緊急避妊薬の薬局販売未承認及び経口妊娠中絶薬未承認とは? わかりやすく解説

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緊急避妊薬の薬局販売未承認及び経口妊娠中絶薬未承認

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 21:26 UTC 版)

リプロダクティブ・ヘルス・ライツ」の記事における「緊急避妊薬の薬局販売未承認及び経口妊娠中絶薬未承認」の解説

日本では女性の9人に1人人工妊娠中絶経験しているとの統計があり、平成30年度件数出生数92対し人工妊娠中絶件数16超える2020年10月現在、市民団体緊急避妊薬へのアクセス改善などを求めて厚生労働省提出した署名が約88千人分に上ったが、その処方箋なしでの薬局販売2017年厚生労働省の「処方箋医薬品」から、「要指導一般用医薬品」への転用に関する評価検討会議で、緊急避妊薬市販化について審議の場において、性教育そのものが、日本はまだヨーロッパアメリカ合衆国からかなり遅れていることも理由として承認否決されている。 しかしながら日本妊娠回避する緊急避妊薬アフターピル)「ノルレボ錠」が医師診断なしには処方されず、かつ自由診療で1錠約15,000円と高価であるため、「意図しない妊娠リスク抱えた全ての女性は、緊急避妊薬アフターピル)にアクセスする権利がある」とする世界保健機関勧告逆行しているところであり、この妊娠回避機会喪失影響している。なお2019年ジェネリックレボノルゲストレル錠」が適用となり、約9,000円で処方可能となった厚生労働省処方箋医薬品から要指導一般用医薬品への転用に関する評価検討会議でも、経口妊娠中絶薬市販化について審議されたが、アメリカなどの緊急避妊ピル常時使用している環境比較して参考人として招聘され国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院副理事長 矢野哲と公益社団法人日本産婦人科医会常務理事 宮崎亮一郎より性教育不十分さ薬剤師知識不足による誤解などを懸念することが述べられ日本産科婦人科学会反対理由として表明していることが不許可背景となっている。 これに対しドラッグストア業界団体や一薬剤師らが反発し一部産婦人科医からも、緊急避妊薬早ければ早いほど効果があることを述べ休日病院開いていない際に女性を守る視点欠けているとの意見もあった。薬剤師からは「医師薬剤師関係性」について対等ではないパターナリズム文脈があると指摘する声もある。とは言え検討会議の場で薬剤師会もまた緊急避妊薬OTC化について現状制度ではスイッチ後、原則3年第1類医薬品なるとし反対している。ところで、審議委員指摘する欧米では確かに緊急避妊薬)がOTC化されているようです欧米では20代90%以上の方が経口避妊薬使用している状況にあり、避妊薬慣れているのです。」と引き合い出して緊急避妊薬否決されたが、日本において経口避妊薬普及しないその大きな要因経口避妊薬ピル認可には日本世界でももっとも遅いといえる44年年月要したこともピル常用化につながっていない現状生み出している。なお、承認時に婦人科行きピル処方する際に性病検査をしたほうがいいとの議論があり、その項目は女性必要ならば男性にも必要で、女性に失礼だとの黒川清委員見解削除された。なお当時審議会構成には女性は2名しか参加していなかったことも述べられている。 緊急避妊薬に関するパブリックコメント9月11日から1ヵ月受け付けられ全部348件。賛成320件、反対はわずか28件だったにも関わらず国民意思反映されない決着となったスイッチOTC検討会の委員鈴木邦彦日本医師会常任理事は、望まない妊娠減らしたいという考え方そのもの反対ではないとしつつも、審議会議論について、医師関与必要性緊急避妊薬への国民理解度販売体制問題示され、とてもOTCできないという結論であり、反対意見ばかりで賛成誰もいなかったとの見解示している。ちなみに医師向けサイト行われた現場産婦人科医師のアンケート(n=124)では47%が反対よりの意見表明しているが、27%がどちらでもないことを表明している。また60代男性医師は、基本的に個人選択任せるべき、妊娠反応の時も産婦人科医会は反対していたことを述べている。産婦人科医有志9人による5月産婦人科医に緊急アンケート(n=559)では、6割以上がアフターピル市販化オンライン処方いずれも肯定している。ただし主催者医師緊急避妊薬オンライン診療解禁になった場合性暴力被害者限定されたり、オンライン診療行っている産婦人科医探すならば今よりアクセスしやすいかと疑問呈している。 2019年行われたオンライン診療指針見直し検討会では、ささえあい医療人権センターCOML理事長 山口育子構成員が、産婦人科受診抵抗感じ女性が多いため、その受診精神的な負担のあるときもオンライン診療を可能とすべきと述べ諸外国では薬局緊急避妊薬購入できるところもある補足した。それに対し、「『精神的負担のあるとき』との表現あまりに広すぎだと牽制し諸外国日本の文化異なることを掲げ対象無制限に広がってはいけないとの指摘多数でた(今村構成員日本医師会副会長黒木春郎構成員医療法人社団嗣業の会理長・日オンライン診療研究会会長ら)。傍聴者からは検討委員ひとりで日本医師会副会長今村聡氏は検討会で「(緊急避妊薬へのアクセスが)無制限に広がってしまうのも困るという思いあります。」というWHO勧告逆行する趣旨発言疑問呈されている。2020年10月日本産婦人科医会知識不足である女性気軽に薬局購入できる状況になることを憂慮し、まだ早いとの意見述べている。 厚生労働省医療用から要指導一般用への転用に関する評価検討会議では、委員16中女性は3名であり、審議の場では検討委員12人のうち女性はただ1人だけであったセルフメディケーションスイッチOTC化の承認状況一覧では女性固有の問題である膣カンジダ症の承認25年以上かかる一方発毛剤では6年という短期間承認されている。承認過程激しジェンダーバイアスかかっている恐れがある。なお、ノルレボ錠国内第Ⅲ相臨床試験において、性交72時間以内ノルレボ1回経口投与した結果解析対象63例のうち、妊娠例は1例で、妊娠阻止率は81.0%であった全ての妊娠防げるわけではなく性交72時間超えて本剤を服用した場合には63%であり、妊娠阻止率が減弱する傾向がみられた。 アメリカでは2013年より年齢制限などなく誰でも処方箋なしで「プランB」と呼ばれる緊急避妊購入が可能となった。しかしジャーナル紙の調査では、アメリカ食品医薬品局FDA決定にも関わらず10代若者覆面調査では薬局容易に緊急避妊薬入手できたのは28%のみにとどまり、3%が氏名などの個人情報確認されたと問題視されている。またDr. Ian Bishop医学博士はこの中絶引き起こさず排卵遅らせる機能があるが、誤解利用議論生んでいると指摘している。緊急避妊薬イギリスでは2001年処方箋なしで購入できる薬局として承認されているが、薬剤師との相談要するため訓練受けた薬剤師不在在庫不十分のため調査では5人に1人入手できなかった。法の要件ではないその場で飲むことや身分の証明求められ事例もあった。このため一般販売医薬品切り替えるべきとの見解がある。オーストラリアでは薬剤師緊急避妊求め女性購入前に性的暴行または性感染症症状があるかどうか宣言するように求め問診記述するように誤って指導されることが問題視されている。ニューサウスウェールズ州家族計画のメディカルディレクターであるデボラベイトソン博士プライベートな質問個室ではない場所で行われること女性に恥をかかせ、購入思いとどまらせる可能性懸念し、また緊急避妊薬は「非常に安全なであり、世界一部地域スーパーマーケット自動販売機でさえ調剤されたと付け加えている。ドイツでは、有効成分レボノルゲストレルまたはウリプリスタル酢酸塩を含む独自の医薬品が、処方箋なしで緊急避妊薬として利用できる既存妊娠疑われる場合は、活性物質ウリプリスタルアセテート(UPA)は禁忌としているが、発覚していないものを含めた既存妊娠場合でも1.5mgのレボノルゲストレルの単回投与問題ではないとしている。またアメリカでは高水準10代の出産憂慮し米国小児科学会10代妊娠を減らすため1つ公衆衛生戦略として定期的なカウンセリング奨励しEC処方箋進め方針持ちノルレボ錠EC)の投与前に使用前身体検査妊娠検査必要ないとしている。またEC使用後3週間以内に期間がない場合は、自宅または診療所での妊娠検査推奨している。一方で日本では薬剤転売薬害などのリスクもあるとされ、「3週間後に確実に産婦人科医受診するよう求める」「産婦人科専門医など、高度な専門知識をもつ医師のみに限定する」「1回分のみの処方とし、調剤薬局薬剤師内服事実確認する」などの厳格な要件設定する方針オンライン診療指針見直し検討が行われた。日本では緊急避妊薬処方箋なしの薬局販売反対する理由として「次も使えばいいや」という安易な考え流されることを懸念することが挙げられているが、2000年12月からブリティッシュコロンビア州では、薬剤師処方箋なしで緊急避妊薬提供されているがその調査ではEC繰り返し使用は、ユーザーのわずか2.1%のが研究間中3回以上緊急避妊受けている状況稀だった。WHOによると懸念される子宮外妊娠は、以前緊急避妊薬使用対す禁忌考えられていたが、55,666人の女性事例のうち5件子宮外妊娠しか報告されていないので、ECは安全であると考えることができるとされている。日本産科婦人科学会編「緊急避妊法適正使用に関する指針」(平成28年度改訂版)でも異所性妊娠について総合的にレボノルゲストレルによってこのリスク増加しないことと、既に妊娠していた場合反復投与によって流産誘発されることはないと述べている。ただし、副作用として服用後は、3.6%に悪心認められ、2時間以内嘔吐した場合追加服用要するとあるが、診療時間であった場合示唆はない。 2019年米国産科婦人科学会(ACOG)は避妊に関する声明改め、腟リング避妊パッチ含めた全ての避妊薬市販薬OTC)として、処方箋なしで販売すべきだとの見解を「Obstetrics & Gynecology10月号に発表している。またDMPA(デポ酢酸メドロキシプロゲステロン注射薬についても、年齢制限なく処方箋なしで販売すべきだとし、女性避妊薬アクセスするのを阻む障壁取り除くべきだと主張しているのと対比的状況となっている。 なお産婦人科医人工妊娠中絶件数減った場合クリニック収入が減る可能を医師懸念する可能性指摘する意見もあり、中絶が「罪人対す処罰」であり産婦人科医の「いい金づる」とも表現されている。また、中絶胎児万能細胞としてアメリカではパーキンソン病患者胎児から取った神経細胞移植する研究進められ中国でも脊髄損傷患者などに実際治療始まっているが、現状では女性から摘出した中絶胎児産婦人科処分しているが他の用途転用可能性もある。日本ポーランドアイルランド等のミフェプリストンが未認可国々では、掻爬術あるいは吸引処置選択されるが、子宮穿孔出血などの合併症リスク高く安全性において「薬物による中絶」に大きく劣る。ミフェプリストン開発される以前は、妊娠初期であっても吸引術や掻破術がファーストチョイスとして選択されていたが、ミフェプリストン認可され国々ではリスク問題のためにファーストチョイスとされないまた、子宮内膜薄くなる子宮内膜菲薄化、子宮に穴が開いてしまう子宮穿孔術後アッシャーマン症候群起こすことがあり、不妊症となるケースがあるのも欠点となっている。海外では30年上前から使用され安全な中絶流産方法としてWHOの必須医薬品にも指定されている経口中絶薬ミフェプリストンミソプロストール)は日本では中絶流産に対して適応許可されていない。『フランス・ジャポン・エコー編集長レジス・アルノーからは、経口妊娠中絶薬すべての先進国、それに発展途上国多くでも認可され中国ウズベキスタン女性手に入れているにも関わらず厚生労働省は、経口妊娠中絶薬についてFDAの古い危険という、誤った見解情報発し続けてリンク切れ起こしている、ことを指摘しており、認可されていない状況憂いている。厚生労働省2018年インターネットインド製と表示され経口妊娠中絶薬個人輸入服用した20代女性に、多量出血けいれん腹痛などの健康被害起きていたと発表し個人輸入規制の強化図ったバイアグラ個人輸入による健康被害を生み、スピード承認運びとなったことと対比的動きとなっている。 コロナ禍での若年層妊娠安増加を背景として緊急経口避妊薬市販化への議論高まったが、日本産婦人科医会前田津紀夫副会長は「日本では若い女性対す性教育避妊含めてちゃんと教育してあげられる場があまりにも少ない」「“じゃあ次も使えばいいや”という安易な考え流れてしまうことを心配している」と2020年7月NHKコメントし物議を醸しだした。片や国内認可されているノルレボは、売上ベース年間11個の販売対し日本国内人工中絶年間におよそ168千件(平成28年度厚生労働省)で、1日にすると国内中絶数は460件という結果から、緊急避妊薬リーチできない人が多数であることを懸念し性交120時間(丸5日間)以内服用効果がある「ellaエラ)」というアフターピル処方する医師もいる。 2020年10月政府性交直後服用妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」について、医師処方箋がなくても2021年より薬局購入できるようにする方針固めた報道された。内閣府第5次男女共同参画基本計画素案には、「避妊をしなかった、又は、避妊手段が適切かつ十分でなかった結果予期せぬ妊娠可能性生じた女性求めに応じて緊急避妊薬に関する専門研修受けた薬剤師十分な説明の上対面服用させることを条件に、処方箋なしに緊急避妊薬利用できるよう検討する。」という文言盛り込まれた。これに対す緊急避妊薬対す日本医師会猪口雄二副会長会見では、薬局でなく産婦人科取り扱われる緊急避妊薬アクセス悪さ指摘されていることを述べ専門研修受けた薬剤師十分な説明の上対面服用させるとの同調査会の提言には同意示している。なお2020年より幼稚園から小中高校、大学で「生命安全教育」という新し教育始め方針があるが、引き続き性行為避妊取り扱わない予定とされている。2020年12月日本産科婦人科学会木村正理事長定例記者会見で「いろんな条件成熟していない」とし、導入極めて慎重な姿勢示している。しかしながら医師法はその第1条で「医師は、医療及び保健指導掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進寄与し、もつて国民健康な生活を確保するものとする」とその使命定め公益社団法人日本産婦人科医会はその会則で「母子生命健康を保護するとともに女性の健康保持増進し、もって国民保健の向上に寄与することを目的とする」ことを謳い女性保健に関する啓発事業内容として掲げている。また日本産科婦人科学会木村正理事長学会代表あいさつリプロダクティブ・ヘルス概念日本女性あまねく享受目的として述べている。日本に住む学齢期10代初め既卒者であり既に経産婦含まれる20 - 40代妊孕性がある女性達が、国内において海外多く使用される緊急避妊薬入手するという同等権利を得るための要件として関係者から述べられている、既卒者にも届く「性教育普及」や悪用乱用を防ぐなどの「いろんな条件解消向けては、医師自身寄与することがその立場要されている。2020年10月田村厚労相緊急避妊薬薬局での販売について「これまでの議論踏まえ、しっかり検討していく」と述べた解禁時期は「期限区切ってとは考えていない」と明言避けている。 日本においても、世界で承認されている、子宮内避妊システム小さいものの利用、腕に入れインプラント皮膚貼るシール利用含め「産む・産まない」の選択女性自身決める「リプロダクティブ・ヘルス・ライツ」の権利尊重される必要がある

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