HIV感染症の診断法
【概要】日本エイズ学会ではスクリーニング検査法の改良と、急性HIV感染症とHIV-2感染症の問題から、つぎのような手順を推奨している。 (1)HIV-1/2スクリーニング検査を実施する。 陰性→非感染、またはウインドウ期。 陽性または保留またはウインドウ期が疑われるものには確認検査を実施する。 (2)HIV-1確認検査はウェスタンブロット(WB)法とRT-PCRを同時に行う。 両者が陽性→HIV-1感染者 WB法保留でPCR陽性→急性HIV-1感染者 WB法陰性でPCR陽性→急性HIV-1陽性者、さらに2週間後に再検査 WB法陰性/保留でPCR陰性→さらに2週間後に再検査で再確認し、陰性ならスクリーニング検査は偽陽性と判定。ただしHIV-2確認検査を行う。
【文献】 日本エイズ学会誌 2003;5(2):136-140
《参照》 HIV-1、 HIV-2、 急性HIV感染症、 HIV抗体、 スクリーニング検査、 確認検査、 ウインドウ期、 ウエスタンブロット法、 PCR法
HIV脳症の診断
【診断】 下記のいずれかの状態があり、1)脳脊髄液検査、2)脳のCT・MRIなどの画像診断、3)病理解剖のいずれかによっても、HIV感染以外にこれを説明できる疾病や状況がない場合。 a)就業もしくは日常生活活動に支障をきたす認識もしくは運動障害が臨床的に認められる場合。 b)子供の行動上の発達障害が数週から数か月にわたって進行する場合。これらは確定的な診断法ではないがサーベイランスの目的のためには十分である。
【詳しく】 HIV脳症に特異的な検査方法はない。他の疾患の除外診断となる。すなわち神経梅毒、サイトメガロウイルス脳炎、トキソプラズマ脳炎、中枢神経リンパ腫、水痘脳炎、クリプトコッカス髄膜炎、結核性髄膜炎、進行性多巣性白質脳症、代謝性脳疾患、偽性痴呆を伴ううつ病など。認知症の検査、脳波、画像検査ではMRI、脳脊髄液中のHIV RNAが参考になる。
カポジ肉腫の診断
【診断】 (1) 確定診断:生検組織による病理診断である。(2) 臨床的診断:肉眼的には皮膚または粘膜に、1)特徴のある紅斑あるいは、2)すみれ色の斑状の病変をみとめること。ただし、これまでカポジ肉腫を見る機会の少なかった医師は推測で診断しない。(3)病変の広がりについては、レントゲン、内視鏡(生検は必ずしも必要ではない)、CT検査、ガリウム・シンチグラフィーなど。
【詳しく】 一般に病気の広がりとその速度が臨床的な悪性度を決めており、CD4細胞数が少なく(<200)他の日和見疾患の既往があるほど悪い。広がりとしては皮膚病変、口腔病変、消化管病変、肺病変、リンパ節、リンパ浮腫、全身症状(発熱、寝汗、10%以上の体重減少、下痢)があるほど予後不良である。
カンジダ症の診断
【概要】 1999年厚生労働省エイズ動向委員会の定義によると、食道、気管、気管支又は肺に発生したものをエイズのカンジダ症と言う。HIV感染女性では外陰膣炎もよく経験される。 (1) 確定診断 1) 内視鏡もしくは培検による肉眼的観察によりカンジダ症を確認 2) 患部組織の顕微鏡検査によりカンジダを確認 (2) 臨床的診断 嚥下時に胸骨後部の疼痛があり、以下のいずれかが確認される場合 1) 肉眼的に確認 a.紅斑を伴う白い斑点 b.プラグ(斑) 2) 粘膜擦過標本で真菌のミセル様繊維を顕微鏡検査で確認できる口腔カンジダ症が存在。3)深在性感染では血中β-Dグルカン定量や真菌培養。
クリプトコッカス症の診断
【定義】 1999年厚生労働省エイズ動向委員会の定義によると、HIV感染者が肺以外の臓器でクリプトコッカス症を起こした時にエイズとする。この確定診断は、次のいずれか一つを満足するもの。)顕微鏡検査、2)培養、3)患部組織又はその浸出液においてクリプトコッカスを検出。最近はクリプトコッカス抗原を免疫学的に定量でき、治療効果の判定にも利用されている。
サイトメガロウイルス感染症の診断
【診断】 生後1ヶ月以後で、肺、脾、リンパ節以外のサイトロメガロウイルス感染症はエイズ指標疾患である。 (1) 確定診断:組織による病理診断により、核内封入体をもっている巨細胞を確認することである。 (2) 臨床的診断:サイトロメガロウイルス性網膜炎については、眼底検査の特徴的臨床症状で診断できる。すなわち、網膜に鮮明な白斑が血管にそって遠心状に広がり、数が月にわたって進行し、しばしば網膜血管炎、出血又は壊死を伴い、急性期を過ぎると網膜の痂皮形成、萎縮が起こり、色素上皮の斑点が残るなどの所見がある。
【詳しく】 1)血漿CMV DNAの定量検査(保険未収載)、2)アンチゲネミア法は補助診断として有用である。一方、旧来のCMV分離は時間がかかる上に感度が低い。薬剤耐性CMVの検査は特殊研究機関に依頼する。
《参照》 サイトメガロウイルス網膜炎、 アンチゲネミア法、 PCR法
ニューモシスチス肺炎の診断
【疑うこと】 ST合剤による予防が行われていないHIV感染者で、典型的な症状があり、胸写で間質性肺炎、検査でCD4細胞数が200/μL未満、低酸素血症、LDH上昇、KL-6高値、β-D-Glucan高値があればニューモシスチス肺炎を強く疑う。患者の状態が危険な場合は治療を優先することもある。
【確定診断】 通常の細菌検査では培養できない。痰か肺生検でニューモシスチス・イロベチを確認すること。ディフクィック染色、グロコット染色。肺胞洗浄液あるいは誘発採痰法で得た液をPCR法で検査するのが早い。
【臨床的診断】 ニューモシスチスを見つけられなくても、次の1)~4)すべてが該当すればニューモシスチス肺炎と診断してもよい。1) 最近3か月以内に a)運動時の呼吸困難、または、b)乾性咳嗽。2) a)胸部X線でび慢性の両側間質像増強、または、b)ガリウムスキャンでび慢性の両側の肺病変。3) a)動脈血ガス分析で酸素分圧が70mmHg以下、または、b)呼吸拡散能が80%以下に低下、または、c)肺胞-動脈血の酸素分圧較差の増大。4) 細菌性肺炎を認めない。
免疫再構築症候群の診断
【概要】 Shelburneらの定義は次の通り。1)エイズの診断、2)有効な抗HIV治療、3)抗HIV治療開始後に出現した感染症、すでに認識されている感染症の予測されうる臨床経過や治療の副作用では説明できないこと、以上の4点を満たした症例を本症とする。
【詳しく】 発症時期は抗HIV治療開始から数日から100日と広く分布するが、3ヶ月以内を注意すればよいだろう。抗HIV治療開始時のCD4細胞数は50/μL以下と高度な低下がほとんど。ウイルス量は低下の途中で経過良好と思われるときに、発熱と共に発症する。結核の場合でも菌量が増えたという所見はない。
《参照》 CD4
化膿性細菌感染症の診断
【診断】 HIV感染の13歳未満小児で、ヘモフィルス、連鎖球菌等の化膿性細菌により、1)敗血症、2)肺炎、3)髄膜炎、4)骨関節炎、5)中耳・皮膚粘膜以外の部位や深在臓器の腫瘍のいずれかが、2年以内に、二つ以上多発あるいは繰り返して起こったものは、化膿性細菌感染症は、エイズ指標疾患である。確定診断は細菌学的培養である。
《参照》 細菌
単純性ヘルペスの診断
【診断】 単純ヘルペスウイルス感染症のうち、1ヶ月以上継続する粘膜・皮膚の潰瘍を形成するもの、生後1ヶ月以後で気管支炎、肺炎、食道炎を合併するものはエイズ指標疾患である。確定診断は、1)組織による病理診断、2)培養、3)患部組織又はその浸出液からウイルスを検出することにより診断する。
《参照》 性感染症
急性HIV感染症の診断
【診断】 丁寧な病歴の聞き取りで本症を疑うことが一番である。検査では急性HIV感染症の時期にはHIV抗体が陰性のことがある。しかし一般にHIV RNA定量検査は高値である。一度の検査で診断するのは危険で、慎重に経過を観察し、最終的にはHIV抗体陽性化をもって診断する。
【鑑別疾患】 症状だけでは区別がつかない疾患のリスト。ウイルス性では、(1)急性EBウイルス(EBV)感染症, (2)急性サイトメガロウイルス(CMV)感染症, (3)単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症(急性、再発性), (4)インフルエンザ, (5)黄疸がでる前のA型肝炎, (6)急性B型肝炎, (7)急性C型肝炎, (8)麻疹, (9)パルボウイルスB19感染症がある。細菌性では、(10)連鎖球菌性咽頭炎、急性リウマチ熱, (11)トキシック・ショック症候群の初期, (12)二次性梅毒, (13)ロッキー山紅斑熱, (14)ライム病がある。寄生虫では、(15)急性トキソプラズマ症がある。
母子感染の診断
【診断】 出生直後に新生児のプロウイルスDNA(PCR)を、直後、1週、4週、24週に血漿HIV RNA検査する。直後にPCRが陽性のものは、子宮内感染が疑われる。直後にPCR陰性で、その後陽性に変わったものは周産期感染と考えられる。24週までPCR陰性のものは、感染を免れたものと診断される。母親からの移行抗体であるHIV抗体は通常消失に15ヶ月を要するので、18ヶ月以後に複数回陽性の場合は感染と考えられる。なお出生前診断は流産の危険性があるうえに感染を発生させる危険がある。
結核の診断
【診断】 HIVによる免疫不全を示唆する症状または所見がみられる場合で、肺または肺外に活動性結核を診断したら、エイズ指標疾患となる。 (1) 確定診断:細菌学的培養により診断するが時間がかかる。最近はPCR法で鋭敏かつ早期に診断できる。(2) 臨床的診断:培養により確認できない場合には、X線写真やツベルクリン反応の陽性を参考に診断する。(3) 全血インターフェロンγ応答測定法(クォンティフェロンTB-2G)の応用が有力になった。
【詳しく】 1)ツベルクリン反応は免疫力が落ちていると、陰性の結果となりやすいので参考にならない(HIV感染者の場合は5mm以上を陽性と考える)。 2)検体(痰、胃液、便、血液)から結核菌を証明する場合、菌量が多い場合は塗抹標本を抗酸菌染色をして顕微鏡で判定する。菌の種類を決めることは薬の選択の上でも大切である。菌量が少ない場合は増やす。耐性検査も実施する。従来は培養と生化学的な正常で菌の種類を決定していたが、決定に熟練と4週間以上を要した。クォンティフェロンTB-2Gは感度はツベルクリン反応と同等、特異度はより優れている。
進行性多巣性白質脳症の診断
【診断】 (1) 確定診断は脳の生検組織による病理診断や、電子顕微鏡でJCVをみつける。一般には(2) 臨床的診断として、CT、MRIなどの画像診断法により診断する。すなわち脳の白質が抜けている。普通の検査では脳脊髄液には異常が少ないが、専門施設ではPCR法ができる。
【治療】 確立されていない。平均生存期間は4ケ月で1年以内に全員が死亡する。比較試験ではシタラビン(Ara-C)は無効との結論。HAARTによって免疫能が回復した例で進行の停止、稀に自然治癒があるといわれる。
非定型抗酸菌症の診断
「Diagnosis of -」の例文・使い方・用例・文例
- Microsoftがβ版をランチするのは「NetShow streaming server」で動画や音声をオンデマンドで提供する。
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 an admiral of the fleet 海軍元帥.
- 篏入的 r 音 《英音の India office /ndiərfɪs/の /r/の音》.
- =《口語》 These kind of stamps are rare. この種の[こういう]切手は珍しい.
- (英国の)運輸省. the Ministry of Education(, Science and Culture) (日本の)文部省.
- は of の誤植です.
- を off と誤植する.
- あいまい母音 《about, sofa などの /ə/》.
- 副詞的小詞 《on, in, out, over, off など》.
- 迂言的属格 《語尾変化によらず前置詞によって示す属格; たとえば Caesar's の代わりの of Caesar など》.
- çon of garlic [humor]. それにはガーリック[ユーモア]がちょっぴり必要だ.
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 the Speaker of the House of Commons 下院議長.
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 the Committee of Ways and Means 歳入委員会.
- 初めて読んだ英文小説は“The Vicar of Wakefield”
- (違法罪―a sin of commission―に対する)怠惰罪
- 『each』、『every』、『either』、『neither』、『none』が分配的、つまり集団の中の1つのものを指すのに対し、『which of the men』の『which』は分離的である
- 『hot off the press(最新情報)』は『hot(最新の)』の拡張感覚を示している
- 『Each made a list of the books that had influenced him』における制限節は、リストに載った本を制限節で定義された特定の本だけに制限する
- 臨床的鬱病を治療するのに用いられる三環系抗鬱薬(商品名ImavateとTofranil)
- 『sunshine-roof』は『sunroof(サンルーフ)』に対する英国の用語である
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