きかんしゃ やえもん きかんしゃ やえもんの概要

きかんしゃ やえもん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/31 06:49 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

ストーリー

田舎の町の小さな機関庫に、「やえもん」という名の蒸気機関車がいた。やえもんは年寄りの機関車で、同じくらい年寄りの小さな客車を引いて、町の大きな駅との間を、行ったり来たりしている。

ある日、町の駅に着いたやえもんは、電気機関車などに「びんぼう汽車」と馬鹿にされたため、腹を立てたまま帰路についた。ところが、あまり腹を立てたために煙突から排煙だけでなく火の粉も吐き、それが線路脇の田んぼのわらに燃え移って火事になってしまう。幸いすぐ消し止められたが、火事を起こされたことで、怒った村人たちがやえもんを追いかけ始める。やっと機関庫まで逃げ切ったやえもんだが、そこへ村人たちが機関庫に押しかけて来た。鉄道の職員たちがやえもんを庇って謝るが、村人たちはどうしても勘弁してくれない。職員たちは仕方なく、次の日からはやえもんを休ませることにしたため、村人たちもやっと承知して家に帰った。

翌日、「いちろう」と「はるこ(版によっては「はなこ」)」という二台のレールバスがやえもんの担当していた列車を引き受けることになる。鉄道の職員たちはやえもんの処遇について、いろいろ意見を出すが、とうとうスクラップにされることが決まってしまう。だが、解体のために電気機関車に牽引されていこうとする時、運良く通りかかった交通博物館学芸員に「日本に2、3台しか残っていない珍しい古い型の機関車だ。ぜひ譲ってもらいたい」と言われる。やえもんは子どもたちの手で綺麗に磨かれ、博物館で保存されることになったのだった。

刊行の経緯

1950年代当時、岩波書店は児童文学作品を刊行していたが、その多くは外国の作品であった。「岩波の児童書は翻訳ばかり」というイメージを払拭するために日本の絵本が企画され、その一つとして本作が生まれた[2]。しかし、当時の岩波の児童書は他の出版社と比べて高価だったために、価格低減の工夫として多色刷りと二色刷を交互に使用したり、表紙見返しまで本文が記載されるといった造本がおこなわれた[2]。このうち表紙見返しへの印刷については、2001年の改版に際して通常の造本に改められている[2]

内容に関して

  • やえもんのモデルは国鉄150形蒸気機関車(1号機関車)であるとされているが、作中では国鉄400形蒸気機関車に近い形状に描かれている。作画を担当した岡部は生前「物語のシチュエーションから熟考し、絵本のやえもんは明治の中頃イギリス製の蒸気機関車をお手本にして日本で作り、鹿島参宮鉄道などで使われていたものを、更にデフォルメして描いた」と証言していたことが伝えられている[3]
  • なお1号機関車が事情を知る元鉄道記者の青木槐三ら関係者の尽力により、最終的に当時の鉄道博物館(のち交通博物館を経て今の鉄道博物館)で保存されることとなったのは事実だが、その過程の「煙害によって運行できなくなった」という部分と「鉄くずにされる寸前に」という部分は創作である。150形は保存されることになった1930年当時、島原鉄道の1形機関車として現役で使用されており、同社社長の植木元太郎鉄道省(当時の国鉄および鉄道博物館の運営母体)の600形蒸気機関車656号機と交換することを条件に省への譲渡へ応じたほどである。
  • 本作に描かれている鉄道情景には、執筆された1959年当時の国鉄の状況が反映されている。
    • EF58形EH10形が本編中では「新しい電気機関車」と表記され、石炭を補給しているやえもんを馬鹿にしていた。
    • DD12形などといった機関車も明確にそれとわかる姿で描かれている。
  • やえもんの名前の由来は、作者の阿川がアメリカ合衆国へ行き、カリフォルニア州の農業で成功した自分より年配の日本人移民の人の名前が「やえもん」という名前だったらしく、そこから名前をとったとのこと。

影絵劇版

1970年劇団かかし座により初演[4]。語りは熊倉一雄[5]。本作でのやえもんの姿は原作絵本とは異なり、北海道の幌内鉄道が導入したことで知られる国鉄7100形蒸気機関車に近い。

また、NHK教育テレビジョンで、同じ劇団かかし座の出演により複数回にわたり映像化されている[6]。若林一郎の脚本、宇野誠一郎の音楽、熊倉一雄の語りによるものが、数年に一度、NHK教育テレビ『こどもにんぎょう劇場』で再放送されている。後に1988年11月30日に、当時のNHKエンタープライズの提携により鎌倉スーパーステーション(現・JSDSS)が販売を手掛ける「NHK VOOK(ビジュアルヴック)」ブランドでVHSソフトとして発売された。

なお、後述のアニメ版とは異なり、物語中のセリフも含め、内容的なアレンジはほとんどなく、原作に忠実な形で映像化されている。


  1. ^ トーハン『ミリオンぶっく』2008年度版。
  2. ^ a b c 中川あゆみ「きかんしゃやえもん」(大阪府立国際児童文学館ウェブサイト 「日本の子どもの本100選 1945年〜1978年」)[1]
  3. ^ 竹迫祐子「絵本、むかしも、いまも… 第37回」『子どもの本だより』(徳間書店)2003年7-8月号[2]。厳密にこれに該当する機関車は存在しないが、400形の派生形の1つである870形(イギリスよりの輸入機)の1両が鹿島参宮鉄道で使用されたほか、同じく派生形の800形は参宮鉄道汽車製造に発注して国内で製造されている。
  4. ^ 劇団かかし座の歴史」 劇団かかし座
  5. ^ きかんしゃやえもん」 劇団かかし座
  6. ^ 製作は1970年代前半と思われるが、正確な時期は未確認。


「きかんしゃ やえもん」の続きの解説一覧


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「きかんしゃ やえもん」の関連用語

きかんしゃ やえもんのお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



きかんしゃ やえもんのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのきかんしゃ やえもん (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2020 Weblio RSS