発生の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/03/29 02:39 UTC 版)
動物の発生においては、受精卵から胚発生の段階のものに動物極と植物極という方向を認める。これは、大まかに言えば背中側と腹側で、図示する時は動物極側を上にし、実物も普通はそちらが上に向いている。 より厳密には、卵の減数分裂で生じる極体が放出される側を動物極側とすることになっている。多くの卵ではある程度以上の卵黄を含み、それは卵の中である程度片寄った分布をしているので、核を含む細胞質はそれを避けた位置に片寄り、結果的にその方向に極体が出る。そちらが動物極である。 なぜこちらが動物極と呼ばれるかであるが、要するに動物性器官が多く生じる側だからである。逆の方を植物極とするのも、やはりそちらに植物性器官が多く生じることによる。脊椎動物の発生では、原腸胚期以降、動物極側の表面から神経管を生じ、その周辺に骨格や筋肉が形成される。他方、初期の受精卵の植物極側の細胞は内胚葉となって消化管を形成し、その周辺からは循環系などが作られる。これらがそれぞれ動物性器官・植物性器官の代表と一致しているのである。もっとも、このことはすべての動物に適用できる訳ではない。無脊椎動物では神経系が腹側に位置する例も多い。 これらは胚葉の区分で言えば内胚葉が植物的、外胚葉が動物的、中胚葉は途中で区分されて内胚葉には側板が、外胚葉には体節が関わるから、側板は植物的、体節は動物的という傾向がある。ただしこれらは脊椎動物に関して言えることであり、無脊椎動物では必ずしもこのような対応関係はとれない。
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