発生のメカニズムと科学的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/23 14:34 UTC 版)
「夜光雲」の記事における「発生のメカニズムと科学的性質」の解説
地球の地軸が傾いたまま公転しているため、北極を中心とする北半球が夏のとき、南極を中心とする南半球は反対に冬となる。これによって発生する気温や気圧の全地球的な偏りを解消するため、成層圏や中間圏でも大規模な大気循環が発生する。夏になっている半球(夏半球)では、その極(夏極)の上空の中間圏界面付近で夏半球から冬半球(冬になっている半球)に向かう中間圏子午面循環が発生する。 夏極の上空にある中間圏の大気は夏の間断熱膨張により冷却され、その付近の気温は地球大気の中で最も低くなる。そして、夏極上空を覆う低温の空気に、中間圏子午面循環に伴って冬半球からの高温の空気が進入して衝突すると、その付近で雲ができやすくなる。そのため夜光雲は、夏半球の緯度50°~70°付近で、中間圏界面付近に、夏季に発生する。ただし、より低緯度で観測された例もいくつかあり、近年増えている。 主な構成物は、氷(凍った水)と推定されている。雲粒の大きさは40~100nm(ナノメートル)で、青い光を散乱(レイリー散乱)しやすい大きさにあたる。最近の研究により、この氷晶の体積のうち約3%をナノレベルの流星煙粒子が占めていることが判明した。 夜光雲は古くから知られている現象であるが、近年の二酸化炭素やメタンの増加により、対流圏の気温が上昇し、それに伴い、中間圏の気温が低下したために発生しやすくなったとも考えられている。また、スペースシャトルからの排気に含まれる水蒸気が、一部の夜光雲の発生に関連しているとの学説もある。2017年1月24日午後4時44分に鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケットが打ち上げられた際には関東以西の太平洋側を中心に日本各地で夜光雲が目撃された。
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