Slackwareとは? わかりやすく解説

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Slackware

読み方スラックウェア

Linuxの歴史において、ごく初期普及していたディストリビューションであるSLSSoftlanding Linux System)をベースに、当時ミネソタ州立大学ムーアヘッド校学生だったPatrick Volkerding改良して1993年リリースしたLinuxディストリビューション実行ファイル形式を、旧来のa.out形式”から“ELF形式”に変更するとともに、「ease of use」(使いやすさ)と「stability」(安定性)を2つ目標としてカーネル構成パッケージの内容見直し行った
ディストリビューション構成するパッケージは、UNIX基本ツールのひとつであるアーカイブツールtarファイル圧縮ツールgzip組み合わせて作成するtgz形式いわゆるtarボール”)のファイルかインストールされ、パッケージ間の依存関係などをチェックするパッケージ管理ツールのようなものは使われていない
Slackwareの開発は現在でも継続されており、本稿執筆時点2006年1月)の最新バージョンは、2005年9月リリースされバージョン10.2である。また、日本語化パッケージ開発や提供も、有志による「Slackware Add-on Package Project」によって継続されている。
関連見出し
Plamo Linux
関連URL
The Slackware Linux Project (http://www.slackware.com/)
Slackware Add-on Package Project(http://sap.sourceforge.jp/)

Slackware

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/05/17 02:59 UTC 版)

Slackware Linux
Slackware 15.0
開発者 Patrick Volkerding, Slackware team
プログラミング言語 C言語, C++, シェルスクリプト
OSの系統 Linux
開発状況 開発中
ソースモデル オープンソース
初版 1993年7月17日 (32年前) (1993-07-17)
最新安定版 15.0 / 2022年2月4日 (4年前) (2022-02-04)
最新開発版 -current / 継続更新中
リポジトリ ftp.slackware.com/pub/slackware/
対象市場 汎用
使用できる言語 多言語対応
アップデート方式 slackpkg、手動更新
パッケージ管理 pkgtool, installpkg, upgradepkg, removepkg, slackpkg
プラットフォーム IA-32, x86_64, ARM
カーネル種別 モノリシックカーネル
ユーザランド GNU
既定のUI Xfce, KDE Plasma, CLI
ライセンス 各種自由ソフトウェアライセンス
ウェブサイト www.slackware.com
サポート状況
サポート中
シリーズ記事
Slackware派生ディストリビューション
テンプレートを表示

Slackware(スラックウェア)は、Linuxディストリビューションの一つ。

概要

Slackwareは、Patrick Volkerdingによって開発され、1993年に最初のバージョンが公開されたLinuxディストリビューションである。現在も開発が継続されているLinuxディストリビューションの中でも最古級の存在として知られている。日本でもかつて高い人気があり、JE(Japanese Extensions)による日本語化や、FM TOWNSへの移植なども行われていた。

Slackwareは、upstreamソフトウェアへの独自変更を最小限に抑える方針を持ち、Linux本来の構成や動作を理解しやすいディストリビューションとして知られている。また、自動化を極力排し、システムをユーザー自身が理解・制御するという思想を重視している。

その設計はBSD系UNIXの影響も強く受けており、単純な起動スクリプトやテキストベースの設定を特徴とする。Slackwareはsystemdを採用せず、従来型の起動スクリプトを維持している。新技術の導入には比較的慎重であり、安定性と単純性を重視する保守的な開発方針を持つ。

「Slackware」の “Slack” は、宗教パロディ団体 Church of the SubGenius における概念「Slack」に由来する。これは「余裕」「無理をしないこと」「形式や効率に縛られない自由さ」といったニュアンスを持ち、Patrick Volkerdingの設計思想や、Slackwareの文化にも通じている。

パッケージ作成の容易さ

Slackwareでは依存関係の自動解決を行わないため、この点を欠点として指摘されることがある。しかし一方で、パッケージ構造が単純であるため、ユーザー自身が容易にパッケージを作成できるという利点を持つ。

近年ではソースコードを取得して直接ビルドする機会も多いが、Slackwareではそれらを簡単にパッケージ化して管理できる。そのため、インストール済みファイルの追跡やアンインストールが容易であり、システムを整理された状態に保ちやすい。

また、SlackwareではSlackBuildと呼ばれるビルドスクリプト文化が発達しており、再現性のあるパッケージ作成が可能となっている。代表的なコミュニティサイトとして、SlackBuilds.org が存在し、多数のサードパーティ製SlackBuildスクリプトが提供されている[1]

パッケージビルド時の自由度

Slackwareでは、ソースコードからビルドする際に configure オプションやビルド設定をユーザー自身が細かく制御できる。そのため、不要な機能やライブラリ依存を除外し、自分の用途に合わせた構成でパッケージを作成できる。

また、リンク方式や最適化方針も利用者が選択可能であり、シンプルで理解しやすい構成を維持しやすい。

ソースからのパッケージ作成

Slackwareでは、ソースコードから容易にパッケージを作成できるため、特定のレポジトリに強く依存せずにシステムを運用できるという特徴がある。

ソースコードからパッケージを作成する運用が一般的であり、公式リポジトリ外のソフトウェアもSlackBuildなどを用いて管理できる。

パッケージ管理

The Slackware mascot: Tux smoking a pipe

Slackwareのパッケージ管理システムは、ソフトウェアのインストールアップグレード削除を行うことができる。これらはinstallpkg、upgradepkg、removepkg、およびpkgtoolなどのコマンドで管理される。

Slackwareのパッケージは非常にシンプルな構造を持っており、アプリケーションが配置されるファイル群に加え、説明ファイルやインストールスクリプトなどをtarでアーカイブし、gzip(12.2以前)またはxz(現在は主流)で圧縮したものである。

pkgtool

Slackwareでは、installpkg、removepkg、upgradepkg、pkgtoolなどのユーティリティを用いてパッケージを管理する。pkgtoolはメニュー形式のフロントエンドであり、installpkgやremovepkgなどと併用される。

Slackwareは、シンプルさと最小限の自動化を重視するLinuxディストリビューションであり、pkgtoolもその哲学を反映している。Slackwareのパッケージは通常 .txz 形式で配布され、installpkg や pkgtool などを使用して手動で管理される。

pkgtool自体には依存関係解決機能は存在しない。これはDebianのAPTやRed Hat系ディストリビューションのdnfなどとは異なる特徴であり、依存関係をユーザー自身が管理する必要がある。ただし、この設計により、システム構成を明確に把握しやすく、高い透明性と制御性が得られる。

Slackwareでは主に以下のコマンドが使用される。

  • installpkg : パッケージのインストール
  • upgradepkg : パッケージのアップグレード
  • removepkg : パッケージの削除

Slackpkg

Slackpkgは、もともとPiter Punkによって開発されたサードパーティーツールであり、Slackware 9.1でextraに収録され、12.2でapカテゴリの公式パッケージとして採用された。

Slackpkgには、主に以下のコマンドが存在する。

  • slackpkg update : パッケージリストの更新
  • slackpkg install-new : 新たに追加された公式パッケージのインストール
  • slackpkg upgrade-all : インストール済みパッケージのアップグレード
  • slackpkg clean-system : 公式パッケージに存在しないパッケージの削除

Slackwareでは、公式パッケージ群全体で整合性が保たれるよう設計されているが、APTやdnfのような依存関係の自動解決機能は持たない。そのため、多くのSlackwareユーザーはシステム全体の整合性を維持する目的で、全公式パッケージをインストールする運用を行っている。

また、安定版向けのセキュリティ更新やバグ修正は、通常 patches/ ディレクトリを通じて提供される。

rpm2txz

RPMパッケージをSlackwareパッケージ形式(.txz)に変換するツール。これにより、RPM形式で配布されているソフトウェアパッケージをSlackwareシステムで使用できるようになる。

rpm2txzは、RPMパッケージを解凍した後、その内容を.txz形式に再パッケージ化する。しかし、このツールは単なる形式の変換を行うだけで、RPMパッケージが持つ依存関係を解決したり、Slackwareシステムで適切に機能するようにパッケージを調整したりする機能は提供していない。したがって、rpm2txzを使用してパッケージを変換して利用する場合には、依存関係を調べておいて解決しておく必要がある。

なお、debパッケージについては、コミュニティのツールとして、deb2tgzという変換ツールがある。

日本語対応

デフォルトで日本語フォントや日本語入力関連パッケージを含んでいる。日本語フォントは、SazanamiやNoto Sans/Serifが含まれている。日本語入力は、Input Method FrameworkにFcitxおよびibusが、入力システムにAnthyのUnicode版が採用されている。

ディスカッション

Slackwareのバージョンアップに関するディスカッションは、LinuxQuestions.orgのRequests for current-next (15.0-->15.1)スレッドで行われている。

Patrickを始めとする主要な開発メンバーも参照しており、Slackwareの派生ディストリビューションの開発者も参照している。Slackwareを利用しているユーザ達が公式パッケージに含まれる各ソフトウェアのバージョンアップの情報を提供したり、Slackwareで変更や改善すべき点を日々投稿している。

最新リリース

Slackwareの最新安定版は15.0である。15.0は2022年2月4日にリリースされ、Linux 5.15.19、GCC 11.2、KDE Plasma 5、Xfce 4.16などを含む。

また、Slackwareには次期安定版に向けた開発ツリーである -current が存在する。-current は開発版でありながら、事実上のローリングリリースに近い形で利用するユーザーも存在する。

バージョン履歴

バージョン リリース日 サポート終了日 カーネルバージョン 特記事項
サポート終了:1.00 1993年7月17日 明記なし 0.99.11 Alpha
サポート終了:1.1 1993年11月5日 明記なし 0.99.13
サポート終了:2.0 1994年7月2日 明記なし 1.0.9
サポート終了:2.1 1994年10月31日 明記なし 1.1.59
サポート終了:2.2 1995年3月30日 明記なし 1.2.1
サポート終了:2.3 1995年5月24日 明記なし 1.2.8
サポート終了:3.0 1995年11月30日 明記なし 1.2.13 CD-ROMでの最初のリリース
サポート終了:3.1 1996年6月3日 明記なし 2.0.0 Windows 95への風刺としてSlackware 96とも呼ばれる
サポート終了:3.2 1997年2月17日 明記なし 2.0.29
サポート終了:3.3 1997年6月11日 明記なし 2.0.30
サポート終了:3.4 1997年10月14日 明記なし 2.0.30 ZipSlackが登場
サポート終了:3.5 1998年6月9日 明記なし 2.0.34
サポート終了:3.6 1998年10月28日 明記なし 2.0.35
サポート終了:3.9 1999年5月10日 明記なし 2.0.37pre10
サポート終了:4.0 1999年5月17日 明記なし 2.2.6 KDEが追加され、フルインストールに1GBを要する最初のバージョン
サポート終了:7.0 1999年10月25日 明記なし 2.2.13
サポート終了:7.1 2000年6月22日 明記なし 2.2.16 GNOMEが追加
サポート終了:8.0 2001年7月1日 明記なし 2.2.19 Mozilla Browserが追加され、任意でLinux 2.4が使用できる
サポート終了:8.1 2002年6月18日 2012年8月1日 2.4.18 パッケージ名が8.3形式からname-version-arch-build.tgzに変更され、hdsetupがpkgtoolsに進化した
サポート終了:9.0 2003年3月19日 2012年8月1日 2.4.20 (2.4.21のパッチ適用済)
サポート終了:9.1 2003年9月26日 2012年8月1日 2.4.22 (2.4.26のパッチ適用済) OSSからALSAへ変更
サポート終了:10.0 2004年6月23日 2012年8月1日 2.4.26 XFree86からX.org Serverへ変更
サポート終了:10.1 2005年2月2日 2012年8月1日 2.4.29
サポート終了:10.2 2005年9月14日 2012年8月1日 2.4.31 GNOMEが削除
サポート終了:11.0 2006年10月2日 2012年8月1日 2.4.33.3 DVDで提供された初めてのバージョン
サポート終了:12.0 2007年7月1日 2012年8月1日 2.6.21.5 Linux 2.4からLinux 2.6へ変更され、HALのサポートが追加、そしてフロッピーディスクでのインストールのサポートが削除
サポート終了:12.1 2008年5月2日 2013年12月9日 2.6.24.5
サポート終了:12.2 2008年12月10日 2013年12月9日 2.6.27.7 (2.6.27.31のパッチ適用済) Slackpkgの追加
サポート終了:13.0 2009年8月26日 2018年7月5日 2.6.29.6 64ビット版が追加され、KDE 3.5からKDE 4.xへ変更、gzipからxzへ圧縮形式が変更
サポート終了:13.1 2010年5月24日 2018年7月5日 2.6.33.4 PolicyKitとConsoleKitの追加、libataサブシステムへ変更
サポート終了:13.37 2011年4月27日 2018年7月5日 2.6.37.6 GPTのサポート、Btrfsファイルシステム追加
サポート終了:14.0 2012年9月28日 未発表 3.2.29 (3.2.98のパッチ適用済) NetworkManagerの追加とHALの削除、HALの機能をudevに統合
サポート終了:14.1 2013年11月4日 未発表 3.10.17 (3.10.107のパッチ適用済) UEFIサポートの追加、MySQLからMariaDBへの変更
サポート終了:14.2 2016年6月30日 未発表 4.4.14 (4.4.276のパッチ適用済) PulseAudioとVDPAUの追加、udevからeudev、ConsoleKitからConsoleKit2への変更
現行バージョン:15.0 2022年2月4日 未発表 5.15.19 デフォルトのエンコーディングASCIIからUTF-8へ変更、ConsoleKit2からelogindへの変更、KDE4からPlasma5への変更、Python 3への移行、pkgtools関連データの管理場所の /var/lib/pkgtools/ への移行、lame、vulkansdk、SDL2、FFmpegWaylandのコアシステムへの追加、LDAP、PAMへの移行
最新プレビュー版:-current 開発中 N/A 6.18.31 次期安定版に向けた開発ツリー。PHP 8.2、OpenSSL 3.1への移行、PythonでPEP 427とPEP 517に対応、ACPIをモジュール読込からカーネルへビルトイン化、Luaの追加、UTF-8サポートのカーネルへの統合、glibc 2.39への移行、プリンタ検出をhplipからAvahiへ変更、kernel-hugeの廃止によるkernel-genericへの統合などが行われている。
凡例
サポート終了
サポート中
現行バージョン
最新プレビュー版
将来のリリース

派生版

Slackware派生

Slackware 系統樹

Slackwareから派生したLinuxディストリビューションの一覧。

配布版 説明 状態
Absolute Linux Slackwareを母体とした軽量Linuxディストリビューション 現役
Austrumi Linux 小容量メディアから起動可能な軽量Live CDLinuxディストリビューション 現役
Frugalware Linux 初期のバージョンはSlackwareをベースとしていたが、後に独自のパッケージ管理システムを採用した。 更新停止
KateOS Xfceを採用したデスクトップ向けディストリビューション。 更新停止
MuLinux モジュール交換可能なフロッピーディスクベースのLinuxディストリビューション 更新停止
NimbleX 高度なカスタマイズ機能を特徴としていたLive CDディストリビューション。 更新停止
Platypux フランスで開発されていたSlackware系Linuxディストリビューション 更新停止
Puppy Linux Slackwareベース版として「Slacko Puppy」が存在する軽量Linuxディストリビューション 現役
Porteus Slaxから派生したSlackwareベースの軽量Live USB/Live CDディストリビューション。 現役
Salix OS Slackwareとの高い互換性を持つデスクトップ向けディストリビューション。依存関係解決機能を備える。 現役
Slackintosh PowerPC向け非公式版Slackware。 更新停止
Slamd64 x86_64対応版Slackwareとして開発されていたディストリビューション。 更新停止
Slax 軽量Live CDディストリビューション。現在はDebianベース版が主流であるが、Slackware版も提供されている。 現役
VectorLinux 古いハードウェア向けとして知られていた軽量Linuxディストリビューション 更新停止
Wolvix Xfceを採用したデスクトップ向けLinuxディストリビューション 更新停止
Zenwalk Slackwareの最小構成版として始まった軽量Linuxディストリビューション。現在もSlackware互換性を維持している。 現役
ZipSlack ZIPファイル形式で配布されていた軽量かつポータブルなSlackware環境。 更新停止

openSUSE

初期のS.u.S.E LinuxはSlackwareをベースに構築されていたが、1996年にRPMベースのパッケージ管理へ移行したことで、Slackwareとは異なる独自のディストリビューションとして発展した。現在のopenSUSEはSlackware系ではなく、RPMパッケージ管理を採用するSUSE系Linuxディストリビューションである。

日本発の派生版

  • Plamo Linux : Slackwareを日本語化したLinuxディストリビューション。Version 3.3まではPC-9800シリーズに対応していた。

脚注

  1. SlackBuilds.org”. 2026年5月10日閲覧。

外部リンク

関連項目


Slackware

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 03:22 UTC 版)

パッケージ管理システム」の記事における「Slackware」の解説

pkgtool Slackware標準パッケージ管理ツールAPTYum比較して極めてシンプルなツールであり、バージョン管理行えない。 slackpkg Slackwareで使用できるパッケージ管理ツール標準ではインストールされない。Slackware標準パッケージしか扱えないものの、インストールすればAPTYumのようなバージョン管理をSlackwareで実現することができる。 sbopkg Slackware用リポジトリ、SlackBuilds.org用のパッケージ管理ツール上記のとおり、slackpkgではサードパーティーパッケージを扱えないため、独自に提供されている。

※この「Slackware」の解説は、「パッケージ管理システム」の解説の一部です。
「Slackware」を含む「パッケージ管理システム」の記事については、「パッケージ管理システム」の概要を参照ください。

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