対象の分子結合の切断でなく溶断を目的とするこの兵器ならば鋭利な刃は必ずしも必要ではなく、むしろ細身のアイロンのような形状が理想的とも思われ、その説に沿った設計図も描かれている[82]
  22. ^ 一方で、漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』では、当初はMS同士の格闘戦が考慮されていないため、A型がロールアウトした時点ではまだ開発が完了していなかったとされる[84]
  23. ^ テレビ版第4話、『0080』第6話など。ドムのヒートサーベルは第26話、第32話など。
  24. ^ ただし、これはSF設定の松崎健一が、「設定上の誤解や連絡ミス」の産物とテレビ版終了後に断言している[85]
  25. ^ テレビ版第5話、大気圏突入戦闘時のコムの発言。
  26. ^ テレビ版第22話。冒頭の第86ボーキサイト基地戦など。
  27. ^ テレビ版第5話、大気圏突入戦闘でのシャア専用ザクとガンダム戦。テレビ版第22話冒頭のグフ。
  28. ^ OVA機動戦士ガンダム MS IGLOO -1年戦争秘録-』第2話、連邦軍特殊部隊セモベンテ隊。
  29. ^ ほかに、設定画ではランドセルの形状がザクIに近いものとなっている。
  30. ^ A型の量産開始を0077年とする資料もある[116]
  31. ^ いずれも『ガシャポン戦士』の写真シールが初出で、後者は括弧書きで「新塗装」とされた。
  32. ^ OVA『MS IGLOO -1年戦争秘録-』では、宇宙世紀0079年1月15日に生起したルウム戦役に参加した機体は「MS-06F ザクIIF型」としている。ただし同海戦に参加した全てのザクIIがF型とする明確な描写はない。
  33. ^ 推進器の燃焼効率を向上させたとする資料もある[51]
  34. ^ 出典元であるプラモデル『パーフェクトグレード (PG) ザクIIS型』は、脹脛部やランドセルのスラスター基部の装甲が膨らんだ形状になっている。これは『ファーストグレード (FG)』でも踏襲された。
  35. ^ 『センチュリー』ではロケット・エンジンの推力を130トンに強化[44]、『MSV』では推進エンジン出力を30パーセント向上させた[137]130トンクラスを2基搭載するとされた[147]。これは『MSV-R』でも踏襲された[154]
  36. ^ 劇中の3DCGはマスターグレードのプラモデルを踏襲しているが、脹脛部のスラスターは大型で突出したものが2基となっている(F型は小型のものが2基、S型は4基)。
  37. ^ アニメ版ではマゼラン級戦艦5隻、サラミス級巡洋艦1隻を撃沈している。漫画版ではマゼラン級3隻、サラミス級2隻。
  38. ^ 第1巻で、薬莢の底に「140mm」と記されている。

出典

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