合略仮名とは? わかりやすく解説

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合略仮名

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/28 03:27 UTC 版)

合略仮名[1](ごうりゃくがな)は、仮名合字である。省略仮字[2]略用仮名[3]合略文字[4]または合略字[5]とも呼ばれる。

書簡でのみ用いられる合字は、書簡体文字と呼ばれる。

漢字の略字が字源とされるもの(「 コト」「 𬼀 シテ」など)は厳密には合字ではないが、合字とともに扱われる事が多い[6]

歴史

1900年(明治33年)には仮名調査委員が変体仮名の廃止とともに『「 より 𬼂 なり 𪜈 トモ」を廃す』を議決している[7]

電子機器上での扱い

2000年まで、コンピュータ上では外字の利用などでしか合略仮名を扱えなかった。

2000年JIS X 0213が定められた。これによって「 コト」と「 より」が使えるようになった。

2002年Unicode 3.2に「 コト」と「 より」が採用された。

2009年、Unicode 5.2に「 𪜈 トモ」が採用されて、使えるようになった。しかし、CJK統合漢字拡張Cとして登録されてしまった。

2017年、Unicode 10.0に「 𬼀 シテ」「 𬼂 なり」「 𬻿 ナリ」が採用されて、使えるようになった。しかし、CJK統合漢字拡張Fとして登録されてしまった。

表示可能なフォント

2025年8月現在、合略仮名が表示可能なフォントには以下のようなものがある。

一覧

平仮名

以下は、合字である。

読み 画像 文字 Unicode 字源・用例
かしこ - - 𛀚 しこ[8][9]
こと - - こと[1]
ごと - - ごと[10]
さま - - 𛃅 [5]
- - 𛃅 [1]
まいらせそうろう - - 𛃂 𛃰 せ候[11] 𛂽 [12]
- -
より U+309F より[1]

以下は、合字ではない。

読み 画像 文字 Unicode 字源・用例
なり 𬼂 U+2CF02 [1]

片仮名

以下は、合字である。

読み 画像 文字 Unicode 字源・用例
トイフ - - ト云[1]
トキ - - トキ[1]
トテ - - トテ[1]
トモ 𪜈 U+2A708 トモ[1]
ドモ 𪜈゙ U+2A708 + U+3099 ドモ[13]
ヨリ - - ヨリ[14]

以下は、合字ではない。

読み 画像 文字 Unicode 字源・用例
イフ - - [13]
コト U+30FF コト[15][5]
ゴト ヿ゙ U+30FF + U+3099 ゴト、事[16]
シテ 𬼀 U+2CF00 シテ[4][14]
トキ - - [14]
ナリ 𬻿 U+2CEFF [17][18]

類似の文字

  • 「ます」と読む文字」は、計量に使用する記号化したものであり、合略仮名ではない。
  • 漢字の一部を仮名に置き換えた字(略字)があるが、これらも合略仮名ではない。
    • 例:「機」、「議」、「摩」または「魔」 →「略字」を参照。
  • インターネットスラングで、既存の文字のが他の文字として解読できる場合、当該文字1字を他の文字2字の代わりとして用いる場合がある。
    • 例:「托い」(キモい)「モルール」(モノレール)など。

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i 国語漢文自習要覧: 附・仮名遣詳解」国立国会図書館デジタルコレクション. 2025年3月2日
  2. ^ 「日本文典 : 解説批評 上」国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年8月22日閲覧。
  3. ^ 「習字大全 上」国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年8月22日閲覧。
  4. ^ a b 「和漢の文典 : 雅俗対照」国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年8月22日閲覧。
  5. ^ a b c 「ことばの泉 : 日本大辞典 21版」国立国会図書館デジタルコレクション”. 2025年5月31日閲覧。
  6. ^ 「日本大文典 第1編」国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年8月22日閲覧。
  7. ^ 教育公報 (231)」国立国会図書館デジタルコレクション. 2025年3月14日
  8. ^ かしこ”. 漢字字躰帳. 2025年8月26日閲覧。
  9. ^ 草々かしこ”. 2025年5月31日閲覧。
  10. ^ [東京築地活版製造所活版見本]”. 2025年5月31日閲覧。
  11. ^ まいらせ候」漢字字躰帳. 2025年4月9日
  12. ^ 文芸類纂 巻2 字志 下」国立国会図書館デジタルコレクション. 2025年4月9日
  13. ^ a b Das Buch der Schrift: enthaltend die Schriftzeichen und Alphabete aller Zeiten und aller Völker des Erdkreises”. 2025年5月31日閲覧。
  14. ^ a b c 伴信友 著『仮字本末』下巻・附録”. 2025年5月31日閲覧。
  15. ^ 「普通日本文典」国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年8月22日閲覧。
  16. ^ AC10332289, Anonymus (1871) (英語). Specimens of Chinese, Manchu, Japanese and English type, from the type foundry of the American Presbyterian Mission Press. American Presbyterian Mission Press. https://books.google.co.jp/books?id=P7ZmzGWe8VAC&pg=PP9&hl=ja&source=gbs_toc_r&cad=2 
  17. ^ 児玉幸多『くずし字解読辞典〔普及版〕』東京堂出版 1993年 ほか
  18. ^ 田島毓堂「法華経為字和訓考—資料編(三)—」名古屋大学文学部研究論集 1990年

参考文献

関連項目

外部リンク



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