オイル管理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 03:35 UTC 版)
エンジンオイルは、機械的圧力による分子の剪断(せんだん)、外気による酸化・ニトロ化、熱による重合、燃料やブローバイガスなどの混入・希釈により徐々に劣化する。劣化すると粘度が低下し、エンジン内部の油膜形成が出来なくなり保護性能が失われ、エンジンの故障につながる。そのため、劣化の度合いによりオイルの交換が必要となる。 添加剤配合量にもよるが、鉱物油では約110℃以上、化学合成油でも130℃以上で熱による化学変化などのオイル劣化が始まり、一度劣化したオイルは油膜保持性能や緩衝作用などの性能が低下し回復しない。 オイルの劣化度合いは、目で見る・触る等の簡単な方法で判断できるものではない。一般に指標とされる色の黒さは炭化物によるもので、清浄性や分散性とは直接関係しない。乗用車の場合、使用期間や走行距離(後述)によって交換時期が規定されているが、発電や産業用エンジンの場合、稼働時間で規定される場合が多い。 また、劣化だけでは無く、オイル量のチェックも必要である。エンジンに不具合が無くともオイル量は徐々に減少する(単純に燃料と共に燃焼されるほか、燃料とオイルそれぞれの成分が互いに溶け出して軽質分が燃焼される。特にガソリンエンジンでオイルの銘柄によって排気臭が変わるのはこのため。なお、LPG自動車や天然ガス自動車は燃焼方式はガソリンと共通なのでエンジンオイルも基本的に共用できるが、燃料にオイルの成分が溶け出さないためエンジンオイルによる排気臭はしない)ため、規定量より下回らないように適時補充する必要がある。ただし、一般的には減少量はわずかで、オイル交換時期までに補充を必要とする場合は少ない。大きく減少するようならばオイル漏れやオイル上がり、逆にオイル量が増えた場合は燃料や冷却水等の混入といったトラブルが予想される。ただし、ディーゼルエンジンの場合はDPFを再生させるためにポスト噴射(燃焼行程後の追加噴射)し燃料を触媒内で燃焼させる(すなわちアフターファイアーさせることと同じ)方式をする車種の場合、燃料の一部がシリンダー壁に付着してエンジンオイルを希釈するため構造上オイル量が増えざるを得なくなっているので、ディップスティックに通常の上限下限のみならず別途希釈上限が設けられており、その上限に抵触したら交換する必要がある。
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