金属タンタルの製造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/10 02:51 UTC 版)
精錬によって得られたフッ化タンタル酸カリウムあるいは五酸化タンタルは、その後フッ化タンタル酸カリウムのナトリウム還元あるいは五酸化タンタルの溶融塩電解、炭素還元、フッ化物・塩化物・酸化物などの水素還元といった方法で金属タンタルにする。工業的に用いられる方法は、ナトリウム還元法または溶融塩電解である。 フッ化タンタル酸カリウムのナトリウム還元は、反応るつぼに原料のフッ化タンタル酸カリウムを積み重ね、アルゴンなどの不活性ガスで満たし、ヒーターで加熱しながら金属ナトリウムを導入する。ナトリウムの沸点である摂氏883度に達するとナトリウムが蒸発してフッ化タンタル酸カリウムの表面に達し、これによって還元反応が進行する。還元後、温水やメタノールで洗浄することでタンタルの粗金属が得られる。 K 2 [ TaF 7 ] + 5 Na ⟶ Ta + 5 NaF + 2 KF {\displaystyle {\ce {K2[TaF7] + 5Na -> Ta + 5NaF + 2KF}}} 溶融塩電解法は、ホール・エルー法を改良したものを用いる。タンタル溶融塩電解では、入力として酸化物、出力として金属の、どちらも液体を利用するのではなく、粉末状の酸化物を用いて実行される。この手法の最初の発見は1997年のことで、ケンブリッジ大学の研究者がある種の酸化物の小さなサンプルを溶融塩に浸し、電流によりこの酸化物を還元したことによる。陰極には金属酸化物の粉末を使っていた。陽極は炭素製であった。摂氏約1,000度の溶融塩が電解質として用いられた。この方法の最初の精錬装置は、全世界の年間需要の3 - 4パーセント程度を供給できる能力を持っている。 こうした方法で得られるタンタルは、真空熱処理によって脱水素を行ったり、電子ビーム溶解によってインゴット化したりする。タンタルをさらに高純度化するためには、電子ビーム帯域溶解法を用いる。
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