ディストリビューター 一次回路の制御

ディストリビューター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/18 03:06 UTC 版)

一次回路の制御

コンタクトポイント・アーム。右側にピボット(支点)、左側にポイントがあり、カムフォロワーはブレーカー・アームの中央にある。ポイント、ピボット、フォロワー共に使用に応じて摩耗するため、定期的な交換が必要になる。

ディストリビューターにはイグニッションコイルへの一次電圧を発生させる回路の開閉機構が組み込まれる場合も多い。以前は機械的に接点を断接するコンタクトポイントを用いる方式が一般的であった。コンタクトポイントはデスビシャフトに設けられたカムによってアームを往復させ、アーム先端部の接点を断接させる機構である。コンタクトポイントが組み込まれたディストリビューターはポイント式ディストリビューターと呼ばれ、点火装置全体としてはポイント式点火装置あるいは機械制御式点火装置と呼ばれる。機械的な接点は摩耗するため隙間の調整や定期的な交換が必要で、摩耗部品が少なく、より信頼性の高い非接触式ディストリビューターが主流となった。

セミ・トランジスタ式

セミ・トランジスタ式(通称セミトラ)ディストリビューターは、ポイント式ディストリビューターのコンタクトポイントを電気スイッチに置き換えた形式である。磁気を帯びた非接触ポイントがディストリビューター同軸に気筒数あり、非接触ポイントがピックアップを通過する際の電磁誘導でイグニッションコイルの一次電圧を制御する形式である。ポイントの摩耗や焼損がなくなったことで信頼性が大きく向上したが、ディストリビューターキャップの接点との接触部分の摩耗による点火時期変化の問題は依然存在し続けたため、後にフル・トランジスタ式へ移行することになった。

フル・トランジスタ式

フル・トランジスタ式(通称フルトラ)ディストリビューターは、セミトラ式やポイント式のカムによる接点機構を完全に廃し、回転角センサーとイグナイターによってイグニッションコイルの開閉制御を行う方式である。ディストリビューターキャップ以外の機械的な接点がなくなったため、ディストリビューターの中では最も信頼性に優れる。現在でも、ダイレクトイグニッションを採用していないエンジンで用いられることがあるほか、旧車のレストアとしてポイント式やセミトラ式からの置き換え用としても販売されている。


  1. ^ スバル・EN型エンジン搭載車の一部など
  2. ^ a b 研究開発ナビ - ディストリビューター構造 実願平4-45339[リンク切れ]
  3. ^ a b Auto and Truck Repair and Advice
  4. ^ Pictures images of distributor cap
  5. ^ マッハIII ピンポイント整備入門 - 電装編その1 - KAのディストリビューター周りのメインテナンス
  6. ^ 研究開発ナビ - ディストリビューター換気孔キャップ構造 実願平4-28115[リンク切れ]
  7. ^ トヨタはIIA(Integrated Ignition Assembly)と称した
  8. ^ リコール 国-0438-0 点火コイルの不具合 Archived 2012年8月27日, at the Wayback Machine.[リンク切れ]





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