ヴァン一行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 04:10 UTC 版)
主人公・ヴァンおよび彼が旅するうちに縁を持ち、行動を共にする事になった者たち。ヴァンは本当は独りでカギ爪の男(以下、カギ爪と表記)を追いたいのだが、物語初期を除いて同行を明確に拒絶していないため、いつしかグループの様に集団行動するようになった。彼らは固い結束や信念で結ばれた訳ではなく、カギ爪を追う理由も各人さまざまだが、ヴァンの持つ気質や不思議な魅力に引き寄せられたという点では一致している。別名 "ヴァンと愉快な仲間たち"。 ヴァン 声 - 星野貴紀 本作の主人公。数々の通り名をもつ流浪の男。カギ爪の男の集団を主とした一部の者からは "欠員(欠番)メンバー" とも呼ばれている。最愛の女性・エレナとの結婚式の当日、教会に現れて目の前でエレナを殺した「カギ爪の男」への復讐を誓って旅をしている。だが、普段はそんな決意を見せる事はなく、長身痩躯で猫背、いつも眠たそうにボーッとしただらしのない風貌をしているうえ、無愛想でデリカシーがない。しかしエレナの仇であるカギ爪に関しては冷静さを失い易い。また、助けを求められても無下に拒むような薄情な部分もあるが、実際は不器用ながら他人を気遣う優しさや、己が矜持から悪党に怒りを見せる熱さも持ち合わせている。故に復讐鬼に徹するレイには「お前の復讐は随分と優しい」と評されている。見た目の若さに反して行動には若々しさがみられないが、生身の戦闘時には超人的な身体能力を発揮する。本人曰く、童貞。 テンガロンハットに黒いタキシード(元々はエレナとの結婚式の際に着用した結婚衣装で、カギ爪に切り裂かれた部分を改造して現在のデザインとなっている。)を身につけた姿は西部劇のガンマンを髣髴とさせる。腰に携えた武器は、実は蛮刀(蛇腹剣のマチェテ)。刀身は布のようにしなやかで伸縮自在だが、鋼よりも硬く、鋭くすることも可能。 ヨロイ「ダン・オブ・サーズデイ」を呼ぶ際には、テンガロンハットの片側にある輪に指を通して反対側に回し、刀で虚空をVの字に斬る。 エレナとの結婚式の当日、カギ爪の男によって瀕死の重傷を負い、「ヴァンを救いたい」というエレナの願いを受けたガドヴェドによってヨロイを操縦するための改造手術を受け、命を救われた。 物語終盤、「幸せの時」の為に宇宙に飛び立ったミハエルにサテライトベースを破壊され、ダンの補給及び生命維持が出来なくなる。しかしディアブロのベースを利用する事で回復し、宇宙でミハエルと死闘を繰り広げた後にG-ER流体に呑まれるも、無事に帰還。ミハエルを下し、カギ爪との最終決戦を迎える。一度は窮地に追い込まれるも、元来の電気体質と改造手術による力の融合によってオーバーフローを起こし、仲間達の支援もあって勝利。カギ爪を殺して復讐を果たす。その後、ジョシュアと後から追ってきたウェンディとカルメンにのみ別れを告げ、ダンと共にどこかへと去って行った。数年後、ヴァンと思わしき黒ずくめの男の死体が発見されるが別人であり、ヴァン本人が食べ物を求めて偶然ウェンディの家を訪ねてくるシーンで物語は幕を閉じる。 生みの親も知れない天涯孤独の身であり、子供の頃から飢えた獣のように扱われて生きてきた。その生い立ち故か、数々の奇行をあちこちで繰り広げている。例を挙げると極端に甘い、あるいは辛いものでないと満足できない味覚の嗜好をもつ。ありったけの調味料を要求して大量にふり掛け、感歎の声を上げつつ食べる。また下戸であり、ミルクを好んで飲む。また、言葉づかいも粗暴だが、非を詫びる時は誰に対しても「すみません」と言うなど、ときどき変なタイミングで敬語を混ぜて使う。 前述の通り、さまざまな通り名を持っている。「地獄の泣き虫ヴァン」「悪魔の毒々タキシードヴァン」「掃き溜めのプリティヴァン」など珍妙な通り名で覚えられている事が多いが、基本的に本人(第10話ではジョシュア)はこれまでの話で呼ばれた最も新しい通り名を名乗る。最終的に自称は第一話で決めた「夜明けのヴァン」で定着した。 エレナ以外の女性に興味がないため、一部の例外を除いて女性の名前をなかなか覚えない。実は亀が苦手である 寝るとき、入浴している際も帽子と手袋は身に着けたままである。戦闘で落とす(第5話、最終話)など、帽子が脱げてしまった際は、即座に拾って被りなおしていた。その際のヴァンの顔はフレームアウトしており、劇中において帽子を脱いだヴァンの素顔は一度も描写されていない。 ウェンディ・ギャレット 声 - 桑島法子 本作のヒロイン。ヴァンと共に旅をする少女。13歳。誘拐された兄ミハエルを探すため、「カギ爪」を追っている。両親の死後、叔父に引き取られるが、その叔父の死んだ後はずっと兄と二人で生活していたため、兄妹の絆は深い。年の割にしっかり者だが、パートナーのヴァンがだらしなく社会性が無い為、気苦労が絶えない。故に普段はヴァンの奇行に振り回される事が多いが信頼と好意も抱いており、後年にはヴァンの事を「自分にとってのヒーロー」と回顧している。ミハエルが大切にしていた銃をお守りのように常に背負っているが、この銃に弾は一発しか込められていない。ブリッジシティ以降、着替えを収納したトランクを引いて旅をしている為、エピソードによって服装が変わる。また、それを荷車変わりにしてヴァンを引き摺って運ぶこともある。ヴァンには第4話まで名前を覚えられず、彼がプリシラの名前をすぐに覚えた時はカルメンと共に怒っていた。女性陣では唯一泳げるが、その所為でミズーギィの体力テストに参加させられる羽目になってしまった。 町を襲撃した盗賊団に兄を攫われ、自身も殺されかけた所をヴァンに救われる。しかしヴァンがそれ以上関わる事を避けようとした為、ヤケ気味に「(町を救ったら)お嫁さんになってあげる」と申し出、ヴァンを驚愕させた。その場はヴァンに諭されたものの、結果的にヴァンは盗賊団を倒す事を決意し、彼の活躍で町を救われる。その後はヴァンが追うカギ爪がミハエルを連れている事を知り、その旅に半ば強引に同行する。 後にカギ爪の同志となったミハエルに再会して絶望。一時はヴァンにも諭された事で故郷に帰ろうとするが、その後の事件を経てそれらを乗り越え、「何が正しくて何が悪いのか」を自らの目で確かめるためにヴァンと共に旅を続ける。「兄の大切なもの」だった背中の銃は再会時にミハエル自身によってゴミ箱に捨てられた為、以後は「自分の物」として捉え、「兄の思惑と関係なく自分の考えで前へ進む」というウェンディの意志を表すシンボルとなった。その銃に込められたたった一発の弾丸はミハエルを止める為に発砲され、彼の腕を撃ち抜いた。最終的にミハエルとは完全に道を違えつつも「お前はお前の道を進め」と告げられて和解し、去り行く彼の背中に別れを告げた。戦いの後はどこかへ去ったヴァンとの再会を夢見つつ平穏に暮らしていたが、数年後にヴァンについての取材を受けている最中、彼と思い掛けない再会を果たす。 カメオ 声 - 桑島法子(本編) / 八奈見乗児(ガン×ソードさん) ウェンディのペットの亀。元はミハエルが街の近くの池で拾ってペットにしていたが、ある出来事によりウェンディに託された。普段は甲羅に糸を通して、ウェンディの首にぶら下げられている。その姿はまるでカメオのようである。第1話でウェンディが盗賊に撃たれた際に銃弾が甲羅に当たり、ウェンディの命を救うと同時にその甲羅には弾痕が刻まれた。物語の最後までウェンディと行動を共にし、資金稼ぎに参加したカメレースで優勝したり、ミズーギィの体力テストでウェンディを勝利に導いたりと要所で活躍を見せ、最終回では錯乱してウェンディの首を締めたミハエルに噛み付いて正気に戻している。現実世界の亀とは違う動物(エンドレス・イリュージョンの固有種の甲殻派虫類)で、「クー」「キュー」と鳴き、特定の人物になつくなど、ある程度の知能がある。最終話のラストでは、4足歩行時は甲羅の高さがテーブル近くまで、2足で立ち上がった時はウェンディよりも大きく、ヴァンの顔くらい(もっとも猫背の時のではあるが)の高さまで成長していたが、ウェンディによると最近いきなり大きくなったらしく、一定の年齢に達すると急激に成長する生体である模様。 カルメン99(カルメンきゅうじゅうきゅう) 声 - 井上喜久子 本名はカルール・メンドゥーサ。23歳。ヴァンとウェンディの前に現れる謎の女情報屋。「タンダー」と呼ばれるホバースクーターを使用し、多々な情報収集を行っている。戦闘時には4枚の刃が出るヨーヨー状の武器で応戦する。金に強い執着をもち、金目と思われるものは持ち帰り、それらの鑑定や解析を依頼する際にも依頼料を強引に値切っている。通り名の末尾の "99" については、99cmのバストをもち、99の謎をもつ等のいわれがあるらしい。ちなみに、第一の秘密は好きな人の名前である。この名前の由来はピンク・レディーのヒット曲『カルメン'77』から。実は泳げない。 情報屋を志す以前に一時ダイナーでウェイトレスをしていた経験から、コーヒーを淹れるのは巧いらしい。本名に対して少々のコンプレックスを感じていて、つい「カルールさん」と呼んでしまうウェンディにその都度「カルメン99」と釘を刺している。ヴァンに好意を抱いていると思われる描写があるが、想いを表現することはほとんどない。その為、いい意味でも悪い意味でも惚れた男に対して素直なファサリナを「可愛い」と表現し、羨望が混じった敵意を抱いている。当初は行く先々でヴァン達と遭遇していたが、ある意味ハエッタの人生を狂わせたファサリナと因縁を持った事から、借りを返す為にもヴァン達の旅に同行する事になる。ホバーベース入手後は一行のまとめ役となる。ヴァンとはそれなりに付き合いが長いにも関わらず一向に名前を覚えられなかったが、戦いの後の別れのシーンで初めて名前を呼ばれる。同時にヴァンが好きだった事を告白して去って行った。 なお、第9話のエンディングは彼女に合わせた特別版となっている。 レイ・ラングレン 声 - 櫻井孝宏 武士のような身なりで、腰に刀の形をした銃を携える精悍な顔つきの青年。 彼もヴァン同様、妻・シノを殺した「カギ爪」を追う復讐者であり、本作のもう一人の主人公とも呼べる存在。無愛想ながらも情のあるヴァンと違って復讐の為なら手段を選ばず、物であれ、人であれ、その障害になるすべてのものを無表情で排除する冷酷な面を持つが、実の弟であるジョシュアを気遣う一面も見せる。ジョシュアによれば昔はもの静かで優しい性格であったとのことで、復讐のために過去の自分を捨てて修羅となった経緯が窺い知れる。本人曰く「もう全ての楽しみが味わえない」らしく、飲み物は水しか飲まない。一方で、シノに似た女性が働く飲食店に通い詰めていた事もある。妻が設計を担当した、その形見と言うべきヨロイ「ヴォルケイン」に搭乗し、その特性を活かして普段は地中を移動する。生身、ヨロイ共にヴァンに匹敵する実力の持ち主。復讐を果たした暁にはヴォルケインを静かな海に沈めるつもりであると言う。 単独でカギ爪を追っており、カギ爪に関する情報では一歩先を行くヴァン達の足取りを利用し追跡している。当初は同じ仇をもつヴァンとは敵対関係にあり、どちらが先にカギ爪を殺すかを巡って何度も刀と銃を交えているが、共通の敵と戦う際に一時手を組む事もある。カロッサを倒した際、彼の最後の攻撃で負傷し、視力を大きく落としてしまう。その後、ジョシュアの説得で彼等を「利用する」形で協力関係を結ぶ。最後はヴォルケインを失いながらカギ爪の元に辿り着いたものの、ジョシュアによる心情の変化や自身の視力の低下もあってカギ爪を殺すには至らず、無人機に射殺されてしまう。しかし最後に撃った弾丸がバースデイの機械に挟まり、カギ爪を倒す時間を稼ぐ事となった。 なお、第24話のエンディングは彼に合わせた特別版となっている。 ジョシュア・ラングレン 声 - 野田順子 レイの弟で、唯一の肉親。兄を追って旅をするうちにヴァン達と出会う。ヴァン達についていけば兄に会えると考え、行動を共にするようになる。かなり鈍感で世間知らずで非常にマイペース且つ空気も読めない性格であり、ウェンディを探して女子トイレに入ったり、シャワーを浴びているプリシラにカーテンを開けて話しかけたりしていた。本人に自覚は無いが、その性格が災いして他に友達はいない。「兄を追う」という共通の境遇からウェンディとは仲が良いが、復讐を否定する為にヴァンには煙たがられており、負傷で一時期入院した際には「このまま置いて行こう」とまで言われている。 レイの妻・シノが手掛けていたヨロイ「ヴォルケイン」の開発に兄と共に携わっており、ヨロイに関する知識が豊富である。また掃除が得意なため、ウェンディから「ピカピカジョッシュ」の異名を付けられるが即座に拒否している。第10話でサルベージ組合の手伝いをした時に掃除をさせられていたが、起爆装置が必要な段になると「(それを作るのは)掃除よりずっと簡単」と言って張り切っていた。ホバーベース入手後は操舵手として活躍する。一行の中では唯一宇宙に関しての知識があり、ダンの修復の為に宇宙に飛ぶ局面では、他の面々が宇宙を建物や町の名前と勘違いしている事に慌てていた。 レイとヴァンの復讐に対し、道徳的、論理的な理由から否定的であり、レイの復讐を止める事を目的とする。 終盤、レイを説得してヴァン達との協力態勢を築くに至り、同時にレイの心情にも変化を与え、さらに自身もレイの復讐を肯定し協力する。レイがカギ爪を討ち果たせず落命したあと「兄の想いを無にしたくない」と激昂しカギ爪の計画を阻止する為に奮闘し、バースデイのシステムにハッキングして「幸せの時」を破綻に追い込んだ。全てが終わった後はムーニェルのサルベージ組合の協力を得て島と共に沈んだヴォルケインとレイの亡骸のサルベージに従事する。 プリシラ 声 - 千葉紗子 ピンクのネコのようなフォルムをもつヨロイ「ブラウニー」に乗る少女。物語の中盤から登場する。ヴァンが名前を覚えた数少ない女性でもある。ヨロイバトルの街・デュエルパークにて活躍していた。孤児院育ちであり、ブラウニーの本来の乗り手である孤児院初代院長のシスターママに育てられた。シスターは生前はヨロイバトルで得た賞金で孤児院を運営しており、シスター亡き後はプリシラがその役目を引き継いでいた。優れた身体能力の持ち主ながら、全く泳げない。 「B-1グランプリ」にて決勝戦の相手の代行となったヴァンと出会い、決勝では善戦するも実質的な敗北を喫する。しかし決着直前に本来の対戦相手であるザコタが現れた事でヴァンが棄権し、そのザコタを瞬殺して優勝。以降、「気持ちいいバトル」ができた事からヴァンに興味と好意を持つ。彼が去った後も気にかけており、その様子を見かねた孤児院の子供達の後押しもあり、副賞のホバーベースを駆ってヴァンを追いかけ、一行に加わる。ヴァンが宇宙に飛び立つ直前、彼に告白するが返事は戦いが終わるまで保留とした。全てが終わった後は何も言わずに去ったヴァンに怒りながらも、いつか返事を貰いに行く事を決めて故郷に帰る。 ブラウニーにはパイロットの動作をトレースするシステムが搭載されており、プリシラは彼女自身の高度な身体能力を生かし、コックピットで実際に体を動かして操縦する。華麗で俊敏な機動性を誇る反面、若干他のヨロイよりもパワーや防御力に劣るようだが、劇中ではオリジナル7用ヨロイに匹敵する戦闘能力を見せている。 ユキコ・スティーブンス 声 - 雪野五月 メキシコ風の街・グローリアの酒場「ピンク・アミーゴ」を一人で切り盛りする娘。両親を早くに亡くし、祖母・チヅルによって育てられた。祖母の死後は店を受け継ぎ、幼馴染のフランコ(声 - 私市淳)に「町を出よう」と誘われつつも祖母の店を守る為に断り続けている。かつての祖母の仲間であり、店で何かと騒ぎを起こす近所の老人4人組(後述のエルドラチームを参照)に少々困りながらも、嫌な顔ひとつせずに対応している。ネロ曰く「歌ってる時がチヅルに似てる」。カナヅチである。 ヴァンに加勢すると息巻くこの老人達を放っておけず、一行に加わる(最初は「一度くらいは街の外の世界を見てみたい」と言う位の軽い気持ちだったが、一行の決意を見て考えを改めた)。彼女も状況によって服装が変わる。基本的に平和を愛するごく普通の女性だが、無理をし続けるレイを平手打ちして説得するような一面も見せる。また、最終局面では祖母譲りの勇気を振るい、気丈に銃を手にして、ジョシュアのハッキングが終わるまでカギ爪の兵士たちを足止めしていた。戦いの後、ヴォルケインのサルベージを手伝うつもりである事がジョシュアから語られる。
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