聖刻教会関係者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 15:07 UTC 版)
ネーザ・ロズワルド・デ・ラ・オーム 聖刻教会の頂点に立つ法王。ダム・ダーラの意識操作により計画に加担していると思われていたが、法王になる以前よりダム・ダーラやザトウク家・現大老のタイトと結託して後ろ暗い手段をも用いて出世を果たしてきた。儀式や伝統、口伝を軽んじ権勢欲に溺れる、教会の腐敗の象徴のような小人物である。ダム・ダーラが斃れた後も聖刻騎士団を増強し、世俗への支配を広げようと画策している。 ラマール・クランド ラドウ・クランドの孫で八聖家の一つクランド家の現当主。まだ12歳の少年。 法王勅命を受け<白き操兵>討伐名目の軍勢の総大将となる。名目だけの役職に苦心しつつも、陰ながら教会を改革しようとする勢力の助力を得、なんとか軍の体裁を揃えて南部域を目指すが、本人はガルン討伐のことしか頭になかった。 元々真っ直ぐな性格ではあるのだが、両親を早くに亡くしたこと、名家の当主という重圧、理想と現実のギャップもあって、意固地で我が侭、癇癪持ちの悪癖となってしまい、家臣を困らせている。しかし、行軍中も日々成長しており、時折り大器の片鱗を覗かせるようになっている。イスルギーンとの決闘においては弱冠にして人機一体の境地に達し、イスルギーンを心服に至らしめた。 「ルアンムーイの戦い」において法王とザトウク家に対し反旗を翻し、クランド=ストラ連合軍を結成。聖刻騎士団と袂を分かつ。 ワルサ・ジュマーダ クランド家の家臣で北部域管轄の白虎騎士団の准将位にあったが、ザトウク家により騎士団を罷免される。聖四天王「北部の猛虎」の異名を取る八極流の使い手。ラマールの小姓頭で剣術指南も務める。 忠義に篤く、味方の少ないラマールを時に厳しく時に優しさをもって支える。 バクル老が引退したのち、クランド家の執事の座を引き継ぐ。 バクル・サーサーン ラドウ・クランドの従兄弟で、ラドウの現役時代からの老臣。クランド家執事も勤め、幼いラマールの後見人として駆け引きや妥協のできないラマールに代わって対外交渉を一手に行い、ザトウク家や教会からの盾となっている。 白虎騎士団師将という地位にありながらなお最前線に立っていた古参騎士で、「ルアンムーイの戦い」における青龍騎士団との決戦において、自軍の劣勢を挽回すべく近侍衆を率いて敵本陣への玉砕覚悟の斬り込みを敢行。一命は取り留めたものの、一線を退いた。 イハル・ロウ ストラ家伝来の家臣、ロウ家の当主。ガルンの親友であったヨハルの父で、聖刻騎士団の幕僚の一人として大動乱を戦い抜いた騎士。ロウ家は篤い忠義心を持ってストラ家に仕えてきた名家で、中でもイハルは「千の操兵に匹敵する」稀代の軍師として知られており、数々の作戦で勝利に貢献してきた。 ストラ、クランド両家の衝突を避けるべく、ガルン討伐も目的である勅命軍にストラ一門の騎士と共に加入する。 「ルアンムーイの戦い」で一世一代の策により、命と引換えにクランド軍を反法王派へと寝返らせる。遺言として数々の策を密かにワルサに託す。 イスルギーン・ツベルク 東部域を管轄する青鳳騎士団の聖騎士。長々刀を振るう「天流」の剣士で、乗機のレイファーン・ティンも背に長大な太刀を背負っている。大動乱を戦い抜き100の首を挙げたという歴戦の騎士であり、聖四天王「東部の荒鷲」と呼ばれるほどの使い手。 しかしあまりに凄惨な戦いの虚無感から酒に溺れる破戒騎士となってしまった。度重なる素行不良により平騎士に降格され、ザトウク家の専横による騎士団の腐敗に心を痛めながら常に厭世的な態度を取りつづけていたが、ラマールの大器を認め遠征軍に参加する。 テルガー・カムリ 八聖家の一つ、カムリ家当主グッテン・カムリの長男。西部域を管轄とする黒狼騎士団の聖騎士であり、独自に編み出した一撃離脱の剣術「黒狼剣」で敵を切り刻む戦い方から<西部の餓狼>の異名を取ることになった。聖四天王戦の頃は勝ちにこだわるトゲトゲしいだけの無愛想な男だったが、再登場時には、自分と境遇の似たクリシュナを立ち直らせようと世話を焼き、戦乱に巻き込まれる民衆を命がけで避難させようとする真の聖騎士になっていた。 西部域の動乱を利用して自家の勢力を拡大しようとする父に反発し、戦乱を鎮めようと独自の行動を始める。ヴァルダ・カーンに乗っ取られたアルタシャールによって致命傷を負わされながらも魂のみで操兵を駆り、友であるクリシュナを救おうとする。 イライザ・ザトウク ザトウク家当主グラハの従兄弟。軍監として法皇勅命軍に加わる。神形流の免許皆伝であり、剣の技量も極めて高い一方で、「黒狐」の異名で知られる策謀家でもあることから「グラハよりよほどラズバーンに近い」と評されている。ラマールを失脚させるために暗躍するも、聖四天王らの活躍により失敗。死兵と化したイスルギーンの剣により因果応報の死を迎える。 ムゾレ・タランテ ガルンの友人で赤龍騎士団に所属する聖騎士。だが長髪に着崩した制服、やさぐれた口調と聖騎士らしさはまるでない。 世俗騎士上がりで、大動乱により領地を失ったところを聖刻騎士団に迎え入れられた。同じ小隊のガルンを、家柄だけで苦労知らずの坊ちゃんと毛嫌いしていたが、戦局打開のために自らの危険を顧みない奇襲作戦を立てたガルンを認め、刎頸の友となった。 弓の名手で、乗機のラサー・ナヴァルカも狩猟機としては珍しく弓を主兵装としている。 クランド=ストラ連合軍では傭兵部隊の指揮を任されている。 イネス・ストラ ガルンの妹。幽閉中の父を案じ教都に向かうが、ガルンとラマールを対決させようと画策したザトウク家により人質となる。 かつて、ガルンの親友ヨハルの婚約者であった。現在は、ラマールとガルンの小姓だったキサナがそれぞれ片思い中。 ザトウク家により害されることを案じたリクド司教が「聖女」として認定し、討伐軍に加わった。当初は身の安全を保障するための方便ではあったはずが、半ばトランス状態でラマールを導くなど、次第に《アーリアの聖女》としての格を顕しつつある。 キサナ・チュミナ・アサル ストラ一門の騎士で元はガルンの小姓。 イネスを想い人としていたため護衛として付けられていたが、ザトウク家の襲撃に最後まで抵抗して重傷を負う。 ガルンに合流後は哨戒部隊を務めていたが、四鳳騎士団と遭遇し部隊は壊滅。キサナ自身も手傷を負いながらも隊長格の《シャトール・ティン》の首級を挙げる。そのため四鳳騎士団との決戦では初日にこそ参加できなかったものの、二日目には傷を抑してガルンの後衛を務めた。 のちにロウ家に婿入りして、家を継ぐこととなっている。 ミュン イハル・ロウの娘(聖四天王戦で意に沿わず刺客とされたハムレイ・ゴンドワの遺児である可能性が高い)。キサナの婚約者であり、成人の暁にはキサナを婿に迎えることとなっている。 ミカルド・マディン 大動乱が勃発した当時、赤鳳騎士団に所属していた聖騎士。破門された八聖家の一、ルドラ家の末裔であり、かつては生家の再興を目指していた。熱心な聖刻教徒であり長々剣を自在に振るう天流の使い手として名を知られていたが、団から姿を消し行方不明となっている(騎士団の記録では脱走となっており、籍も抹消されている)。 実は当時の団将ラドウの密命を受け、ジャラン・ナムと共に北方の探索を行っていたが、ダム・ダーラに殺された。 その後、ダム・ダーラの手により蘇生。その際に八聖者「アチュラ」も含め、過去生の記憶をすべて取り戻し、ダム・ダーラの計画の本質を理解した上で軍門に降った。神樹編では「聖クワルメー祭」に金門の随員役として参加。祭事の後にダム・ダーラの使者として法王と面談し、「現在中原に戻った《白き操兵》と戦って、力量十分とみなしたならば我々ダム・ダーラの配下四名に『聖四天王』の称号を与えてくれ」と告げる。次いで、20数年前の消息を絶った当時と変らぬ容姿のまま、かつての同僚で現在は四鳳騎士団参謀を務めるカフス・ロウランの前へ現れ、クランド=ストラ連合軍に降伏するタイミングについて忠告を行う。その上で中原へと向かうと、カイユとともに獣機を従えてアラクシャーを襲った。 対峙したゾマが呆れるほどに口数が多い。一方で戦闘中でもあるにも関わらず乗機であるアウラ・レイヴァーティンを傷つけられたり「元」聖騎士と呼ばれたりするだけで容易に頭に血を登らせるような感情的な側面を持つ。 アラクシャー襲撃後はカイユとともに法王にアラクシャー襲撃の報告と交渉を行い聖四天王に代わる新称号「四神」を設けさせるとヒゼキア=スラゼン連合王国へと飛び、ジャラン・ナムの前に姿を現す。カフスの際とは異なり、かつての「兄弟」でありながらダム・ダーラと己の野望の妨げとなりうるジャランを「暇潰し」と称して殺害しようとし、激しく剣戟を繰り広げるものの、カイユがメルの拉致に手間取っていたため戦闘を中断、レイヴァーティンでクベーラの排除とメルの確保を行った。 カイユ 破落戸めいた男であり、ダム・ダーラの手駒の一人。素性は明らかではないが、どうやら水の聖者「ラクーシャ」の転生であるらしく、現在もクランド家が管理しているはずの八機神「ヴァルダラーフ・シャンパオ」をなぜか乗機としている。 教都ワースランでの「聖クワルメー祭」において水門の随員役として参加。法王ネーザに聖刻騎士団の暴挙を直訴した巡礼者に密かに黒き血を飲ませ、獣化させたうえで謀殺した。 自身も肉体に《黒き血》を注入しており、これを制御することにより肉体を強化している。また、剣技・練法どちらも「刷り込まれた」ものであることが示唆されている。 アラクシャー襲撃ではミカルドを支援してゾマを追い詰めるも、突如現れたフェンに生身のまま翻弄された後前方撤退。<白亜の塔>の防衛機構を破壊しているさなか、自律機動したヴァシュマールによってミカルドおよび獣機共々瞬殺されるが、ダム・ダーラの仕込んでおいた術により生還する。 その後、ヒゼキア=スラゼン連合王国に現れるとメルを拉致しようと試みるが、ダロトが命懸けでこれを阻止。さらに現れたアルタシャールとの戦闘で圧され撤退もやむなしという状況まで追い込まれるも、ミカルドがメルを捕獲しダロトをも人質にとったことで形勢逆転し、計画通りメルを拉致して立ち去った。 ダロトとの操兵戦の最中、結印なしに練法を用いたことから刺青として描き込んだ紋様を媒介に発動する「刻印式」を利用していることを見破られる。続くクリシュナとの戦いでは、彼の乗るヴァルダラーフは複製品であり、なおかつ《黒き血》で強化した《黒の使徒》と呼ばれる量産可能な強化機であると告げて心理戦に持ち込もうとするも百戦錬磨のクリシュナには通じず、事実上の敗北へと至っている。 ルツ エドン家に仕える<調整された練法師>。赤目(キリト)の出自。大ドワルドの命により、クランド・ストラ両家に協力していた。 当人は謙遜しているが、ザトウク家と練法師団の警戒網を潜り抜け、アグ河の戦線から教都ワースランまで密書を届けた実力を持っている。神樹編で再登場し、実態は調整など受けておらず、エドン家の内情を探る密偵であったことをミカルドに告白している。 実は八聖者の一人、陽の聖者「マハーバラ」の生まれ変わりであることが、八機神「リィノ・クワルタク・アバスターク」(陽鳳の操兵)の操手であるという事実によって示唆されている。 聖樹編では「クレイグ」という名を与えられ、ダム・ダーラの命を受けルツとカイユによる陽動のもと<白亜の塔>内部に侵入。地下の鉱油生産プラントでレプリカのアバスタークを自爆させ、白亜の塔もろとも聖都市街地を破壊する。メルを拉致する際には別働隊として《拝火》の里を襲撃し、アシュギニーを強奪した。 スーズ がっちりとした体躯の男の姿をした、ルツが術によって操る傀儡。 八聖家 信仰心があつく聖刻教会に顕著な功績のあったとされる八つの名家のこと。それぞれが教会や騎士団の要職に就く事が多い。7世紀ほど昔に、ルドラ家が教義を巡って法王と対立し一門ごと破門されている。このため八聖家といいながら数百年に渡って七家しかなかったが、大動乱後にカムリ家が取り立てられている。クランド家 当主:ラマール・クランド 北部域の武家の名門で、歴代当主が多く聖刻騎士団団将に就いている。ラマールの祖父ラドウは先々代の聖刻騎士団団将で「機神」の称号を持つ当代最高の騎士でもあったが、当時の法王アショーカの崩御に伴い職を辞して隠居した。ラドウの息子は三人とも早世していたため、家督は当時6歳のラマールが継いだ。 現当主ラマールは幼いために無役であったが、法王勅命軍総大将を拝命した際に聖刻騎士団軍将に任じられた。 ザトゥク家 当主:グラハ・ザトゥク 北部域の武家の名門。輩出した聖刻騎士団団将はクランド家に次ぐ。武威よりも智謀をもって貢献してきた一族で、公にはされないが暗殺など裏活動も一手に行ってきた。 現当主のグラハは、ジャンを追い落として聖刻騎士団団将の地位に上り詰めたが、歴代で唯一操兵に乗れない団将であり、技量・カリスマ・知略いずれにおいても騎士団幹部のみならず家内の側近からすらも団将として格が足りない存在と見られている。このために、実質的に一門を取り仕切る先代当主ラズバーンは自分の存命のうちに地盤を磐石なものにしようと、クランド家、ストラ家の没落を狙って精力的に活動している。その智謀は教会改革派が最も恐れる存在ながら、実際は極めて孤独な立場であり、皮肉にも人質としているはずのジャン・ストラこそが最大の理解者となっている。 カランダル家 当主:リクド・カランダル 東部域出身で僧侶を統括する最高位の司教、教務団総括総管区長を勤めてきた。 反ザトウクの姿勢を取り、各地域の教会を通じてラマールを支援する。 ストラ家 当主ジャン・ストラ 南部域の武家の名門。数百年前にクランド家から分家した北部の一族だが、南部に移り教化を行ってきた。当主ジャンは聖刻騎士団団将であったが、嫡子ガルンがラドウ暗殺の嫌疑を受けたために失脚し、政敵であるザトウク家預かりの身となっている。 南部域では圧倒的な支持を受けており、ストラ家のために命を捨てる覚悟の騎士がアーリアの国家騎士の中にもいるほど。 エドン家 当主:ドワルド・メル・エドン 大ドワルドと呼ばれる当主は法王の知恵袋と呼ばれ、法王側近の「八賢連」の長を務める。 白髪赤目の長命種<北方人>の血を引く数少ない一人で、エドン家でも赤目は大ドワルドのみである。三代の法王に仕え百歳をとうに超えていると言われている。 法王ネーザの野望と勅命軍派兵の隠された意図を見抜いており、それを逆手にラマールの元に教会改革派を糾合する道筋をつけたのち、役目を終えたかのごとく死去した。 跡は孫のドワルド・ボル・エドン(小ドワルド)が継いだ、ということになっているが、大ドワルドの異常な長命を隠す偽装で、実は曾孫である。 カムリ家 当主:グッテン・カムリ 西部域の軍閥。当主グッテンは四狼騎士団の団長(軍将)。大動乱時聖刻騎士団が度重なる消耗に耐え切れず壊滅の危機にあった際、西部域の豪族をまとめて上げて聖刻教団に加勢し、戦局を覆した功績で八聖家入りした。 野心家のグッテンは、自家の勢力を拡大しようと西部域の混乱を裏で煽っており、ついには四狼騎士団を率いて聖刻騎士団を離脱した。 センザン家 当主:ミシャーギ・センザン 東部域の商家出身の一族。現当主ミシャーギは教会の大財務官を勤める。50代の恰幅が良い太鼓腹の、いかにも豪商らしい姿をしている。 反ザトウクの姿勢を取り、財政面でラマールを支援している。東部域最大の商都ヴィシャーム商業匠合筆頭をも務めており、当地を治めるバナトス国王や青鳳騎士団にも大きな影響力を持っている。 商人という教会としては卑しむべき職についていることから軽んじられ、立場も八聖家では末席に過ぎないもののその教会に対する忠義は本物であり、ラマールやガルンが無意識に彼の陰働きを軽んじた会話を行っている場に出くわした際は痛烈な皮肉を交えながら激怒する様を見せた。 なお、聖樹「参」P105-P107では「ユジック・ゴウラン」と誤記されている。 ゴウラン家 当主:ユジック・ゴウラン ゴウラン家は代々操兵作成の秘儀を受け継ぐ工部の一門で。その特殊性から教会で唯一世襲の役職に就いており、当主が代々操兵鍛冶匠合の総代を務める。 ユジックは、東方全域の鍛冶の頂点に立つ技術を持つ職人であり、八聖家当主でありながら自ら血液と油にまみれて整備を行う。また教会の敵であろうと「操兵の整備に関しては中立」という大原則を貫き、損傷と整備不良に窮するクランド軍には操兵鍛冶を引き連れて自ら駆け付けた。 八聖家でありながら操兵しか頭に無い人物と批判されるが、八の聖刻に関わる秘密と兵器としての操兵が国家のパワーバランスに与える影響を知り尽くしているからこそであり、現在の教会に表立って批判はしないものの一線を置いている。ただ、本人がいわゆる操兵バカなのもまた事実で、致命的欠陥機であり、自軍に損害が出るのが明かなグーリ・シャルバーンの投入を認めたのも、技術者としてのどうしようも無い性質からと語るなど、良きにつけ悪しきにつけ、操兵一筋の性格である。 なお、グーリ投入の責任を追及された件については「あんなヤツと一緒くたにするな」と、グラハと一味のように扱われたことの方に憤っており、中立を旨とするもののグラハのことは相当に嫌っているようである。
※この「聖刻教会関係者」の解説は、「聖刻1092」の解説の一部です。
「聖刻教会関係者」を含む「聖刻1092」の記事については、「聖刻1092」の概要を参照ください。
- 聖刻教会関係者のページへのリンク