マッチポンプ
マッチポンプとは、マッチポンプの意味
マッチポンプとは、意図的に自分で何らかのトラブルを発生させておいて、そのトラブルに巻き込まれた人に、トラブルを解決するかわりに見返りを要求する行為のことである。わかりやすくいうと、見返り目当てにわざと揉め事を起こすことである。マッチポンプという言葉は英語のマッチとポンプが組み合わさってできた言葉で、日本人が作った和製英語である。マッチでつけた火をポンプで消すという意味から作られた言葉で、トラブルを起こした人間と、解決のために見返りを要求する人物が同一の人物であり、一人でマッチとポンプの役割を同時に演じていることから、マッチポンプという言葉が使われている。マッチで建物に火をつければ、火をつけられた建物に住んでいる人は、火を消すために必死になるが、そのような時にポンプを持った人が現れれば、火を消そうとしている人にとって、その人は神様のように見える。そのような場合、見返りを要求されてもポンプで水を消してもらいたいと考えること通常のケースであることから、こうした詐欺まがいの商法が成立している。相手の弱みにつけこんで利益を得ようとするのがマッチポンプだが、このような方法で商品を販売するビジネスのことをマッチポンプ商法と呼ぶこともある。マッチポンプの本来の意味は何らかのトラブルを発生させることだが、特定のトラブルを発生させなくてもマッチポンプ商法であると非難されることもある。企業が消費者を装って商品の宣伝をするような行為も、マッチポンプであると非難されることが多い。
ビジネスシーンにおけるマッチポンプの例
ビジネスにおいてもマッチポンプという言葉が使用されることがあるが、ビジネスシーンにおけるマッチポンプの典型的な事例の一つが、新商品が販売された場合に、自社でインターネット上などに、自社の商品を称賛するような文章を書かせることである。本来の意味とは少し異なるが、自分たちで販売している商品を自分たちでほめて客に購入させようとしているので、このような行為は、企業が一人二役を演じるマッチポンプの仕事と言われることが多い。ビジネスにおけるマッチポンプとしては、利用客の少ない店舗にサクラの客を準備して、人気がある店のように見せかけるという例もある。この方法でも店舗を運営している経営者が、自分たちが雇った人間を客として装わせているので、経営者と客の一人二役を演じているためにマッチポンプの一種だと見られている。店舗の前に長い行列ができているのを見て、人気のあるお店だと勘違いした一般の客が利用することもあるが、こうした一般人の反応を期待してビジネスのためのマッチポンプは行われる。
意図的に故障しやすい製品を作っておいて、実際に故障した場合に修理代金を得るような方法も、マッチポンプの一種である。この方法によるポイントは、本当は故障を少なくできるような方法があるのに、修理の依頼や新品を購入してもらうことを期待して、意図的に故障しやすいように設計することである。一定期間が経過した後に特定の部品が劣化しやすくなるような方法でマッチポンプがおこなわれる場合もあり、トラブルの原因を企業が自分で作っていることから、これもビジネスにおけるマッチポンプの一つと言える。
マッチポンプの語の使い方、例文
ビジネスの世界においてマッチポンプという言葉が使用される例文としてあげられるのが「その売り方はマッチポンプ商法だ」というような言葉である。これは顧客をだまして商品を購入させているという非難の意味も含まれていることが多く、ネガティブな言葉として使用されている。「マッチポンプ商法でも良いから、商品を販売したい」というような使い方がされることもあり、これは仕事の成果が上がらない時などに使用される場合が多い。「マッチポンプと言われても仕方がない」という言い方が使用されることもあり、これは厳密にいえばマッチポンプ商法ではないものの、限りなくそれに近い方法で商品を販売している場合などに使われる言葉である。「マッチポンプだと思われるから、そのような方法で商品を売るのはやめよう」というような言葉も、ビジネスの世界では使われることがある。マッチポンプ商法のようなことをしたいと誰かが言い出した場合に、発生する可能性のあるリスクを重く見て、自重するように促すために使われる言葉である。「マッチポンプだと消費者に見破られると、会社の信頼をなくす」というような使い方もされることがあり、これはマッチポンプ商法で利益をあげたとしても、それが後で一般の消費者に知られたような場合には、企業としてのブランドイメージが大きく下がることを懸念している言葉である。いずれの例文でも、肯定的な意味で使われることが少ないのが、マッチポンプという言葉の特徴である。
マッチポンプの語の類語
マッチポンプと似たような意味を持つ言葉として使われることがあるのが「自作自演」である。マッチポンプと自作自演は互いに類語の関係にあるが、完全に意味が共通しているわけではなく、言葉の意味には若干の違いがあるために使い分けることができる。自作自演もマッチポンプも一人二役を演じているということでは共通しているが、マッチポンプの場合にはトラブルに巻き込んだ相手に、解決のための見返りを要求するということが、自作自演とは大きく異なる部分である。自作自演は自分で考えたシナリオに沿って自分で実行するという意味を持っているが、もともとは作曲家や脚本家が自分で作った楽曲や脚本を、自分で演奏したり演技したりすることが語源になっている。マッチポンプの類語として「やらせ」という言葉が使用されることもある。ビジネスの世界で商品の人気をアピールするためにサクラの客を雇ったときなどは、その事実が判明した場合、マッチポンプではなくやらせと言って非難されることがある。やらせはマッチポンプよりも嘘をついているということを強調する時に使用される言葉で、テレビ番組の過剰な演出などにも使用されることが多い。「捏造」もマッチポンプの類語として使用されることがあるが、捏造もやらせと同じように、事実とは違うことをでっち上げるという意味を持つ言葉である。マッチポンプややらせよりも、捏造の方が硬いイメージがあり、新聞の文章などで使われることも多い。
マッチポンプ
用例:「不安を煽って商品を売りつけるなんて、まるでマッチポンプではないか」「マッチポンプ的なやり方」「マッチポンプ役」
「マッチポンプ」は、英語matchとオランダ語pompを組み合わせた和製洋語であり、自分で起こした騒動に自分で片を付けるさまを、マッチで火をつけた後に自らポンプで消火するようすにたとえたものである。例は以前からあるが、1966年のいわゆる「黒い霧事件」で、不正を摘発するとかたって、そのもみ消しを条件に財界人から金を脅し取った田中彰治代議士を形容して用いられ、広く定着した。
「マッチポンプ」と同様に、何らかの利益を得るために作り事をなす意味で用いられる言葉に「自作自演」「狂言」「芝居」がある。「自作自演」は自分が書いた脚本を演じること、「狂言」は古典劇の一種、「芝居」は演劇のことであるが、いずれも比喩的に作り事を意味して用いられる語である。
「自作自演」「狂言」はいずれも、さわぎを自ら起こすことを広く指すことのできる言葉で、「マッチポンプ」のように自らさわぎを収拾する意を含まない。
「芝居」は、人を騙そうとして行う言動を広く意味して用いられることのある語で、それほど大きなさわぎでない場合にも用いられ、「マッチポンプ」のように自らさわぎ収拾する意を含まない。また、「芝居」には、「マッチポンプ」「自作自演」にあるような批判的なニュアンスが少ない(例、「一芝居打つ」「一世一代の大芝居」)。
また、「狂言」は、他の語の上について、それがなされたように偽ることを意味する語を作ることができるが(例、「狂言自殺」「狂言強盗」)、「マッチポンプ」「自作自演」「芝居」にはこのような用法はない。
「マッチポンプ的行為」は、自分で起こしたさわぎに自分で片を付け利益を得る行為。
(執筆:稲川智樹)
マッチ‐ポンプ
マッチポンプ
マッチポンプ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 02:13 UTC 版)
1955年に自由民主党が結党されると田中もこれに参加し、河野派に所属。1958年に再度衆院決算委員長に就任。決算委員長や決算委員会理事として決算委員会を舞台に職権をフルに使って政財界の癒着を粗探しして表向きには追及する素振りを見せながら、その実その当事者を脅して金品をせしめていた。 航空自衛隊の第1次FX問題や日本国有鉄道志免鉱業所払下げ・九頭竜ダム建設工事落札をめぐる疑惑など、田中が決算委で追及しながら結果として全容の解明に至らなかった疑惑や不正は多い。職権を利用して疑惑を追及する振りをしながら権謀術数で利益を私する田中の行為は、後に政界のマッチポンプという非難を受けることになる。 中央政界での活動の傍ら、田中は自由民主党新潟県支部連合会会長にも就任。新潟県知事選挙をめぐって田中角栄や塚田十一郎とも対立し、自民党から離党勧告を受けたこともある。
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「マッチポンプ」の例文・使い方・用例・文例
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