PHS
「PHS」とは、personal handy-phone systemの略で日本初の無線通信による移動体通信サービスのひとつを意味する表現。
「PHS」とは・「PHS」の意味
「PHS」とは、「personal handy-phone system(パーソナルハンディフォンシステム)」の略称で、1995年に無線通信を利用した移動体通信サービスのひとつとして登場した。屋内用コードレスホンの技術をもとに開発され、デジタルデータの高速通信に優れるという特徴がある。日本発の通信規格であり、パケット通信やカメラ付端末、スライド式キーボードなどの装備は、携帯電話に先行してPHSの端末で実用化されたものである。読み方は「ピーエイチエス」「ピーエッチエス」、簡略化したものは「ピッチ」。当初は「personal handy phone」を略した「PHP」と呼ばれたが、同じ表記の企業と紛らわしいことから1994年4月22日に呼称を「PHS」に変更し「ピーエイチエス」、簡略化して「フォス」と呼ぶと発表された。しかし「フォス」は定着せず、若者の間で「ピッチ」の呼び方が広がり、1999年以降は、通信事業者のCMやパンフレットなどでも「ピッチ」が用いられるようになった。
「PHS」が誕生する前は、電話などの通信事業は国有事業であったが1985年4月に自由化された。それによって通信事業へ民間事業者が参入を開始したことが「PHS」が登場した背景にある。
日本では、1995年7月1日に東京・北海道地区でサービスが開始され、優れた通話品質と安価なコストで若い世代を中心に普及し、1997年には700万件の契約を獲得するまでに至った。しかし、その後はガラケーと呼ばれる携帯電話の通話品質が向上したことや料金が引き下げられたこと、高機能化などによって競争力を失い契約件数が減少した。
「PHS」は、半径500m程度の距離をカバーするアンテナを設置して有線の電話回線に接続して通話を実現するものである。PHS本体からアンテナまでは無線で、それ以降は有線で通信を行うため、システム登録を行えばコードレス電話を親機、PHSを子機として利用する使い方も可能である。ひとつのアンテナがカバーできる範囲が狭いため、アンテナを多数設置しなければならなかったが、小規模なものでよいため、設置するコストを比較的安く済ませることが可能であった。
携帯電話は、大型の基地局を介し高出力の電波を送受信することで広範囲で無線通信を行うものである。大規模な基地局であれば一つの基地局で数十km程度の広さをカバーすることが可能だ。つまり、「PHS」は狭い地域で通話ができる一般の固定電話の延長で生まれたもの、携帯電話は、広範囲の通話を可能にする自動車電話の延長で生まれたものということができる。通信方式が違うため、携帯電話サービスを提供するためには無線局免許状が必要であるが、PHSは不要であると電気通信事業法では定めている。
当初は、電波のばらつきがある携帯電話よりもPHSの方が安定した通話が可能であり、安価な価格設定だったことや基地局を地下鉄や地下街にも設置することができたため都市部では広範囲で通信できるというメリットもあった。2000年代に入ると、3Gの登場や携帯電話の機能が向上し通信エリアが限られる「PHS」は、徐々にそのシェアを失っていったが、電波が弱く医療機器への影響が少ないという特徴をメリットとして生かすことができる医療施設や介護施設では活用されていた。
2021年には、テレメタリングサービスを除いて「PHS」の個人向けのサービスが終了。PHS回線で自動販売機やコインパーキングなどを遠隔監視するためのテレメタリングサービスは、2019年から新規の契約や変更の受付を停止し、2023年3月末で終了となった。病院などの医療施設や看護や介護の現場で利用されている構内PHSは、当面の間は利用可能であるがスプリアス規格が古いものは利用が規制される。
「PHS」では、「070」から始まる電話番号が割り当てられていた。しかし現在では、PHSのサービスが終了したこともあり、一般の携帯電話の番号にも「070」が割り当てられている。
ピー‐エッチ‐エス【PHS】
PHS
読み方:ピーエイチエス,ピッチ
PHSとは、移動電話サービスのひとつで、1.9GHz帯の周波数を使用したデジタル方式の移動体通信サービスのことである。高音質と低料金を特徴とする。家庭用コードレス電話機の子機を外に持ち出すという発想で、電波システム開発センター(現、電波産業会)が規格を標準化した。サービス開始は1995年7月。
PHSの基地局は、1局あたりのカバー範囲(セル)が半径100~500m程度と小規模なものにとどめられているため、簡易で安価に設置することができる。このため地下街や地下鉄駅などでの基地局設置がいち早く進み、特に都市部では携帯電話よりも接続されやすいという状況にある。また、通信料金や端末価格が廉価であることもPHSの特徴をなしている。
サービス開始当初は、PHSの基地局のカバーするエリアが狭いため、サービスエリアの拡大に時間がかかり、屋内での利用に向かないといった難点があった。さらに基地局間での通話情報の引き渡し(ハンドオーバー)に時間がかかり、最大で2~3秒程度通信が途切れるとされた。しかし1999年頃からは、これらの難点も改善されはじめ、安定した機種が増えている。
PHSはその利用のしやすさから急速に普及し、サービス開始から2年余りで700万人以上の加入者を獲得した。しかし携帯電話の低価格化と普及に伴って、総加入者数は減少の一途を辿っている。NTTドコモなどもPHS事業から撤退してしまった。
1997年4月からはPIAFS方式による32kbpsの高速データ通信サービスを開始、1999年4月に64kbpsのデータ通信サービスが開始された。最近では携帯情報端末(PDA)やノートパソコンに接続して高速データ通信を行う無線モデムのしての機能に特化し、携帯電話との差異化が図られている。現在の主なPHSサービスとしては、ウィルコム(旧DDIポケット)が提供している「AIR-EDGE」(旧AirH")や、ケイ・オプティコムが提供している「eo64エア」などがある。
※画像提供 / 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
参照リンク
WILLCOM
ケイ・オプティコム
PHS
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