フッ素の化学反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 08:38 UTC 版)
フッ素の単体は酸化力が強く、ほとんどすべての元素と反応する。 水素とは、光なしでは高温下で反応、光の存在下では室温で反応し、フッ化水素(HF)を生成する。水素とフッ素、1対1の混合物を燃焼させると、4300 K程度に達する。 酸素とは放電によりフッ化酸素(O2F2)を生じ、液体酸素とは放電により、O3F2が得られる。 カルコゲン元素(硫黄、セレン、テルル)とは六フッ化物(SF6、SeF6、TeF6)を生成する。 水と反応させるとフッ化水素(HF)、酸素(O2)と一部オゾン(O3)を生成する。 水酸化ナトリウム水溶液と反応して、OF2を生じる。 窒素とは反応しないが、アンモニアと直接反応させると、三フッ化窒素(NF3)を生成する。 炭素はフッ素雰囲気下で燃焼し、四フッ化炭素(CF4)を生成する。 アモルファス二酸化ケイ素(SiO2)はフッ素雰囲気下で燃焼し、四フッ化ケイ素(SiF4)と酸素(O2)になる。ケイ素の単体とは爆発的に反応する(モアッサンが単離したフッ素の確認に用いたのはこの反応であった)。 鉄などとは即座に反応する。ほかの金属も室温から比較的低温で反応する。 ニッケル、銅、鉛は、表面にフッ化銅(CuF2)など不動態の皮膜を形成するため、比較的腐食しにくい。 金、白金とはおもに500 °C以上で反応する。 キセノンとは加熱あるいは光存在下に反応し、二フッ化キセノン(XeF2)を生じる。大過剰のフッ素存在下に400 °Cで加熱すると、二、四、六フッ化物(XeF2、XeF4、XeF6)の混合物を生成する。クリプトンとは光存在下に反応し二フッ化クリプトン(KrF2)を生成する。 ハロゲン元素とはハロゲン間化合物を生成し、フッ化塩素(ClF、ClF3)、フッ化臭素(BrF、BrF3、BrF5)、フッ化ヨウ素(IF5、IF7)などが知られている。 フッ素の酸化還元電位は+2.89 Vで、ほかのハロゲン族元素に比べて非常に高い値である。酸素の+1.21 Vより高いため、ほかのハロゲン化物塩水溶液と異なり、フッ化物塩の水溶液を電気分解してもフッ素の単体は得られず、酸素が発生する。
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