仮名合字とは? わかりやすく解説

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合略仮名

(仮名合字 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/14 00:38 UTC 版)

合略仮名(ごうりゃくがな)は、明治以前の日本において広く使用された仮名合字である。

一部の合略仮名は、正式な文書で用いることが不適切とされ[1]、その中でも書簡(手紙)に限って用いられるものは、合字と略字を区別せずに書簡体略字[2]または書簡体文字[3]とよばれる。女性言葉などを合略した一部の書簡体略字は、女性の書簡や男性から女性への書簡にのみ用いられた[2]
一方で、官報法令全書などで用いられた合略仮名も存在し、1900年(明治33年)には仮名調査委員が変体仮名の廃止とともに『「こと」より」なり」トキ」トモ」を廃す』を議決している[4]

電子機器上での扱い

2000年まで、コンピュータ上では外字の利用などでしか合略仮名を扱えなかった。

2000年JIS X 0213が定められた。これによって「ヿ(コト)」と「ゟ(より)」が使えるようになった。

2002年Unicode 3.2に「ヿ(コト)」と「ゟ(より)」が採用された。

2009年、Unicode 5.2に「(トモ)」が採用されて、使えるようになった。しかし、CJK統合漢字拡張Cとして登録されてしまった。

2017年、Unicode 10.0に「 (シテ)」「(なり)」「(ナリ)」が採用されて、使えるようになった。しかし、CJK統合漢字拡張Fとして登録されてしまった。

表示可能なフォント

2023年7月現在、合略仮名が表示可能なフォントには以下のようなものがある。

一覧

平仮名

以下は、合字である。

読み 画像 文字 Unicode 字源
かしこ - - 𛀚 しこ[5]
こと - - こと[2]
ごと - - ごと[6]
さま - - 𛃅 [7]
- - 𛃅 [2]
まいらせそうろう - - まい 𛃰 せ候[8] 𛂽 [9]
- -
より U+309F より[2]

以下は、合字ではない。

読み 画像 文字 Unicode 字源
なり 𬼂 U+2CF02 [2]
さうらふ - - [2]
とも - - [10]
ども - - 共゙[11]

片仮名

以下は、合字である。

読み 画像 文字 Unicode 字源
トイフ - - ト云[2]
トキ - - トキ[2]
トテ - - トテ[2]
トモ 𪜈 U+2A708 トモ[2]
ドモ 𪜈゙ U+2A708 + U+3099 ドモ[12]
ヨリ - - ヨリ[13]

以下は、合字ではない。

読み 画像 文字 Unicode 字源
イフ - - [12]
コト U+30FF [2]
シテ 𬼀 U+2CF00 シテ[2][13]
トキ - - [13]
トキ - -
ナリ 𬻿 U+2CEFF [14][15]

類似の文字

  • 「ます」と読む文字」は、計量に使用する記号化したものであり、合略仮名ではない。
  • 漢字の一部を仮名に置き換えた字(略字)があるが、これらも合略仮名ではない。
    • 例:「機」、「議」、「摩」または「魔」 →「略字」を参照。
  • インターネットスラングで、既存の文字のが他の文字として解読できる場合、当該文字1字を他の文字2字の代わりとして用いる場合がある。
    • 例:「托い」(キモい)「モルール」(モノレール)など。

脚注

  1. ^ 日本文典 : 解説批評 上 (帝国百科全書 ; 第78,79編)」国立国会図書館デジタルコレクション. 2025年4月8日
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 国語漢文自習要覧 : 附・仮名遣詳解」国立国会図書館デジタルコレクション. 2025年3月2日
  3. ^ 国書辞典」国立国会図書館デジタルコレクション. 2025年4月8日
  4. ^ 教育公報 (231)」国立国会図書館デジタルコレクション. 2025年3月14日
  5. ^ 草々かしこ”. 2025年5月31日閲覧。
  6. ^ [東京築地活版製造所活版見本]”. 2025年5月31日閲覧。
  7. ^ ことばの泉 : 日本大辞典 21版”. 2025年5月31日閲覧。
  8. ^ まいらせ候」漢字字躰帳. 2025年4月9日
  9. ^ 文芸類纂 巻2 字志 下」国立国会図書館デジタルコレクション. 2025年4月9日
  10. ^ 源氏物語,跋首 右頁6行目”. 2025年5月31日閲覧。
  11. ^ 曲亭馬琴 作 ほか『南総里見八犬伝 9輯98巻』肇輯巻一 左頁1行目”. 2025年2月28日閲覧。
  12. ^ a b Das Buch der Schrift: enthaltend die Schriftzeichen und Alphabete aller Zeiten und aller Völker des Erdkreises”. 2025年5月31日閲覧。
  13. ^ a b c 伴信友 著『仮字本末』下巻・附録”. 2025年5月31日閲覧。
  14. ^ 児玉幸多『くずし字解読辞典〔普及版〕』東京堂出版 1993年 ほか
  15. ^ 田島毓堂「法華経為字和訓考—資料編(三)—」名古屋大学文学部研究論集 1990年

参考文献

関連項目

外部リンク




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