オイル語とは? わかりやすく解説

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オイル‐ご【オイル語】


オイル語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/08 19:50 UTC 版)

オイル語
話される地域 フランス中北部, ベルギー, スイス
言語系統 インド・ヨーロッパ語族
下位言語
Glottolog oila1234[1]
オイル諸語の分布

オイル語(オイルご、フランス語: langue d'oïl)、または「オイル諸語」(langues d'oïl)は、中世時代の北フランスで話されていた俗ラテン語の末裔たる諸言語の総称。

現代のいわゆるフランス語が、イル・ド・フランスで使われていたオイル語の一種(フランシア語)から発達したものであるがゆえに、「古フランス語」と同義のごとくに扱われることもあるが、実際には、フランシア語はオイル諸語の中の一言語(もしくは一方言)に過ぎなかった。

ワロン語などのバリエーションは近世・近代においてフランス語の方言として処理されたが、その言語的差異は明らかに独立言語としての特徴を有している。未だ続けられるフランスの強圧的な言語政策によって危機に瀕するこれらの言語は、地方で母語として使われている[要出典]

なお、「オイル(諸)語」(langue(s) d'oïl)という名称は本来、南フランスの諸言語を指す呼称「オック(諸)」(langue(s) d'oc)と対を成して使われてきたものである。両者諸言語の間にはさまざまな違いが見てとれるが、とくに目をひく単語、すなわち日本語の「はい」・英語の yes に相当する北仏の oïl、南仏の oc に着目して、「oïl の言葉」「oc の言葉」というように大ざっぱな区別としたものであった。 オイル語の流れをひく現代フランス語の oui 「はい、yes」は、この oïl の転訛、もしくは変異形であるということになる。

分類

上記の言語はいずれもフランス語の方言ではなく兄弟言語であり、地方言語である。学術的には保護されるべきであるが、フランスはヨーロッパ地方言語・少数言語憲章に署名していないので、オック語フランコプロヴァンス語ともども話者の高齢化が進んでしまっている。

脚注

  1. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Oil”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/oila1234 

関連項目


オイル語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/10 22:48 UTC 版)

フランス語史」の記事における「オイル語」の解説

「オイル語」および「古フランス語」も参照 中世イタリア詩人ダンテはその著書俗語論」でロマンス諸語は「はい」(現在の標準フランス語ではouiと言うのに用い単語によって3つの類例分類できるとした。Nam alii oc, alii si, alii vero dicunt oil(ocと言う人もいれば、siと言う人もいれば、oïlと言う人もいる)ラテン語hoc ille「それはそれ」に由来するoïlは北フランスを、ラテン語hoc「それ」に由来するoc南フランスを、ラテン語sic「従って」に由来するsiイタリア半島イベリア半島占めた現代の言語学者は、概して現代語ouèとなるリヨン周辺フランスにおける第3類アルピタン語」を加えている。 フランスの北のガロ・ロマンス語群(ピカルディ語ワロン語フランシアン語のようなオイル語)は、フランク侵略者話していたゲルマン語派から影響受けたクロヴィス1世時代からフランク族は北ガウル越えて支配地域拡大した。時を超えてフランス語パリイル=ド=フランス地域圏周辺見出されるオイル語や(フランシアン理論)オイル語全て見出される共通の特徴基礎にした公用語から(リングワ・フランカ理論発展した。 「はい」としてocやòcを用い言語であるオック語は、フランスの南や北スペインの言語群である。ガスコーニュ語プロヴァンス語のようなこの言語は、相対的にフランク語影響をほとんど受けていない。 中世にはフランス方言における他の言語群の影響見られた。 主にsiという単語取得したオイル語に由来する近代フランス語は、スペイン語カタルーニャ語(sí)やポルトガル語sim)、イタリア語(sì)における「はい」の同種の形態から否定疑問文対す否定主張返答否定するのに用いた。この語はケベック・フランス語一部残っていて、フランス語話者は主に北西フランスからの移民起源がある。 4世紀から7世紀にかけて、コーンウォールデヴォンウェールズからのブリソン諸語を話す人々が、通商アングロ・サクソンイングランド侵攻から逃れるためにイギリス海峡横断したアルモリカ自身の国を建国した。言語フランス語bijoumenhir与えて最近世紀ブルトン語になった。しかしこの変化一方通行ではなく、後にフランス語組み込んだavenのようなブルトン語単語は、フランス語havreから派生したのであるガイウス・ユリウス・カエサル時代から証明されているように、中世前期ロマンス諸語拡大によって衰退したとはいえ南西フランスのノヴェンポプラニアにはバスク語近縁言語を話す非ケルト系人々暮らしていた。彼らはガロンヌ川ピレネー山脈の間の地域で話すラテン語基礎とした言語影響し結局ガスコーニュ語呼ばれるオック語方言となったその影響はboulbèneやcargaisonのような単語見られるスカンディナヴィアヴァイキング9世紀以降フランス侵攻しノルマンディー呼ばれることになる地域大半自国建国した。ノルマン語古ノルド語その方言に大い影響されたが、ノルマン人はそこではオイル語を話すことにした。海運(mouette, crique, hauban, huneなど)や農業関連する多くフランス語残した1066年イングランド征服後、ノルマン人言語は、アングロ=ノルマン語へと成長したフランス語影響した語の使用イングランド社会通じて拡大した時代までに、アングロ=ノルマン語征服から百年戦争までのイングランド支配階級商業言語として使われた。 この頃アラビア語から多く借用語が、主に中世ラテン語イタリア語スペイン語通じて間接的にフランス語入ってきた。高級品(élixir, orange)や香辛料(camphre, safran)、貿易品(alcool, bougie, coton)、科学(alchimie, hasard)、数学algèbre, algorithme)に関する単語があった。北アフリカフランスの植民地拡大するうになると、フランス語アラビア語から直接単語借用した(例:toubib)。

※この「オイル語」の解説は、「フランス語史」の解説の一部です。
「オイル語」を含む「フランス語史」の記事については、「フランス語史」の概要を参照ください。

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