製錬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/19 18:05 UTC 版)
製錬(せいれん、smelting)とは、熱エネルギー等を利用して鉱石その他の原料から有用金属を取り出す過程のこと[1][2]。電気分解や化学処理により金属の純度を高める「精錬」とは異なる[2]。ただし、一般図書では「製錬」と「精錬」が厳密には区別されていないと指摘されている[2]。
鉄生産の場合、砂鉄や鉄鉱石を溶かして粗鋼を作る工程を製錬工程、その粗鋼から不純物を除去して炭素量などの調整を行う工程を精錬工程という[3]。
概要
選鉱工程で岩石から分離された有用鉱物を精鉱(concentrate)といい、そこから金属を得るのが製錬工程である[4][5]。
精鉱は鉱山での最終産物とされ、世界各地の製錬所で金属の抽出が行われていた[4]。しかし、アメリカ南部、チリ、ペルーなど乾燥地帯を中心にSX-EW法が発達するなど、鉱山で製錬を行う現地製錬法も多く行われるようになった[4]。
製錬の手法
- 乾式製錬
- 高温の炉で原料鉱を融解して目的の金属を分離する方法[1]。一度に大量の処理が可能であるが、定期的な耐熱設備のメンテナンスが必要となる[1]。
- 湿式製錬
- 金属や不純物を薬液で溶解し、化学反応を利用して目的の金属を取り出す方法[1]。安定して継続的に処理できるが、薬液のコストがかかる[1]。
この他、還元製錬、溶融塩電解などの方法がある。
日本の製錬所
脚注
- ^ a b c d e 住友金属鉱山 統合報告書 2019 用語集 住友金属鉱山、2023年10月19日閲覧。
- ^ a b c 足尾銅山跡調査報告書3 日光市、2023年10月19日閲覧。
- ^ ふくしま鉄ものがたり 公益財団法人福島県文化振興財団、2023年10月19日閲覧。
- ^ a b c 中村 威一「最新選鉱技術事情鉱種別代表的プロセス編(1)―銅―」 金属資源レポート2013年5月号、2023年10月19日閲覧。
- ^ 若松 貴英「銅鉱物の分離・選別技術」 一般社団法人 エネルギー・資源学会、2023年10月19日閲覧。
関連項目
製錬
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1943年の開発時には製錬は行われず、個人経営時代の1951年になってレトルト炉を用いた製錬が開始された。しかし、ほどなくして操業休止となっている。 1954年の大牟田鉱業取得後は、ロータリーキルンを用いた製錬が開始された。しかし、設備不備などを理由として、数年で休止。採掘された鉱石はイトムカ鉱山に売却された。 北進鉱業が買収後、大牟田鉱業時代同様に重油を燃料としたロータリーキルンによる蒸留製錬が行なわれた。最高温度700℃で加熱された水銀鉱石から蒸発した水銀ガスを脱塵したのちにコンデンサに送り込み、冷却して粗製水銀を採取した。粗製水銀は精製工程を経て精製水銀となり、34.5キログラムのボンベ(日本ではフラスコと呼ばれる事が多い鉄製の容器)に充填して市場に出荷した。 水銀収集後の廃ガスは石灰による脱硫を経て煙突から大気に放出された。 また、製錬の際に出る焼き滓はロータリークーラ(ロータリーキルンと同じ形の回転式冷却装置)で空冷され、前述のように坑内の充填材に用いられた。
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