変死体
変死体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/14 23:25 UTC 版)
変死体(へんしたい)とは、日本の刑事訴訟法第229条において取り扱いが規定されている、変死者または変死の疑いのある死体の二者を総括した呼び名のこと[1][2][3]。日本において、変死として扱われる死体の多くは、単に「自宅で死亡した者」である[2][3]。
概要
- 変死者
- 異状死体の一部で、医師によって明確に病死や自然死であると判断されず、かつ、死亡が犯罪によるものであるという疑いのある死体のこと[1][2][3]。
- 変死の疑いのある死体
- 異状死体の一部で、医師によって明確に病死であると判断されておらず、かつ、死亡が犯罪によるものであるか不明である死体のこと[4]。
つまり両者をまとめると、変死体とは、死亡が犯罪に起因するものでないことが明らかではない死体のこと[1][5]。変死体は通常の医師では死亡診断を下すことが出来ず、警察官による検視の対象となり、監察医や法医学研究室等の検案によって死因の判断が行われる[1]。また、死因疎明に必要があれば行政解剖や親族の承諾による任意の解剖、犯罪死の可能性がある場合は司法解剖の対象となる[1][6]。
実際の取扱い
死体や周囲の状況に犯罪の客観的形跡が認められない場合でも、自宅で死んだ者等は、医師が看取っていないことから、即座に死因を断定することが出来ない[1]。そのため、これらの死体は、まずは変死として扱われ、監察医の検案によって死因の判断が行われ、死亡診断書に相当する死体検案書は監察医が作成する[1][7]。
しかし自宅などで死亡した者でも、その者が死亡の直前まで医師の元に定期的に通院して診察を受けており、担当医師が診察をしていた疾患で死亡したと認めることが出来る死体は、病死扱いされる[1]。
また、病院で死亡した者で、死因の判断が出来る死体であっても、「診察を始めて24時間以内に死亡した者は、明確な死因の判断をすべきではない」という見解が多くの医師間であり、監察医に下駄を預けてしまうことが多い[8][9]。しかし法律・規則上「24時間以内は不可」という趣旨の明文はなく、あくまでも医師の間の無文ガイドラインであって、遵守事項ではない[8][9]。
脚注
- ^ a b c d e f g h “変死体等措置要綱の制定について(例規通達)”. 鳥取県. 2025年9月15日閲覧。
- ^ a b c 「客恐喝容疑のスナック女性経営者、前夫2人は変死」『読売新聞』読売新聞社、2004年7月22日。オリジナルの2004年7月24日時点におけるアーカイブ。2024年10月30日閲覧。
- ^ a b c 「主婦が自宅の押し入れで変死 大阪・阪南」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年3月1日。オリジナルの2006年3月2日時点におけるアーカイブ。2025年9月15日閲覧。
- ^ 日本大百科全書(ニッポニカ),世界大百科事典内言及. “変死体(へんしたい)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2023年12月16日閲覧。
- ^ 「車中に男女4人変死体、集団自殺か 埼玉・皆野町の山林」『朝日新聞』朝日新聞社、2004年9月29日。オリジナルの2004年10月1日時点におけるアーカイブ。2025年9月15日閲覧。
- ^ “警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律”. www.shugiin.go.jp. 2023年12月16日閲覧。
- ^ “警察における死体取扱いの流れ” (PDF). 警察庁. 2025年9月15日閲覧。
- ^ a b “死亡診断書(死体検案書)について”. 厚生労働省. 2025年9月15日閲覧。
- ^ a b “医師が直接の死後診察をしない場合の死亡診断書の作成について” (PDF). 内閣府 (2015年11月26日). 2025年9月15日閲覧。
関連項目
「変死体」の例文・使い方・用例・文例
- 変死体のページへのリンク