HIV感染症の定義
【定義】 日本のエイズ動向委員会の定義(1999年)によると、HIVの抗体スクリーニング検査法、つまり酵素抗体法(ELISA)、粒子凝集法(PA)、免疫クロマトグラフィー法(IC)などの結果が陽性であり、かつ、以下のいずれかが陽性の場合にHIV感染症と診断する。 (1) 抗体確認検査、Western Blot法、蛍光抗体法(IFA)など。 (2) HIV抗原検査、ウイルス分離及び核酸診断法(PCR)等の病原体に関する検査。
【新生児の場合】 周産期に母親がHIVに感染していたと考えられる生後18か月未満の児の場合は、少なくともHIVの抗体スクリーニング法が陽性であり、かつ、以下のいずれかを満たす場合にHIV感染症と診断する。 (1) HIV病原検査が陽性 (2) 血清免疫グロブリンの高値に加え、リンパ球数の減少、CD4陽性T細胞数の減少、CD4陽性T細胞数/CD8陽性T細胞数比の減少という免疫学的検査所見のいずれかを有する。
【URL】http://www.acc.go.jp/mlhw/mhw_kijyun/kijyun.htm
《参照》 HIV抗体、 スクリーニング検査、 ELISA法、 PA法、 IC法、 確認検査、 WB法、 IFA法、 ウイルス分離、 PCR法
HIV感染症の治療中止
【概要】 抗HIV療法は治療に成功しても中止しないのが原則である。しかし、1)手術などの理由で服薬できない場合、2)重大な合併症や副作用の管理に抗HIV薬が障害となる場合、3)患者が厳格な治療を実行できない場合は中止せざるをえない。他に、4)長期にわたる抗HIV薬の服薬から患者を開放し休養を与えるという意味があるかもしれない。いわゆる「飲み疲れ」。中止すると数ヶ月以内に初回の治療開始をした状態に戻るという報告が多い。
【詳しく】 薬剤耐性HIVの患者が治療を中断すると、ウイルス量は増加し、CD4細胞数は低下する。このまま数ヶ月たつとHIVは耐性型から野生型にもどり、薬剤感受性が回復する。しかしここで再度抗HIV薬による治療をしても耐性HIVが再出現することが多い。意図的な治療中断は、わざとHIVを再増殖させて、HIV特異的な殺細胞性T細胞(CTL)を誘導させる方法である。研究は継続されているが、期待通りの結果にはなっていない。研究目的以外には勧められない。
HIV感染症の治療変更
【概要】 抗HIV薬の副作用に耐えられない場合や、効果不十分、耐性発生の場合に治療の組み合わせを変更することがある。経験が少ない臨床医は専門医にセカンド・オピニオンを求めるべきである。
【詳しく】 抗HIV療法が有効でHIV RNAを検出限界以下に抑制しているが、貧血、腎障害、糖尿病、リポジストロフィーなどの重篤な副作用があれば、1剤(あるいは全部)をとり替えることがある。抗HIV薬への耐性が発生した場合、どのタイミングで薬剤変更すべきかは定まらない。HIV RNA値が先に再上昇してくるがCD4細胞数は低下する場合と、低下しない場合がある。このあと選択できる薬剤の種類をにらみながら、CD4細胞数の低下で変更に踏み切ることになる。通常は2剤以上あるいは総入れ替えを考える。薬剤耐性検査の結果を参考にする方が成功率が高い。
HIV感染症の治療開始
【概要】 HIVを体外に排除することは困難である。このためHIV感染症治療の目的は、HIVの増殖が免疫不全を進め、二次的な日和見感染症や腫瘍によって、感染者の生命や健康が脅かされることを改善したり予防することである。治療には利点と欠点があるので、最新の証拠を勘案したものが治療指針として示されている。抗HIV薬使用経験が少ない医師は、必ず専門医に相談すること。
【開始】 長期にわたる服薬維持が必要である。治療開始の前に、患者の病気理解と積極的な治療の意志を確認する。2005年秋の時点の一つの考え方は次の通り。1)すでにエイズ発病しているものは治療すべきである。2)無症状だがCD4細胞数が200未満のものはエイズ発病する可能性が非常に高いので治療すべきである。3)CD4細胞数が350未満の場合も本人の希望があれば治療開始を考慮する。4)これ以外では慎重に経過を観察する。
【URL】http://www.hivjp.org
HIV感染症の診断法
【概要】日本エイズ学会ではスクリーニング検査法の改良と、急性HIV感染症とHIV-2感染症の問題から、つぎのような手順を推奨している。 (1)HIV-1/2スクリーニング検査を実施する。 陰性→非感染、またはウインドウ期。 陽性または保留またはウインドウ期が疑われるものには確認検査を実施する。 (2)HIV-1確認検査はウェスタンブロット(WB)法とRT-PCRを同時に行う。 両者が陽性→HIV-1感染者 WB法保留でPCR陽性→急性HIV-1感染者 WB法陰性でPCR陽性→急性HIV-1陽性者、さらに2週間後に再検査 WB法陰性/保留でPCR陰性→さらに2週間後に再検査で再確認し、陰性ならスクリーニング検査は偽陽性と判定。ただしHIV-2確認検査を行う。
【文献】 日本エイズ学会誌 2003;5(2):136-140
《参照》 HIV-1、 HIV-2、 急性HIV感染症、 HIV抗体、 スクリーニング検査、 確認検査、 ウインドウ期、 ウエスタンブロット法、 PCR法
「HIV infection」の例文・使い方・用例・文例
- その患者はHIVウイルスを持っている
- エイズはHIVウイルスが原因だという学説
- HIV感染を確認するテスト
- 抗レトロウイルス剤はパートナーへのHIV感染リスクを低下させるのに役立つかもしれない。
- 彼はHIV陽性患者のための心理教育的セミナーに登録した。
- 潜在的にHIVに感染した細胞
- HIV抗体陽性
- HIVテストは陰性だった
- HIVウイルスの血液の検査をする
- 彼女はHIV陽性であることが判明した
- 彼はHIVの検査で陽性と出た
- 非ヌクレオシド逆転写酵素抑制剤(商標名レスクリプター)で、エイズとHIVの治療に使用する
- HIV感染と戦うのに用いられる抗ウイルス薬
- HIV感染の治療に用いられる抗ウイルス薬
- エイズとHIVを治療することにおけるジドブジンと組み合わせて非常に効果的なヌクレオシド逆転写酵素抑制剤
- 他の薬と結合して通常HIVを扱う際に使用されるプロテアーゼ阻害剤(商標名ビラセプト)
- エイズとHIVを治療するのに使用される非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(商品名ヴィラミュネ)
- HIVに対して使用される抗ウイルス剤
- HIVに対して使われる抗ウイルス薬
- HIVのようなレトロウイルスでの逆転写酵素の作用を禁止する抗ウイルス薬
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