欧米からの影響の時代とは? わかりやすく解説

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欧米からの影響の時代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 15:10 UTC 版)

少女漫画」の記事における「欧米からの影響の時代」の解説

1960年代なかばごろから1970年代はじめごろ、日本慢性的な貿易赤字から一転した黒字化定着など高度経済成長がより進展した人手不足によって格差大きな縮小起きて一億総中流となり、三大都市圏への人口移動続き大企業での終身雇用定着サラリーマン企業戦士化が進み、生活の向上と安定が強まることで核家族化進行し血縁地縁ゲマインシャフト)よりも社縁ゲゼルシャフト)が強くなっていき、恋愛結婚見合い結婚上回った子供では競争社会から来る焦り母親から過干渉される子供や、逆に放任され自宅の鍵を学校へと持っていくカギっ子増えていった。1960年代第一次ブーム起き1965年には高校進学70%に達している。また1966年には文部省留守家庭児童会育成事業補助要綱によって学童保育放課後児童クラブ)が広まっていった。 国民車構想によって大衆車登場したことでモータリゼーション進みスーパーマーケット大型書店支店全国広まった。 また世界の貿易自由化の波に合わせて日本1960年貿易為替自由化計画大綱策定し、それによって国内製紙メーカー国際競争力付けるために設備投資進めていったものの、過剰生産となって余りの状態となり、出版界では紙が使いやすくなった。漫画雑誌での紙の量の増大作品描写用いコマページ数の増大でもあり、長ページとともに画面の展開手法がより流れるようなものへと変化していった。また滑稽性やかわいらしさ排除した劇画影響受けた少女漫画増えていった。 そして少女漫画ビッグ・バン的な発展生じた量的には、以前には少女雑誌一部分でしかなかった漫画雑誌のほとんど全て占めていくようになり、雑誌の数も、隔週刊毎週刊化、週刊誌から月刊別冊が、さらにそれぞれ増刊誌出したり、新創刊次々と生まれた需要性質と量の急激な変化相まって10代雑誌デビューする女性新人がとくに多かったのもこの時代である。デビュー仕方も、それまでの持込や人脈よるものから雑誌の中の漫画講座コンクール漫画新人賞からの率が増えていった。これらによって少女職業選択少女漫画家という選択入ってきた。一方で格段に増えた少女漫画雑誌経済発展による貸本屋退潮によって、貸本出版少女漫画衰退消滅していく。 この時期以降特徴として、生産者作者)と消費者読者)の間の強い近さがある。例えトキワ荘では石ノ森章太郎女性ファン集まって石ノ森章太郎の「東日本漫画研究会」に女子部発足し少女漫画同人誌の『墨汁二滴』が作られ、そこから西谷祥子志賀公江神奈幸子らが輩出されている。 またストーリー漫画中心になると少女の心を考えて描く必要が出てきて男性作家では難しくなっていった。 もともと映画においてロマンティック・コメディ洋画人気となっており、1966年にはテレビレギュラー番組として「土曜洋画劇場」も登場し少女漫画ではフィクション性の強い外国もののラブロマンス無国籍漫画)が続いていった。代表的な作品には同名洋画翻案した漫画『ローマの休日』水野英子)や洋画麗しのサブリナ」を基にした『すてきなコーラ』(水野英子)などがある。 また、水野英子ファンであった男性作家あすなひろしジュニア文芸誌に漫画掲載するようになり、その影響受けてポエムコミックという作風確立していった。あすなひろし作風男性作家立原あゆみにも影響与えている。また1962年より少女誌美しい十代」で連載されていた4コマ漫画小さな恋のものがたり」(みつはしちかこ)は1972年テレビドラマ化され人気集めていったが、この漫画4コマ漫画にイラストポエムを挟む構成となっていた。 そのほか1965年には『少女フレンド』で楳図かずおによるホラー漫画連載されはじめて人気となり、貸本少女漫画からもホラー漫画増えていった(恐怖漫画ブーム)。 学園漫画では1966年に「青春学園物の草分け」とも言われるレモンサクランボ』(西谷祥子)が『週刊マーガレット』へと登場し、また同1966年には「ラブコメ原点」とも言われるロマンス』(楳図かずお)が『なかよし』へと登場している。1969年には『週刊マーガレット』に米国舞台ラブコメディおくさまは18歳』(本村三四子)が登場し1970年にはそれが舞台日本変更した上でドラマ化され人気となった。同1970年には同誌に米国舞台ラブコメディ美人はいかが?』(忠津陽子)が登場し1971年にはこちらも舞台日本変更した上でドラマ化されている。 1968年には多く漫画雑誌創刊が行われ、少女漫画誌では『少女コミック』(小学館)が創刊されたほか、週刊マーガレット上位誌の少女誌週刊セブンティーン』も登場したClip テレビ家庭普及率黒線白黒テレビ、色線はカラーテレビ白黒テレビ家庭普及していき、日本でもアメリカロックバンドザ・ベンチャーズ」や「ビートルズ」の来日公演録画放送によってグループ・サウンズブーム起きた少女漫画少女向けテレビアニメではヨーロッパアメリカ舞台した作品増加していった。1960年代には日本人海外渡航自由化され、「裕福」で「おしゃれ」なイメージフランス舞台にする少女漫画増えていった。また留学エージェント登場によりアメリカへの留学が簡単となり、少女漫画では「週刊少女フレンド」にアメリカ留学テーマとした『ハリケーンむすめ』(杉本啓子1969年)や『お蝶ござんす』(漫画神奈幸子原作羽生敦子1971年)が登場したまた、少女憧れ職業としてスチュワーデス航空機客室乗務員)が浮上した1970年にはスチュワーデステーマとしたテレビドラマアテンションプリーズ」が登場し1971年にはそれが「少女フレンド」で少女漫画化されている(作者細川智栄子)。 海外ドラマ影響受けて魔法少女物流行起きている。1965年魔法使い主役ディズニー実写アニメーション映画メリー・ポピンズ」が日本でも公開され1966年にはアメリカドラマ奥さまは魔女」及び「かわいい魔女ジニー」が日本でも放送されヒットし、『奥さまは魔女』は週刊マーガレット少女漫画化されている(作者わたなべまさこ)。また国内からも魔法少女物TBSドラマ『コメットさん』東映アニメ魔法使いサリー』が登場したが、どちらも原作横山光輝であり、前者週刊マーガレットに、後者はりぼんに漫画連載されることとなった。これらの国産魔法少女ヒットによって「東映魔女っ子シリーズ」は定番となっていき、りぼんで連載していた赤塚不二夫原作変身物のひみつのアッコちゃん』や週刊マーガレット連載していた石ノ森章太郎原作コメディ物のさるとびエッちゃん』がそのシリーズとしてアニメ化されている。 スポ根ものの少女漫画登場している。1964年野球競技を含む「1964年東京オリンピック」が開催され1966年より少年漫画において野球漫画巨人の星」を始めとするスポ根登場して人気博しており、また、大日本紡績女子バレーボールチームが「東洋の魔女」として人気となっていたこともあって、少女漫画ではバレーボールスポ根ものが複数登場した1968年には週刊マーガレットから『アタックNo.1』(浦野千賀子)が、少女フレンドから『サインはV』(原作神保史郎漫画望月あきら)が登場しその後少女コミックでも『勝利アタック!』(灘しげみ)が登場している。1969年には『アタックNo.1』がアニメ化され、『サインはV』がテレビドラマ化された。 1950年代後半ミッチー・ブームでは軽井沢テニスコート出会いの場であったことによりテニスブームが起きており、また、その後スポ根ブームの影響受けて少女漫画ではテニス物も登場した1969年には週刊マーガレットから『スマッシュをきめろ!』(志賀公江)が、1973年には『エースをねらえ!』(山本鈴美香)が登場し前者は「コートにかける青春」としてテレビドラマ化され後者テレビアニメ化された。 また、1970年代初頭にはジャンボ機登場して海外旅行が身近となり、また女性添乗員登場し、それらに伴って女性出国者の数も急激に増加していった。そんな中1972年週刊マーガレットからフランスベルサイユ舞台にした歴史フィクション漫画ベルサイユのばら』(池田理代子)が登場しその後宝塚歌劇団ミュージカル化され、『ベルばらブーム』が起きることとなる。 一方1960年代後半にはベトナム戦争などの影響米国において社会そのもの見直カウンターカルチャー生じてヒッピームーブメント起きており、それに伴ってメッセージソング流行していた。週刊セブンティーンではそんな米国舞台にした作品として1969年に『ファイヤー!』(水野英子)が登場した同時期に日本でもフーテン族登場したり、大学紛争全共闘運動起きている。また、この全共闘運動において日本でのウーマンリブ運動起き、その上1970年代に「かわい子ちゃん歌手」のブーム起きたこともあって「女性上位社会到来」が予期されるようになり、同時期の少女漫画ではその反動として弓月光の『にくいあんちきしょう』(1970年) や津雲むつみの『おれは男だ!』(1971年-) のような硬派男主人公の少女漫画登場し後者テレビドラマ化された。また1972年には新左翼による「あさま山荘事件」が起き少女漫画では1974年樹村みのりの『贈り物』が登場している。 また三大都市圏への人口集中問題となっており、1960年代には全国総合開発計画打ち立てられ高速道路新幹線開通された。1969年には米国アポロ11号によって人類月面へと到達したほかスペースコロニー計画提唱されまた、1970年には日本大阪万博開催され明るい未来予期されるようになったこの頃少女漫画では「やさしいママ頼りがいのあるパパ誰からも好かれる良い子」という理想家庭描かれていたとされる。これよってノンポリしらけ世代生まれ大学紛争収束した。 その他、化粧品ブランドキスミー」のCMソング「セクシーピンク」によって1959年より「セクシー」という俗語使用拡大した1960年代後半には「ミニ女王」と呼ばれたツイッギー来日と共に日本でもミニスカート流行しその後ハレンチ」が流行語となり、少年漫画では「ハレンチ学園」(永井豪)が人気となってドラマ化されたが、女性向けでも「小説ジュニア」の「ハレンチくん」(土田よしこ1968年)や、りぼん連載の『赤塚不二夫先生ハレンチ名作』(赤塚不二夫)が登場している。 海外映画ではイタリア映画作家ルキノ・ヴィスコンティ耽美へと傾倒していき、少女漫画でも耽美影響強くなっていった耽美作品における芸術とは何かは例えヴィスコンティ耽美映画ベニスに死す」(1971年内のセリフ現れている。登場人物アッシェンバッハが『「美と純粋さ創造スピリチュアルな行為」であり「(現実の)感覚通して知恵真実人間の尊厳の)スピリット到達することは出来ない」』としたのに対して登場人物アルフレッドは「(芸術現実の)悪徳は必要であり、それは天才の糧である」と反論している(なお、ここでの翻訳オリジナル英語版映画ベースであり、日本語版の映画には「背徳」などの超訳が含まれる[要出典])。 1970年日本公開されたヴィスコンティ耽美映画地獄に堕ちた勇者ども」では強姦描写近親相姦存在していた。少女漫画強姦描写では1971年には「りぼん」増刊の『りぼんコミック』において強姦描いた『しあわせという名の女』(もりたじゅん)や『彼…』(一条ゆかり)が掲載されており、その後1973年にはりぼん本誌にも強姦描写のある『ラブ・ゲーム』(一条ゆかり)が登場している。また少女漫画近親恋愛モノでは1970年には「りぼんコミック」に『うみどり』(もりたじゅん)が登場し1972年には「りぼん」本誌に『おとうと』(一条ゆかり)が登場したまた、欧米では経口避妊薬登場によって「性の開放」が起きていた。日本でも欧米影響受けて少女小説誌やジュニア小説誌でセックスものが流行していき、1974年には映画でもフランスソフトコア・ポルノの「エマニエル夫人」が若い女性ヒットし1975年には邦画からも「東京エマニエル夫人英語版)」(日活)が登場した一方で性教育問題となり、テレビ番組ではNHKの「こんにちは奥さん」などで性教育取り上げられるようになった少女漫画では1970年初めて性が主題の『真由子日記』(大和和紀)が『週刊少女フレンド』より登場しその後も『週刊セブンティーン掲載の『わたしは萌』(立原あゆみのようなセックスありきの漫画登場している。また1970年には学生妊娠物の誕生!』(大島弓子)も『週刊マーガレット』より登場している。変身物でも1970年学年誌などで性教育隠しテーマとした「ふしぎなメルモ」が登場し1971年アニメ化された。 女性同士恋愛漫画登場している。1971年には『りぼんコミック』において『白い部屋のふたり(英語版)』(山岸凉子)が登場し同年には週刊マーガレットにも池田理代子の『ふたりぽっち』が、1972年にはりぼん本誌にも『摩耶の葬列』(一条ゆかり)が登場したギャグ漫画では、1960年代赤塚不二夫が「りぼん」「少女フレンド」などの少女漫画誌に連載をもっており、その中から『ひみつのアッコちゃん』『へんな子ちゃん』『キビママちゃん』『ジャジャ子ちゃん』などが登場した70年代には赤塚不二夫アシスタント務めた土田よしこがそのギャグ路線引き継ぎつる姫じゃ〜っ!』などを出したほか、倉多江美の『ぼさつ日記』も登場している。

※この「欧米からの影響の時代」の解説は、「少女漫画」の解説の一部です。
「欧米からの影響の時代」を含む「少女漫画」の記事については、「少女漫画」の概要を参照ください。

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