イタリア語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/01 01:03 UTC 版)
イタリア語 | |
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Italiano | |
発音 | IPA: [itaˈljaːno] |
話される国 |
イタリア サンマリノ バチカン スイスなど |
地域 | 南ヨーロッパ |
話者数 | 6100万人 |
言語系統 |
インド・ヨーロッパ語族
|
表記体系 | ラテン文字 |
公的地位 | |
公用語 |
欧州連合 イタリア スイス サンマリノ バチカン マルタ騎士団 クロアチア(イストラ郡) スロベニア(ピラン、イゾラ、カポディストリア) |
統制機関 | クルスカ学会[1] |
言語コード | |
ISO 639-1 |
it |
ISO 639-2 |
ita |
ISO 639-3 |
ita |
イタリア語圏
イタリア語はイタリア、サンマリノ共和国で公用語として定められている。スイスではティチーノ州全域とグラウビュンデン州(グリジョーニ州、Grigioni)の一部(州南端のイタリアと国境を接するベルニナ地区、モエーザ地区、およびマローヤ地区の一部、特に自治体ブレガリア)がイタリア語圏であり、スイス全体としても公用語になっている。
また、スロベニアとクロアチアをまたぐイストリア半島には少数のイタリア語話者住民がおり、スロベニア側では駅の案内板や道路標識などがスロベニア語とイタリア語の両語併記である。フランスのコルシカ島ではイタリア語の方言であるコルシカ語が使用されている。
バチカン市国では、公用語であるラテン語の他に、イタリア語が一般の業務用語として使用される。また、その昔はクラシック音楽の楽譜に書き込む楽語はイタリア語が公用語として長く守られてきており、後の時代に作曲家がそれぞれの母語をも混合して楽譜に盛り込むようになってからも、基本的な伝統的楽語はイタリア語によって書き記されている。
イタリア語を公用語としている国
公用語ではないが、イタリア語が使用されている地域
欧州・アフリカ
北南米・その他
方言
イタリア語の方言は大きく北部方言・中南部方言に大別でき、ラ・スペツィア=リミニ線が等語線となっている。そこからさらに北西部・北中部方言、北東部方言、中部方言、南部方言、周辺島嶼の方言に分けられる。イタリアは西ローマ帝国滅亡以降、政治的分裂が長らく続いたため、各地域毎の方言差が大きくなったとされる。これは同じく長年にわたって領邦国家時代が続いたドイツが多数の方言と地方言語を抱えている状況と似ている。
イタリア本国の国語教育および他国のイタリア語教育の場において盛んに用いられている標準イタリア語は、そうした各地の方言の中で最も周辺国の言語(フランス語やスペイン語など、イタリア地方と歴史的に縁深い国の言葉)の影響を受けていない中央イタリアのトスカーナ方言にナポリ方言・シチリア方言の語彙を取り入れたもので、統一後の標準語政策によって盛んに広められた(詳しくは方言#イタリアの方言政策を参照)。そのため、現在イタリア国民のほとんどは標準イタリア語の話者となっている。しかし一方でローカリズム運動の高まりもあって、方言の中でも独自性の強いものについては、独立した地位を与え保護すべきかどうかの議論が進められている。具体的にはシチリア語、ナポリ語、ヴェネト語、ガロ・イタリア語などが例に挙げられ、高齢層を中心にイタリア国民の4割が標準イタリア語と共にそうした地域独自の言語を理解できるという。都市部などでは現地化した標準イタリア語に取って代わられている。
各方言を言語とすべきとする論者の中でも、十数個の細かい言語へ分類するのか、あるいはある程度まとまりのある規模(北イタリア語、ガロ・イタリア語など)にすべきか意見が分かれている。またこうした議論の一方で、イタリアにおける各地域の話し言葉が(1つの言語体系としてまとめるには少ないとしても)一定の共通点を持つことについての異論はなく、「イタリア諸語」という表現をする地域主義者も存在する。
方言一覧
各方言の特徴は中世以降の歴史的経緯もさることながら、ラテン人によるイタリア統一前に居住していた他の古代イタリア人やギリシャ人植民者の用いた言葉の影響も存在しており、これらは俗ラテン語時代を通じて現在に残っている。
- 北部イタリア語(ガロ・イタリア語・パダーニャ語などとも呼ばれる)
- チザルピナ語(仮の分類)
- ピエモンテ方言(piemontese) - トリノ
- ベルガモ方言(bergamasco) - ベルガモ
- ロンバルディア方言(lombardo) - ミラノ、スイスティチーノ州
- ジェノヴァ方言(genovese)またはリグーリア方言(ligure) - ジェノヴァ
- エミリア方言(emiliano)とロマーニャ方言(romagnolo) - ボローニャ、パルマ
- ヴェネト方言(veneto) - ヴェネツィア、パドヴァ、ヴェローナ、トレントなどヴェネツィア共和国の領域。共和国時代に様々な国と貿易をしていたためか、影響を受けた他言語の数が比較的多い。
- チザルピナ語(仮の分類)
- 中南部イタリア語(イタロ・ダルマチア語などとも呼ばれる)
- トスカーナ語(toscano) - フィレンツェ、ピサ、シエナ(標準イタリア語の基本となった。その点でイタリア語が「トスカーナ語の方言」とする考え方もある。)
- 中央イタリア諸方言(トスカナ語と極めて近く、緊密な方言連続体を形成している)
- ローマ方言(romanesco) - ローマ
- ウンブリア方言(umbro)
- マルケ方言(marchigiano) - マルケ州
- コルシカ北東方言(cismontano) - コルシカ島北東部
- コルシカ南西方言(oltramontano) - コルシカ島南西部
- イストリア方言(istriano) - イストリア半島西部。
- サルデーニャ方言(sardo) - サルデーニャ島
- ナポリ諸方言(オスク語の影響があると考えられている):
- シチリア諸方言(古代から中世にかけてはギリシア系住民が多かった地域であり(マグナ・グラエキア)、ギリシア語の影響があると考えられている) :
- サレント方言(salentino) - レッチェ
- カラブリア方言(calabrese) - レッジョ・ディ・カラブリア
- シチリア方言(siciliano, sicilianu) - パレルモ。アラビア語の影響も見られる。
注釈
- ^ 最初の子音が c, g であった場合、正書法上は、音価を保つために "h" が挿入されている。 ex. clarus → chiaro
出典
- ^ “Accademia della Crusca” (イタリア語/英語). 2007年9月29日閲覧。
- ^ G・ヴィーコ『新しい学(上)』中公文庫、2018年、369p頁。
- ^ #berloco2018f
- ^ イタリア文化会館 イタリア語学校
- ^ ダンテ・アリギエーリ協会 東京支部
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