黒曜谷ストレイドッグス
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「少女ファイト」の記事における「黒曜谷ストレイドッグス」の解説
黒曜谷高校女子バレーボール部。愛称であるストレイドッグスは「野良犬たち(Stray Dogs)」の意。練の姉である真理の世代は、インターハイを辞退したもののその年度の春高(春の高校バレー)で優勝し「春高優勝世代」と呼ばれている。その後は理由不明ながら部員不足になり廃部状態になっていた。犬神鏡子らが1年生の年にバレー部は復活するが、部員の退部による人数不足で対外試合も行われなくなり、部員減少に一層の拍車をかけた。部員は鏡子・鎌倉沙羅・蜂谷由佳の3人にまで減ったが、やる気のない部員は不要として積極的な部員勧誘は行っていなかった。次世代の新入生では練を筆頭とした10数人に目星を付けてなんらかのスカウト活動を行っており、実力はあるが他校では推薦入学させないような癖のある生徒を積極的に獲得していた模様である。練たちの世代が入部したあとに起きた「賭けバレー」関連でチームが謹慎処分を受けて以降は、全国のチームから悪役高校扱いされる状態となっている。 黒曜谷の女子バレー部は校内外から「魔女」と呼ばれている。鏡子・沙羅・由佳の2年生の3人は、中学時代から都内では有名なプレーヤーで、鏡子がセッターを務めるときの沙羅と由佳は「風神雷神」との異名をとる。文武両道が部の方針で、定期テストで赤点になるとレギュラーから降格される。これは、練習のしすぎによる故障で選手生命を絶たれた笛子の自分の体験から、バレーボールを引退したあとのことを考えての配慮である。 犬神 鏡子(いぬがみ きょうこ) 声 - 大原さやか 黒曜谷高校スポーツ科学科2年。6月12日生まれ、身長173センチメートル、体重59キログラム。キャプテンでポジションはセッター。容姿は母親似。 基本的にマイペースな性格。母親が黒曜谷高校の理事長であることから、「多少のおねだりは利く」というが、女子バレー部メンバーの赤点には手心を加えられることはない。 高いセットアップ技術を持ち、チームメンバー全員の最高到達点や踏み切り位置の癖も把握しているが、虚弱体質で喘息を患っており、全力でのプレーは1ローテーション程度しか持たない。そのため、試合では重要な場面にしか出場しない。喘息が発症した場合を考えて、学校ではあまり練習は行わずに自宅の体育館で沙羅と行うが、人知れず練習していることは公にはしていない。体の柔軟性はチーム内で練と一二を争う。 沙羅と千石雲海は幼少時から犬神家内にて3人でバレーをしている幼馴染で、2人に対しては特別な感情と感謝の気持ちを持っている。沙羅とその母(海羅)を苦しめた沙羅の父(槌家)を倒すことが幼少時からの目標になっており、彼が監督を務める朱雀高校バレー部との対戦では強い執着心をみせる。 母の画策によって、雲海と2人きりで強豪校視察のため1泊2日の遠征をすることになり、また沙羅らのメールによる後押しもあって、雲海と一夜をともにする。 夜に喘息の発作が起きて眠れないと、気を紛らわすために工作をすることがある。バレーボール型モーニングスター、バスケットボールで作った偽バレーボール、有刺鉄線ネットなど、思い付きによる常軌を逸した品が多く、盗聴器なども自作する。また本気で怒ると、あらゆる物を破壊する癖がある。 鎌倉 沙羅(かまくら さら / サラ) 声 - 伊倉一恵 黒曜谷高校スポーツ科学科2年。9月2日生まれ、身長178センチメートル、体重58キログラム。ポジションはセンター。 長身だがスピードや俊敏さは練をも凌ぐ。鏡子の速いトスアップに部内で唯一合わせられる、切れのあるスパイクを打つ。速攻の切れが良すぎるため「死神の鎌」と呼ばれている。常に感情を表さず無表情で寡黙、誰に対しても敬語で接する。しかし、抱きつかれたりキャプテン代行など慣れない状況になると、わかりやすく動揺する。 鎌倉財閥当主の孫娘だが、母(海羅)は駆け落ち結婚したため鎌倉家から勘当されている。その後、アルコール依存症となり家庭内暴力を繰り返す父(槌家)に耐えかねた母は父と離別し、幼い沙羅を連れて犬神家を頼っている。そのため、沙羅は幼少時から犬神家に住み込みで家事使用人をしており、鏡子のことを「お嬢」と呼んで公私に渡って奉公している。料理の腕前は抜群で、アレルギー体質の鏡子の食事はほぼ沙羅の手作り。そのため、鏡子は沙羅のことを嫁と称することもある。また、鏡子の自宅での練習にも付き合ってもいる。 鎌倉財閥と三國財閥(犬神家の本家)は同格で、本来は商売敵の関係だが、犬神了子(鏡子の母)や三國財閥会長の配慮で今まで犬神家内に在籍できている事実がある。沙羅はこの恩に報いようと、三國財閥の悲願(オリンピックで金メダル)に貢献すべく大学進学ではなく早期のVリーグ入りを希望していた。しかし後に「三國会長は、自分と母を事実上の人質とし、父を脅して望まぬ仕事をさせている」と確信し、三國財閥への敵対心を露にする。 蜂谷 由佳(はちや ゆか) / ユカ 声 - 柚木涼香 黒曜谷高校スポーツ科学科2年。4月17日生まれ、身長168センチメートル、体重78〜63キログラム(ダイエットの状況により変動)。ポジションはおもにウイングスパイカー。 常にヘアバンドをしている。大抵鏡子の奇行に突っ込みを入れる役回りになってはいるが、本人自身も癖のある性格らしい。少々太り気味なのが悩みの種。握力はチームNo.1で、彼女のオープン攻撃をレシーブすると腕が腫れ上がることから、「スズメ蜂」と呼ばれている。 白雲山学園の蜂谷千代は従姉妹で、容姿や性格が少し似ている。実家は練馬で手作りパン屋を経営しており、時おり千代も泊まりに来ている。 伊丹 志乃(いたみ しの) 声 - ゆかな 黒曜谷高校スポーツ科学科1年。8月20日生まれ、身長159センチメートル、体重47キログラム。 神戸出身で、高校では寮生活をしている。練と同じくらいの身長だが、努力家でバレーの総合的な実力も1年生の中でトップレベル。どのポジションもそつなくこなし、特にレシーブ力は練と双璧。 実力に裏付けされてプライドが高く、同学年だけでなく上級生に対しても毒付くことがある。心根は優しいのだが言葉がきつく、由佳からは「包容力が足りない」と評されている。また頭に血が昇りやすく、冷静さを失うとプレーの質が落ちるなど、メンタル面の鍛錬が課題となっている。身体能力は中学校時代ではチームや学級でもトップだったが、黒曜谷メンバーの中ではそれほど高くないことを思い知らされる。 母方の祖父は雨口組系の阪神地域を仕切るヤクザ、菱巻組の組長として関西では有名。そのため、関西では「ヤクザの孫娘」として知れ渡っている。父は堅気の一般人だが、志乃が中学生のときに父が菱巻組の跡目争いに巻き込まれて逮捕されたため「ヤクザの孫」だけでなく「ヤクザの娘」とのレッテルを貼られることとなった。このため中学の部員仲間を自分の悪評に巻き込まないよう、誘われていた地元の浅葱高校を蹴って、問題児を集めているという東京の黒曜谷高校に進学した。春高優勝が目標だが、それはヤクザの孫というだけで八百長をしていると言われたことを見返すため。志乃は幼少時を関東で過ごしたために訛りはないが、本気で激怒した際は関西弁が出ることもある。 大阪遠征時、鏡子へ暴言を吐いて泣いていたところを三國智之に(結果的に)励まされて以降は、智之を「バカ殿」扱いする未散を嗜めたり、クリスマスプレゼントを用意するなど智之を意識した言動をみせる。 当初は低身長の自分を活かせて且つポジション経験も豊富なセッターを切望していた。しかし1年生の冬に笛子・政子からチームバランス向上のためリベロへの転向を求められ、激しく葛藤するが、由佳や三國兄弟からの助言やサポートを受けたこともあり、リベロ転向を決意する。 延友 厚子(のぶとも あつこ) 声 - 渡辺明乃 黒曜谷高校スポーツ科学科1年。11月27日生まれ、身長174センチメートル、体重66キログラム。ポジションは主にレフト。 城南小学校バレー部ではキャプテン。栄中学校から黒曜谷に進学。男勝りな性格で口調も男言葉(一人称は「私」)。一部の人にだけ心を許し、それ以外の周囲を敵視する傾向にある。群れることを嫌い常に単独で行動していたが、小学3年生時に初経となり、当時クラスで唯一の生理経験者だった奈緒と仲良くなった。親友であるナオを護るという意識が強いが、逆に自らが依存している側面もある。そのため、ナオの本間豪徳との交際には反対する。 ナオと同じく学力は低く、「低学力でも特待生待遇で進学でき、かつバレーもできる」として入学してきたが、赤点でレギュラーから降格するチーム方針を知り、学校側の期待に応えられなければ退学に直結する特待生の立場であることから、ナオに対しても赤点にならないように説く。 小学生の時に練のチームに完敗したことがあり、高校入学当初は練を敵視していた。練が自分達を詳細に記憶していたことや、練の能力や精神の不安定さにも驚くが、もともと共通の目的を持つ相手は素直に受け入れる性格であったため、わだかまりはなくなる。 早くに実母を失い、父親が再婚した若い継母(知花)を父親とともに一方的に敵視しており、家から離れたくて入寮した。家を出るために実業団チーム入りを目指し、そのために春高優勝を目標にしている。 男子バレー部の三國智之に「女性とは思えない」と評される筋肉の持ち主で、趣味も「筋トレ」。プレーも強攻を好む大砲タイプだが、打ち分けを苦手としている。 電車内で賭けバレーのチケット購入を迫られている三國広之を助けて以降は広之から好意を抱かれるが、彼の世間離れした行動や強引さに振り回されることが多い。 早坂 奈緒(はやさか なお) / ナオ 声 - 世戸さおり 黒曜谷高校スポーツ科学科1年。2月26日生まれ、身長164センチメートル、体重56キログラム。 見た目も中身も「ギャル」で、性格は軽く、学力は弱い。恋多き少女で、駄目な男と付き合っては泣いて厚子のもとに帰ってきて、そのたびに厚子に説教される。中学時代に厚子が父親の再婚で荒れるようになってから、奈緒の異性遊びが激しくなった。基本的には母親譲りの天真爛漫で優しい性格だが、厚子によれば「付き合う友人によって、性格や素行が影響されてくる」という。容姿は母親似。 厚子とは城南小学校の3年生のころからの親友。厚子と一緒にいたいがために厚子を追うようにバレー部に入部した。栄中学校から黒曜谷高校にスポーツ特待生として入学する。 本間豪徳と交際しはじめ、本間の主催する賭けバレーがメンバー不足になったことで、メンバーから「バレーが出来なくなる」と泣き付かれて、断れずにプレイヤーとして参加し、結果的に黒曜谷高校女子バレー部が謹慎処分を受け、他チームからヒール扱いされるきっかけを作る。賭けバレー以後も非合法ビジネスから手を引いた本間と交際を続ける。賭けバレー事件以後は周囲に迷惑を掛けたことを悔いて真面目に取り組むようになる。厚子は「やる気にムラがあるしサボり魔だが器用で穴がない」「栄中学校時代、うちのチームは奈緒で持っていたようなもの」と評する。作者によれば「チームの潤滑油」で、プレーも繋ぎを得意とし、器用さを評価されてユーティリティープレイヤー的に起用される。 長谷川 留弥子(はせがわ るみこ) / ルミ 声 - 小林ゆう 黒曜谷高校スポーツ科学科1年。9月28日生まれ、身長171センチメートル、体重54キログラム。ポジションはセンター。 実力・ルックスともに優れ、飴屋中学バレー部ではキャプテンを務め、アイドル選手として京極小雪と人気を分け合う。速攻やブロックは巧いが守備やオープン攻撃が苦手で、本人も自覚している。中学時代に一度だけ練のチームと対戦した際、本気を出さずプレーしていた練の実力を見抜いた。 バレーが上手い人に対してはすぐに夢中になり、白雲山中との試合でも小雪にサインをねだる。沙羅の大ファンを公言し、寡黙な沙羅を度々動揺させる。一人称は「ルミ」で、練や志乃らにもルミと呼んでほしいと願う。いつも笑顔を絶やさず、人懐っこく穏やかな性格。 実家は近くなく、自宅通学では寝坊で遅刻することもあり、寮生活をしている。母親は女優の組子。組子は子持ちであることを公表していなかったことから、隠し子報道がされて以降は小中学校でいじめられていた。そのことから、自分と同様に親のことが原因で苦労を重ねてきた志乃に対しては、特別な感情を抱いている様子。常に周囲への気遣いを欠かさないのは、いじめの経験から敵を作らないように無意識に予防線を張るため。「あきらめる」といった他人の言動に対しては普段から想像できない殺気立った表情で激昂するという悪癖を持つが、これもいじめ時代の影響である。 20歳近く歳の離れた男、堺田町蔵に片思いをしていることを公言し、町蔵から提示された結婚条件「春高優勝」を目標としているが、チームメイトは「目標達成しても、Vリーグ優勝など次の条件を持ちかけられる。暗に避けられているのではないか」と指摘される。 作者の通例として過去の作品から引き続き登場するキャラクターの1人。作者の前作『G戦場ヘヴンズドア』のヒロインである久美子(組子は芸名)は、高校3年生のときに主人公の1人である鉄男との間にルミを妊娠し、10歳の娘として最終話に登場する。両親の高校時代の同級生で前作のもう1人の主人公である漫画家の堺田町蔵に対し、「お嫁さんになってあげる」と持ちかけるなど世話女房的な様子が描かれている。久美子も中学時代にバレー部だったが、手首の故障で戦力外通告を受け引退している。以上から本作中での留弥子も、町蔵のバレー漫画に影響されてバレーボールを始めた漫画好きの女子という設定になっている。 陣内 笛子(じんない ふえこ) 声 - 桑島法子 黒曜谷高校女子バレー部監督。真理の黒曜谷高校時代のチームメイトで、春高優勝世代の正セッターでキャプテン。常に着物の喪服姿。 真理が事故死した日の春高バレーの準決勝の試合では、足を痛めていた真理にトスを上げ続けた。練からは当初「そのせいで姉ちゃんが事故死した」と敵視されていた。実際は、赤信号を横断する真理を制止しようと飛び出したが、聴力に難のある真理に声が届かず、笛子も足の靭帯を損傷。翌日の決勝戦では医師らが止めるなか強行出場し、真理の弔い合戦であるかのように、靭帯の故障を全く感じさせない完璧なプレーをしたことが仇となり、選手生命を絶たれた。これが原因で笛子は今でも片足が不自由で、常に杖を携帯している。監督就任にあたっては「怪我をしないこと」と(バレーを引退した後の生活への配慮として)、「赤点を取った者はレギュラーから降格させる」という指導方針を打ち出した。 高校進学で悩んでいた練は滋にその決勝戦のDVDを観せられ、バレーに集中することで真理の死を忘れようとしている自分を重ねる。笛子は真理の墓参りを毎日欠かしておらず、真理の墓前で泣き崩れていた練に声を掛け、黒曜谷高校にスカウトした。 白雲山学園バレー部の現監督である別所直樹とは16歳から交際を始め、部活動を抜け出して逢引をするほどの恋仲だったが、真理の死に遠慮して別所とは距離を置くようになった。普段は寡黙で無表情だが、別所との過去を話された際には赤面しながら狼狽する。 由良木 政子(ゆらぎ まさこ) 声 - 本田貴子 黒曜谷高校女子バレー部のコーチ。黒曜谷高校男子バレー部の由良木龍馬の姉で、顔はよく似ている。 春高優勝世代のレギュラーで、ポジションはセンター。その後Vリーグに参加していた。しかし腰の調子が悪く、療養のためにリーグを一時退団し、療養期間中にコーチに就任した。コーチ就任により、バレーを自分主体の視点ではなく俯瞰して見ることができたとしている。豪快な性格で、笛子の指導方針を「バレーを辞めた後のバレー」と評し、自分は飽くまでも勝利を求めるとしている。家業は江古田駅近くにある寿司屋「ゆらぎ」で、一応寿司も握ることができる模様である。
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