再生と発生生物学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 09:39 UTC 版)
「再生 (生物学)」の記事における「再生と発生生物学」の解説
再生が発生生物学の中で扱われるのは、そこに胚の発生の場合と似通った問題があるからである。再生芽に見られる組織の分化が起きる様子などはその例である。 特に、極性の問題は、再生の研究から主として出てきた問題である。プラナリアの体をいくつかに切ると、どの断片でも頭の方向へ頭が、尾の方向へ尾が再生してくる。同じ切り口で、前方の切り口からは尾が、後方の切り口からは頭が生じるわけで、それがどのようにして決まるのかの問題である。かなり小さな破片であっても、ちゃんと元の体の方向に体が再生される。このことは、磁石の場合によく似ている。磁石のS・N極は、それをつなぎ合わせても、その一部をとっても、同じ方向の磁石になる。これは磁石そのものが無数の小さな磁石から出来ているためであるが、これと同じようなふうに見えるので、この性質を極性と言うわけである。具体的には、何らかの物質の濃度勾配などがあれば、そのような性質が期待できる。 このような性質が分化に対して影響を与えるケースは、後に胚発生でも発見される。ウニなどにおいて、発生初期に左右に分割すると2つの正常な胚ができるが、上下に分けると発生が異常になり、動物極、植物極の間の極性が問題になった。 なお、これら細胞相互の配列・分化の極性のことを、細胞極性と区別するために構造極性と呼ぶことがある。
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