から揚げ 下処理とから揚げ粉

から揚げ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/06 01:35 UTC 版)

下処理とから揚げ粉

から揚げにする食材により、下処理として使用するまぶし粉には違いがある。一般的には小麦粉薄力粉)や片栗粉(スターチ)がベースになる。食材あるいは各店舗や家庭のレシピによりスパイスや食塩などを加えたものを使用する。鶏肉のから揚げの場合は、ベーキングパウダーや米粉を加えることでクリスプ(さくさく)感を出すこともある。外食店や専門店では衣の付け方(順序)や下処理に独自の工夫が見られるが、家庭向けには鶏肉のから揚げを想定したプレミックス粉(から揚げ粉)が商品として販売されている。天麩羅は鶏卵と薄力粉を用いて溶き衣を作る点がフライ料理は鶏卵とパン粉を使用する点が一般的な違いとなる。

各種から揚げ

ゴボウのから揚げ
アンコウのから揚げ
イカ(烏賊下足)のから揚げ

様々なから揚げが存在する。それらは特別な名前で呼ぶ事もあるが単に「から揚げ」と呼ぶ事もある。

鶏のから揚げ
鶏肉に衣を付けて揚げたもの。フライドチキンとも呼ばれる。最も一般的なから揚げといえる。日本では醤油や生姜などで和風の味付けされたものをから揚げ、ハーブやスパイスなどで洋風の味付けされたものをフライドチキンと呼び分けるケースが多いが、実際は鶏肉に醤油などで下味を付けたものをから揚げ、衣にスパイスを加えて下味を付けたものをフライドチキンと呼ぶ。『鶏唐揚げ プロのテクニック』によれば、戦後に普及した料理であり、ブロイラーがアメリカから輸入されて養鶏業が広がったことで鶏肉が身近に食べられるようになり、それを戦中に中国大陸で調理技術を覚えた人が現地の調理を真似て唐揚げに仕立てたものである。高度成長期には手軽なスタミナ食としても好評を得て、多くの人に食べられるようになった[33]
軟骨のから揚げ
鶏の手羽または脚の軟骨部分を切り分けて、から揚げもしくは竜田揚げの手法で調理したもの。居酒屋メニューとしてビールのつまみなどにされている。
小海老のから揚げ
殻ごと食べられる程度の小振りのエビをから揚げの手法で揚げた料理。日本や中国で作られる。淡水産のテナガエビスジエビ、浅海産のシバエビやトラエビ、深海産のサクラエビシラエビ、ジンケンエビなどが用いられる。
竜田揚げ
竜田揚げ(たつたあげ)とは、魚類肉類(食材)を醤油やみりんなどで下味を付け、片栗粉をまぶし油で揚げた料理・調理である[3][51]。衣は小麦粉や揚げ物用のプレミックス粉(調整粉・ミックス粉)を用いることもある。鯨肉を用いた竜田揚げは、昭和時代安価で提供できたために学校給食のメニューにしばしば上っていた[40]。「竜田揚げ」を「から揚げ」という地域もある[52]
1924年の『経済的食物調理秘訣』において「立田揚」が見られ、牛肉、馬肉、豚肉、鳥肉等の脂身を去り適宜に切り、味醂に醤油もしくは酒と醤油と砂糖を良い味に合せた汁の中に十五分ほど漬けて上げ、その汁でウドン粉(小麦粉)を良い具合にかき、衣として付けて揚げ紅葉二、三枚つけ供するとされている。1928年の『軍隊調理法』にも「龍田揚」が見られ、こちらは生魚の切り身を醤油に一時間程浸し煮立てたラードで揚げたものとしている。
竜田揚げの語源として、小倉百人一首在原業平和歌「千早振る 神代もきかず 龍田川 からくれなゐに 水くくるとは」で知られるとおり、龍田川が紅葉の名所であったことから連想されて名付けられたとされる[53]。この歌は「この龍田川に、一面に紅葉が流れているのを見るとまるで水を紅いくくり染にしたようにみえる」という意味だが、醤油につけて赤っぽい色を出すだけでなく片栗粉をつけ、火が通ると片栗粉は白くなる。紅葉で赤く染まった中に点々と白色が見え、これが紅葉の流れる龍田川の光景のようであるため「龍田揚」としたというものである。
竜田川流域の奈良県斑鳩町は2013年、生駒市は2014年に、竜田揚げをご当地グルメとする町おこしを始めた[54]
異説として、大日本帝国海軍軽巡洋艦龍田」の司厨長が発明したというものがある[55][56][要検証]

各地域のから揚げ

各地域に様々なから揚げが存在する。それらは特別な名前で呼ぶ事もあるが、単に「から揚げ」と呼ぶ事もある。

山賊焼
長野県の山賊焼は鶏の竜田揚げであり、中信地方で好まれる。
手羽先唐揚げ
鶏の手羽先唐揚げは日本各地で広く食されているが、名古屋圏の名物ともされている。名古屋の手羽先唐揚げは、揚げたあとにタレを塗り、塩・胡椒・白ごまなどを振りかけて仕上げるため、パリパリとした食感でコショウのスパイスが強い。
聖地中津からあげ
これは大分県中津市のから揚げで、この地は鶏肉のから揚げ店が多く[57]日本唐揚協会はから揚げの聖地としている[58]。中津市以外でも宇佐市福岡県京築北九州筑豊地区にも多くのからあげ専門店が存在している。
かつて1990年秋にケンタッキーフライドチキン(KFC)が中津市に出店したが、売り上げ不振のため1995年5月に一度撤退した。地元では「から揚げにフライドチキンが負けた」という都市伝説が定説になっている。なお、KFCは2007年に再度、市内のゆめタウン中津に出店している[59]
また、大のから揚げ好きとして知られる声優南早紀も中津市の出身であり、2019年には2019年ベストカラアゲニスト女性声優部門に選出されている。
せんざんき
これは鶏料理が盛んな愛媛県今治市に伝わる江戸時代からの郷土料理である。元来は同地に多かったキジの肉を使った揚げ物であったが、現在では下味をつけた鶏のから揚げのことを指し、料理店によっては骨付きで提供される場合もある。現在の形となったのは1930年代で、鶏料理の際に残った骨付き肉にタレを付けて揚げたものであったという[60]
半羽揚げ
新潟県新潟市から三条市を中心に食されている鶏肉のから揚げ。縦半分に捌いた若鶏肉を下味を付けずに骨付きのまま極薄い粉衣を付けて揚げた物。そのままで提供される店と一口大に切ってから提供される店がある。塩味と薄くカレー粉がまぶされていることが多い。好みでガーリックパウダーを振って食する。
鶏の半身揚げ
新潟の半羽揚げとは製法が異なっており、鶏の半身を衣を付けずに素揚げしたもの。発祥は1965年頃の小樽市もしくは釧路市とされるが、現在は小規模ながらチェーン店なども生まれ北海道内各地で見られるようになった。
主に小型の地鶏・若鶏(または雛鶏)を縦半分に捌き、特製のタレに漬け込んだ後、そのまま油で揚げた物である。味付けに塩ダレを用いるのは小樽市に多く、醤油ダレを用いるのは釧路市に多い。
関からあげ
岐阜県関市で食される鶏のから揚げ。衣が黒く、ひじきと地元名物のシイタケを使用している。黒いから揚げだけではなく、赤パプリカを使用した赤いから揚げや地元の米粉を使用した白いから揚げもある。
グルクンのから揚げ
海水魚の一種タカサゴは、沖縄方言で「グルクン」と呼ばれる。南西諸島でよく食べられる。から揚げが最もポピュラーな調理法である。居酒屋のメニューなどに多くみられる。これは鮮度が落ちやすく淡泊な味であるグルクンを油で揚げることで臭みを消し、さらに旨味をつけるという狙いがあると言われている。こうした調理法は沖縄のみならず、台湾タイなど南方の国々では一般的である。
沖縄のバター焼き
沖縄には「バター焼き」と称する魚料理がある。これは日本本土で一般的なムニエルのような切身のバターソテーではなく、マーガリンとニンニクで風味を付けた魚の丸揚げのことである。
ざんき、ざんぎ
愛媛県新居浜市の郷土料理であるざんきは、今治市のせんざんきとの関連性があるものと一般に言われているが、その一方で1959年まで存在した多喜浜塩田で作られた塩の取引で北海道との交易があったことから、北海道のザンギが新居浜市に伝わったという説もある。市内にある老舗店では北海道ざんぎが当店で扱うざんきの起源であると説いている。
土井中照『やきとり天国』によれば、語源は中華料理で鶏のから揚げを指す「軟炸鶏(エンザーチ)」や「清炸鶏(チンザーチ / センザーチ)」にあり、昭和初期に満州から引き揚げた飲食店の店主が現地で教わった料理を供するようになったことから始まったといい、下記の北海道ザンギと似た響きなのは、語源が同じ「炸鶏(ザーギー[61]、ザーチー)」から来ているという説が有力である[38]
また、かつて山形県酒田市や同鶴岡市など庄内地方では鶏のから揚げのことをざんきまたはざんぎと呼ぶことがあった。後述の北海道と渡航の拠点地で交流があったため[31]
ザンギ
ザンギは北海道で広く用いられる呼称である。料理の名前であり「から揚げにしたもの」という意味を持つと、くしろザンギ推進協議会 は定義している[62]。また、日本唐揚協会や北海道ザンギ愛好会は、「「ザンギ」と「唐揚げ」の垣根が曖昧なこともあり、同一のものとする見方が強まっている」という見解を示している[63][64]。また、中華料理の炸子鶏(ザー・ ツゥ・チー)」と「散切り(ざんぎり)」が合わさってできたという説などもある[65]。ザンギの調理法としては鶏肉を醤油とニンニクなどの調味料で味付けし、そこへ片栗粉及び小麦粉を混ぜ揚げたものである。また、ザンギの名称は、鶏以外の食材(獣肉:豚肉・羊肉鹿肉、魚介類:タコイカサケなど)のから揚げに対しても用いられ、料理法として一般名詞化している。鶏肉以外で作る場合、材料名を足して「蛸(タコ)ザンギ」などと呼ぶことが多い。語源には中国語の「」( / )で鶏のから揚げを意味する「炸鶏(ザーギー[61]、ザーチ)」の説がある他に「千斬切(せんざんき)」の説など諸説ある[66]
ザンギの調理は、下味付けの際に醤油やショウガ、ニンニクなどで味付け(下味を付ける場合には前日から漬け置く場合もある)、その食材に粉(小麦粉・片栗粉又は、両方)・卵などを合わせ高温の油で揚げて施したものがザンギとされる。しかし、明確な区別がない場合も多いようである[67]

ハワイ

モチコチキン
下味をつけた鶏肉にもち米の粉(白玉粉)をまぶして揚げたハワイの料理。プレートランチ屋のメニューに出ることがある。

ミラノ

ミラネッサ・デ・ポジョは、肉を揚げたイタリアミラノの料理で、子牛や子羊や若鶏の肉で作られる。衣にはパルメザンチーズが入っている[31]

アレキパ

ポジョ・チャクタードは、ペルー第二の都市アレキパの名物のペルー風から揚げ料理で、ピリ辛ソースをかけて食べる[31]


  1. ^ a b 小学館デジタル大辞泉からあげ
  2. ^ 『新修国語漢和辞典』(集英社)や『実用新国語辞典』(三省堂)の「からあげ」項
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  7. ^ 日本国語大辞典』(小学館、2000-2002年)
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  9. ^ 明鏡国語辞典』(大修館書店、2002年)
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  11. ^ 『江戸の料理史』(1989年、中央公論社
  12. ^ 『当て字・当て読み漢字表現辞典』(三省堂)
  13. ^ a b c d 川上行蔵著、小出昌洋編『完本 日本料理事物起源』(岩波書店、2006年)p551 ISBN 978-4000242400
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