病院船の保護
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 13:31 UTC 版)
病院船の保護は人道的任務から逸脱して敵に有害な行為を行うために使用された場合でない限り消滅しない(保護を消滅させる場合も合理的な期限を定めた警告が発せられ、かつ、その警告が無視された後でなければならない)。 実際には保護されるべきはずの病院船が、敵艦から意図的に攻撃を受ける事件もあった(「ぶゑのすあいれす丸」撃沈事件、「オプテンノール」拿捕など)。 過失による撃沈を防ぐために病院船は夜間も明かりを灯し病院船であることを主張した。 純白の美しい外観、病院船という任務目的からか、付近の味方艦船乗員の心理的安堵感が増し、気が緩んだ隙に病院船周囲を周回している敵の潜水艦に撃沈されるという凄惨な例もあった。 また保護を悪用して、病院船を軍需輸送に使用する例も発生した(橘丸事件など)。 国際法上の保護要件を満たすには目立つ外観となり船団航行に向かない、軍需輸送に容易には転用できないなど運用上の困難があるため、一部の病院船は白色塗装や通知などをあえて行わないことがある。太平洋戦争時の大日本帝国陸軍が保有していた病院船には、このような国内限りの病院船が多く存在した。こうした病院船については、当然、軍事的攻撃も禁止されない。 このほか、戦時に病院船と同様の保護を受ける地位(安導権)を与えられる船がある。捕虜などへの救恤物資を輸送する船と、交換船が代表例である。こうした船についても、阿波丸事件のように攻撃を受ける例があった。
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