病気 病気の概要

病気

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/12 05:25 UTC 版)

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別の読みである、病気(やまいけ)は、病気が起こるような気配をいう。

概念

病気の少女(1660年)。ハブリエル・メツーの作品。

病気は曖昧な概念であるが、個人で定義していいものではない

分布の数で判断しようとする試み

ひとつには、自然科学的な習慣をそのまま持ち込んで、「定量的な分析」を志向し、数的な側面に着目する考え方、別の言い方をすると「正常 / 異常」という概念で分けようとする見解がある。

ある性質の集団の中での数的な分布で線引きしてしまおうとする考え方であり、統計分析の正規分布母集団の分析における習慣を持ち込むものである。本当はどこまでが「正常」どこまでを「異常」とするかは統計学でも定義は無く、正式の統計学では、線引きの値は任意であり様々に設定可能、とされている。だが、そうした任意の値の中から便宜的・習慣的にしばしば用いられている設定「2×D」を(あまり確かな理由もなく、半ば強引に)採用しておいて、「標準値からプラスマイナス2×SDまでの差を正常、それ以上のずれは異常(なので疾患)」として、「疾患とは全体の5%未満に見られる形質・状態で、正常とは残りの約95%こと」と一律に定義してしまおうとする例がある。 しかしこのように「集団内での数的な分布」を「病気」の定義として流用してしまうと、日本で約1000万人が難儀している糖尿病や、数多くの合併症をもたらす肥満までも「正常」とすることになってしまい、また一方で、特に基礎疾患がなく偶然的に高身長となった人で元気に生活している人までが 「病気」に分類されてしまうという問題が生じる。すなわち、異常(統計的に数が少ない状態)であれば病気であるとも言えないし、病気であれば異常である、などとも言い切れず、統計的手法によって病気を定義しようとする試みには無理があるのである[要出典]

定性的に定義しようとする立場

逆に、質的な記述あるいは定性的な記述で病気を一般化して定義しようとする試み・立場がある。

ひとつには本人の認識している状態(あるいは本人の主観的経験内容)を重視し、病気の定義を「本人が心身に不都合を感じ、改善を望むような状態」、あるいは「本人あるいは周囲[注 1] が心身に不都合を感じ、改善を望むような状態」とすることがある。

医師が疾患だと診断した人であっても、本人は生活上の問題を感じないことなどを理由に「自分は病気ではない。健康である」と述べていることがあり、あるいは「身体障害障害(広い意味で疾病の一種)ではなく個性である」と言われることがあり、これらはその意味でも一理あることともいえる。また、医療従事者の立場でも、本人または周囲が治療の必要性を感じなければ病院を受診に来ることも無いので、このような定義でも実際上の問題は生じにくい。

ただし、これも突き詰めて考えてみると、医師が依存症嗜癖骨粗鬆症などと診断するようなケースでも上記のような認識のズレが生じていることがあり、医学研究の立場では本人や周囲の判断・価値観に関わらずに病気を定義し診断できるようにすることへの要求は存在する。

医療関係者の主観を織り込もうとする試み

医師など医療産業に従事しそれで収入を得ている者の中には「病気とは心身に不調あるいは不都合がある状態のことであって、いわゆる医療による改善が望まれるもの」などと、“医療”という言葉を手前味噌的に、半ば強引に定義に盛り込んでしまう例も無いわけではない。(だが、医療とは病気を治すものであるから、病気の定義に「医療」を用いるのは一種の循環論法となりうる。また、病気には医療を必要とせず治癒するものも多いので、その意味でもかなり問題のある定義である(後述))

医療人類学での見解

医療の領域で起きていることを、医療関係者の立場からも患者の立場からも離れて、客観的そして学問的に研究する医療人類学では、「病気(sickness)とは疾患(disease)と病い(illness)をあわせたもの」とする定義も提出されている[1]。疾患(disease)を"生物学的なもの"とし、病い(illness)は"主観的な経験のこと"、とする説明である。この説明方法を採用した場合、例えば、上記の糖尿病の例では、疾患の定義に当てはまる者は1000万人いるかもしれないが、慢性疾患で自覚症状が少ない初期では本人が「病い」と捉える人はごく少ない、という理屈になる。

社会的状況

冒頭に説明したように、何が病気であるのか病気でないのかを決めるのは、容易なことではなく、各立場なりの見解があり、一般の人々は多くは自分が感じている感覚内容で病気か病気でないか判断していて、ちょうど「本人が心身に不都合を感じ、改善を望むような状態」といった定義がそのまま当たるようなことが日常的には行われているが、医師の集団は医師の集団で医師なりの立場で生物学寄りの見方をしてみたり統計を見たりし、臨床医師では、一般論は脇に置いておいて、目前に現れた患者の個別的な症状と医学書に書かれている慣習的な判断基準を見比べて便宜的に判断する 等々等々、さまざまなことが行われている。それらの見解は様々に複雑に相互影響しあう[注 2]

現実の社会では病気に対する見解は立場ごと・文脈ごとに異なり、さまざまな見解が複雑にせめぎ合う。実際、臨床の現場では医師と患者の見解はしばしばずれたり対立することがある。上では周囲は病気と判定しているが本人は病気とは思っていない例をいくつか挙げたが、逆に本人が病気だと感じているのに医師の側がそう認識しない、しようとしない、というケースもある。たとえば本人が身体に激痛や異常な感覚などを感じ明らかに何らかの病気だと直感しそれを訴えているにもかかわらず、医師の側ではCTやMRIなどの画像を見て、そのその検査とその医師の技量との組み合わせではたまたま何も見つけられなかったことを根拠に、「("客観的に見て" あるいは"生物学的に見て")疾患ではないでしょう。気のせいでしょう」などと告げて放置し、すっかり悪化したり死亡してから、事後的に他の医師によって誤診だったと判定されるようなケースもある。またステロイド皮膚症や各種の公害病乳幼児突然死症候群の例に見られるように、その病気が存在するかどうか自体が学問的のみならず政治的にも問題となることもある。

分類

病気を分類することは容易ではなく、またその分類は医学の変化に伴い頻繁に変更される。医学においては、一般に以下のような観点によって病気は分類される。

  • 精神疾患器質的疾患生体組織自体の異常による疾患)か機能的疾患(生体組織の働き方の異常による疾患)による分類
  • 病巣の局在による分類(肝臓の疾患、心臓の疾患など)
  • 原因による分類(感染性、心因性、自己免疫性、医原病など)
  • 病理的所見からの分類(良性、悪性、肉芽腫性など)
  • 進行の様相による分類(急性、慢性、劇症、一過性、発作性など)

医療の要・不要による分類

また、次のような分類が提唱されることもある[1]

  • カテゴリー1 : 医者がかかわってもかかわらなくても治癒する病気 (自然治癒力や本人の努力で治癒するもの)[1]
  • カテゴリー2 : 医者がかかわることによってはじめて治癒する病気[1] 
  • カテゴリー3 : 医者がかかわってもかかわらなくても治癒しない病気[1]

開業医や市中病院の医師が日常の診療で遭遇する「疾病」のほとんどは、上記で言えばカテゴリー1に属する[1](すなわち、医者・医療者がかかわらなくても治癒する病気である)。その比率は70〜90%ほどであるという。著者の岡本裕医師が実際に計数してみると95%がカテゴリー1だったという[1]

カテゴリー3に分類される病気、つまり「不治の病」もまだまだ多い[1]。(例えば神経変性疾患、神経機能障害・・等々はそれに分類される)

(カテゴリー1と2の病気については)病気にも ①当人が自分の力で治すことができるもの、と ②自然治癒力も及ばず、医療従事者と連携をとり治癒をはかるとよいもの、の2種類があるということである[1]。①の当人が自分の力で治すことができる病気には、 高血圧[2]糖尿病高脂血症肥満病、痛風便秘症、不眠症[3]自律神経失調症・・・などが挙げられる。


  1. ^ 「本人あるいは周囲が」としたのは、精神疾患や軽症の疾患の中には、本人は生活上の不都合を感じないが、周囲の人が生活上支障をきたすために治療の必要性を感じる場合があるからである。これは病気と類似概念の混同である。 精神疾患病気#病気と「疾患」・「疾病」も参照のこと。
  2. ^ 一般の人々は、医師からの説明を聞いて、それを自分の考えとして採用することもある。また逆に医師の側も、患者から報告を聞いて、はじめて何かを「疾患」と認識し、そうした断片的情報が学会などで徐々に集約されて、あらためて大規模統計がとられる場合もある。マスコミで医師が語る内容も人々の病気観に影響を与える。
  1. ^ a b c d e f g h 岡本裕 「はじめに~第1章」『9割の病気は自分で治せる』 中経出版、2009年、pp.1-46。
  2. ^ ただし遺伝的背景と生活習慣が原因となる本態性高血圧症は高血圧の80〜90%であって、残りの10〜20%は高血圧の基礎疾患が明らかな二次性高血圧症である。二次性高血圧症では基礎疾患の早期発見・早期治療が重要である。『今日の治療指針2011年版』 医学書院、2011年、pp.339。
  3. ^ 不眠のなかには、実は本当の原因として、周期性四肢運動障害、むずむず脚症候群、概日リズム睡眠障害、うつ病などが隠れている場合があるから、鑑別診断が重要である。『今日の診断指針第6版』 医学書院、2010年、pp.339。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m 岡本裕 「第3章」『9割の病気は自分で治せる』 中経出版、2009年、pp.121-138。


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