第一部大唐篇 前半
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李冰(り ひょう) 河南地方・灌口村の義士。隋末の群雄・竇建徳の元部下。唐の中華統一が確定的と見て取りこれ以上の抵抗は民を苦しめるのみとして軍から離脱し、部下を率いて庶民を苦しめる妖怪退治などをしていた。その行動から無支奇復活の最後の後押しをしてしまったとも言えるが、我が身を犠牲にして二郎真君の縛妖鎖をもちいて自身もろとも無支奇を河に沈める。 申陽仙(しんようせん) 花果山の中に庵を構える隠者。食料探しに来て道に迷った悟空を助ける。山中に住む野人たちが元は人間だったことも知っている。 野人たち 別称として「玃猨(かくえん)」メスなら野女とも呼ばれる。花果山の中で暮らす猿とも人ともつかぬモノたち。中華の地において乱がおこるたびに戦乱や圧政を避けて山に入った者たちが知識を伝えることも忘れて野生化した。作中では花果山に漂う妖気に当てられて正気を失った例も多い。唐軍の戦闘に追われて山に逃げ込んだ難民を襲ったため、李冰の軍に討伐される。その中には正気を失いながらも悟空を見守っていた母もいたが、悟空の目の前で殺された。 董彦思(とう げんし) 唐の監察御史。李家村で捕らえられた悟空を李世民に献上しようとした。要領の良い世渡り上手で、長安の話では出世して礼部司郎中として再登場し、玄武門の変に協力したことで吏部侍郎に、さらには玄奘の密告から地下通路の秘密を突きとめたことで吏部尚書にまで出世するが、玄奘からの密告があったことを報告せず、出世に水を差すのも癪だと握り潰してしまうが紅孩児に殺された。 虎媽、鹿姐(ふーまー、るーちぇ) 竜児女の腹違いの姉。名前は潮出版社版の改訂で付いた。 虎媽は金の為に身内を売り、それで稼いだ金も独り占めする業突く張りで、飢饉が起きた際にまだ7歳だった竜花(竜児女の幼名)を山に捨てた。金角・銀角には竜児女の情報を売り、唐軍には鹿姐を使って得た白雲洞への道筋の情報を売った。 鹿姐は気が弱く、姉に逆らえない。原作では「山賊の情報を売れば妹は助命してもらえる」と聞いて手を貸していたが、ラジオドラマでは虎媽に分け前を要求するなど、どっちもどっちな性格にされた。 山賊と官軍双方から金をせしめた虎媽を鹿姐が責めて言い争っているのを聞いた紅孩児に二人とも殺された。 金角(きんかく) 平頂山を根城とする山賊の首領。一国の将軍クラスの武勇を誇る豪傑だが、粗暴で粗忽な弟にあわせて山賊に甘んじている。悟空によって山塞は壊滅、さらに弟を殺されたため、悟空を執念深く付け狙う。山賊ではあるが本質は武人らしく、悟空が敢えて決着をつけるため戻ってきた時は歓喜していた。愛用武器は方天戟。 銀角(ぎんかく) 金角の弟。典型的なならず者で面倒事を起こしては金角に尻拭いをさせていた。竜児女を罠にかけて捕らえ、嬲りものにしようとしたが、そのために悟空の怒りを買い、悟空に頭を叩き割られ死亡。 迦菩提(かぼだい) 悟空たちが相州にて出会った天竺から来た僧侶。かなりの法力を持ち、経を読んで通臂公を追い払った。白雲洞の石文の最後の一節が梵語らしいことから竜児女と共に迎え五行山に同行し、地煞が天罡となるためには天竺へ赴く必要があると明らかにした。その後もしばらく五行山に滞在したが、銀角に捕らえられた竜児女を助けた後、山を下りる途中で通臂公に殺される。 袁守誠(えん しゅせい) 辻易者。要所要所で現れ、悟空や玄奘に的確なアドバイスをする。生首をぶら下げた悟空を見ても冷静に話しかけるなど、ただ者ではない印象を持つ。玄奘の経と並んで彼の鳴らす筮竹の音は大聖に囚われた悟空を正気に戻した。 李世民(り せいみん) 唐初代皇帝・李淵の次男(秦王)で、2代目皇帝(太宗)。史上名高い玄武門の変において、兄・建成と弟・元吉を殺害、皇帝となる。宮城を破壊して逃走した悟空の捜索を魏徴に命じる。史実では中国史上最高の名君とされるが、同時にその事績には粉飾が多いとも言われる。本作では平民の台頭を嫌う象徴的な権力者として描かれ、野心家かつ短気な部分があるなど、否定的な描写が多い。 悟空からは「哪.mw-parser-output .jis2004font{font-family:"源ノ角ゴシック JP Normal","源ノ角ゴシック JP","Source Han Sans Normal","Source Han Sans","NotoSansJP-DemiLight","Noto Sans CJK JP DemiLight","ヒラギノ角ゴ ProN W3","ヒラギノ角ゴ ProN","Hiragino Kaku Gothic ProN","メイリオ",Meiryo,"新ゴ Pr6N R","A-OTF 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唐の武将。李世民の配下。西域の征服を成し遂げた有能な武将なのだが、好色で自分を怪我させた悟空を執拗に追いかけるなど、悪役として描かれている。 魏徴(ぎ ちょう) 唐の臣。もとは建成の側近であり、当初は世民を粛清するよう進言していたが、機先を制されたことを知るや自ら建成を刺殺し、世民の幕下に加わった。敵勢力の調略などを行っており、配下の黄袍に悟空の捕縛を命じる。 尉遅敬徳(うっち けいとく) 唐の武将。宮城を徘徊する幽鬼の探索をする。悟空が厩を脱出する際、重傷を負わされた。 黄袍(こうほう) 唐の臣・魏徴の部下の間者。李世民より魏徴を通じて弼馬温こと悟空の捜索を命ぜられて襲撃するが度々撃退され、私情で悟空の命を狙うようになる。罠や毒、仕掛け弓、捕り縄など暗殺用の器具を多く使い、さながら忍者のような活躍を見せる。数度にわたる悟空との戦いの末、部下も何もかも失い、自身も負傷して彼に恐怖してしまい、その恐怖を殺すため殊更悟空に挑もうとするが、石方相に恐怖心を指摘され動揺したところを背後から捕らえられ絞め殺された。 如意真仙(にょいしんせん) 長安城外の道観「聚仙庵」の道士で、紅孩児のおじ。近隣の女たちに堕胎薬を売ったり、秘密で中絶手術を行っているため道観は「落胎観」という別名で呼ばれている。人間的に少々問題があるが道士としてはそれなりに有能であり、当時はまだ発明されていなかった火薬を実験的に調合し、原始的な火炎放射器を自作していた。 六健将(ろっけんしょう) 劉黒達の配下にあった六人の武将。本来は雲裏霧、急如火、快如風、興烘掀、霧裏雲、掀烘興(うんりむ、きゅうじょか、かいじょふう、こうこうきん、むりうん、きんこうこう)の6人であったが、霧裏雲と掀烘興の2人は劇中ではすでに死亡しており登場せず、彼ら以外の4人に悟空と紅孩児を加えた6人を新六健将としている。落胎観に潜伏し宮城地下の抜け道から城内に侵入して皇帝を暗殺しようとしたが、玄武門の変に巻き込まれる。如意真仙からはゴロツキ呼ばわりされガラが悪いのも事実だったが、まだ若い悟空や紅孩児が無駄死にしないよう逃がそうとする仲間思いな一面や悟空自身は嫌っていた小猿に化けた六耳獼猴の世話をする動物好きなところもあった。 六耳獼猴(ろくじびこう) 無支奇の眷属。普段は小猿の姿をしているが、有事の際には巨大な妖猿に変身する。小猿の姿で悟空と雲裏霧が囚われた牢に潜り込み薬草を届けたあと、そのまま悟空の傍に就いていた。「小讃風(しょうさんぷう)」と名付けて朝夕に餌をくれた快如風に懐いており、彼が目の前で死んだ時には必要がないのに正体を現して暴れ回り、結果として自分の死と悟空の捕縛という事態を引き起こしてしまう。 地湧夫人(ちようふじん) 李淵の側室の尹徳妃。哪吒の母。もと煬帝の妃であり、男と見れば誰にでも色目を使い、秘密の地下道に足を切断した男達を監禁して慰み者にする色情狂である。自分の子を皇帝にするため李世民らの抹殺に奔走、皇帝暗殺を目論む紅孩児に地下宮殿の抜け道を教える。針や毒の知識に長け、また地下道の全貌を知る唯一の人物でもあった。 哪吒太子(なたたいし) 地湧夫人の私生児。太子を自称するが煬帝の血を引いているかどうかは定かではない。宮城の地下の宮殿・森羅殿に隠棲し、皇帝の地位を狙う。自身も双剣を使うほか、猪馬竜や地下宮殿に祀られ煬帝の妄執が染みついた土人形や石の巨人、人頭獣身の陰道女などゴーレムめいた怪物に守護されている。 戦いの果てに母も森羅殿も何もかも失い、地上にさまよい出た彼は、親の敵である悟空に最後の勝負を挑むが、紅孩児が投げた短剣を受けて死んだ。 九頭駙馬(きゅうとうふば) 隋末の最後の群雄梁師都の婿。部下の虎先鋒を殺して梁師都軍から離脱した悟空を追う。百眼道人とは昔馴染み。 巽二娘(そん にじょう) 弩を使う美少女。男装して二郎と名乗り、行方不明の父を探していて悟空と出会う。紫金鈴を盗んだ八戒を追って悟空に同行する。 蝗婆婆(こうばば) 盤糸嶺に住む女道士。紫金鈴と呼ばれる鈴を使い飛蝗を自在に操り、周囲のバッタをすべて飛蝗に変質させる能力を持つ金色のイナゴ「平天蝗」を育てている。 その思想は終末思想そのものであり、世界の終わりが早く来るように飛蝗の研究を続けていた。悟空を追ってきた九頭駙馬が、紫雲山の封印を破った際に生じた大風に吹き飛ばされる。本人は自身が信仰していた毘藍婆菩薩の起こした「この世の終わり」を示す風だと大笑しながら消えたが、虫を媒介とした術で蘇る。 双葉社版では高笑いしているところで風を吹かせているのが斉天大聖だと気づき、驚愕したところで岩にたたきつけられて死亡している。 七仙姑(しちせんこ) 蝗婆婆の弟子の7人の少女。盤糸洞に住みハチやアブなどの虫を操る。 アクションコミックとそれ以外で最後の描写が異なっており、アクションコミックでは死んだまま、もしくは特にフォローもなくフェードアウトしたが、それ以外のバージョンでは蝗婆婆の術により尸解仙となる、もしくは世俗で商売でもして生きていくという内容に修正された。螞娘(まーにゃん) アブを操る。まだ17歳であるがしっとりとした美女で7人の中でいちばん落ち着きがある。蝗婆婆から留守を任されるが、焼き打ちを受けた際に襲撃者の矢を受け、死亡した。最年長という立場上おとなしくしていたが悟空には惹かれていた。 蠦娘(るーにゃん) クロバチを操る。虫避け薬に強いハチを種類別に育てるなど術の研究にも熱心。7人の中で最も過激な性格で攻撃力に特化しており、盤糸洞の焼き討ちを二娘の手引きによるものと誤解し、悟空と二娘を殺そうとする。 双葉社版では紅孩児が点けた火に巻かれたクロバチを助けようとして諸共に焼け死んでしまうという最後だったが、潮出版社以降のバージョンでは蝗婆婆達に助けられ、人も通わぬ深山で成仙して修行を続けるという内容になっている。 蜜娘(みーにゃん) ミツバチを操る。悟空と二娘を盤糸洞に連れてきた。世俗的な性格だが、頭に血が上りやすくカっとなると見境が着かなくなる所もある。盤糸洞が焼き討ちされた後は悟空たちの旅立ちを見届けた後、「蜂蜜売りの蜂蜜娘(ほうみつじょう)」と名乗り、自らも蜻娘、蜡娘と共に旅に出る。 斑娘(ぱんにゃん) ハンミョウを操る。百眼道人の操るムカデに襲われ、洞に知らせようとするが衣服に潜り込んでいたムカデに刺されて死亡。 蜡娘(ちあにゃん) ブヨを操る。少々能天気で主体性に乏しい。焼き打ち以降、蠦娘と行動を共にするが着いて行けず置いて行かれる。落ち込んでいた所を蜜娘たちと合流した。 蜢娘(もんにゃん) ウシバエを操る。洞が焼き打ちを受けた際に最初に矢を受けて殺された。 蜻娘(ちんにゃん) トンボを操る。まだほんの子どもで、ちょっとしたことですぐ泣く。 百眼道人(ひゃくがんどうじん) 毒百足を操り、別名・多目怪と呼ばれる道士。自ら飛蝗を作り、それを鎮めて金品を得るマッチポンプを行うために蝗婆婆の持つ紫金鈴を狙い、村人達をたきつけて盤糸洞を焼き討ちする。百眼脱魂の術で悟空の意識を飛ばすが、かえって大聖の力を呼び覚ましてしまい頭を割られて死ぬ。昔の悪仲間として鷹を使う男・李鷹と毒蜘蛛を操る男・張八足がいる。 旅芸人一座 蘭州から黄河を渡って涼州へ向かう途中で知り合った。力自慢のイングリ、インド手品を使う竺達羅、語り部の小大人、軽業師の馬兄妹などがいる。座長の婆さんは切り替えが早いちゃっかり者。竺達羅は悟空に問われて幼少時に天竺で見た不思議な祭りについて言及しており作劇上の伏線を展開している。 黄風大王(こうふうだいおう) 烏鞘嶺を根城にする盗賊団の首領。黄砂にまぎれて移動し旅人を襲う。一介の盗賊とは桁違いの統率力と戦闘力を持ち、数で圧倒的に劣るにもかかわらず軍隊が駐留する街を襲撃してとらわれた息子を救い、ついでに略奪を成し遂げるほど。500人の部下で悟空を包囲するが、玄奘の経によって意識をなくすことなく大聖の力をフルに発揮した悟空によって壊滅させられる。同時にこれはただの人である二娘と、悟空の別れを告げる戦いとなった。 百花羞(ひゃっかしゅう) 涼州の天竺楼の花魁。黄袍の愛人。元は良家の令嬢だったが、黄袍に騙されて攫われ、涼州の妓楼・天竺楼に売り飛ばされた。実家はその後盗賊に襲われて皆殺しにされ、行く当てのなくなった彼女は芸妓を続けていた。天竺楼が無くなってからは再び黄袍の都合で連れ回されるが、紆余曲折の末に金蚕蠱を憑けられてしまう。石の献身にって助けられるが、黄袍に攫われてからの記憶を失くし幼児化してしまったような描写のまま石と共に姿を消した。
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