神社本庁 組織

神社本庁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/22 03:30 UTC 版)

組織

広義と狭義の神社本庁

神社本庁は約8万社の神社包括団体である。そのため広義の「神社本庁」とは被包括神社を含めた集合体を指し、狭義の「神社本庁」とは渋谷区代々木にある事務組織を指す。神社本庁の議決機関は全国の神職・総代から選出された評議員会であり、総長以下役員もそこで選任される。戦前の監督官庁であった神祇院とは根本的に組織体質が異なる[26]

団体組織

  • 主たる事務所は東京都渋谷区代々木一丁目1番2号(明治神宮の隣)[27]
  • 総裁が「神社本庁憲章」(憲章)に基づき、名誉を象徴し、表彰を行なう。現任は前神宮祭主池田厚子(旧名・順宮厚子内親王 昭和天皇の第4子・四女で明仁上皇実姉)。
  • 「統理」は憲章に基づき、神社本庁を総理し代表する。また日本会議で顧問を務める。現任は鷹司尚武
  • 神社本庁の規則である「神社本庁庁規」に基づく宗教法人としての代表役員は総長。現任は石清水八幡宮宮司京都府神社庁長・田中恆清。田中は日本会議副会長でもある。
  • 地方機関として各都道府県に1つずつ神社庁を置き、各神社庁の配下に支部を置く。人事財政などの諸事務のほか、地域活動の推進などを行う。一部の神社庁は宗教法人となっており、その場合は神社本庁の被包括法人である。
  • 全国の約8万社の神社が、神社本庁によって管轄される[28]。そのうち、特に神社本庁が神職の進退等に介入する神社は別表神社とよばれ、350社にのぼる[28]
  • 神社本庁に属する神社であっても、別に宗教法人を設立している場合がある。

以上の団体のほか、関係団体、指定団体がある。

神宮大麻

  • 全国の傘下の神社で得られる神宮大麻天照大御神の札)の初穂料のうち、半分が神社本庁の収入とされる。残りの半分は伊勢神宮の収入となる[28]。これによる2001年(平成13年)度の神社本庁の収入は約35億円だった[28]。なお、神社本庁は傘下の神社に対し、一定数の神宮大麻の頒布を求めており、規定数に達しない場合も傘下の神社は札を返さない、と週刊ダイヤモンドは報じている[28]。神社本庁は、神宮大麻の頒布を活動目的の一つとしている[29]

関係団体

全国神社総代会

全国神社総代会は神社の氏子総代からなり、神社本庁内に事務局が置かれる[30]

神社本庁の初代事務総長宮川宗徳が社長となり1946年(昭和21年)2月に神社新報社を設立した[31]。一般財団法人神道文化会も宮川の提唱で設立された[32]。神社本庁の評議委員会が神社新報社などで開催が公示される[33]

神道政治連盟と神道政治連盟国会議員懇談会

1969年(昭和44年)に、神道政治連盟が神社本庁を母体として設立された[34]

神道政治連盟の理念に賛同を示す超党派の日本の国会議員により構成される神道政治連盟国会議員懇談会があり、現在の会長は安倍晋三第3次安倍内閣では、閣僚20人のうち公明党所属以外の19人が神道政治連盟議員懇談会の会員]である。[35]

指定団体

神社関係団体のうち特に神社本庁がその活動を勧奨、育成、助成するものに指定団体[36]がある。

  • 全国敬神婦人連合会 - 神社に奉仕する婦人会の全国組織。
  • 神道青年全国協議会 - 若手神職からなる全国組織。
  • 全国神社保育団体連合会 - 神社を運営母体とする幼稚園・保育園・認定こども園・保育所等の相互互助と研鑚を目的とする。
  • 全国教育関係神職協議会 - 教職員を兼業する神職の相互互助と研鑚を目的とする。
  • 全国神社スカウト協議会 - ボーイスカウト・ガールスカウトを直接運営又は運営に協力する神社の相互互助を目的とする。
  • 全国氏子青年協議会 - 神社を中心にした青年の団体で神社への奉仕を通じて地域社会の発展に寄与することを目的とする。

神社本庁との被包括関係に属さない神社

有名な神社であっても、鎌倉宮靖国神社伏見稲荷大社日光東照宮気多大社梨木神社新熊野神社富岡八幡宮など神社本庁との被包括関係を有せず、単立宗教法人として運営される場合がある。大きな単立神社は約2000社、小さな祠等を含めると20万社の単立神社がある[28][37]東大阪市のように宗教法人格を有している神社に限っても半数以上が神社本庁に属していない地域もある[38]

神社本庁以外にも神社神道系の包括宗教法人がいくつかあり(神社本教北海道神社協会神社産土教、日本神宮本庁など)、これに属する神社は神社本庁の被包括関係には属さない。

気多大社別表神社であったが、財産の管理および処分に関する気多大社神社規則変更における対立から訴訟の末、神社本庁から離脱し、単立神社となっている[39][40][41]明治神宮2004年平成16年)に神社本庁と被包括関係を解消し、別表神社から離脱したが、2010年(平成22年)8月23日に再び神社本庁と被包括関係になった。富岡八幡宮は宮司人事に対する神社本庁の姿勢に疑問を持って離脱を決定[42]2017年(平成29年)6月に離脱を神社本庁に通知し、同年9月に所管する東京都が承認した。[43]

資産

週刊ダイヤモンドによれば、2014年の時点で、神社本庁の所有財産は、93億7644万円だった[44]。このうち、神社本庁の建物は14億4079万円、境内地の評価額は10億8900万円とされる[44]。また、所有する普通財産には、歴史教科書を出版している教科書会社の株式などが含まれる[44]




  1. ^ a b c d じんじゃほんちょう【神社本庁】 世界大百科事典第2版
  2. ^ 神社本庁 > 神社本庁のご案内 > 神社庁一覧
  3. ^ 神社本庁 > 神社本庁のご案内 > 関係団体一覧
  4. ^ 宗教年鑑 平成30年版 文化庁(編) p.103
  5. ^ a b 『宗教年鑑』平成19年 2-4ページ
  6. ^ 神社本庁 神社庁一覧
  7. ^ 神社庁とは”. 岡山県神社庁. 2020年5月4日閲覧。
  8. ^ 会通雑誌社『会通雑誌』、NDLJP:3567527国立国会図書館、図書館送信閲覧対象。
  9. ^ 松本久史 2011, pp. 78-79.
  10. ^ 神社本庁研修所 2005, pp. 216-218.
  11. ^ a b c 松本久史 2011, pp. 80-81.
  12. ^ 「日本奨学義会規則」、飯山正秀編『成功名家列伝』、国鏡社。1910年。NDLJP:778190/5
  13. ^ 神社本庁研修所 2005, pp. 215-221.
  14. ^ 1936年成立の思想犯保護観察法により、東京市渋谷区千駄ヶ谷4-658の住所(旧住所)には思想犯保護観察所が設置され、東京・千葉・埼玉・山梨で思想犯とされた集団の保護観察に当たっていた。
  15. ^ 神社本庁研修所 2005, pp. 232-234.
  16. ^ 用語解説|日本国憲法の誕生”. 国立国会図書館. 2016年5月3日閲覧。
  17. ^ a b 神社本庁研修所 2005, pp. 244-246.
  18. ^ 松本久史 2011, p. 83.
  19. ^ 神社本庁研修所 2005, pp. 245-248.
  20. ^ a b c d e f g h i 神社本庁研修所 2005, pp. 252-253.
  21. ^ 『神道』 136頁。
  22. ^ 神社本庁 設立
  23. ^ a b 武田 幸也「神宮奉斎会から神社本庁へ」神社本庁総合研究所紀要 (20), 1-43, 2015-06
  24. ^ 文化庁 (2015年3月20日). “宗教年鑑 平成25年版”. 文化庁. p. 4. 2016年4月27日閲覧。
  25. ^ 神社本庁教学研究室編『神社本庁憲章の解説』神社本庁、1985
  26. ^ 神社本庁編『新編神社実務提要』神社新報社、2001年
  27. ^ 神社本庁編『神社本庁規程類集』平成25年度版、神社新報社
  28. ^ a b c d e f 「全国10万社の頂点に鎮座 比類なき伊勢神宮の威力」、週刊ダイヤモンド、2016年4月16日。
  29. ^ 神社本庁データベース、宗教情報リサーチセンター、2016年5月9日閲覧。
  30. ^ 神社本庁 関係団体一覧
  31. ^ 会社概要 / 神社界唯一の新聞社 神社新報社
  32. ^ 本会のあゆみ – 神道文化会 | 伝えたい日本のココロとカタチ。
  33. ^ 神社本庁編『神社本庁規程類集』平成25年度版、神社新報社
  34. ^ a b c d e 堀幸雄『最新右翼辞典』2006年、「神社本庁」の項、295ページ
  35. ^ http://www.sinseiren.org/ouenshiteimasu/ouensimasu.htm
  36. ^ 神社本庁編『神社本庁規程類集』2002年(平成14年)度版、神社新報社、2002
  37. ^ a b “続報真相 改憲急ぐ安倍首相を応援する人々 「美しい日本の憲法」とは”. 毎日新聞. (2016年3月18日). http://mainichi.jp/articles/20160318/dde/012/010/017000c 2016年3月18日閲覧。 
  38. ^ 大阪府神社庁 第六支部 東大阪市参照。なお、ここにおける単立神社には式内社石切剣箭神社等も含まれている・
  39. ^ 「強権発動で宮司人事にも介入 完了・世俗化する神社本庁の罪」、週刊ダイヤモンド、2016年4月16日。
  40. ^ 「気多大社 人事で混乱 宮司2人 法廷頼み」、朝日新聞、2006年9月17日
  41. ^ 「最高裁、神社規則の変更認める 羽咋市の気多神社訴訟」、共同通信、2010年4月20日
  42. ^ 週刊ダイヤモンド編集部 (2017年7月5日). “神社本庁「恐怖政治」の実態、地方の大神社で全面戦争も(2/4)”. 週刊ダイヤモンド (ダイヤモンド社). http://diamond.jp/articles/-/134148?page=2 2017年12月14日閲覧。 
  43. ^ “富岡八幡宮、神社本庁に6月離脱通知、9月に認証”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2017年12月9日). https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201712090000123.html 2019年10月14日閲覧。 
  44. ^ a b c 神社本庁の「政治力」と「資金力」、不気味がるほどではなかった!、週刊ダイヤモンド、2017年6月28日。
  45. ^ “日本会議研究 憲法編 中 国民投票へ 賛同拡大運動”. 朝日新聞: p. 朝刊14版 3面. (2016年3月24日) 
  46. ^ a b c 塚田穂高 2015, pp. 44-48.
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  48. ^ 上杉聰。「日本における『宗教右翼』の台頭と『つくる会』『日本会議』」戦争責任、39、2003年 53ページ。
  49. ^ a b c 皇室典範改正に関する神社本庁の基本的な姿勢・「皇室典範改正問題に関する神社本庁の基本見解」・「皇室典範改正に関する神社本庁の基本的な姿勢について2005年(平成17年)12月2日
  50. ^ 「靖国神社のA級戦犯分祀「あり得ない」 神社本庁が見解」2005年6月10日朝日新聞朝刊4ページ
  51. ^ 靖国神社をめぐる諸問題に関する神社本庁の基本見解 呉竹会
  52. ^ a b 山口県上関町・八幡宮宮司 林春彦「人間・自然破壊の原発に神の地は売らず 神社、鎮守の森の永続は村落の永続」、『現代農業増刊 新ガーデンライフのすすめ 庭、里山、鎮守の森』(農山漁村文化協会)2002年5月1日発行、pp.224-229
  53. ^ a b エンジョウトオル 「神社本庁が安倍の地元で鎮守の森を原発に売り飛ばし!反対する宮司を追放」2/4 リテラ、2014年10月19日
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  63. ^ “金刀比羅宮、神社本庁を離脱へ 「大嘗祭巡り不信感」”. 一般社団法人共同通信社. (2020年6月13日). https://this.kiji.is/644358101140358241 2020年6月13日閲覧。 





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