イタイイタイ病 イタイイタイ病裁判

イタイイタイ病

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/11/01 04:55 UTC 版)

イタイイタイ病裁判

第1次訴訟

1968年(昭和43年)3月9日、患者や遺族の計28人が原告となって婦中町(現:富山市婦中町)、富山市大沢野町(現:富山市大沢野地区)の各被害地域を代表して14件(患者1人につき1件)の裁判を起こす。 被告の三井金属鉱業の加害責任を明らかにする提訴の趣旨から患者1人につき400万円、死者1人につき500万円の慰謝料を請求だけにとどめた。審理では神岡鉱山や被害地域などの現場検証を実施し、原告は莫大な資料や萩野昇らの専門家の証言などによってカドミウムの毒性やイタイイタイ病との因果関係の立証に努めた[13]

36回の口頭弁論の末、1971年(昭和46年)6月30日富山地方裁判所が1審判決を下した。 裁判所の趣旨は「(1)水田土壌・河川などのカドミウムなどの重金属類による汚染は被告の神岡鉱業所からの廃水が神通川上流の高原川に長期間、放流されたことによって起きた。(2)イタイイタイ病の主因はカドミウムである。(3)被告側は鉱業法109条により損害賠償責任を有する。慰謝料については被害者が被った肉体的および精神的苦痛の甚大さ、被告の損害賠償に対する不誠実さを考慮し、近年の死者には500万円、それ以前の死者および生存患者には400万円が相当である。」で原告側の勝訴となった[13]

三井金属鉱業は1審判決を不服として即日、控訴した。 1972年(昭和47年)8月9日名古屋高等裁判所金沢支部は被告側の控訴を棄却するとともに、原告側の附帯控訴を認め、慰謝料額を倍増させる、原告側ほぼ全面勝訴の判決を下した。控訴審判決の内容は次のとおりである。 「(1)土壌などのカドミウムなどの重金属類による汚染原因は第1審と同じ。(2)イタイイタイ病の主因は第1審と同じくカドミウムである。(3)財産上の損害については被害者の救済が遅れるのを防ぐため、慰謝料の額に含んで請求することは許される。ただし、損害額については具体的状況によって算出するべきであり、個人事情を考慮せずに一律に算定請求するのは許されない。(4)被告側は慰謝料として死亡患者全員に1000万円、生存患者には800万円を支払う。」[13]

第2次~第7次訴訟

第1次訴訟後にも1968年(昭和43年)10月8日に第2次(訴訟件数:148件)、1969年(昭和44年)3月10日に第3次(14件)、同年11月20日に第3次(4件)、1970年2月20日に第4次(13件)、1971年5月7日に第6次(8件)、同年7月3日に第7次(1件)と訴訟が相次いだ。これらの訴訟は併合され、第1次訴訟が出た後の1971年7月から審理が始まった。 原告側は個別患者の損害立証を集中的に行うよう要求した。また、多くの原告が傍聴できる大型法廷の設置を強く求め、裁判所との交渉が重ねられた。原告患者が出頭できない場合には病院や公民館などで出張尋問を実施した[13]

その後、第1次訴訟後の三井金属鉱業と被害住民との交渉で成立した「イタイイタイ病の賠償に関する誓約書」の中で、会社は第2次~第7次訴訟の原告に対しても第1次訴訟と同じ損害賠償の支払を約束した。これにより第2次~7次訴訟は原告側の取下げによって終結した[13]


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  1. ^ 文学作品としては旧井波町出身の作家岩倉政治に『ニセアカシアの丘で』に収められた「尋問」という短編と「イタイイタイ病」という詩があり、新田次郎に地元の開業医萩野昇医師をモデルにした『神通川』という小説がある。
  2. ^ “イ病被害の風化防ぐ「語り継ぐ会」設立…富山”. yomiDr. (読売新聞社). (2014年8月18日). http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=103560 2014年8月18日閲覧。 
  3. ^ a b c d e 『富山大百科事典』(1994年 北日本新聞社/富山大百科事典編集事務局編) 「特集 イタイイタイ病」,p.104
  4. ^ a b c 『富山大百科事典』(1994年 北日本新聞社/富山大百科事典編集事務局編) 「特集 イタイイタイ病」,p.106
  5. ^ a b 『富山大百科事典』(1994年 北日本新聞社/富山大百科事典編集事務局編) 「特集 イタイイタイ病」,p.100-101
  6. ^ 「公害病」の虚実
  7. ^ Cadmium Toxicity What Diseases Are Associated with Chronic Exposure to Cadmium?
  8. ^ a b c d e f g h i j k l 『富山大百科事典』(1994年 北日本新聞社/富山大百科事典編集事務局編) 「特集 イタイイタイ病」,p.98-99
  9. ^ 昭和48年版環境白書(環境庁,1973)
  10. ^ [http://www.kahoku.co.jp/news/2012/03/2012031701001301.htm 河北新報「富山、カドミウム汚染農地が復元 イタイイタイ病」
  11. ^ a b 広田和也(2014年10月12日). “イ病被団協 神岡鉱業を調査 全面解決後初 豪雨災害、対策へ”. 北陸中日新聞 (中日新聞社)
  12. ^ a b c 「なお続く患者の苦しみ」北日本新聞 2008年4月19日朝刊,p.13
  13. ^ a b c d e 『富山大百科事典』(1994年 北日本新聞社/富山大百科事典編集事務局編) 「特集 イタイイタイ病」,p.106-109
  14. ^ a b 『富山大百科事典』(1994年 北日本新聞社/富山大百科事典編集事務局編) 「特集 イタイイタイ病」,p.111-112
  15. ^ a b 川田篤志(2014年10月2日). “イ病精密検診 最多362人 新たな患者認定の可能性”. 北陸中日新聞 (中日新聞社)
  16. ^ 『富山大百科事典』(1994年 北日本新聞社/富山大百科事典編集事務局編) 「特集 イタイイタイ病」,p.110
  17. ^ 富山県立イタイイタイ病資料館


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