アテローム性動脈硬化
英訳・(英)同義/類義語:atherosclerosis, atherosclerotic disease
動脈内膜に蓄積した脂質由来の物質が原因となって起こる動脈硬化症。
アテローム性動脈硬化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/25 14:28 UTC 版)
アテローム性動脈硬化 | |
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別称 | Arteriosclerotic vascular disease (ASVD) |
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アテローム性動脈硬化の進行 (狭窄の拡張図) | |
概要 | |
診療科 | 心臓科、循環器科 |
症状 | なし[1] |
発症時期 | 若年 (加齢とともに悪化)[2] |
原因 | 飽和脂肪の蓄積、喫煙、高血圧、糖尿病 |
危険因子 | 異常なコレステロール値、高血圧、糖尿病、喫煙、肥満、家系、不健康な食事など[3] |
合併症 | 虚血性心疾患、脳卒中、末梢動脈疾患, 腎不全[1] |
予防 | 健康的な食事、運動、喫煙をしない、正常な体重を維持[4] |
使用する医薬品 | スタチン, 降圧薬, アスピリン[5] |
頻度 | ≈100% (>65歳)[6] |
分類および外部参照情報 | |
Patient UK | アテローム性動脈硬化 |
アテローム性動脈硬化(アテロームせいどうみゃくこうか)は、プラークの蓄積により動脈内が狭くなる疾患である[7]。
一般的に初期は無症状である[1]が、重症化すると、影響を受ける動脈箇所によって、虚血性心疾患、脳卒中、閉塞性動脈硬化症、腎臓障害を発症する場合がある[1]。アテローム性動脈硬化は発症しても、中年まで症状が発現しないのが一般的である[1]。
正確な原因は不明である[1]が、危険因子には異常なコレステロール値、高血圧、糖尿病、喫煙、肥満、家系、不健康な食事などがあげられる[3]。
プラークは、脂肪、コレステロール、カルシウム、血液中に含まれるその他の成分で構成されている[7]。動脈が狭くなると、体の一部への酸素の供給が制限される[7]。診断は、身体診察、心電図、運動負荷テストに基づいて行われる[8]。
予防は一般的に、健康的な食事をとること、運動をすること、喫煙をしないこと、正常な体重を維持することである[4]。
治療には、スタチンなどのコレステロール値を下げる薬、血圧治療薬、アスピリンなどの凝固を低下させる薬などが用いられる[5]。経皮的冠動脈形成術、冠状動脈バイパス移植、頸動脈内膜剥離術などの外科的治療が行われる場合もある[5]。
アテローム性動脈硬化は、一般に若年時期に発症し、年齢とともに悪化する[2]。ほとんどの人が65歳までにある程度の影響を受ける[6]。
アテローム性動脈硬化は、先進国において最も多い死因と障害の一つである[9]。アテローム性動脈硬化が最初に説明されたのは1575年であるが[10]、5千年以上前に発症した証拠がある[10]。
出典
- ^ a b c d e f “What Are the Signs and Symptoms of Atherosclerosis? - NHLBI, NIH” (英語). www.nhlbi.nih.gov (2016年6月22日). 2017年11月5日閲覧。
- ^ a b “What Causes Atherosclerosis? - NHLBI, NIH” (英語). www.nhlbi.nih.gov (2016年6月22日). 2017年11月6日閲覧。
- ^ a b “Who Is at Risk for Atherosclerosis?” (英語). www.nhlbi.nih.gov (2016年6月22日). 2017年11月5日閲覧。
- ^ a b “How Can Atherosclerosis Be Prevented or Delayed? - NHLBI, NIH” (英語). www.nhlbi.nih.gov (2016年6月22日). 2017年11月6日閲覧。
- ^ a b c “How Is Atherosclerosis Treated? - NHLBI, NIH” (英語). www.nhlbi.nih.gov (2016年6月22日). 2017年11月6日閲覧。
- ^ a b Aronow, Wilbert S.; Fleg, Jerome L.; Rich, Michael W. (2013) (英語). Tresch and Aronow's Cardiovascular Disease in the Elderly, Fifth Edition. CRC Press. p. 171. ISBN 9781842145449
- ^ a b c “What Is Atherosclerosis? - NHLBI, NIH” (英語). www.nhlbi.nih.gov (2016年6月22日). 2017年11月6日閲覧。
- ^ “How Is Atherosclerosis Diagnosed? - NHLBI, NIH” (英語). www.nhlbi.nih.gov (2016年6月22日). 2017年11月6日閲覧。
- ^ Topol, Eric J.; Califf, Robert M. (2007) (英語). Textbook of Cardiovascular Medicine. Lippincott Williams & Wilkins. p. 2. ISBN 9780781770125
- ^ a b Shor, Allan (2008) (英語). Chlamydia Atherosclerosis Lesion: Discovery, Diagnosis and Treatment. Springer Science & Business Media. p. 8. ISBN 9781846288104
外部リンク
アテローム性動脈硬化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:12 UTC 版)
アテローム性動脈硬化(Atherosclerosis)とは、動脈の内側に粥状(アテローム性)の隆起(プラーク)が発生する状態。プラークは長い時間をかけて成長し血液を流れにくくしてしまったり、突然プラークが破れて血管内で血液が固まり(血栓)、動脈の内腔(血液の流れるところ)を塞ぐ場合、あるいは血栓が飛んでさらに細い動脈に詰まる(塞栓)ことで、血流を遮断し重要臓器への酸素や栄養成分の輸送に障害を来すことがある。このような状態は発生した臓器ごとに脳梗塞、心筋梗塞などといい、心臓の場合、完全に血流が遮断されていない狭心症という状態も存在するため、心筋梗塞と併せて虚血性心疾患という病名が用いられることもある。 これらは、いずれも致死的な疾患であり医療経済学的側面からも対策が必要なことから、動脈硬化の発生予防は先進国における大変重要な国民保健的課題となっている。 アテローム性プラーク(粥腫)は、LDLが酸化されマクロファージに取り込まれ血管内膜下に蓄積されて起き、血液の流れの遅い部位(低壁せん断応力部位)に好発するが、その詳しい仕組みについてはまだよくわかっていない。フラミンガム研究などをはじめとする各種疫学研究により、現在、悪玉コレステロール(低密度リポ蛋白LDL)の血中濃度が高い場合、耐糖能障害をふくむ糖尿病患者、高血圧患者、喫煙者などでは動脈硬化が進行しやすいことが証明されており、こういった危険因子をコントロールして発症予防をおこなうことが推奨されている。具体的には食生活の改善、運動、禁煙などが有効であり、生活習慣を是正した上での降圧薬、脂質降下薬(特にLDLコレステロール低下作用のあるスタチン系)、糖尿病治療薬も併用されうる。 コレステロール低下療法については@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}日本人における有効性を疑問視する研究結果[要出典]もあれば有効性を支持する研究結果も出されている。これを支持する立場では、各種の海外研究と日本人における研究の比較研究(メタアナリシス)や、MEGA studyで虚血性心疾患の1次予防が認められたとして、日本動脈硬化学会による動脈硬化性疾患診療ガイドライン(2002年版)においても、危険因子の数に応じた患者カテゴリー分類と十分なコレステロール低下療法が推奨されているが、これに反対とする立場も存在し意見が対立したままである。 他にもエイコサペンタエン酸(EPA)などオメガスリー脂肪酸の摂取量が、日本人の動脈硬化性疾患予防に有効であるとした疫学研究結果が報告されている。
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