あらすじ・内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 14:50 UTC 版)
時は元禄、「犬公方」こと五代将軍徳川綱吉の治世。隠居した光圀はお供の俳人を連れて、諸国漫遊を兼ねて藩政視察の世直しの旅に出る。悪政を行なう大名・代官などがいれば、光圀は自らの俳号「水隠梅里」を書き記すなどしてその正体をほのめかし、悪政を糾す。しかしながら光圀が正すのは局所々における役人の不正であり、時には身分制度の掟で結ばれない恋人同士に粋なはからいを示すことなどはあるが、実在の人物であることと、あくまで隠居の身であるため大々的に社会改革にまで踏み込もうとする展開はない。テレビドラマ版では世直し自体を目的として旅立つというよりはシーズンごとに陰謀やお家騒動といった主軸のストーリーがあり、その解決のため目的地に赴く途中出会った人々を成り行きで助けるサブストーリーが毎回展開される構成が定番化している。 お供は明治の講談以降、佐々木助三郎と渥美格之進の二人に定まった。 作品中、光圀がちりめん問屋「越後屋」(あるいは越後にあるちりめん問屋)の隠居・光右衛門と名乗る設定、助・格が印籠を悪人に見せるクライマックス、物語の冒頭で家老の山野辺義忠が、出立しようとする光圀一行を諫めるシーン、さらには一行に護衛の忍者が加わるなどは、主としてテレビドラマ『水戸黄門』での演出であり、先行作品を含めて他の水戸黄門物に必ずしも共通する設定とは限らない。
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あらすじ・内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 04:11 UTC 版)
《上野の浮浪者一掃 けさ取り締り 百八十人逮捕》 冬ごもりの季節を控え、上野公園や上野駅周辺の浮浪者を一斉検挙したという新聞記事。 《ぼくの場合》 「箱男」の〈ぼく〉自身が、箱の中で「箱男」の記録を書き始めることを表明する。 《箱の製法》 「箱男」として行動するためのダンボール箱の寸法や覗き穴の製作方法などが説明される。 《たとえばAの場合》 Aという或る男が「箱男」になったきっかけの物語。ある日、Aのアパートの窓の下に住みついた一人の「箱男」を、Aは空気銃で威嚇射撃して追っ払うが、その後自分自身も、新しく買った冷蔵庫のダンボール箱をかぶり、やがて「箱男」となって失踪する。 《安全装置を とりあえず》 運河をまたぐ県道の橋の下で「箱男」の〈ぼく〉は、「箱を5万円で売ってほしい」と言った〈彼女〉を待ちながら、「ノート」をボールペンで書いている。万一〈ぼく〉が殺されることがあった場合のための安全装置のためである。一旦インク切れで中断し鉛筆で書き始めるが、字体は変わらない。〈ぼく〉は「あいつ」に殺されるかもしれないと考え、「ノート」の表紙裏には、「あいつ」(中年男)が空気銃を小脇に隠しながら逃げて行った時の証拠のネガフィルムを貼りつけてある。 《表紙裏に貼付した証拠写真についての二、三の補足》 1週間か10日ほど前、〈ぼく〉は立小便の最中に肩を空気銃で撃たれ、その逃げる中年男の後姿をフィルムに収めた。〈ぼく〉は「箱男」になる前、カメラマンだったが、仕事の途中でずるずると「箱男」になってしまったのである。 中年男が逃げていったその直後、傷口を押さえていた〈ぼく〉の箱の覗き穴に、「坂の上に病院があるわ」と3千円が投げ込まれた。立ち去ったのは自転車に乗った足の美しい若い娘だった。その晩〈ぼく〉が病院に行くと、医者(空気銃の男)と看護婦(自転車娘)が待ち受けていた。看護婦の〈彼女〉に手当てをされながら麻酔薬を打たれ、いつの間にかぼくは「箱男」の知り合いのふりをして箱を5万円で売る約束をしていた。〈彼女〉は元モデルだという。 《行き倒れ 十万人の黙殺》 新宿駅西口の地下道で、花模様のシャツに長靴の浮浪者(40歳くらい)が柱のかげで座ったまま死んでいたという新聞記事。 《それから何度かぼくは居眠りをした》 「貝殻草」の匂いを嗅ぐと、魚になった夢を見るという話を〈ぼく〉は書いている。夢の中の「贋魚」は、それが夢か確かめるために、天に向って墜落することを考え、やがて嵐の日に中空に放り上げられ、空気に溺れて死んだ。夢から覚めても本物の魚になれない「贋魚」。居眠りから覚めても「箱男」のまま。「贋魚」も「箱男」も違いがない。 《約束は履行され、箱の代金五万円といっしょに、一通の手紙が橋の上から投げ落とされた。つい五分ほど前のことである。その手紙をここに貼付しておく》 「箱の始末も一任します。潮が引ききる前に、箱を引き裂いて、海に流してしまって下さい。」という手紙と共に、5万円が投げ込まれた報告。 《………………………》 自転車で来た〈彼女〉が橋の上から1通の手紙と5万円を投げ込んだ。なぜ5万円も支払われるのか〈ぼく〉は訝り、箱をほしがっている医者がやってくるものと思っていた〈ぼく〉は、その動機が解せず、あれこれと考えも巡らす。 《鏡の中から》 夜中、箱をかぶったまま〈ぼく〉は病院へ向った。建物の裏にまわって〈彼女〉の部屋の窓から話をしようと考えるが、ふと電気の点った或る部屋を鏡で反射させて覗くと、〈ぼく〉とそっくりな〈贋箱男〉の前で〈彼女〉がヌードになっていた。それはどこかで見たことのあるような光景で、自分の願望の幻のようで嫉妬心をかき立てられた。〈ぼく〉は〈贋箱男〉の代りに、自分が箱と手を切ってみることを考え始めるが、そのために誰か(彼女)に手を貸してほしいと思いながら、とりあえずそこを立ち去る。 《別紙による三ページ半の挿入文》 紙も字体も違い、万年筆で書かれている。或る男の前でヌードになった「わたし」(看護婦)と、その時の「去勢豚のあいつ」(視姦者)のことを根掘り葉掘りと聞いている「先生」(医者)の会話文。「わたし」(看護婦)は裸になった後、「あいつ」(視姦者)に薬を注射した。口臭のある「あいつ」は目やにを拭きながら、様々なポーズを要求した。 《書いているぼくと 書かれているぼくとの不機嫌な関係をめぐって》 3時18分、〈彼女〉の裸の四つん這い姿が網膜に焼きついたままの〈ぼく〉は、T港と湾を隔てた場所の市営海水浴場のシャワーで身奇麗にして、服が乾くのを箱の中で待っている。その海岸は、1週間前、傷の手当のため病院に行く前に身支度を整えた場所だった。〈ぼく〉は、以前目撃したB(箱男)の抜け殻(箱)のこと等を回想し、箱を処分してから朝8時に再び病院を訪ねる決心をする。 〈贋箱男〉(医者)は、〈ぼく〉が「箱男」当人だと知りながらも白を切り5万円の返金受け取りを拒んだが、やがて「箱男」が〈ぼく〉だと暗に認め、箱の所有権を自分に譲渡し、〈ぼく〉と〈彼女〉がここで自由に好きなことをしていいという交換条件に、その行為を覗かせてほしいと言った。病院の時計は10時24分前だった。 〈ぼく〉が煮え切らない態度でいると、〈贋箱男〉は〈彼女〉を名前で呼び、裸になるように指示し、やがて〈ぼく〉に〈彼女〉の至近距離に行くことを促すが、「覗かれる」ことが嫌な〈ぼく〉は、その提案を拒否する。 箱は処分して来たと言う〈ぼく〉に対し、突然〈贋箱男〉が、この「ノート」は誰かが海岸で、箱の中で書いているんじゃなかったっけ? と切り出し、〈ぼく〉も、そうなると「あんたたち自身、ぼくの空想の産物にすぎないことを認めることになる」と応酬する。その時、〈ぼく〉の腕時計は5時8分前を指し、そのわずか約1時間半で「ノート」59頁分を書くのは不可能だと〈贋箱男〉は追及する。〈贋箱男〉は、自分が〈ぼく〉のつもりになって、自分のことを想像している〈ぼく〉を想像しながら自分が書いているのかもしれないと言い出す。 〈ぼく〉が、肩を撃たれた時の犯人の証拠物件のネガフィルムを持っていることを告げると、〈贋箱男〉は態度が急変し、箱の覗き穴から空気銃で威嚇した。〈ぼく〉は、砂をぎっしり詰めておいた鰐の縫いぐるみで〈贋箱男〉と格闘する。脛を叩き続けられた〈贋箱男〉は箱の中で縮こまった。窓から10時の薄日が差し込んでいた。 〈ぼく〉が、もしも医者(贋箱男)なら、紅茶にでも毒を入れてさっさと「箱男」の自分を殺していただろう。〈ぼく〉がまだ生きのびているという証拠はない、と綴られる。 《供述書》 T海岸公園に打上げられた変死体についてのCの「供述書」が書かれている。 医師見習のC(贋医者)は戦時中に軍の衛生兵をし、その時の上官の〈軍医殿〉の名義を借りて医療行為に従事していた。昨年まで同居していた内縁の妻・奈々は〈軍医殿〉の正妻で看護婦であったが、見習看護婦の〈戸山葉子〉(彼女)がやって来たために、別居となった。 《Cの場合》 9月最後の土曜日、日付が変わろうとしている午前零時9分前、「供述書」を書いている途中のC(贋箱男)の様子を観察している者(軍医)が語り手となっている。 「君」(C、贋箱男)が、「ぼく」(軍医)の「ノート」の書き出しと同じ「ノート」を用意しているのを、「ぼく」は見つける。「君」はすでに明後日の月曜日のこと(ダンボール箱をかぶった変死体が人影まばらな海岸公園に打上げられたこと、死亡推定30時間前)を記録している。「君」のベッドの上には「箱男」そっくりに作ったダンボール箱がある。計画通りに事が進めば、「君」の書きかけの〈供述書〉は無用だから、破り捨ててほしい。 《続・供述書》 ダンボール箱をかぶった変死体が〈軍医殿〉に間違いないと証言するC(贋医者)の〈供述書〉の続きが書かれている。 戦時中、〈軍医殿〉は材木から人間が腸吸収できる糖分の研究中に重病となり、苦痛を抑えるため麻薬依存になったため、戦後はCに診療所の代診をさせていた。精神状態がますます悪化する〈軍医殿〉は自殺願望が募り、Cの内縁の妻〈奈々〉(軍医の正妻で看護婦)の発案で〈軍医殿〉の名義はCに譲渡された。また、〈軍医殿〉の自殺を思い留まらせる代りに、見習看護婦の〈戸川葉子〉の裸体を鑑賞させることを〈軍医殿〉はCに要求していた。二階の一室を部屋にしていた〈軍医殿〉が、ときどき非常梯子で外出していた可能性を、ダンボール箱をかぶった浮浪者の徘徊に関連してCは示唆する。 《死刑執行人に罪はない》 C(贋箱男)の様子を観察している者(軍医)が語り手となっている。 遺体安置室を自分の部屋にしている「ぼく」(軍医)は、「君」(贋医者・贋箱男)が「ぼく」を殺してくれることを待っている。「ぼく」は、「君」が注射器を消毒皿に収める音を聞き、「君」が10日前から準備していた箱(ぼくの棺桶)をすっぽりかぶって階段を上ってくる「君」の気配を感じている。「君」がもしも部屋に入ってきたら、眠っているふりをしようと考え、自分が殺されて死ぬ瞬間の場面を「ぼく」はシミュレーションしている。 「君」は、「ぼく」が死んだ後の遺体を溺死に偽装するため、肺に海水を流し入れた後、「ぼく」の死体をかつぎ下ろし、ズボンと長靴をはかせ、箱をかぶせて紐で固定しリヤカーで運ぶ。「ぼく」の死体の捨て場所は、以前に二人で打ち合わせていた醤油工場裏がいい。「(理由不明な突然の中断)」の但し書が最後に付記。 《ここに再び そして最後の挿入文》 そろそろ、箱を脱いで〈ぼく〉の素顔と、「ノート」の真の筆者を知らせるべき時が来たと切り出される記録。ここまで書いてきたことに全く嘘はなく、想像の産物であっても嘘ではない、と綴られる。 「箱男」殺しは罪になり得ず、安楽死の判例の「病人」を「箱男」という語に入れ替えても成立し、敵兵や死刑囚と同様に、「箱男」も法律的には生存が認められず、罪に問われないと言える。だから「箱男」が誰かを訊ねるよりも、誰が「箱男」でなかったかを突き止める方が早いと思うのだ。 〈ぼく〉は「箱男」になったばかりの皮膚にたまる垢の痒さや、他の浮浪者から受ける襲撃、残飯あさりなどの試練を語る。今〈ぼく〉はそれに馴れ、箱の生活に退屈はない。箱の中で退屈するようでは贋物である。 《Dの場合》 手製のアングルスコープを使って、体操の女教師がピアノの練習のため借りている隣家の離れのトイレを覗き見ようとする中学生Dの挿話。現場を女教師に見つかり、ピアノ室でショパンの演奏を聴かされた後、報復として、鍵穴から女教師に覗かれながら、そこで服を脱ぐことを命じられる。 《………………………》 元カメラマンの「箱男」(本物)の〈ぼく〉は、本日休診の札のかかっている病院にやっとたどり着いた。〈ぼく〉は、海水浴場のシャワーで身奇麗にし、服を乾くのを待っている間に居眠りをし、目が醒めると服がなくなっていたため、全裸で箱をかぶってズボンを探していたが、その時に自分とそっくりな「箱男」が歩いているのを見て、あわてて病院に来たのだった。〈ぼく〉はそのことを〈彼女〉に説明した。〈贋箱男〉の「先生」は箱をかぶって出て行ったらしく、さっき見た「箱男」が彼だった。 箱を脱いだ裸の〈ぼく〉は、裸になった〈彼女〉に迎え入れられた。〈ぼく〉は、「白状するよ、ぼくは贋物だったんだ」、「でも、このノートは本物なんだよ。本物の箱男からあずかった遺書なのさ」と言った。しかし、全ての遺書が真実を告白しているとは限らない、という内容の但し書が付記。 《夢のなかでは箱男も箱を脱いでしまっている。箱暮しを始める前の夢をみているのだろうか、それとも、箱を出た後の生活を夢みているのだろうか……》 結婚式には馬車で花嫁の家に出向いて行かなければならないという風習のため、貧しい60歳すぎの父親が息子(父親からショパンと呼ばれている)のために、ダンボール箱をかぶって馬の代りに荷馬車を引く挿話。 花嫁の家に近づいていた道の途中、ショパンは立小便をし、木陰で彼を待っていた花嫁と視線が合ってしまった。父親はとんだ息子の失態に、男らしく引き下がることを諭した。ショパンは父の箱にまたがり、住み慣れた町を出てゆく。父と息子は、ピアノ付きの屋根裏部屋を借り、ショパンが彼女を想って描いた裸婦像の小さなペン画を、ダンボール箱の中の父親が売りさばき、客は箱に金が入れた。ショパンの切手は売れ続け、父のダンボール箱は赤い木皮製となった。ショパンは世界最初の切手の発明者となるが、郵便事業が国営化されると贋造者とされ、父の赤い箱だけは郵便ポストとして後世に受け継がれた。 《開幕五分前》 「きみ」(彼女)と〈ぼく〉の間に官能的な熱風が吹きまくっている。失恋の自覚から始まった恋愛。しかし、この熱風自体の中に終末が予感されている。 《そして開幕のベルも聞かずに劇は終った》 今日、〈彼女〉は出て行った。〈ぼく〉と〈彼女〉は、2か月ほど裸で暮らしたが、結局、彼女は服を着て出て行った。〈ぼく〉が箱をかぶって食料や日用品の買い出しから帰り、非常階段から家に入ると、いつも〈彼女〉は裸で階段を上って迎えてくれたが、今日〈彼女〉は服を着ていた。階段脇の遺体安置室の存在が二人の間に影を落していたとは言えず、〈ぼく〉と〈彼女〉は、それを黙殺し、臭気も放置した生ゴミの臭いでごまかしていた。 《………………………》 実は〈彼女〉は玄関から出て行ったのではない。〈彼女〉の部屋のドアの音だったのである。玄関は最初から〈ぼく〉が釘付けにしておいた。非常階段の門にも鍵を下ろしてあったので、家の中にいるはずだ。〈ぼく〉は家の電源を切り、箱を脱ぎ裸のまま、〈彼女〉の部屋に入った。部屋だった空間が、どこかの駅の隣り合った売店裏の路地に変わっていた。〈彼女〉はどこに消えたのだろう。〈彼女〉を探し出さなければならないが、ここも閉ざされた空間の一部であることに変りないのだ。 最後に大事な補足だが、「箱」には落書きのための十分な余白を確保すること、しかしある意味、落書きは余白そのものなのだ。「箱」というものは、内側から見ると「百の知恵の輪をつなぎ合せたような迷路」で、もがけばもがくほど、新たな迷路ができて中の仕組みがもつれてゆく。〈彼女〉も逃げ去ったわけでなく、この迷路の中のどこかにいて、〈ぼく〉の居場所を見つけられずにいるだけだろう。……救急車のサイレンが聞えてきた。
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