フッ素の単離
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 01:29 UTC 版)
フッ素は1771年のカール・シェーレ以来、その化合物の存在は知られていたものの、ガラスや貴金属とも反応してしまうほどの強い活性を持ち、毒性も強い元素であるため、単離(純粋なフッ素の単体を取出すこと)が極めて困難であった。多くの化学者が単離に挑戦して失敗し、中には実験中に亡くなった者もいた。 モアッサンも実験中に片目を失明したが、1886年6月、液体フッ化水素 (HF) に二フッ化水素カリウム (KHF2) を溶かした溶液を電気分解し、フッ化カルシウム(蛍石)の容器を捕集に使うなどすることにより、ついにフッ素の初単離に成功した。二フッ化水素カリウムを溶かしたのは、フッ化水素が導体でないためである。電極には白金/イリジウム、容器には白金を使い、全体を-50℃まで冷却した。これにより、正の電極から水素ガスが、負の電極からフッ素ガスが得られた。フッ素を生産する技法は今もこれと基本的に同じである。
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