あらすじ・収録作品
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「巴里マカロンの謎」の記事における「あらすじ・収録作品」の解説
巴里マカロンの謎(『ミステリーズ!』vol.80、2016年12月) 高校1年の9月半ばのある日、とある事情で小佐内の頼み事をひとつ聞くことになった常悟朗は、小佐内に連れられて新装開店した「パティスリー・コギ」の名古屋店、「パティスリー・コギ・アネックス・ルリコ」に同行することとなった。小佐内はそこで季節限定の4種類のマカロンを食べたかったのだが、マカロン&ティーセットでは3種類のマカロンしか選べないため、4種類めのマカロンを注文させるために常悟朗を連れ出したのだ。 そうして訪れた店で3種類のマカロンを注文し、手を洗うために席を外した小佐内が戻って来たときには、なぜか彼女の皿には4つのマカロンが乗っていた。店員が間違えてひとつ多く置くはずもなく、それでは誰が何の目的で第4のマカロンを置き、かつどれが4つめのマカロンなのかという疑問が浮き上がった。 常悟朗はまず、後から置かれた4つめのマカロンがどれなのかを推理したが、小佐内が4つめのマカロンを割ってみると、中には金の指輪が入っていた。 紐育チーズケーキの謎(『ミステリーズ!』vol.86、2017年12月) 10月のとある日曜日、小佐内は「パティスリー・コギ」で知り合った古城秋桜(こぎこすもす)に招かれて中学校の文化祭に行くことになり、小佐内に頼まれて常悟朗も同行することになった。秋桜のクラスの模擬店で目玉商品のニューヨークチーズケーキを味わった後、常悟朗は気を利かして2人と別れて校内を見回る。 ところが、グラウンドの真ん中で焚かれていたボンファイヤーの前にいた小佐内に、走ってきた1年生男子が衝突して彼女は吹き飛ばされてしまう。それを上階から見ていた常悟朗が慌てて駆けつけると、秋桜が途方に暮れてたたずんでいた。秋桜いわく、小佐内にケガはなかったが、1年生を追ってきた体育会系の上級生と思われる3人組が、小佐内が1年生と衝突した後、CDを受け取ったはずだと難癖を付けて彼女を拉致したのだという。ただし、彼女は自分の意思でついて行った、そして連れていかれる前に「小鳩くんを呼んで」と言い残して行ったのだという。 常悟朗は、小佐内は確かにCDを受け取り、そしてどこかに隠した、それを推理させるために自分を呼ばせようとしたのだと推測する。衝突後、3人組が現れるまでの間に小佐内が何かを隠せる時間は90秒ほどだったという。その時間で小佐内はCDを、どこにどうやって隠したのか? 伯林あげぱんの謎(『ミステリーズ!』vol.92,93、2018年12月、2019年2月) 年の終わりが見えてきたある日の放課後、新聞部にアンケートを届けに行くよう頼まれた常悟朗は、部室にいた堂島健吾から声を掛けられる。ちょうど奇妙な事件が起きて困っているところで、その解決を常悟朗に依頼する。 新聞部では「世界の年越し」をテーマにベルリーナー・プファンクーヘン(中にジャムを詰めたドイツ風の揚げパン)の特集記事を準備していた。ドイツでは年末にこの揚げパンをたっぷり用意して、その中のいくつかにマスタードを詰めて誰にマスタード入りが当たるか遊ぶゲームがあり、実際にそのゲームをやってみてマスタード入りが当たった部員が記事を書くことにしていた。ところが、揚げパンを食べた4人の中に、マスタード入りを食べたものは誰もいないのだという。もう1人準幽霊部員がいるが、その企画には参加しないと返事があったということで、用意されていた揚げパンも4人分だったという。 一見、他愛もない事件だが、実は部員のうちの真木島と門地が冷戦状態で、企画を進める真木島は当たりを引いた門地が企画を潰すために黙っているのではないかと考えかねない。門地も疑われていると察したら面白くない。このまま犯人が分からなければ、新聞部が空中分解しかねないのだという。 謎を解くために常悟朗が部員たちに質問を重ねた結果、揚げパンは準幽霊部員の分も含めて5つあった、そして用意されていた5つの揚げパンに注意が払われていない「空白の5分間」があったことに気が付く。では、誰が当たりの5つめの揚げパンを食べたのか? 花府シュークリームの謎(書き下ろし) 3学期に入って常悟朗に顔を合わせた小佐内は、去年はさんざんだったと不満を漏らし、名古屋で開かれた日伊パスティチェーレ交流会の立食パーティーで日本とイタリアのパティシエたちが集う記事を見せる。そこには、パティシエたちに囲まれて満面の笑みを浮かべている古城秋桜の写真が載っていた。常悟朗は、晴れの場で楽しそうにしている彼女と去年の自分を比べて、ちょっと悲しくなってしまったのだろうと小佐内の心中を察する。そのとき小佐内に秋桜から携帯に電話が入り、無実なのに停学になったと泣いているという。 名古屋に住む秋桜に会いに行って事情を聴くと、クラスの何人かがカウントダウン・パーティーを催した際に飲酒したのが発覚して、先生にお前も酒を飲んだだろうと決めつけられて停学にされたのだという。停学にされたのは、同じクラスの茅野、佐多、栃野と秋桜の4人、3人のリーダー格は茅野とのことで、茅野に会うと、飲酒が発覚したのは写真を撮った仲間がネットにアップしたのが通報されたのだという。その写真には秋桜は写っていないし、秋桜は参加していなかったと生徒指導の三本木に話したが、信じてくれなかったとのこと。三本木に会いに行くと、秋桜が飲酒している証拠写真が送られてきたのだという。 プリントアウトして渡してもらった写真を意識して見ると首の継ぎ目がわずかに見え、首だけすげ替えたものだと分かった。小佐内は、誰がこのパーティー写真を撮ることができたかと指摘する。写真データを持つ者だけがこの捏造写真を作れるのだと。それに対し、常悟朗は小佐内が、誰が捏造写真に写っている秋桜を撮ることができたかという問題を見落としていることを指摘し、「誰がパーティー写真と秋桜の写真の両方を手に入れることができたか」に的を絞って推理を進める。
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あらすじ・収録作品
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「春期限定いちごタルト事件」の記事における「あらすじ・収録作品」の解説
自身の本性によって手痛い思いを経験した中学時代を過ごしてきた船戸高校新1年生の小鳩常悟朗と小佐内ゆき。彼らは自らの性癖をひた隠し、「小市民」として日々の安寧を目指すため、困ったときには互いを言い訳に利用する互恵関係を築いていた。しかし常悟朗は、目の前に現れた問題事に対して図らずも抑えていた推理癖を発揮し、謎を解き明かしていくことになる。しかし、その中で小佐内の身には自転車が盗まれる事件が発生、その事件が思いもよらない形で2人を巻き込んでいく。 羊の着ぐるみ 常悟朗と小佐内が船戸高校に入学し、校内の雰囲気に溶け込み始めた四月半ばの放課後。小佐内とクレープ屋に向かおうと帰路に着いた矢先、同級生の堂島健吾に呼ばれ、有志の男子生徒2名と共に、1年女子の吉口の盗まれたポシェットを探すことに。だが学校内を隈なく捜索しても見つからず、警察に被害届を提出すると事態が大事に流れそうになる中、常悟朗は持ち前の推理力でポシェットを盗んだ犯人とその背景を窺い知っていく。吉口…船戸高校1年生。儚げな日本美人風な顔の女性。健吾とは中学が一緒のようで気安く話せる間柄。 下村…ポシェット捜索に駆り出された1年生徒。中肉中背で、卑屈そうな笑みを浮かべている。捜索開始直後に帰宅した。 高田 容一…ポシェット捜索に駆り出された1年生徒。ガタイの良い体型。捜索中、健吾と待ち合わせるが捕まらず、健吾を右往左往させる。 For your eyes only 船戸高校に入学してから1ヶ月、常悟朗が健吾から相談に応じる約束をし、小佐内と「春季限定いちごパフェ」を買ったその日、小佐内の自転車がサカガミと呼ばれる他校生に盗まれてしまう。次の日、健吾に美術部に呼び出された常悟朗は、先輩の美術部員の勝部が、かつての部長・大浜に2年前から預かったきりの2枚の絵を処分するかどうかを決めるため、絵の価値の有無を調べる。しかし、本格的な絵を描いていたという大浜のその絵は、「世界で一番高尚な絵」と称しながらも出来はお世辞にも秀逸とは言えない上に、2枚とも中身が同じ田園風景が描かれていた。勝部 飛鳥…船戸高校3年生、美術部員。新聞部の記事で部活紹介をするために話を聞きに来た健吾に大浜の絵の話を持ちかけた。大浜に「世界で一番高尚な絵」を託されたが、2年経っても取りにこないままの絵の扱いに悩んでいる 大浜…船戸高校生の卒業生で元美術部員。油絵を描いており、 高橋由一を好み、日展を狙うほどの実力を持った技巧派で県の美術展奨励賞を受賞したことがある。 おいしいココアの作り方 5月の日曜日、携帯ショップから出た小佐内とばったり会った常悟朗は、盗まれた自転車が五百旗頭(いおきべ)という学生のアパートで印鑑を盗まれた事件で使用されたことで生徒指導室に呼び出された小佐内を励ますため、自家製ヨーグルトが美味しい店で奢ろうとしたところ、2枚の絵の一件のお礼がしたいという健吾に自宅に招かれる。2人は、健吾から一工夫手がけた「おいしいココア」を振る舞われたが、健吾の元から離れ、健吾の姉・千里と台所で3人きりとなったとき、千里はシンクが乾いており、ココアを溶くのに使ったスプーンしかないと指摘。健吾が鍋を使わずに温めたミルクでココアを作った事実に直面した3人は、健吾が如何にして「おいしいココア」を作ったのかという謎解きに頭を働かせる。堂島 千里…健吾の姉。船戸高校生で常悟朗らの先輩にあたる。健吾同様に彫りの深い女性。押しが強くさっぱりとしており、誰とでも言葉を交わせば友達と認める程友好的な性格。 はらふくるるわざ 理科Ⅰのテストで中間考査全科目が終了した放課後、小佐内にお気に入り過ぎたという理由で2度と行かないと誓ったというケーキ店〈ハンプティ・ダンプティ〉に誘われた常悟朗。小佐内に何かがあったと察した常悟朗は、彼女からテストの最中に一つの問題を思い出しそうになった時、突然教室の後ろのロッカーから栄養ドリンクの瓶が落ちて割れた話を聞く。その後、忘れた携帯を取りに学校に戻った常悟朗は、小佐内の教室を検証し、栄養ドリンクが落ちた狙いを知る。 孤狼の心 小佐内が再び生徒指導室に呼び出され、自転車が路上の下り坂の道に捨ててあったことが判明した。自転車を取りにいった常悟朗と小佐内は、サカガミが急いで目的地に向かう途中に故障した自転車を捨てていったと推理したが、下り坂から見える行先は山越えの道と、田園地帯を抜けて町に向かう道しかなかった。やがて常悟朗はサカガミが急いで向かった場所に見当をつけたが、これまでの災難を前に小佐内は抑えていた本性を前面に出しサカガミ達への復讐に走ってしまう。小佐内の危機を察した常悟朗は健吾を呼び出し助けを求めるが、小市民を目指してからの常悟朗への反発もあって不確かなことしか言えない常悟朗に取り合わない。常悟朗は小佐内の危機を健吾に認識させるため、推理連鎖を繰り広げていく。
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