神社柳吉
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かんじゃ りゅうきち
神社 柳吉
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生誕 | 1881年1月6日![]() (現在の総社市) |
死没 | 1966年3月24日(85歳没) |
国籍 | ![]() |
出身校 | 京都帝国大学 |
肩書き | 倉敷紡績社長(第3代) 倉敷絹織副社長 |
配偶者 | 神社花の江(旧姓 多賀) |
子供 | 淑子(長女) 一郎(長男) 公子(次女) 滔太郎(次男) |
親 |
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神社 柳吉(かんじゃ りゅうきち、1881年(明治14年)1月6日[1] - 1966年(昭和41年)3月24日[2])は事業家。倉敷紡績(クラボウ)の代表取締役を務めた。岡山県総社市出身[3]。
経歴
生い立ち
岡山県都窪郡清音村(現在の総社市)に神社與平の二男として生まれる。珍しい名字でもある神社(読み:かんじゃ)姓は総社市清音上中島や古地に多い[4]。1895年(明治28年)閑谷黌へ入学し、ここで同級生の大原孫三郎と知り合う。これが後に倉敷紡績へ転職するきっかけとなった[5]。
その後、1898年に旧制岡山県立高梁中学(現在の岡山県立高梁高等学校)へ進学した。同校には、清水比庵が同級生として在籍しており、親交があった[6]。その後、第六高等学校へ入学[7]、1905年(明治38年)7月、同高校を卒業し、京都帝国大学法律学科へ入学した[8]。清水比庵とは、11年間同級生(旧制中学5年、旧制高校3年、旧制大学3年)であった。
大学卒業後
1908年(明治41年)の京大卒業後、文官高等試験行政科に現役で合格した[9]。当時、ほとんどの合格者が東大生であった。柳吉は、国家公務員として台湾総督府専売局に配属された[9]。そのまま、台湾にとどまり、最終的に台南州内務部長にまで出世する[9]。1921年(大正10年)15年務めた公務員を辞めて、40歳で帰郷し、大原孫三郎が社長を務めていた倉敷紡績へ入社した。同社の子会社として設立された倉敷絹織(現在のクラレ)を山内顕、薬師寺主計と共に創成期の発展を支えた[10]。
その後、柳吉は1939年(昭和14年)5月[11]、58歳で倉敷紡績の第3代社長に就任した。当時、倉敷紡績は創業家である大原財閥家が社長を務めていたが、大原孫三郎の引退にともない旧知の仲であった柳吉が選ばれた。初めて創業家以外が社長となった。とは言うものの、これは後に第4代社長となる大原総一郎への繋ぎの人事であり短期間であった。1941年(昭和16年)1月には、社長を辞任し、大原総一郎が社長に就任した[11]。
エピソード
清水比庵は、書家として同じ岡山出身の良寛と、寂厳を尊敬していた。長年の同級生であった柳吉は、寂厳の高名なコレクターとして知られ、比庵は柳吉の寂厳コレクションについて気にかけていた。岡山にある「きび美ミュージアム」では、神社の所蔵品より譲り受けた約40点の寂厳作品が現存している[6]。
また、兵庫県神戸市東灘区にある神社家住宅は、倉敷絹織の役員であった柳吉が1935年(昭和10年)に建築した木造2階建の自宅であり、主屋は、正面を洋風、奥座敷を日本建築とした和洋折衷住宅である。藤木工務店が設計・施工した[12]。これらの邸宅は、阪神間モダニズムと呼ばれており、重要文化財になった建物も多い。
脚注
- ^ 産経日本紳士年鑑 第1版, 産経新聞年鑑局, 1958
- ^ 『中国年鑑 昭和42年版』中国新聞社、1966年、p.579。
- ^ “神社柳吉 (第8版) - 『人事興信録』データベース”. jahis.law.nagoya-u.ac.jp. 2024年12月3日閲覧。
- ^ レファレンス協同データベース「総社市清音に見られる「神社」姓は、「ジンジャ」という読みで電話帳で探せないが、どう読むのか」
- ^ “大原孫三郎”. kuromiya04.sakura.ne.jp. 2024年12月4日閲覧。
- ^ a b “「比庵、楽し 清水比庵 生誕140年記念展」 – きび美ミュージアム – kibibi museum –”. 2024年12月3日閲覧。
- ^ 第六高等学校一覧 明治35-37年 p.156 高梁中学 神社柳吉
- ^ 第六高等学校一覧 明治37-39年 p.158
- ^ a b c “文官高等試験合格者一覧”. kitabatake.world.coocan.jp. 2024年12月3日閲覧。
- ^ 井奥成彦・谷本雅之 編『豪農たちの近世・近代 19世紀南山城の社会と経済』中西聡 著 p.42
- ^ a b “倉敷紡績(株)『倉敷紡績百年史』(1988.03) | 渋沢社史データベース”. shashi.shibusawa.or.jp. 2024年12月3日閲覧。
- ^ (別添資料) - 兵庫県
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