フィルムカメラ・シリーズ
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「α (カメラ)」の記事における「フィルムカメラ・シリーズ」の解説
ミノルタα-7000(1985年2月発売) - 当時ニコンF3AFやペンタックスME F等、オートフォーカス一眼レフカメラは存在したが、オートフォーカス専用レンズが1~2本に限られる、大きく重い、合焦まで時間がかかったり迷ったりする等、試作的な意味合いが強く、商業的に成功したとは言い難かった。ミノルタα-7000は、オートフォーカス用にレンズシステムを刷新して登場し、非常に注目を浴びた。AFセンサーは東芝、ロータリーエンコーダーは石川島播磨重工業(現IHI)製。他メーカーからの乗り換えユーザーも多く、また写真業界以外のマスコミにも報道されることになり一大ブームへと発展した。このカメラの出現により、一眼レフカメラのオートフォーカス化が大きく進むなど、当時の業界に与えた影響は極めて大きく、「αショック」という言葉が生まれた。カメラグランプリ'85、インターカメラ国際賞、ヨーロピアン・カメラ・オブ・ザ・イヤー'85受賞。CMソングには、野田幹子の「太陽・神様・少年」が使われており、郵便応募によるキャンペーンで野田幹子の非売品ミニアルバムの抽選があった。 ミノルタα-9000(1985年8月発売) - ミノルタα-7000と同時開発であったが、その市場での様子を窺ってから投入された。ミノルタX-1以来のプロフェッショナル用機種であり、αシリーズのフラッグシップを表す“9”を冠した初のプロ用オートフォーカス一眼レフカメラである。オートフォーカスの作動方法には特徴があり、ミノルタ独自のセンサー付きシャッターボタンに指を触れるだけでAEとコンティニュアス方式のオートフォーカスが作動し、シャッターボタンの半押しでフォーカスロックとなる。ミノルタα7000は6Vであるフォーカス用モーター駆動電源が3V駆動であるため、発表当時からオートフォーカス動作が遅いと言われてた。ワインダー、モータードライブを使用してもカメラ本体への電源供給はなされていないので変化はない。発売時は評価測光(多分割測光)、マルチスポット測光以外の当時考えられるあらゆる機能を持ち、更に露出制御でのマルチモード、最高速1/4000秒、Xシンクロ1/250秒の高速シャッター等最先端のスペックを有していた。ファインダーには、ミノルタXD/ミノルタXD-S以来の視度補正機能とアイピースシャッターを内蔵。フォーカシングスクリーンも交換可能で、スプリットマイクロ方式のものまで用意されていた。ファインダー性能もオートフォーカス用の測距機構に光量を取られているにも拘らず、マニュアルフォーカスにも十分対応できる質の良いファインダーを搭載していた。レバー・クランクによる手動巻き上げ/巻き戻しが可能なオートフォーカス一眼レフカメラとしては最初で最後の存在であり、測光モード切り替えダイヤルを引き上げると巻き戻しクランクがポップアップするなど、操作系に関してはこだわりが強いカメラとなった。巻き上げには強力なシャッターチャージに力が必要なために重く操作感はあまり良くないが、ミノルタらしくキヤノンのようなゴリゴリ感はない。小刻み巻上げも可能。 ミノルタα-5000(1986年3月発売) - ミノルタα-7000の廉価版として発売された。廉価版と言っても価格面での差は少なく、フレームは同じものを使用しており共通部品も多い。機能面では露出制御モードや連続撮影機能の省略、モード制御用ボタン部にスライド式のカバーを取り付けるなど、ビギナー向けにインターフェースを変更して対応している。この機種は、上位機種をスペックダウンして初級機を作るという手法で作られていたが、この機種の次世代からは生産の合理化が進み初級機は初級機の作り方で作るという手法に変わっていき、フレームを共用し性能差=価格差とした最後のモデルとなった。 ミノルタα-7700i(1988年5月発売) - αシリーズの第二世代モデル。オートフォーカス測距点を3カ所に増やし、動体予測オートフォーカスを搭載し、これは追随メーカーのオートフォーカス一眼レフカメラ開発の指標ともなった。ハンス・ムートをデザイナーとして起用したデザインは秀逸で、第一世代の無骨さと異なり直線とそれをつなぐ曲線が美しくまとめられている。また機能面ではαシリーズの第一世代モデルで採用されたタッチセンサーは廃止、オートフォーカス補助光発光機能を本体に内蔵、6分割測光機構の採用などでオートフォーカス/自動露出ともに他メーカーを圧倒した。ミノルタ独自のカードシステムも採用され、主に露出制御関連の機能追加などをカードで行うことができた。当時はカメラに積めるメモリ搭載量の上限が低かったため、あると便利な機能をカードで提供し、ユーザーは必要な機能だけを後付で買うことができた。この世代からペンタ部上部のアクセサリーシューをオートロックアクセサリーシュー(英語版)に変更した。 ミノルタα-3700i(1989年7月発売) - αシリーズ第二世代の最廉価モデル。ミノルタα-7000に対するミノルタα-5000と違い、ミノルタα-7700iとは根本的に別物として設計されている。露出制御はプログラムモード(標準とハイスピードの2種類)しか持たず、カードシステムも装備されない。またファインダーには小型化と低コスト化のためにダハミラー方式を採用し、登場時においてはオートフォーカス一眼レフカメラとして世界最小最軽量モデルであった。専用オプションとしてプログラムフラッシュが2機種あり、それぞれ必要時に自動発光を行う。ここから初級機では徹底的な合理化によってコストダウンする方法が広まっていく。 ミノルタα-5700i(1989年8月発売) - αシリーズ初のフラッシュ内蔵型一眼レフカメラ。内蔵フラッシュは現在主流のポップアップ式ではなく固定式で、ズーム機構により照射角が変化する。機能面ではミノルタα-7700iより省略され、標準状態での露出制御はプログラムモードとマニュアルのみである。しかし一部は使用不可ながらカードシステムを持ち、この機種専用の「A/Sカード」を用いることで絞り優先およびシャッター優先モードが使用可能となる。 ミノルタα-8700i (1990年2月発売) - ミノルタα-7700iの改良型。改良点はミノルタでは初のシャッタースピード1/8000秒装備、6分割測光とスポット測光に加え中央重点測光、露出調整ボタンの追加、シンクロソケットの装備、ファンクションキーにより露出補正を選択していた露出補正機能の独立等が挙げられる。また多重露出機能を持つために「ファンタジーカード」を使用しての「幻想的」(メーカー説明による)な写真の撮影も可能となる。それ以外にも黒のみだった外装仕上げがガンメタリックに変更されている。シルエットはほぼ同じで目新しい機能の追加もなく、地味な存在ながらもより機能性・操作性の向上を目指したものとなっており、第二世代型αシリーズの完成型と言える。 ミノルタα-8700iミール(1990年10月発売) - ソビエト連邦の宇宙ステーションミールに搭載されたことを記念したパールホワイトの限定バージョン。同色の標準ズームレンズ、フラッシュおよび記念テレホンカードが付属。機能面や性能面での違いは皆無。 ミノルタα-7xi(1991年6月発売) - αシリーズの第三世代モデル。「ゼロタイムオート」 を称し第二世代型αシリーズをより自動化したもの。ミノルタ独自のグリップセンサー、ファインダー接眼部下部のセンサーにより構えただけで自動露出機構とオートフォーカスが作動、必要とあらばミノルタとしては初採用のポップアップ式フラッシュが動作し、さらには電動化されたズームレンズのズーム機構までが適切な(と思われる)画角まで自動的に制御され、まさに使用者は「ただシャッターボタンを押すだけ」となる。しかしユーザーはここまでの自動化を求めてはおらず、さらにそれまでのαシリーズと一線を画すデザイン、大きさのため登場と同時に不評を買った[誰によって?]。また多機能さと引き換えに操作性は複雑で、この点は同時期の他社一眼レフカメラも同様の傾向にある。機能面ではオートフォーカス測距点の追加、14分割測光の採用、巻き上げコマ速度のアップなどで、この点も同時期の他社のオートフォーカス一眼レフカメラとの差はほとんどない。ミノルタ独自のカードシステムは引き続き採用され、電動式ズームレンズと組み合わせて使用する「ファンタジーカード2」などが用意された。 ミノルタα-3xi(1991年8月発売) - xiシリーズの末弟で、フラッシュのオートポップアップなどが装備された。徹底した入門機。 ミノルタα-5xi(1992年3月発売) - xiシリーズ最後の中級機。「オートスタンバイズーム」「ゼロタイムオート」「パノラマ撮影」を引き続き採用するが「データメモリーカード」で使える機能が非対応になるなど、7xiと比較して機能が一部削除されている。 ミノルタα-9xi(1992年7月発売) - ミノルタα-7xiの上位機種として世界初のシャッタースピード最高速1/12000秒を実現。現在でもフォーカルプレーンシャッターにおいてはこの記録は破られておらず、後継機のミノルタα-9にその実力は受け継がれた。本機を含めたxiシリーズはカメラの自動化・電動化の極致とも言えるもので、その多彩な機能に比べてボタン・ダイヤル類が極端に少ない(プロ向けのためオートスタンバイズームは不採用)。1つのボタンに数種類の機能を持たせているため、初めて使う者やダイヤル式の操作感に慣れた者にとっては操作が難解で、当時のミノルタのシェアを大きく落とすことになった。しかし、左手でレンズを持ったままファインダ内ですべての設定が確認でき、右手のみで各種設定ができる操作性は、ある意味理想的と言え評価が分かれるところである[要出典]。一般には評価が低いが[要出典]、業界最速のシャッター速度やシャッター周りの防塵・防滴構造、作りの良さなどプロカメラマンの使用にも十分耐えうるカメラであった。映画、「ガメラ 大怪獣空中決戦」でストロボ光で「ギャオス」を追い払うカメラとして使用されている。 ミノルタα-707si(1993年11月発売) - αシリーズの第四世代モデル。第三世代型αシリーズでの自動化の極地の反動から開発された。それまでの1ボタン多機能による煩雑な操作性を、1ボタン1機能に絞りこんだ設計になっている。またデザイン面でも、ある意味「冒険」的な曲線主体の第三世代型αシリーズよりも、第二世代型αシリーズのラインに近いものが採用されている。機能的な部分ではほぼミノルタα-7xiと同じであるが、測光方式に更なる多分割測光であるハニカムパターン測光が継承された。また、第三世代型αシリーズで採用された「アイスタートシステム」は切り替えスイッチが増設されて残され、第二世代型αシリーズで採用された「カードシステム」もそのまま残されている。カードシステムはこの機種への採用を持って終了した。カメラグランプリ'94受賞、ヨーロピアン・カメラ・オブ・ザ・イヤー'94-95受賞、'94-'95オーストラリアン・SLRカメラ・オブ・ザ・イヤー受賞。 ミノルタα-303si(1994年1月発売) - 第四世代型αシリーズでの廉価モデル。露出制御モードに「シーンセレクト」方式が採用されている。 ミノルタα-707si japan(1995年2月発売) - 総漆塗り限定バージョン。 ミノルタα-507si(1995年2月発売) - 商業的に失敗に終わったxiシリーズに次ぐα第4世代siシリーズ。中でもこの機種は1つのダイヤル・ボタンに1つの機能を割り当てるクラシックオペレーションを採用。この操作系は後に発売されるミノルタα-9、ミノルタα-7に引き継がれた。また、ミノルタ707siと異なり液晶パネルをファインダースクリーンと重ねることを廃止しているために逆光でもすっきりと見やすいファインダーに回帰している。この機種で採用されたダイヤル・ボタンによるシンプルな操作性は、同時代のカメラによく見られる多機能に伴う複雑な操作系を見直すきっかけとなり、以降は他のメーカーでも同様にダイヤル・ボタンによるシンプルな操作性を持つ機種が多く登場した。 ミノルタα-101si(1995年5月発売) - 第4世代型αシリーズでの最廉価モデル。ミノルタα-5700i以来の固定式フラッシュが採用されている。 ミノルタα-303siスーパー(1995年7月発売) - ミノルタα-303siの改良型。従来はプラスチックだったレンズマウント素材を金属に変更、リモートレリーズソケット、スポット測光機能が追加されている。また、従来機では暗さが目立っていたルーフミラーも改良され、ファインダーが大幅に明るくなっている。外装色も黒色からグレーメタリック系色に変更された。 ミノルタα-807si(1997年6月発売) - ミノルタα-707siの改良モデル。内蔵フラッシュが大型化され、それが外観でも大きな特徴となっている。操作性も一部改良された。内蔵されたフラッシュはポップアップ式にも関わらず、ズーム機構によって照射角が変化する。ガイドナンバーは20に達し、それまで発表されたカメラ内蔵型フラッシュとしては最大のものである。カードシステムは廃止され多くの機能は標準装備となったが、カードにより実現されていたミノルタ独自の特殊効果である多重露出のフェードイン&アウト機能、ファンタジーカード系、フィルムのラチチュードを読み取ってH/S基準を補正する等の機能は割愛された。 ミノルタα-Sweet(1998年4月発売) - 普及型オートフォーカス一眼レフカメラ。主として一眼レフ入門者やファミリー層をターゲットにしている。小型・軽量で女性も扱いやすいことをコンセプトにしている。当時のこのクラスの定番だったキヤノンEOS-Kissに対抗したネーミングや操作系を持ち、EOS-Kissとの差別化もあってか中級機に匹敵する1/4000秒のシャッターを持つ。事実、海外ではα-507siの後継機的扱いであり、Dynax5といった所謂5系列の名称が付けられていた。 ミノルタα-9(1998年12月発売) - 派手な機能はないがα初の視野率100%ファインダーをはじめ1/12000秒の高速シャッター、単体ボディで秒間5.5コマのフィルム送給を達成、フルメタルボディなどカメラとしての基本機能を追求した機種。特に周辺の見えを良くするためのコンデンサーレンズ、ホコリが入るのを防ぐファインダーブロック周りのシーリング、オプションで用意されたボケ量重視のM、MIIスクリーンとファインダーにコストが掛かっており、「オートフォーカス一眼レフカメラで一番気持ちいい」と評判になる程のファインダーとして明確な結果になって表れている。 ミノルタα-Sweet S(1999年3月発売) - α-Sweetの廉価版。α-Sweetから上級者向けの機能を省いたシンプルな構成となっている。シャッターユニットもスペックダウンされ、他社同様の1/2000秒クラスになった。同年6月に黒色外装タイプも追加。 ミノルタα-360si(1999年8月発売) - ネーミング的には第四世代だが、成り立ちとしてはα-Sweet Sの廉価版で、α-101siの後継機的存在。ファミリー/ビギナー向け一眼レフ市場の拡大に対応して発売された。もともとシンプルなα-Sweet Sを更にシンプルにした、実質的なプログラムオート専用機。 ミノルタα-9Ti(1999年11月発売) - チタン外装で150gの軽量化に成功した限定モデル。世界限定1000台発売。 ミノルタα-7(2000年9月発売) - ミノルタα-807siの後継モデル。背面に大型のナビゲーションディスプレイが搭載。各種設定が日本語(他言語も選択可)で表示されるため、わかりやすくなった。カメラを縦位置にするとナビゲーションディスプレイの表示も縦表示に切り替わる。撮影データを記録でき背面の液晶ディスプレイに表示することができるほか、専用のリーダーを使うことでスマートメディアに移し変えることが可能である。ミノルタα-9よりも後発で機能的に超える部分もあり、ミノルタ中堅機種の極致とも言える機種である。カメラグランプリ2001を受賞、銀塩カメラとしては今のところ最後の受賞となっている。2000年度グッドデザイン賞受賞、TIPA AWARDS 2001-2002、Best Photo SLR Camera 受賞、ヨーロピアン・カメラ・オブ・ザ・イヤー 2001-2002 受賞、オーストラリア・カメラ・オブ・ザ・イヤー 2001-2002 受賞。 ミノルタα-SweetII(2001年7月発売) - α-Sweetの後継機。シャッターユニット等の基本性能はα-Sweetを継承しながら、本体設計を一新してAF一眼では最小クラスの小型軽量化を実現している。 ミノルタα-7 LIMITED(2001年11月発売) - ミノルタα-7の世界3大カメラ賞受賞記念の限定版。日本国内では2001台発売。専用のブラックレザー塗装と製品名文字が金色なのが外観上の特徴。他にも操作ダイアル等に細かな改良が施されている。専用ストラップにはシリアルNoが入り、購入時にネーム入れサービスがあった。 ミノルタα-SweetII L(2002年6月発売) - α-Sweet IIの廉価版でα-Sweet Sの後継機。実質的には中級機的な機能も持たされているα-Sweet IIから、ファミリー層に不要な上級者向けの機能を省いた構成となっている。シャッターユニット等の基本性能はα-Sweet Sをほぼ継承しながらα-Sweet IIのボディシェルを流用することでAF一眼最小クラスの小型軽量化を実現している。 ミノルタα-70(2004年1月発売) - ミノルタブランドでの最後の一眼レフカメラ。その後のコニカミノルタブランドではデジタル一眼レフカメラのみ発売され、銀塩一眼レフカメラは発売されなかったことから、名実ともに最後の一眼レフカメラとなった。発表前はミノルタα-7の改良型との誤った憶測が流れ、ミノルタα-7の買い控えにもつながった。それを裏付けるように、操作系や全体の仕上げ等は、上位機のα-7に近いものとなっており、市場の変化に合わせてファミリー向けからかつての入門機へ原点回帰したモデルともいえる。内容的には1/2000秒クラスのシャッターユニットを持ったα-Sweet S~II Lの廉価版入門機クラスで、海外生産に移行しコストダウンを図っている。本機に採用されたオートフォーカスセンサーは後のミノルタα-7DIGITAL、ミノルタα Sweet DIGITALにも採用された。
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