ようゆうえん‐でんかい【溶融塩電解】
溶融塩電解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/21 02:50 UTC 版)
溶融塩電解(ようゆうえんでんかい、molten salt electrolysis)とは、イオン性の固体を高温にして融解させ、これを電気分解する方法である[1]。融解塩電解(ゆうかいえんでんかい)とも[2][リンク切れ]。
イオン化傾向が大きく水溶液では析出しないアルミニウムやナトリウムなどのアルカリ金属類がこの方法で工業生産される。
アルミニウム
アルミニウムは世界的にホール・エルー法(Hall-Héroult process)により精錬されている[3]。氷晶石とフッ化ナトリウムを電気炉で1,010°Cで融解させ[3]、これに原料のアルミナを溶解し、黒鉛電極で電気分解を行う。分解されたアルミニウム(液体)は陰極に溜まり、酸素は陽極の黒鉛と反応して二酸化炭素となり、さらに反応して一酸化炭素となる。
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カストナー法の装置概略図。A:陽極、B:陰極 カストナー法は、330°Cで溶融させた水酸化ナトリウムを特殊なるつぼで電気分解する方法である。分解された金属ナトリウム(液体)は水酸化ナトリウムよりも密度が低いため、るつぼ上部の採取装置 (P)に溜まる仕組みである。
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(陰極)
ダウンズ法の概略図 ダウンズ法は溶融させた塩化ナトリウムをダウンズセル(Downs cell)と呼ばれる特殊な装置で電気分解する方法である[6][7]。
- (陽極)
- (陰極)
- (全体)
金属ナトリウムは塩化ナトリウムよりも密度が低いため、鉄電極(陰極)上の採取部分に浮かび上がってくる仕組みである。
出典
- ^ “融解塩電解”. 学研キッズネット. 2025年10月21日閲覧。
- ^ 高等学校化学で用いる用語に関する提案(1)への反応(日本化学会、2018年1月25日更新版)
- ^ a b “アルミ・銅事業 やさしい技術”. 神戸製鋼グループ. 2012年4月2日閲覧。
- ^ a b c 土橋倫男, 「アルミニウムの製錬と精製」『軽金属』 軽金属学会, 1994年 44巻 7号 p.406-417, doi:10.2464/jilm.44.406
- ^ “第1節 アルカリ金属とその化合物”. 啓林館. 2012年4月2日閲覧。
- ^ JAKES CLOYD DOWNS (1924-07-15), ELECTROLYTIC PROCESS AND CELL, Patent 1501756 2011年5月28日閲覧。
- ^ 長谷川一希, 「苛性ソーダ,金属ナトリウム製造における電解技術」『化学と教育』 66巻 11号 2018年 p.524-527, doi:10.20665/kakyoshi.66.11_524
外部リンク
- 渡邊亨, 「アルミニウムの製錬と精製」『軽金属』 39巻 5号 1989年 p.403-414, doi:10.2464/jilm.39.403
関連項目
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(陰極)
溶融塩電解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/21 01:27 UTC 版)
イオン化傾向が大きく水溶液を電気分解しても析出しないカリウム、ナトリウム、アルミニウムなどは溶融塩電解で得る。 アルミニウムの溶融塩電解はホール・エルー法と呼ばれる。融解させた氷晶石とフッ化ナトリウムにアルミナ(酸化アルミニウム)を加えて炭素電極を使って電気分解すると還元されたアルミニウムが陰極に溜まる。 フッ素の単体は、フッ化水素カリウムの無水フッ化水素溶液の電気分解で得られる。フランス人化学者のアンリ・モアッサンはこの方法で初めてフッ素の単離に成功し、この功績から1906年にノーベル賞を受賞している。
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