オイル下がり
おもにシリンダーヘッドの吸気バルブステムの、バルブ、ガイドの間隙を通って燃焼室内に吸引される現象をいう。この現象が多くなると点火プラグの汚損、ピストンリング部のスラッジ付着、白煙、オイル消費の増大などを引き起こす。同様に排気バルブステムとバルブガイドの間を通って排気ポート内にごくわずかのオイルが漏れるが、これは排気によって焼き捨てられる。オイル下がりの量を制御するためにバルブステムオイルシールが使われる。
反対語 オイル上がりオイル上がり/オイル下がり
オイル下がり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 22:05 UTC 版)
放射状にシリンダーが配置されるため、時計で言う処の3時と9時(水平)よりも下側に配置されるシリンダーはエンジンオイルが重力で燃焼室に垂れ落ちるオイル下がりが発生しやすくなる。特に時計の6時に位置する真下を向いたシリンダーの場合、下がったオイルにより点火プラグの電極が水没して始動不良の原因になる事が多く、最悪の場合シリンダー全体がオイルで満たされてしまい、ピストンが下降できないためクランクシャフトが動かなくなってしまう(流体固着、ハイドロリック・ロック)事もあった。この状態で無理に始動しようとすると、水撃作用によりコネクティングロッド(コンロッド)が曲がったり、折損したコンロッドがシリンダーやクランクケースを突き破るエンジンブローが発生する恐れすらあった。ピストンリングやシリンダーの真円度などの加工精度の問題や、エンジンオイルの品質の問題などにより、旧日本軍の星型エンジンでは下側シリンダーへのオイル下がりが発生しやすかったため、冷間始動前には真下に位置するシリンダーのヘッドから点火プラグを取り外し、シリンダー内に溜まったオイルを必ず抜く必要があっただけでなく、着陸してエンジンを停止させた際には地上要員が手でプロペラを回して真下に位置するシリンダーのピストンを上死点まで上げておくことで、燃焼室内へのオイル滞留を最小限に留めておく配慮を行う必要も生じることとなった。
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