石井柏亭 石井柏亭の概要

石井柏亭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/08 09:18 UTC 版)

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自画像

来歴

1882年(明治15年)東京府下谷区下谷仲御徒町(現在の東京都台東区上野)に生まれる。本名は石井満吉。父は日本画家の石井鼎湖で、弟は彫刻家の石井鶴三である。母はふじ。女婿は画家の田坂乾[1]

1892年(明治25年)、11歳の時から柏亭と号して日本美術協会や青年絵画共進会に作品を出品、これ以降、毎年作品を出品しながら、印刷局工生として彫版の見習い生となっている。1897年(明治30年)浅井忠に入門し、油絵を学び、1900年(明治33年)に結城素明らが自然主義を標榜して結成した无声会に参加、新日本画運動を推進した。また、中村不折にも師事しており、1902年(明治35年)に結成された太平洋画会に参加。1904年(明治37年)東京美術学校(現在の東京芸術大学美術学部)洋画科に入学するが、眼病のため中退。雑誌『明星』に挿絵を描いたり、また詩作を発表した。

1907年(明治40年)、山本鼎とともに美術雑誌『方寸』を創刊(ドイツの「ユーゲント」等を念頭に置いたといわれる)。近代創作版画運動の先駆をなした。1908年(明治41年)木下杢太郎北原白秋ら文学者とパンの会を結成した。隅田川沿いの料理屋において結成された、このパンの会では江戸情緒が追慕され、彫師伊上凡骨との木版画制作につながっていった。この頃の版画に1910年(明治43年)版行の「東京十二景」、「木場風景」などがある。「東京十二景」は、外遊前後の作品(1910-1914年)であり、伊上凡骨が下絵を彫っている。この2つのシリーズは、浮世絵木版画の形を取っており、新版画に分類されるものである。特に「東京十二景」シリーズでは、女性が一人いて、上部のコマ絵には東京の風景が描かれていた。また、三代歌川豊国による錦絵「江戸名所百人美女」という作品を模して制作された作品であり、琅玕洞(後に柳家書店・青果堂)という画廊から1枚25銭で販売された。なお、「東京十二景 よし町」に描かれたモデルは芸者の五郎丸であった。技法的には山本鼎ほど多角的ではなかったが、水彩スケッチの感触を生かした木版風景画を多く残している。

1910年(明治43年)12月、渡辺銀行の専務、渡辺六郎の支援でヨーロッパに外遊、1912年(明治45年)に帰国。1913年(大正2年)、「日本水彩画会」を創立、1914年(大正3年)には有島生馬らとともに二科会を結成した。1922年(大正11年)東京帝国大学工学部講師。西村伊作が創立した文化学院に招かれて教壇に立った(後に美術部長を務めた)。

1928年(昭和3年)フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章受章、翌1929年(昭和4年)『中央美術』を創刊、1935年(昭和10年)帝国美術院会員となり二科会を辞す。1936年(昭和11年)一水会を結成、1937年(昭和12年)帝国芸術院会員、1949年(昭和24年)日展運営会理事、没後正四位勲二等旭日重光章受章。享年76。墓所は文京区の護国寺共同墓地九通。法名は彩光院釈柏亭居士。作品数は5000点とも6000点とも言われる。

作品

油彩・水彩画

作品名 技法 形状・員数 寸法(縦x横cm) 所有者 年代 出品展覧会 落款・印章 備考
草上の小憩 油彩、オイルパステル・キャンバス 額1面 92.0×137.5 東京国立近代美術館 1904年(明治37年) 第3回太平洋画会展 [2]
巴里の宿 37.2×26.3 東京国立博物館 1911年(明治44年) [3]
ジプシーの娘 水彩・紙 1面 51.3×35.7 東京国立近代美術館 1912年(明治45年) [4]
ヘネラリーフェ 水彩・紙 1面 42.2×30.2 東京国立近代美術館 1912年(明治45年) [5]
独逸の婦人 テンペラ・キャンバス 額1面 44.6×29.0 東京国立近代美術館 1912年(明治45年) [6]
ウィーン 紙・水彩 29.8×40.5 静岡県立美術館 1912年(明治45年)
ポン駒とその宝物 油彩・キャンバス 額1面 44.5×33.5 茨城県近代美術館 1915年(大正4年) 第2回二科会
農園の一隅 71.0×80.0 東京国立博物館 1920年(大正9年) 第6回二科展 [7]
外套を被たる夫人(深尾須磨子像) 油彩・キャンバス 額1面 80.0×65.0 日本民俗資料館 1922年(大正11年) 平和記念東京博覧会
ナポリ 油彩・キャンバス 額1面 60.3×72.7 東京国立近代美術館 1923年(大正12年) 第10回二科展 [8]
サン=ミシェル橋 油彩・キャンバス 額1面 73.0×60.0 東京国立近代美術館 1923年(大正12年) 第11回二科展 [9]
聖フランチェスコ寺院 油彩・キャンバス 額1面 59.5×72.5 千葉県立美術館 1923年(大正12年) 第11回二科展 [10]
麻雀 油彩・キャンバス 額1面 72.7×90.9 茨城県近代美術館 1926年(大正15年) 第13回二科展
水車場 油彩・キャンバス 額1面 72.7×90.9 福島県立美術館 1927年(昭和2年) 第14回二科展
雲れる日 油彩・キャンバス 額1面 61.5×73.0 新潟県立近代美術館 1928年(昭和3年) 第15回二科展
萩と山吹 紙本金地著色 二曲一双 150.0x149.0(各) 渋谷区立松濤美術館 1930年(昭和5年) 五十年記念展 関野克寄贈
少女浴泉 油彩・キャンバス 額1面 45×37 茨城県近代美術館 1936年(昭和11年)
軍艦出雲 油彩・キャンバス 額1面 130.5×162.0 東京国立近代美術館保管(アメリカ合衆国無期限貸与) 1940年(昭和15年) 第5回海洋美術展 戦争記録画
[11]
霞ケ浦航空隊行幸 油彩・キャンバス 額1面 112×212 茨城県近代美術館 1943年(昭和18年)
西部蘇満国境警備 油彩・キャンバス 額1面 187.0×256.5 東京国立近代美術館保管(アメリカ合衆国無期限貸与) 1944年(昭和19年) 陸軍美術展 戦争記録画
[12]
山河在 油彩・キャンバス 額1面 53.0×73.0 松本市美術館 1945年(昭和20年) 第1回日展
画室小集 油彩・キャンバス 額1面 110.0×160.0 長野県信濃美術館 1949年(昭和24年) 第5回日展
湖畔の宿 油彩・キャンバス 額1面 72.5×90.0 諏訪市美術館 1952年(昭和27年)9月 第8回日展
佐渡海村 油彩・キャンバス 額1面 89.0×1150 東京都現代美術館 1953年(昭和28年)8月 第9回日展
阿武隈小春 油彩・キャンバス 額1面 49.5×60.0 東京国立近代美術館 1958年(昭和33年) [13]

木版画

  • 「東京十二景 よし町」 和歌山県立近代美術館所蔵 1910年(明治43年)
  • 「東京十二景 柳ばし」 木版画 和歌山県立近代美術館所蔵 1910年(明治43年)
  • 「東京十二景 下谷」 木版画 和歌山県立近代美術館所蔵 1914年(大正3年)
  • 「東京十二景 日本ばし」 木版画 和歌山県立近代美術館所蔵 1914年(大正3年)〜1917年(大正6年)
  • 「東京十二景 向じま」 木版画 和歌山県立近代美術館所蔵 1914年(大正3年)〜1917年(大正6年)
  • 「東京十二景 新ばし」 木版画 和歌山県立近代美術館所蔵 1914年(大正3年)〜1917年(大正6年)
  • 「木場」 木版画 和歌山県立近代美術館所蔵 1914年(大正3年)
  • 「木場」 木版画 静岡県立美術館所蔵 1914年(大正3年)
  • 「木場」 木版画 横浜美術館所蔵 1914年(大正3年)
  • 「日本風景版画」 木版画 1917年(大正6年)〜1918年(大正7年)
  • 「現代女人十二姿」 木版画 1932年(昭和7年)

  1. ^ 関口良雄『昔日の客』171p
  2. ^ 草上の小憩。2018年5月26日閲覧。
  3. ^ 巴里の宿。2018年5月26日閲覧。
  4. ^ ジプシーの娘。2018年5月26日閲覧。
  5. ^ へネラリーフェ。2018年5月26日閲覧。
  6. ^ 独逸の婦人。2018年5月26日閲覧。
  7. ^ 農園の一隅。2018年5月26日閲覧。
  8. ^ ナポリ港。2018年5月26日閲覧。
  9. ^ サン・ミシェル橋。2018年5月26日閲覧。
  10. ^ 聖フランチェスコ寺院。2018年5月26日閲覧。
  11. ^ 軍艦出雲。2018年5月26日閲覧。
  12. ^ 西部蘇満国境警備。2018年5月26日閲覧。
  13. ^ 阿武隈小春。2018年5月26日閲覧。


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