体節
体節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/02 21:48 UTC 版)
体節(たいせつ、英語:segment, metamere)とは、動物の体の構造に見られる体軸方向の繰り返し構造を指す生物学用語である。19世紀の生物学者エルンスト・ヘッケルはこれを動物の体の構成の一つの単位と見なした。
全身の構造が体節の繰り返しでできている場合、これを体節制と言う。
また、脊椎動物の発生においても中胚葉性の分節構造の名称として「体節」があるが、こちらはsomiteの訳語であって、本項目の述べる概念とは意味が異なるので注意。背中側で脊索の両側に位置し、のちに脊椎骨を含む骨格や骨格筋、真皮などに分化する。(詳細は体節 (脊椎動物))
動物体に見られる体節
節足動物や環形動物の体が節に分かれ、それぞれの節に付属肢を持っているのはよく知られている。このような節を「体節」と言い、これらの動物では体全体が体節の組み合わせで構成されていることから、そのような体制を「体節制」と言う。
しかしながら、体節のような構造はこれらの動物のみに見られるものではない。たとえば脊椎動物においても、脊椎骨は体軸方向にほぼ同じものが繰り返されている。ヒトの体であれば、腹筋などははっきりとした体節様の見かけを持つ。筋肉に関しては、魚類では体節様の筋肉の配置をより明確な形で見ることができ、それは日常生活においても煮魚の身をほぐすなどすることで容易く確かめられる。このような構造も体節と呼べるのであって、その意味では「体節」の語義は「体節制」のそれより広い。
参考文献
- 八杉竜一, 小関治男, 古谷雅樹, 日高敏隆 編『岩波生物学辞典(第4版)』 岩波書店、1996年、ISBN 4-00-080087-6。
関連項目
「体節」の例文・使い方・用例・文例
- 関節によって結び付いた体節がないさま
- 節足動物で、胴体は多数の体節から成り、それぞれは一対の肢を持つ:ムカデ
- 主に夜行性の他の動物を捕食する節足動物で、一番前の肢が毒牙に変えられていて、それぞれの体節が1対の肢を持ち、全部で15から173分節ある平らな体を持つ
- 2組の脚を持つさまざまな二重体節で成るからだを持つ節足動物:ヤスデ
- 非常に多くの草食性無毒の節足動物類の総称で、円筒状の体に、20から100またはそれ以上の体節があり、ほとんどは2対の肢がある
- 無体節ぜん虫:回虫
- 両端が尖った細長くて丸い体の無体節ぜん虫
- 内側と外側の両方に体節がある管状の体を持つ虫
- 多毛類の環形動物の幼虫に似た、外体節の無い小型原始海洋ぜん虫
- 明るい赤の体の体節のある海洋虫
- 通常体節のある体とキチン質の外骨格を持つ主に水生の各種の節足動物
- 特徴としては、それぞれが胸郭体節に繋がる五対の移動用付属肢を持つ甲殻類の動物
- 体を丸めてボール状になる凸状の体節のある体を持つ小型地上性等脚類の動物
- 体節のない虫
- ミミズまたはロブスターのように、体が連続した体節、または断片に分けられるさま
- 室内用鉢植えとして広く栽培されたブラジル人の祖先の着生サボテンで、平坦な体節と通常、冬に咲くバラ紫色の花がある
- 環形動物や節足動物のからだを形成する環状の体節
- 動物の器官としての体節器官
- 体節動物という動物分類
- 体節動物に属する動物
体節と同じ種類の言葉
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