ヤン艦隊の軍人
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「銀河英雄伝説の登場人物・自由惑星同盟」の記事における「ヤン艦隊の軍人」の解説
ルイ・マシュンゴ (Louis Machengo) 声 - 中尾隆聖(旧) 准尉。正式な所属・役職は不明だがヤン艦隊要人の護衛を務めることが多い。 筋肉質な巨体の黒人の軍人。その体格に対して目は丸く愛敬があり、心やさしい雄牛といった印象をもたせる。普段の性格は穏やかなながら、白兵戦においてはその肉体通りの暴力性を持ち、シェーンコップから軟弱(やわ)な連中であれば片手で一個小隊は片付けると太鼓判を押される。また忠誠心にも秀でる。正式な役職は不明で、登場時は査問会に向かうヤンに護衛役と同行し、結果としてはフレデリカの身辺を守る。中盤以降はユリアンの護衛役としてフェザーンや地球にも同行し、時に彼を諭す。 物語上の初登場は第8次イゼルローン攻防戦におけるヤン査問会の折で、シェーンコップの推薦で、ハイネセンに呼び出しを受けたヤンの護衛役として登場する。この時はもっぱら軟禁されたヤンを救うために行動するフレデリカに同行する。その後、ユリアンがフェザーン駐在武官に任命されると、ヤンの推薦でユリアンの護衛役となる。以降、ユリアンに献身的に尽くし、帝国によるフェザーン占領の際も、脱出のためにマリネスクとユリアンを引き合わせるなどする。バーラトの和約体制体制下ではごく自然にヤン家の住人になっており、続くユリアンの地球調査にも、運命には逆らえませんと言って同行し、活躍する。ヤン暗殺事件では、ユリアンと行動しており、ヤンの死に激昂して我を失った彼を優しく諭す。終盤、シヴァ星域の戦いではブリュンヒルトに乗り込み、ラインハルトの下へ向かうユリアンを護衛するが、挟み撃ちにあって背後から銃撃を受けた際にユリアンを庇い戦死する。 グエン・バン・ヒュー (Nguyen Van Thieu) 声 - 小室正幸(旧) / 三宅健太(D) イゼルローン駐留機動艦隊分艦隊司令官。准将(のち少将)。旗艦はマウリヤ。 猛将タイプの提督。総司令部の冷静なコントロールがあれば、絶大な破壊力を奮うことができると評され(ラインハルトの部下でいえば、ビッテンフェルトに似ていると評される)、ヤンの指揮下では多大な攻撃力を発揮する。同じ分艦隊司令であるアッテンボローと共に名が挙がるなど、ヤン艦隊の提督として一定の地位を有していたが、その性格上の問題が祟り、早期に物語から退場する。 作中への最初の登場はドーリア星域会戦で、ヤンの作戦計画に従って伏兵を持って敵を急襲し、その猛攻によって多大な戦果を挙げる。この時、分断するため敵陣に突入して包囲されても「こいつはいい、(周囲が敵だらけなので)狙いをつける必要がない」と陽気な笑い声で放言し、大胆とも頭のネジが緩んでいるとも評される。第8次イゼルローン攻防戦では、メルカッツの指揮の下、アッテンボローと共にその猛攻でケンプ・ミュラー艦隊を叩きのめす。ところが、その戦後に、ヤンの命令を無視し、アラルコンと共に敗走するミュラー艦隊を追撃し始める。このため、救援に来たミッターマイヤーとロイエンタール両艦隊の逆襲を受け、数・戦術・指揮官としての能力とすべてに劣る中、手も足も出ないまま壊滅して戦死する。その後、あっさりと退却したミッターマイヤー・ロイエンタール両艦隊と、グエンとアラルコンの無意味な追撃が比較され、名将とは明確に目的を持ち、それを達成したら執着せずに離脱するものとヤンに評される。 スーン・スール 声 - 小野健一(旧) ビュコックの副官。少佐。27歳(バーラトの和約体制下時)。後にヤン艦隊に入る。本名(旧姓)はスーン・スールズカリッター (Soulzzcuaritter)。 長年ビュコックの副官を務めてきたファイフェルの後任の青年士官。上記の珍姓奇名をしばしば周囲からネタにされていたが、ビュコックからスール (Soul) という通称で呼ばれるようになると、それを気に入り改名したという経歴を持つ。容姿や言動は普通で、大過なく任務をこなす能力に秀で、ラグナロック作戦では上官である彼を支える。物語後半ではヤン艦隊へ派遣され(このため、ヤン艦隊の幹部としては加入は最も遅い)、以降、最後までイゼルローン軍で活躍する。 ランテマリオ星域会戦直前に心臓発作で倒れたファイフェルに代わってビュコックの副官となる。それ以前にファイフェルの補佐を務めた経歴を買われており、OVA版は明確にビュコックから指名を受ける。また、その際に上記の経緯から名前を本名のスールズカリッターからスールに改めた。作中直接描写はされないが、ラグナロック作戦においてはビュコックの傍らで戦役を生き抜く。戦後の明確な去就は不明であるが、ラインハルトの再侵攻の宣言に際し、退役したビュコックが再出仕すると駆けつける。ビュコックに最期まで仕えるつもりであったが、若者の命は無駄にしたくないビュコックやチェンによってヤン艦隊に加わるよう命令を受け、ムライらと共にヤンの元へ向かう(その道中で叛乱が起こった際にはパトリチェフと共に鎮圧にあたる)。以降は正式な役職は不明ながらヤン艦隊の幹部として行動する。回廊の戦い後のラインハルトとの会談の際には、(ポプランの言い分では)ビュコックの代理として随行員に選ばれるが、そのためにヤン暗殺を狙った地球教のテロに巻き込まれる。パトリチェフやブルームハルトらと暗殺者達を迎え撃つが、左鎖骨を撃たれた衝撃で側頭部を壁に強打し気絶、意識不明の重症となる。結果として唯一の生存者となり、意識回復後に何が起きたかをユリアンらに伝える。その後も最後までヤン艦隊に付き従い、シヴァ星域の戦い後はユリアンに随行してフェザーンに向かうアッテンボローより軍務を任され、残った他の幹部らと共にイゼルローン要塞の放棄の準備を行う。 本作の登場人物名は国際年鑑などから拾った人名を組み合わせたものであったが、この「スーン・スールズカリッター」という奇名については作者の田中が創造した氏名だという。作者によれば、夢の中でなぜか追われて逃げていた謎の人物の名前であるとのこと。 ラオ (Lao) 声 - 亀山助清(旧) / 畠中祐(D) 第2艦隊幕僚。のち第13艦隊の参謀(分艦隊主任参謀)。少佐(最終は大佐)。 目と鼻が小さい顔をしたヤンと同年配の士官。アスターテ会戦においてパエッタが負傷し、ヤンが艦隊指揮を執ることになった際に、彼以外で無傷の幕僚として登場し、ヤンを支える。その後、第13艦隊の結成にも参謀として参加する(中佐)。以下、目立った活躍はないものの、作中には頻繁に登場し、ヤンやアッテンボローの幕僚として彼らを補佐する。ヤン艦隊の高級軍人としては最後まで所属して生き残り、シヴァ星域の戦い後はマリノを筆頭として、リンツやスールと共にイゼルローン要塞の放棄の準備を行う。 OVA版では原作中での出番や役割がアッテンボローに変更されており、ほぼ出番がない。ノイエ版におけるアスターテ会戦では概ね小説通りの立ち位置で行動する。 ベルンハルト・フォン・シュナイダー (Bernhard von Schneider) 声 - 目黒裕一(旧) / 平川大輔(D) 帝国軍人で、帝国軍時代からのメルカッツの副官。少佐。のち同盟に亡命し、ヤン艦隊に所属する(大尉待遇、最終は中佐)。 上官であるメルカッツを強く慕う青年士官。くすんだ金髪で、帝国では貴族令嬢たちから「甘いハンサム」と呼ばれていたという。怜悧な頭脳を持ちメルカッツの副官としてこれを良く補佐するが、若さゆえの見識の甘さや感情の発露をメルカッツに諭されることもある。メルカッツの明敏さや人格を熟知するがゆえに、彼の代わりに怒りを見せたり、また、メルカッツが自分に不要な配慮をしないように、自らを律しようとするなど、高い忠誠心を見せる。あくまでその忠誠の対象はメルカッツであり、同盟や民主共和制の理念には淡白であるが、メルカッツを快く迎え入れてくれたヤンには感謝している。また、後述の通り、もともとメルカッツにヤンへの亡命を勧めた人物である。 作中での初登場はリップシュタット戦役からで、門閥貴族らに翻弄されるメルカッツの副官として彼を補佐し、時に彼らに怒りを見せる。戦役終盤、貴族連合軍の敗北が確定する中、メルカッツが自殺を選ぶと予期してこれを防止し、ヤン艦隊への亡命を勧める。亡命後は、メルカッツの2階級降格に従い、大尉待遇となる。以降、ヤン艦隊の一員となるが、上記の通りあくまでメルカッツの副官という立場であるため、個人としての目立ったエピソードはない。銀河帝国正統政府が樹立するとメルカッツが無断で軍務尚書に任ぜられたことに伴い中佐に任ぜられ(以降は物語の終わりまでもっぱら中佐の階級で呼ばれる)、「動くシャーウッドの森」にも従う。最後シヴァ星域の戦いにおいて、自身も重傷を負いつつメルカッツの死を看取り、戦後は、帝国本土へ戻ってメルカッツの遺族に会うことを伝え、ユリアンと別れる。 マリノ (Marino) 声 - 荒川太郎(旧) 戦艦ヒューベリオン艦長。大佐。のち分艦隊司令、准将。 必ずしも一致しない、一艦艇の艦長としての能力と艦隊指揮官としての能力を併せ持つ有能な軍人。初期はヒューベリオンの初代艦長としてアムリッツァ会戦に参加するが、途中から分艦隊司令となり、以降メルカッツやアッテンボローと共にヤン艦隊の戦いに貢献する。回廊の戦いでフィッシャーが戦死した後は、彼に比肩はできないと評されつつも、その役割を継ぎ、最後までヤン艦隊に残る。 作中での初登場はアムリッツァ会戦の時で、ヒューベリオンの初代艦長として登場する。その後の来歴はまったく不明で、バーミリオン星域会戦の頃には既に分艦隊指令で准将となっている。戦後、「動くシャーウッドの森」には参加せず、ヤン奪還などの騒動にもまったく登場しない。しかし、回廊の戦いでは再び分艦隊指令として登場しており、正統派の用兵で帝国軍の中核に肉薄するが、シュタインメッツの巧みな救援で逆に大損害を被る(しかし、これによってシュタインメッツは戦死する)。戦後、戦死したフィッシャーの役割を引き継ぎ、シヴァ星域の戦い後は、フェザーンに向かったユリアンやアッテンボローに代わりイゼルローンに残った高級幹部の筆頭として、イゼルローン放棄の準備を行う。 アサドーラ・シャルチアン 声 - 小島敏彦(旧) 戦艦ヒューベリオンの艦長(マリノの後任)。中佐。 硬い黒髪に髭をたくわえ、浅黒く精悍な顔立ちの軍人。中背ながら逞しい身体つきとも描写される。マリノの後任で、少なくとも第8次イゼルローン攻防戦時には現職にある。艦隊指令としては未知数だが、少なくとも一艦のリーダーとしては、統率力にも運用能力にも申し分のない人物で、ヤンから厚い信頼を受ける。バーミリオン星域会戦にも登場し、旗艦が突出して被弾の恐れがあるので後退することを進言してヤンから自由に指揮するよう言われるも、たった10分後に後退しすぎて指揮がしにくいと愚痴を言われてしまう。 ニルソン (Nilson) 声 - 大林隆之介(旧) 戦艦ユリシーズの艦長。中佐(のち大佐)。 40歳を過ぎた「ごついおっさん」という風体の軍人。強運のジンクスがあるユリシーズの艦長として、これに負けない能力を持ち、終盤でもユリシーズを旗艦としたユリアンから高く評価、信頼されている。個人としてのエピソードは少ないが、40過ぎて親知らずが生え、それによる歯痛で不機嫌だった折に、様々な噂話が飛び交い、最終的にフィールズのユリアンに恋慕していたという冗談が広まったというものがある。 OVA版では端役ながら登場頻度が増えている。また、劇場版第1作においては、ヤンとアッテンボローとあわせて3人で、ユリシーズを乗艦として囮部隊を率いるという任務に参加している。ユリシーズは「じゃじゃ馬で他の人にはとてもじゃないが任せられない」と述べて、自らが指揮を執り、巧みな操艦技術でラインハルトの乗艦ブリュンヒルトの真下に接近し、事実上ラインハルトを人質に取るという作戦に貢献する。 エダ (Eda) 声 - 山口晃(旧) 戦艦ユリシーズの副長。少佐。 作中での人物描写はなく、本編の序盤である2巻で、少し名が登場する。OVA版ではほぼ端役ながら登場頻度が増えており、イゼルローンからの脱出時のフィールズのエピソードや、「8月の新政府」樹立時の同盟国歌合唱時などに姿を見せている。 フィールズ (Fields) 声- 島田敏(旧) 戦艦ユリシーズの航法士官。中尉。 作中での人物描写はないが、気の利いた軽口や冗談をした人物として触れられることがある。第4巻8章において、ここ数日、上官のニルソンが不機嫌な理由を、「少年愛者でユリアンに好いていたが、先頃、フェザーンに駐在武官として派遣されてしまったから」との冗談が、人気を博したという。第5巻2章では、イゼルローン脱出のために、ユリシーズに600人の乳児とその母親が搭乗することになった際、女性が最も美しく見えるのは出産直後で、そのような女性が三個中隊分も乗り込んでくる、と兵員達の士気を鼓舞しようとしたといったエピソードが紹介される。 トダ (Toda) 声 - 大森章督(旧) / 勝杏里(D) ヒューベリオン所属のスパルタニアンの整備主任。技術大尉。第1巻8章の登場人物。 帝国領侵攻時のケンプ艦隊との交戦に際して、ポプランのスパルタニアンの機銃の照準が狂っており(ポプランの言い分では9-12度)、「味方殺し」や「給料盗人」などと猛抗議を受ける。これに対して人間よりも戦闘艇の方が金がかかっているから整備には気を使っているなどと皮肉で反抗したため、ポプランと取っ組み合いの喧嘩となる。最終的にはシェーンコップの仲裁によってその場は収められる。 OVA版では技術少佐に変更されている。これは小説初版においてはポプランの階級は中尉(後の版ではイワン・コーネフとともにトダと同格の大尉に修正)であってトダは上官とされていたことによるスライド処置。出撃直前に女性整備兵を口説くポプランの邪魔をしたうえ、機銃の照準に対するポプランの抗議に「てめえの未熟を人のせいにしやがって」と反抗したため、ポプランに腹を殴られるが、追い打ちをかけられそうになったところをコーネフが止めさせた。 ノイエ版では補給が途切れた影響で不眠不休で作業をしており、パイロットとは違って食事も満足に出来ないことで整備に手落ちがあったかもしれないと謝罪し、最後には「今度はあんなヘマしません」と宣言してポプランとは和解する。 ハムディ・アシュール 声 - 中博史(旧) 少佐。第6巻8章の登場人物。 艦隊戦術オペレーターとしての優秀さで知られる軍人。メルカッツ麾下の「動くシャーウッドの森」に後から合流した軍人の一人で、その中でもっとも高い階級を持つ。メルカッツとの面会では、非礼を承知で、その目的や意志を問い、民主共和政が目的であることを確認する。また最高司令としてはメルカッツでは問題があり、(婉曲的に)ヤンが相応しいと進言する(直接的だとヤンに迷惑がかかるため、あえてビュコックやシトレといった候補者を否定することで消去法でヤンを挙げる)。シュナイダーからは頼りがいはありそうと言われつつも「何と理屈の多い奴だ」と皮肉られるが、メルカッツは苦笑しつつも、その見識の正しさを評価する。 どのように合流したかは原作では明示されていないが、OVA版ではマスカーニの配下で、破棄艦艇脱出時に「動くシャーウッドの森」への参加を選んだ人物の一人となっている。また「8月の新政府」樹立時の同盟国歌合唱時に描写されている。 エド、サイモン、ハズキ 声 - 田中和実、飛田展男、草尾毅(旧) 第13艦隊ヒューベリオンの乗組員。OVA版のオリジナル人物。 帝国側のオリジナルキャラクターであるクルトとトニオに対応する人物であり、視聴者に対しヤン艦隊の一般兵の信条を明らかにする役目を持っている。
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