びょういん‐せん〔ビヤウヰン‐〕【病院船】
病院船
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病院船(びょういんせん、英語: hospital ship)とは、広義には戦争や飢餓、大災害の現場で、傷病者に医療ケアのプライマリ・ケアを提供したり、病院の役割を果たすために使われる船舶。狭義にはそのうちジュネーヴ条約が適用されるもので、傷病者や難船者に援助を与え、治療と輸送を唯一の目的として、国が建造又は設備した船舶をいう[1]。
- ^ 第2条約に定める病院船は軍用病院船(第22条)、各国・中立国救済団体(赤十字社など)の病院船(第24、25条)に限られ、紛争当事国の軍以外の官公庁所属の病院船は対象として明記されていなかったため、狭義の意味の病院船には該当しない。しかしながら、その後のジュネーヴ諸条約第一追加議定書第23条「他の医療用船舶及び他の医療用舟艇」の条文において、軍用病院船とほぼ同様の条件を遵守する限りにおいて軍用病院船と同様の条約上の保護を受ける余地が発生しており、標章を正規の赤十字表記に塗り替える等、一定の条件を満たすのであれば非軍事の官公庁保有病院船であっても軍用病院船と同等の保護を受けられる余地はある。
- ^ 傷病者が携行していた個人携行火器や弾薬の船内への一時的な集積もやむを得ない物として許可される。
- ^ 厳密な条約上の表現はジュネーブ第2条約第34条に定める「人道的任務から逸脱して敵に有害な行為を行う」である事から、「海上武力紛争に適用される国際法サンレモ・マニュアル」等において、敵に有害な行為とならない純粋に病院船の自衛用兵器であれば搭載は許されるとする解釈意見が存在する。具体的には対艦ミサイルを妨害するチャフやフレア、さらにミサイル迎撃に限定すればCIWSも、仮にこれを使用したとしても(そもそも攻撃禁止の病院船への被害を回避しただけなので)敵に有害な行為とはならず許されるとしている。ただし、このような装備は紛争当事国から誤解されないよう事前通告すべきとしている(サンレモ・マニュアル パラグラフ170)
- ^ しかしながらこれについては「海上武力紛争に適用される国際法サンレモ・マニュアル」において、暗号が禁止される事により位置が露呈すると作戦に支障をきたす艦隊に追随させられない事で、いざという時に傷病者が不利益を被る可能性がある事から、病院船に同乗する中立国監視員の監視下に限定する事で暗号通信を許可する条約改正をすべきとする意見がある。
- ^ 登録総トン数、船首から船尾までの長さ並びにマスト及び煙突の数を含む。
- ^ イギリス海軍の傷病兵収容艦「アーガス」が該当する。イギリス海軍はフォークランド紛争において、病院船と交信するために暗号を使用できない事で艦隊位置が暴露する危険性があると認識し、その運用に苦慮した背景がある。
- ^ イスラエル・ガザ地区の紛争に派遣するために派遣前に船体の白色塗装を行ったインドネシア海軍の「ワヒディン・スディロフソド級病院船」が一例。また同国の「Dr. スハルソ」は2000年代のある時期まで赤十字を表記しながら並行して40mm機関砲などを装備していた。
- ^ a b c d e f g “災害時多目的船(病院船)に関する調査・検討報告書”. 内閣府防災担当. 2020年2月17日閲覧。
- ^ ““海の救急車”お披露目 東京五輪で患者搬送、都内で訓練”. 毎日新聞. 2021年7月27日閲覧。
- ^ 大内、p.112
- ^ a b https://www.mod.go.jp/j/presiding/treaty/geneva/geneva2.html 海上にある軍隊の傷者、病者及び難船者の状態の改善に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約(第二条約)](海上にある軍隊の傷者、病者及び難船者の状態の改善に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約(第二条約))
- ^ 交戦汎論 1901, p. 300.
- ^ 海上にある軍隊の傷者、病者及び難船者の状態の改善に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約(第二条約)第34条
- ^ 有鄰平成12年9月10日 第394号氷川丸・70年の航跡
- ^ a b c d e f g h i j k 帝国陸軍運輸部船舶司令部「輸送船(甲)要目表」(1943年10月作成。『戦前船舶資料集 第113号』所収)に病院船として掲載されている船舶
- ^ 「内外商船ニュース 病院船建造の調査費計上へ」『世界の艦船』第748号、海人社、2011年10月。
- ^ 災害時多目的船(病院船)に関する調査・検討(内閣府) (PDF)
- ^ a b “災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律”. 制定法律. 衆議院. 2021年6月18日閲覧。令和3年法律第79号、2021年6月18日公布
- ^ 公益社団法人モバイル・ホスピタル・インターナショナル
- ^ “【独自】北極域研究船、災害時には「動く病院」に…26年度完成へ”. 読売新聞 (2021年8月4日). 2021年8月5日閲覧。
- ^ “JAMSTECの新「北極域研究船」、JMUが建造を受注”. FUNECO (2021年8月28日). 2021年8月31日閲覧。
- ^ “北極域研究船の受注について” (PDF). ジャパン・マリンユナイテッド (2021年8月27日). 2021年8月31日閲覧。
- ^ 深海に沈んだ豪病院船、66年ぶりに発見 映像公開 AFP
- ^ 920型病院船(アンウェイ型/安衛型) - 日本周辺国の軍事兵器
- ^ 中国病院船「和平方舟」、台風被害のフィリピンで活動 - サーチナ 2013年11月29日(エキサイトニュース)
- ^ 「海外艦艇ニュース 中国の新造病院船が就役」 『世界の艦船』通巻943集(2021年3月号) 海人社 P.167
- ^ コンテナ型船舶医療モジュールシステム - 日本周辺国の軍事兵器
- ^ “世界最大級のNGO病院船「Global Mercy」が完成”. 日経BP (2020年10月3日). 2020年12月21日閲覧。
- ^ “Global Mercy™”. Mercy Ships. 2020年12月21日閲覧。
- ^ “世界唯一の「空飛ぶ眼科病院」、関空で特別公開…手術室備え途上国で治療や研修”. 読売新聞オンライン (2023年4月22日). 2023年12月27日閲覧。
- ^ “3.11で「病院船」建造していれば…予算計上されなかった安倍内閣“冷淡対応”の過去”. AERA朝日新聞出版 (2020年2月27日). 2020年3月16日閲覧。
- ^ “「病院船」導入へ促進法案 超党派議連が策定へ”. 日本経済新聞 (2021年2月27日). 2020年3月16日閲覧。
病院船
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 09:06 UTC 版)
「宇宙戦艦ヤマトシリーズの輸送船・特殊艦船」の記事における「病院船」の解説
『宇宙戦艦ヤマト』第14話に登場する。デザイン担当は加藤直之。 ガミラス帝国の保有する病院船。外見上は駆逐型デストロイヤー艦などと似るものの、艦後部の推進ノズル2基が「目玉」のようにデザインされており、後部中央にもツノを持つなど、まるで「顔」を前後に付けたような姿をしている。艦橋はシンプルなデザインで、翼のような出っ張りがない。 オクトパス星団で足止めしていたヤマトの前に1隻が偶然現れ、オクトパス星団の抜け道を知るヒントを与えることになった。なお、古代進は攻撃するよう艦長の沖田十三に進言するが、沖田は「戦艦ではない」として見逃している。 当初は病院船としてはっきりさせるため白塗装にする案があったが、結局他のガミラス艦と同様の緑色となった。また、本艦の決定稿には「赤十字マークなどつけないこと」と注意書きが添えられている。 『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』において、ガミラス移民船団を構成する艦として再登場。全長257メートル。緑一色ではなく白いラインが入ったカラーリングとなっている。
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病院船
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「アブサロン級多目的支援艦」の記事における「病院船」の解説
医療設備を搭載したコンテナ(陸上自衛隊の野外手術システムと同様のもの)を設置できる。これにより、1日に40名の救急患者を受け入れ、10件までの手術を行なうことができる。
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「病院船」の例文・使い方・用例・文例
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